美ヶ原の頂上付近にある某美術館を脇目に(そんなもん、こんな自然の美しい場所でわざわざ見たくもないな)、そのまま武石村方面に北に降りる道を進む。道は広くもないし、かといってそんなに狭くもない1.5車線くらい。しばらく急斜面をへづるいろは坂系の道を下っていくと、突然平らな場所に出た。地図を見ると白樺平という地名があるからどうやらここのことらしい。

地名の通り白樺が一面に生え、その下生えにヤマツツジがちょうど花の見頃をむかえている。車の音もなくただ静かだ。しばらくぼ〜っとするのにはとてつもなくいい場所なのだ。テントを張ることが出来るなら、そして水さえ持参すればいい一夜を過ごせそうだ。

でもしばらくいるうちに気づいた。白樺林というのは極相林(字、これで良かったよなぁ)ではないのだった。ある一定の高度や平均気温、降水量の場所で、それまであった森(おもに広葉樹林)を伐採すると、一番先に生えてくるのが白樺のような木々で、でもそれらが30〜数十年たつと枯れてしまい、最初の白樺たちが作った森林としての土壌をうまく利用してそのあとがまに生えてくる木々こそが、その土地で何代にもわたってずっと生き続けるはずの森=極相林の先駆けなのだということを。

確かに急斜面の白樺林というのはあまり見たことがない(山岳地の岳樺:ダケカンバは植生域が違う)。そうなると、この白樺平も、一度は人の手によって伐採された森の跡地である可能性が高いということがわかってくる。

 

気持ちのいい平らな場所だけに、この道が造られたときにこの地がいろいろな意味で利用されたというのは想像に難くないことだ。
さて武石村に降りてくるまでの道は、混んでさえいなければまことに気持ちのいい道で、牧草地あり、高原野菜の畑あり、集落内を通る道もほとんどが広くて気持ちがいい。なんで今までこんな道を知らなかったのか不思議なくらいだ。ごくありきたりの道なのだけれど。

武石村のメイン集落に入ったところで、さっきから気になっていた看板「岳の湯」が気にかかり、一気に右折。トンネルを抜けてからは家もない川沿いの道を4kmほど北上。ツーリングマップルにもただ温泉の名前が出ているだけの、久々に静かな温泉に行きあたった。場所が場所だけに「雪渓荘」ではなく「雲渓荘」とあるのがそれらしくていい。しかも村営施設ということで、400円の入浴料、ピカピカの施設が嬉しい。さらには、お風呂はもちろんロビーの椅子から何から何まで貸し切りなのだ。

 

「岳の湯」という名前がいい。橋の欄干が朱塗りというのはこの場所に似合わない気もするけれど、誰もいないからまぁいい。そしてお風呂は内風呂のみなれど、ちゃんとかけ流しのようで嬉しい。しかも少なくともここ1時間、だぁれも入った形跡なし。嬉しいなぁ。

すっかりまったりのあとはいいかげんおうちに帰らなくちゃ。何といっても日帰りなのだ。というわけで、帰りは上信越道に出て一気にお帰りのはずだったが、ついつい横川SAで定番品を購入。



タンク上にひいた草津温泉のタオルがご愛敬♪

そう、峠の釜飯ですな。おぎのや、平日だというのにむちゃくちゃ盛況だったのは観光バスが多いからか。ん?休日は休日で個人客が多いよなぁ。要はいつでも儲かっているのね。横川の駅が終点になったときはどうなるかと思ったけれど、ちゃんと活路を見いだしているのね。良かった良かった、ということでこの日帰りツーリングもボチボチ終了!

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