大掃除の途中で‥

昨日、実家の部屋の掃除をしていたら、本棚兼モノ入れからいろいろなものが出てきた。ネパールはアンナプルナ山域を歩いたときの地図やトレッキングパーミット(今は必要ないらしいですが)、10年近く前のツーリング中にホクレン(北海道)のスタンドでもらった三角フラッグ、そして全く買った記憶がなかったのに、今回初めて行く予定のブータン情報が載っている、チベット方面のガイドブック等々。そういう思いがけない品々が「発掘」されるたびになぜか仕事のほうは中断、ついつい真剣に見入ってしまうような経験はどなたにもご記憶のあることではないでしょうか。

さて、そういうわけでダラダラとしか進まない本棚の掃除。しばらくして、ふとビニール袋に入ったお札が出てきた。それが上の3枚。確かビルマ(ミャンマー)のタチレクで物売りから買ったものだと思う。これまた10年近く前の話だ。

確か物売りのおいちゃんは「ニホングンのグンピョーね、メズラシイ珍しい」とか何とか言っていた。本当に珍しい物ならば露天で立ち売りなどしていないはずだろうから、少なくとも当時は(そこに住む人々にとっては)結構ありふれたものか、またはそれ自体が偽物のはずだ。まぁわざわざ偽物を印刷して売るほどの需要はなかっただろうから、やはり「旧日本軍が敗北した瞬間にただの紙切れと化した軍票(戦時通貨)」に間違いはないだろうと思われる。当時一体どのくらいの軍票がこの地域に流通し、そしてどのくらいの無駄な紙切れが残されたのかは不明だが、今、そのうちのほんの数枚が自分の家にあることがひどく不思議に思われた。

今の日本経済、不振の底にあるような報道を聞かない日はないのだが、現在の福沢さんや夏目さんのお札が紙切れ同然にならずにすむことを祈らずにはいられないものだ。何だかそんなシュールなことを考えながら雑巾を絞ったりしていた、年末のとある夜なのでありました。

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