(2003年2月8日)
このところバイクでのお出かけは久々でした。日々通勤では乗っているとはいえ、悲しいかな片道約4kmというむちゃくちゃ近い距離ゆえエンジンがようやくちゃんと暖まったかなぁという頃に到着してしまっているわけで、これじゃいかんなぁと思いつつ、ついつい寒さにかまけて日帰りツーリングもさぼっていたわけです。しかし、気がつけばここ3ヶ月は走ってないぞ。というわけで今日はちょこっと走ってきました。
とはいっても伊豆くんだりまで行くのは面倒だし、やっぱりここは近場で房総あたりでいいんじゃないのということで、のんびりと9時前頃に出発。うわぁ、バイクで高速乗るのも久しぶり。ブラックバードくんも嬉しそうに回転数をむやみに(笑)上げていきます。館山道を木更津で降りて、なんと地道に127号をひたすら下ります。うわぁ、この道をバイクで素直にたどるって何年ぶりだろう。
鋸南町まできたところでそろそろ飯にしようという感じ。朝飯をろくに食べてませんし、こういうときは11:00過ぎあたりに飯にするとお店もガラガラでのんびりできるんです。ホントの話お昼を回ると一気に混むんで、飯は早めが一番ですよ。
見た感じ商売っ気バリバリのお店は避けて、「え、ここは何となくよさそう」というお店を探すのがコツです。とりあえず海岸沿いのこのお店に決めました。サンガやらサザエ定食やらいくつかありましたが、「おすすめは?」と聞くと開口一番「アジたたきですね」ということなので、ま、ありきたりだけれどそれでOK。この地域の飯屋にしては安めなのでまあいいか。
アジたたきはきれいに盛りつけられていた。
このあとはひたすらに走るだけ。だってもう何十回と走った道だし、今回は走るのを楽しみたいと思って出てきたんだしね。連休の初日にしてはそれほど混んでなかったのでまぁいいか(ただしスイスイというわけではない)。館山から洲崎灯台へ向かう道では前後に車がいなくなり、80km弱で今度こそすいすい。
「そういえば洲崎の灯台って行ったことなかったなぁ」と思って入ってみると、細い道の途中に有料駐車場のおいちゃんが「はぃ〜こっちこっち!」と嬉しそうに手を振るのでさっさと転回して戻りました。やっぱり行かないほうが良かったよ。
せっかくだから露地栽培の花畑とバイクという構図で写真を撮ろうと思っていたのだけれど、ついうっかり神戸(そういう地名がこの辺にもあるのです)方面の細い道に入る場所を通過してしまい、まぁいいかということでそのまま野島崎方面へ。灯台付近はそのまま通過して、もう少し先あたりにあるお花畑あたりで止めようと思っていたわけです。しかし結構先まで行ってしまったので、国道に出て少々逆行します(実はお花畑自体は海岸通り沿いよりも国道沿いのほうが多くてきれい)。そうしたらそれなりの場所に出たので、バイクを路肩に止めます。うーん、路肩がナニだし、結構バイクに角度がついてるなぁと思いつつ。
ここに停めたのが不幸だった‥。
今年は寒いのかまだ花もそんなに咲いていないなぁ、特にポピーなんかはまだまだこれからという感じだなぁと思いつつ何枚か写真を撮り、さて出発するかという時、この事件は起きてしまいました。
事件はいきなり起きました。さぁて出発するかというとき、またがってサイドスタンドをあげようとしたら‥上がりません。上の写真ではほとんどわからないのですが、この路肩あたりの舗装面は白線から左側がぐぐっと外に向けて傾斜しているのです。だから、左側の足に踏ん張りがきかないわけで、ハンドルだけを握ってぐっと右に振ってもバイクの傾きはびくともしません。下手をすれば逆反動で左側に倒れてしまいそうです。
ちなみに、これまたわかりにくいですが、道路と畑の間には高度差が約1m少しあります。そしてその間の法面には‥なぜか稲わらが並べられていました。見るのはともかく滑りやすいことおびただしいわけで、このことが今回の悲喜劇を招こうとは、まだその時点では気付いていないTakemaだったのです。
