身に覚え‥あるなぁ(笑)。

今夜は宴会。飲めや歌えやどんちゃん騒ぎぃ〜♪のあと、お会計した記憶もない状態で夜も更けた飲み屋街をふらふら。そんな経験、ございませんかぁ?夜11:30を回った頃の新橋駅烏森口あたりにはこんなおぢさんがたくさんいたりします。

ふと来し方を遠く振り返ってみれば、何だかわたしもこんなポーズを取った過去がないようでいやたくさんあるようで(笑)。恥ずかしながらふと懐かしの出来事をひもといてみることにします。
時は大学3年生の冬。某高田馬場駅近くの飲み屋で大学の仲間達10数人と飲み始めました。途中まではみんなと一緒にいたのですが、さてどうやって店を出たのか、どうやってみんなと別れたのか、その辺の記憶は完全に途切れています。

ふと気付くと、
あったかな布団の中にいました。天井の木目がとっても綺麗でした。朝の日差しが窓から斜めにゆったりと差し込んでいました。

しかし、この部屋はどこなんだろう。見たことのない部屋です。誰か後輩の自宅にでも引きずられてきたのかなぁ、昨日はかなり飲んだからなぁと、ズキズキする後頭部の隅っこで考えてみましたが、全く覚えていないことを思い起こそうとしても所詮無駄なことでした。

しかし‥。隣の部屋から何やら物音が聞こえてきます。一定のリズムで
「とんとんとんとん」。どうやらまな板の上で何かを刻んでいるような音です。正しい日本の朝ここに極まれりといった風情というより他はありません。

「ここはどこなんだろう、そして、この音の主は誰なんだろう」

まさか大学の同級生の女の子のアパートなのか、
もしそうだとしたら昨夜はもしかして‥などという妄想もほんの一瞬だけ頭の中を駆けめぐりましたが、部屋の机に置いてあった雑誌をふと見ると「週刊ポスト」。こりゃ違うぞとわれに返りました(笑)。

勇気を出して、隣の部屋に通じる襖戸をするするっと静かに開けてみました。するとそこには、
全く見たこともない女性の後ろ姿が。「だ、誰だろう、この人‥」しかし疑問は尽きないにせよ、このままこの女性を背後から見続けているわけにもいきません。意を決して襖越しに話しかけました。

「あ、あのぉ、おはようございます」

その女性はこの声を聞きつけ、こちらを振り向きました。年の頃30歳くらいだったでしょうか。まったく見知らぬ方でした。そうして、その方は次のように声を掛けてくれたのです。
「あ、お目覚めですか?今おみそ汁が出来上がりますからこちらの部屋へどうぞ。どうも昨日は主人が大変お世話になりましてありがとうございました。」
「主、主人」?「お世話になりまして」?やばい、全く覚えてないぞぉ(^_^);。昨日、この女性の「主人という方」とどこで何がどうしてこうなったんだぁ?

全てが不明のまま、それでも呼ばれるがままに食卓へ。時計を見るともう昼の11時近い。「何もございませんがどうぞ」といわれるままに
おみそ汁とご飯と納豆とサラダ(このへんの記憶は妙に鮮明)の朝食をとりはじめた。食べている場合じゃないような気もするのだが、とにかく食べ始めた。

洗い物をしている奥さんが背中越しに話し始めた。
「ホントに昨日は申し訳ありませんでした。うちの主人ったら、あなたと一緒にこの家に戻ってきたあとも妙にご機嫌で「さ、飲み直しだ!」って。ご迷惑掛けたでしょう?私は先に寝させていただきましたが、あのあと何時頃まで飲んでいらっしゃったんですか?」
答えようがない。わたしゃその「ご主人様」についての記憶がないのだ。何も答えない私に、奥さんは「一番恐れていた」質問を問いかけた。
「もう主人は会社へ出てしまったので聞きそびれたのですが、あのぉ、ところで主人とはどのようなご関係なのでしょうか?」
次の瞬間、その部屋の全てのものが固まった(爆)。
その後大変に気まずい雰囲気の中、それでも「せっかくだからどうぞ召し上がってください」とのお言葉に甘え、しっかり朝食を食べ終わったあと「ホントに申し訳ありませんでした、んでもってごちそうさまでした」と頭をぺこぺこ下げた上でこちらのお宅をあとにしたTakemaなのでありました。

----- 後日談 -----

数日後、ご主人がお帰りになる時間を見計らってお礼かたがたこちらのお宅にお茶菓子もって再訪問。ご主人を見ても「この人、記憶にないなぁ」状態のTakemaだったのでありますが、実はご主人もわたしの顔を覚えていませんでした(核爆)。要は似たようなタイプの酔っぱらいだったわけね。ちなみにこの夜、またもビールだけご馳走になりました。懲りないとはこのことですな(爆)。

さらに、当日一緒だった仲間達から次のような証言がとれました。

「Takemaさん、途中でトイレ行って、なかなか帰って来ないなぁと思っていたら、隣のサラリーマン軍団の席にまじって、エライ盛り上がってたんですよ。途中で呼んだんだけれど、『うん、もうすぐ戻るわ』とか何とか言って、結局戻ってこなかったんですよ。それにしても、隣ではみんな大歓声でしたよ、何やってたんですか?」
‥記憶がないとは恐ろしいことなのだ。あれから数え切れないほどの飲み会人生を生きてきたTakemaではありますが、これ以降、飲み屋で他のテーブルにちょっかいを出すことは自重することにしております(それがフツーの人なんですな)。

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