Takemaのスーパー過積載必勝法?

そびえ立つ「トップケースの城+タンデム」で1000km以上を安全に走りきる技とは?いや、安全とは決して言い切れないので良い子の皆さんは真似しないように(苦笑)。
(2007年7月24日)

先日、拙サイトの掲示板に次のような質問をいただきました。質問して下さったのはCB1300SB乗りのTさんとおっしゃる方。この夏タンデムで北の大地を回られるということなのですが(あ、時期と地域さえマッチすればご一緒できるのかも)、タンデムゆえ荷物をどのように載せるかについて拙サイトを参考にしたいとのことでありました。

ソロライダーの過積載バイクであれば、わたしよりはるかに「大物」を拝見したことは何度かあります。しかしいかにバイクの排気量が大きくても、バイク本来の荷物積載場所である「タンデムシートを使わない(使えない)」状況で、とことん荷を積み上げたバイクはなかなか見ることがありません(というかそれは半分おバカライダーであるともいいます)。

しかしTさんのような稀少系質問にはきっちり答えたい!というわけで掲示板には長レスを書き込んだわけですが、やっぱりそのまま掲示板のログにしまい込んでしまうのでは勿体ないような気がする内容です。そこで昨年(2006年夏)の「北海道スーパー過積載タンデムツーリング」の未使用画像その他を用いながら、「あの過積載は如何にして如何にするのかどうしたのか」をあらためてきっちり紹介したいと思います。タンデム過積載ファン必見!(少ないだろうなー)。

積み上げのコツ!「一つ積んでは母のため‥」とも言いますが、トップケースの上に一つ積み上げ、二つ積み上げ、その作業ごとに母を悲しませるような「三途の川ツーリング」への道へまっしぐらの危険が高まるともいうわけでとなります。というわけで、以下はメール返信をメインに‥。

なお、以下の内容は掲示板レスに加筆修正したものです。なお、青字の部分は加筆した部分です。

【Tさんのご質問】


今回4回目でタンデムで行こうかと思っています。TAKEMAさんはバイクの、トップケースの上まで荷を積み上げていらっしゃいますが、何か荷積みのコツなどあるのでしょうか?




【Takemaの返信】



Tさんこんにちは。

タンデムともなるとやはり「荷物のやり場」に困っちゃいますよね。
われわれの場合も「サイドパニアをつけても全然載せきれない」という状況に陥り、「ならば上に向けて積み上げるしかあるまい」と考えた上での苦肉の策でありました。
いや、よけいな物(大タープやら「かがり火」やら)まで持って行こうとするから載せきれないんですけれどね(苦笑)。

スーパー過積載タンデムの回数を重ねるにつれて、如何に安定させるかの「コツ」が何となくわかってきたように思いますので以下に紹介いたします。た だし、トップケースのステー部にかかる重量はかなりのものとなり、当然設計重量をはるかに超過することになりますから、ケースの外れや損壊、さらには走行中のステー折れによる事故の危険性もあり得ます。そのことだけは十分にご理解いただいた上で「どうするか」をご判断下さい。正直いって結構恐いこともあり ます。

Tさんのバイクの車種は存じませんが、とりあえず自分のバイクに積むときの手順について説明いたします。長くなりますが(笑)。

まず荷物の固定に使っているのはゴムコード2本とメッシュネットを2つです。ゴムコードは3本あっても構いません(というかその方が安定するでしょう)。またコードは3mくらいある長いものを使っています。それを生半可でなく目一杯引っ張って縛り付けています。

ちなみに以前は3本使ってました。太くて長いやつを1本、これを基本固定コードとし、残りの2本はその補完としていろんな方向から引っ張るようにしていました。慣れないうちはこの方がより安心できます。しかし、これまた伸び切っちゃったんで2006年夏は2本としたわけです。買いに行くのを忘れていたからとも言います(笑)。

た だし、そもそもトップケース(親亀)の上に別ケース(子亀)を載せること自体が反則行為ですから(笑)、この別ケースの中には軽くてかさばるものしか入れない方がいいです。ただでさえ重心が高くなって安定度が悪くなるのですから‥。われわれはこのケースの中に寝袋を強引に押し込んでいます。固定のことを考 えると、力いっぱい締められ、ゆるむことのないプラケースを切にオススメします。

