気持ちだけはあまりにも大金持ち?

(2008年8月24日)

とってもたくさんのドル紙幣なんです。しかもこの画像の上の方を見て下さい(マウスオンで拡大します)、嬉しき陰影礼賛というか(いやそのものなんですけれど)、帯封付きのこれこそまさに「札束」なんです、しかもヤミのルートで手に入れたわけでも何でもなく、このお金は正規に銀行で両替したんです!で、このお金を重ねてみると‥。

ほーらー!タバコの箱とほぼ同等の高さじゃないですか!しかもピン札ばかりなんですから!

さらーに、左上の札束をよーっくごらんください。桁は??一、十、百、‥千万、一億、十億‥じゅ、十億っ!一枚が五十億ドルってことは‥

いや違った計算間違ってます。非日常的な計算にはとことん弱いTakemaですが正しくは、

ビッグに厚い札束、これは余りにも嬉しすぎる僥倖と申し上げていいのでしょうか?さらにはその下に額面こそ下回るとはいえ同じような札束がさらに3つ。これで老後も安心国民年金知ったこっちゃない消費税100%でもOKと考えて間違いないのでしょうか?

さて現実論を申し上げましょう(悲)。上記の札束はドルはドルでも「ジンバブエドル」、実は国内の経済破綻によりものすごいハイパーインフレーションが起きている国のお金なのであります。そのインフレ率はといえば‥

おっと、ただしこの数字はジンバブエ統計局による5月発表の数値なのでデータとしては古いですね。と、8月18日に新たな発表がなされたようです。それによると‥おお!

こういう状況の場合、国の機関が客観的な経済分析をしているとは考えにくいのが通常の流れです。しばらく公式発表がなかったのも、それが政府機関の良識(あまりにひどいんですぐさま発表するのを控えた)のであるのか、それともはんにゃはらみたはっぱふみふみ系の諸事情を含むのかについては明確にはわかりません。実際のところはもっとすごいインフレ率だったのでしょう。しかし数字はともかくとして、2008年現在においてジンバブエがスーパーハイパーインフレーション状況に陥っているのは紛れもない事実なのです。

それにしても桁が多すぎて全然実感が湧かないんですけれど‥(しみじみ)。ちなみに客観データとしてわかる価格としては、2008年7月25日段階でソフトクリームが1700億ドル、ピザ1枚は1兆4000億ドルだったそうです。しかし、ここまでなぜ「だった=過去形表現」を用いてきたかといえば‥実はわれわれが日本を出国した直後(8/1)に恐るべき金融政策が実行に移されていたのであります!それは‥

百億分の一のデノミが行われ、同時に新紙幣が発行されました。旧紙幣の百億ドルが新1ドルとなったわけです。それにしても、7月中旬には一千億ドル紙幣を発行しておきながら(でもパンも買えなかったほどの実勢価値だったようですが)その2週間後に大デノミとは、何と慌ただしい通貨政策なのでありましょう!

ちなみにこのデノミをおこなった理由が奮っています。マスコミの情報によると次のような発表がなされたようです。

そ、そんな理由ってありなんでしょうか(笑)。コンピューターのため?でも確かにこれだけ桁数が増えると、入力ミスなんかは頻繁に起こりそうな気もしますね。

結局旧札の最高額面である「100,000,000,000ドル(いっせんおくドル)」の紙幣を手にすることはありませんでしたが、新紙幣(上画像にある新$10札と新$20札)は手に入れることができました。なお旧札も問題なく使用可能なのではありますが、実はこの旧札、日本のお金というか、いや世界中のどの国のお金にもない(と思われる)ヒミツがあるのです。さてそれは次のうちどれでしょう?
1. 紙幣の発行者がジンバブエ国外の外国銀行になっている。
2. その紙幣の使用可能な期間(使用期限)が記載されている。
3. 「当局の指示によりこの紙幣の使用を制限することがある」と明示されている。
正解は‥2ばーん!ではでは見てもらいましょ。

「FIVE BILLION DOLLARS」のすぐ下に小さく、「On or before 31st December 2008」と書かれているではありませんか!ということはこのお札、2009年になった途端に紙くずになっちゃうということなのね(恐)。

さらに、右上画像をよぉっくみてください。一番上に記載されているのは‥「SPECIAL AGRO-CHEQUE」‥チェック?ということはこれって厳密にはお金じゃなくて「小切手」なの?しかも「AGRO」って何、もしかして「農業決済用小切手」とかいう意味なんでしょうか?うーん、この辺はとんとわかりません。

ちなみに今回現地に行ってすごいなと思ったのは、現地通貨がこれほどのインフレ下で暴落しているというのに、大手のスーパーマーケット(世界的なチェーンスーパーであるSPAR)が外貨での支払い(=価値が目減りしないので結局得になるはず)を認めていなかったということです。政府の政策なのかも知れませんが‥。

さて最後に、そのSPAR内でのワンショットです。

さすがに世界的なチェーン店だからか品物の数は豊富でした(近くにあった文房具店内にはほんの僅かな商品しか並んでいなかったのとはあまりにも対照的)。で、新旧札両方での価格表示がなされていたわけですが‥。下の$450っていうのはたぶん新札払いの場合の価格でしょうね。で、旧札払いの「4.5t」って?お札が4.5トン分必要ってこと?(そんなわけない)。

さて、この場合の「t」とは、「トリリオン」という数字の単位です。「Million=百万、Billion=十億、そしてその上の単位としてTrillion=兆」、‥ってことは、このシリアルフード1はこのお値段は「よんちょうごせんおくドル」ってことかいな!

何だか頭がクラクラしてきました。大丈夫なのかジンバブエ、頑張れジンバブエの国民のみなさん!

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