「しかたない、路肩側に立ってスタンドをあげよう」
当然の発想です。確か教習所ではまたがる前にサイドスタンドをあげるように教えられますよね(全然やってません)。しかし、この場所ではこのやり方にあまりに無理があったのです。むむぅ。
バイクよりも路肩側に立って愕然。上にも書いたように舗装面の端っこは楕円を描くように落ち込んでいましたから、立つ位置は普段よりも下になり、しかも踏ん張れる場所がないのです。
「しかしまぁ、しょうがないし、やるか‥」
せえのぉ、と心の中で気合いを入れて車体を水平に戻しつつ、少し道路中央側に押し出します。そしてその瞬間、悲劇は起きました。
車体が少し前に動き始めた瞬間、「づりっ!」、斜面の上で踏ん張っていた足が傾斜に負けて落ちました。突っ張りを失いかけたバイクは一気に傾斜の度合いを深めます!「う゛わ゛っ!」と渾身の力を込めて姿勢を立て直そうとするTakemaですが、こうなると普通の立ちゴケバイクを起こすのとはわけが違います。だって、自分の体勢はバイク本体よりもかなり下にいるのです。普段の立ちゴケは「起こす」というのが正しいでしょうが、この時のTakemaの位置はパワーリフティング的に「自分より上に持ち上げる」という状況だったのです。
この瞬間、かなりいろいろなことを考えました。「このバイク、今のところはともかく、ホントにこかしたら修理代が高いんだよなぁ」「え、でもこの位置だとただコケるだけじゃなくて、このまま斜面の下に落ちるよなぁ」「え、明らかに下側で支えている自分は逃げられないよなぁ」などなど。
この時点でこんな状態だとお考え下さい(笑)。
その瞬間です。自分が何とか支えていた足の一方が、ざざぁっと20-30cm崩れ落ちました(足場は藁なんですから踏ん張れない(^.^))。バイクはそれまでの傾斜40度から、一気に60度くらいまで倒れ込みました。万事休す。これではもう自分も逃げられず、バイクと共に1m以上ずり落ちていくのみです。
しかし、その瞬間救世主が現れました。年の頃16-17歳とおぼしきまじめそうなお兄ちゃんが向こうから自転車をこいで現れたのです。
泣きそうな声で嘆願するTakema。だって、一人でもがいていたとはいえ、まだこの時はミラーやらウィンカーやらトップケースやらは地面に着いていなかったんです。いわばほとんど死に体でありながらもほとんど無傷だったんですよ。
おにいちゃん、自転車を止めて持ち上げるのを手伝ってくれます。しかしいかんせん足場が悪すぎ&自分より上の高さに持ち上げるしんどさはあまりにも厳しく、「いっせぇの、せっ!」とやってもほとんど持ち上がりません。しかもお互いが疲れてきて、傾斜角がますます厳しくなってきた、その時です。
最悪の場合、こうなっちゃうのは覚悟しました。んでもってこのまま土手を落下ね。
車で通りかかったおいちゃんお二人が、「おい、大丈夫かぁ」と言いながら道路側から一気に持ちあげてくれたんです。いやぁ、高校生のお兄ちゃんがいなかったらそのまま土手下に落ちてたんだけれど、あのおいちゃん二人が来てくれなかったら、下手したらお兄ちゃん共々落ちてましたな(今だから爆)。ああ良かった、助かったぁ。
ちなみにバイクの損傷は、左側のエンジン外側部分と同じくマフラー側にほんのちょっとの傷だけ。しかも実は同じ場所を2002年7月の猿キャン(わかる人にしかわかりませんが)でやってますから、新たな傷は全くなし。はあぁ、あまりにも幸運すぎます。とにかく、お兄ちゃんはもちろんのこと、おいちゃんもありがとうございました!
やっぱりこういう「安全」な場所に止めなきゃいけませんなぁ(爆)。
というわけでまだ「今日」の出来事なんですが、こうしてアップしている今も身体の節々がかなり痛くなってきたTakemaなのであります。もぉいいや、明日の日曜日は車にしよう(核爆)。
(2003/02/08 約280km)