さて、このプラケースをトップケース上に載せるわけですが、その際、クッションをかませることをお忘れなく。これがないとトップケース上面が傷ついてしまいます。わたしの場合最初の年は無造作に載せていたので、後に自分でトップケースを再塗装しました。

さ てコードで固定です。しかし、上のケースを単純に固定するだけでは、過重を支えるのは本来のトップケースのマウント部分のみですよね。これだけだと、走行中のギャップ乗り越え時などにトップケース+積み上げ部分全体が何と「前後に」大揺れしてしまうのです。これは恐いです。いつマウント部分(プラスチッ ク)にヒビが入ってもおかしくないのですから!2000年夏は、まだサイドパニアケースがなかったのでこれでビビリまくりでした。

参考:http://achikochi.takema.net/2000hokkaido-tawa1.htm

で、 サイドパニアを付けられるようにしてからは、さらに荷物の量は増えたわけですが(笑)かえって安定させることが出来るようになりました。
の画像を見ていただくとわかると思いますが、トップケースの脇にビニールの袋(中身はタープとフレーム)やデイパックが見えますよね。

安定させられるようになった理由は、「サイドパニアケースを付けたから」というのではなく、とにもかくにも「サイドケースのステー=金属パイプ」のあちらこちらにコードを引っかけることが出来るようになったからに他なりません。Tさんの場合、ステー引っかけポイントはあまりないかもしれませんので、その場合はシート下から後ろに向けて延びているであろうトップケースのステーを如何に利用するかがポイントになってくるかとも思います。もちろんヘルメットホルダーがらみも。

たとえば、そのステーの途中にコード引っかけ用の後付けホルダー(ステーから布テープに結びつけたミニカラビナ等を利用。布テープがパイプを前後に移動するのを抑止するため、ステーの要所要所に「これ以上の移動は許さん!」とばかりに結束バンドによるストッパーを付けておくといいかもしれません。もちろんツーリング後は取り外します)を設置してみるのも効果的かも知れません。またタンデムステップの根本にホルダーを設置するのもいいと思います。


実はこれはサイドパニアに載せて固定してあります。実はこれらを全てひっくるめて2本のコードでがんじがらめにしてしまうのです。ここでのコツは、コードを縦のみならず横 にも走らせ(ちなみに画像では縦に伸びたコードが見えませんが、これは縦コードを走らせて固定した後に折りたたみテーブルを差し込んだからで、ちゃんと縦コードが何本か伸びているはずです)、さらにはそのコードの折り返しには出来るだけ「サイドパニアのステー部を利用する」というということです。これで、 トップケースそのものが前後左右それぞれから固定されることとなり、よってトップケース部の前後揺れもだいぶ解消し、走行中の安定性が格段にアップしたと いうわけです。

ちなみに、コードは「長い1本」よりも「短い複数本」を絶対にお勧めします。それぞれが独立してテンションを確保していることにより、たとえ1本が破損(切断)しても、それだけでは決してお陀仏にはならずに済みます。

なお、縦ばかりにコードをギュッと伸ばしただけでは横方向の安定性がよくありません。縦に延びたコードの途中にフックを使って引っかけて横に回し(実はこれ重要)、出来れば一周ぐるりとさせたそのコードを先ほどのフックに再度引っかけたりすると荷がかなり安定します。そしてそのコードの終点はトップケースが載せられているベースメントの下側を通した上で「プラとはいえここは折れないだろう!」と思われる部分に引っかけられればいいです(もちろん金属パイプまで延ばすことが出来れば最高です。金属まで届かなければ、再度ケース上にぐるぐる巻になっている途中のフックに戻してもいいと思います)。こうすることにより、ベースメントと荷物が着かず離れずになります。あとは、要所要所で「少しでも前方向に引っ張る」ようにうまくコードを誘導するだけです(ただし左右同じ強さで誘導することが大切。そうしないと荷物が徐々にずれてきてしまいます)。

さて、
これだけのテンションを掛けるわけですから、よくキャンプツアラー用の小物として売られているナンバープレートボルトを利用したフックなどはお勧めでき ません。あそこは金属がきていませんのでいつボキッといってもおかしくありません。全て金属部分に固定するようにしてください。でも補助として使うぶんにはいいかもしれません。自分も400ccの頃は使ってました。ただしあまりいくつもフックを掛けないように(プレートボルト部分1箇所につき1フックとか)すればいいのかもしれません。



コードを縦横に掛けているときの画像です。見えにくいですが、横&斜めに回したコートが見えるでしょうか?

次にメッシュネットですが、大と特大サイズのものを使っています。特大サイズは、コードでぎゅっと縛り付けた荷物全体を覆うようにして全体を締め上げるためのもの です。ぎっちりキツキツに引っ張るようにしています。もっとももう伸びきりつつありますんで、そろそろ買い換え時かと(笑)。

大サイズの方ですが、実は元は「現特大」と同じサイズでした。つまり、もともとの「大」が伸びに伸びて
「特大になってしまった」というのが真実です(笑)。で、この「大」は「メイン荷物の固定」にはほとんど役立っておりません。

入りきらない荷物(キャンプで出たゴミとか、キャンプの買い出しで買った食料とか、さらにはこれが一番大切なのですが、いつ来るかわからない雨のためのレインウェアとか)などをくくりつけておくため、特大メッシュに寄生させるかのようにこの大メッシュをくくりつけているわけです(一番上画像では、黄色の袋を固定す るために使用しています)。

でも、これがあるとないとでは大違い。買い出しのビニール袋(しかもその中には焼酎まで入ってたりするんですが)もこのメッシュにくくりつけておけば(ただし袋の口をメッシュにくくりつけることをお忘れなく)、キャンプ場までもスイスイです(笑)。
あ、ちなみに焼酎などは割れると恐いので、最近は会計を済ませた直後に中身をペットボトルに移し替え、販売店さんに引き取ってもらうという反則技?を多用しています(笑)。

ちなみに、リアシートのパッセンジャーにデイパックを背負わせるのは禁断です。わたしも最初おしんこどん@妻にお願いしましたが、姿勢がきつくなりすぐにギブアップとなりました。
ちなみにタンデムの際彼女はウエストポーチ(特大)を前側に回して乗車しています。

ま たサイドパニア側にあまり荷物をせり出すように積むと、所詮コードで固定しているだけの荷物は振動とともにやがて「広い場所」=タンデムシート側に入り込んできます。これまたおしんこどん、「これが当たって痛いので何とかして!」と相成りました。
これらの試行錯誤を経由して、昨年のスーパー過積載は成り立っていたわけですね(笑)。

ただし、バイクの種類や形状、また「慣れ」の如何によって状況は大きく変わってきます。さらに、走行安定性が大きく減退するのは間違いありません。わたしも、低速走行時にはいつも緊張します。
また高速コーナーが思い通り楽しめないというマイナスポイントもありますが、そもそもタンデムを選択する段階で、その辺のマイナスポイントよりもタンデムゆえのプラスポイントを優先させているわけですから、これはまあ言ってもしょうがないかな(笑)。さらに急加速や急ブレーキは積載物を支えるステーに過重の負担が掛かる可能性があるので禁物です。

以上、とっても長くなりましたがご参考になれば幸いです。え、何でこんなに丁寧にレスを付けたのかって?

実は、これをほぼそのまま「今日の一枚」コンテンツにアップしちゃおうかと思いましたので(大笑)。というわけで、転んでもただでは起きない受領国司のようなTakemaでした(笑)。

Tさん、追加の質問がありましたら是非遠慮なくお願いしますね!


とまぁ、こんな感じでございました。過積載タンデムを実行する上で、このページをお読みの皆さんの参考になれば幸いです。と同時に、


(うーん「荷物のスマート化」、耳の痛い表現だ(笑))



トップケースの上に荷物を積むのは出来れば避けましょう。できれば(笑)。

[戻る]