(その2)

戦場ヶ原を過ぎ、竜頭の滝あたりまで下りてきたところでふと「そういやこのあたりに養魚場があったよなぁ」ということを思い出しました。それも行きにちらっと見たときには見学可能とか何とかかいてあったような‥というわけでちょっと寄り道をすることに。

養魚場といっても、何だか独特の「風格」を感じる入口には次のように書かれた看板がありました。「独立行政法人 水産総合研究センター 養殖研究所日光支所」。歴史を遡れば、この養魚場は旧宮内省の管轄(奥日光地域が御料地であったため)で、この地に施設が作られたのは明治23年というから驚きです。99年には皇太子ご一行も見学に訪れているとのことで、ありゃま結構すごいところだったのね。

無料かと思ったら見学料を300円取られました。引き替えにもらったのはパンフレットと、そして‥



うわ、給餌用のエサまでついてきたっ!

小さなカップに入れられたエサ、これを「ここの魚にあげてね」看板のある池でブン撒いて下さいとのことでした。しかしまぁ、まもなく40になろうとする大の男がひとりぼっちで鱒にエサをやっている姿は何だか哀愁が漂っちゃうよなぁ、こういうときにおしんこどん@妻がいれば喜び勇んでホホイのホイと餌やり音頭の一つや二つ踊り出すことだろうになぁ‥などというような、嬉しさと恥ずかしさの混じった微妙な心理状態に陥ります(ホントは自分も好きなんだけれどね)。

もっとも、結果的には場内に他の見学者がいなかったので(ここでも貸し切りだぁ♪)人目を気にする必要もなくマイペースでエサやり出来たんですけれどね。どうやら皇太子ご夫妻もやったらしいし、それならいいかってことにしておきましょ。

さて、順路の通りに歩いていくと、すぐに円形の水槽がいくつも目に入ってきます。

ここでは様々な種類の鱒が育成されているのですが、それらを種類ごとに
見てもらおうということのようです。ほほぅ、サービス精神に富んでますな。
この奥には資料館があります。何でもその昔(江戸時代まで)、中禅寺湖及びその流域河川には魚が生息していなかったそうで(華厳の滝が「魚止めの滝」になっていたということでしょう)、明治時代になって初めてイワナやマスなどが放流され、その増産を目的としてこのような施設が作られた‥というようなことが書いてあったかどうかは定かじゃありませんが(パンフレットに書いてあった)、皇太子訪問時の写真などは飾ってありましたな。

さて、さらに進んでいくといくつもの池が現れ、池ごとに違った種類の魚が育てられています。池の回りの石組みは明治時代に作られたものだというのですから確かに歴史的な場所なんですね。水も、豊富な清水をどんどんかけ流し状態で(温泉じゃないんだから‥(苦笑))、こりゃここにいる魚たちは幸せだわ。



いい環境だねぇ。

さて、池の縁を歩いていて気づいたことが一つ。普通、魚は人間の姿を見たら警戒して逃げ出すものですが、ここの魚は逃げるどころか我先にと近寄ってきます。それは‥そう、ここは養魚場ですので、定期的に給餌が行われているからなんですね。そしてTakemaの左手にあるもの、それはエサ。よし、やるかぁ!名付けて「こーい来い来い池のコイ大作戦」!(コイじゃないけど)。



まだ何もあげていないのに、すでに皆さんコーフンモード全開のようですな。

無言のままエサやりするTakema

「ほ〜りゃ食え食え〜」

さすがに「こーい来い来いっ!」とかけ声を出すのは
自粛しちゃいました。エサを取り合うニジマスたちによって
時おり水面が波立ちますね。う〜ん、やっぱり声を出した
方が良かったなぁ(今になって後悔)。

ASF形式、312KB、10秒
ちなみに、エサをあげていいのはいくつかある養殖池のうち一つだけですのでお間違いなく(笑)。

さて、さすがにそろそろ帰路につかなければいけません。一番簡単なのはこのままいろは坂を下り、そのまま日光宇都宮道路、東北道経由で帰るというルートですが、それも何だかなぁという感じですので、最後にもう一つ峠越えをしてみることにしました。日足トンネル経由で足尾方面へ抜け、そこから粕尾峠を越えて粟野町へ、ついでにいつものお蕎麦屋さんで手打ち蕎麦を食べて(ちなみにもう午後1:30だというのに、朝からバナナ1本しか食べていませんでした)栃木ICから高速に乗ろうという魂胆です。

粕尾峠の道は舗装路とはいえ道幅が狭いのでちょっと慎重に行きます(実はまだ乗れてない状態ともいう)。ま、そうはいっても車よりゃ早いし大丈夫でしょ‥と思っていたら、いつの間にか走り屋系のバイクに追いつかれました。もちろんさっさと道を譲りましたが、そのバイクの速いこと速いこと、たちまちのうちに見えなくなっちゃいました。何だか複雑な気分です(笑)。

峠を越え、再び里に下りてきたあたりでちょっと休憩しようかと思い、酒屋さん店頭の自販機でジュースを買って飲み出しました。するとその約30秒後、酒屋さんのご主人がこちらに向けて歩いてきました。

「バイクかい、今日は気持ちいいだろうねぇ。
もし良かったらこの椅子を使って休んでいってね。」

そうおっしゃるご主人の手にはしっかりプラスチックの椅子が!たかが椅子、されど椅子。ご主人のさりげない心遣いに大感謝です。コンビニじゃこんなことないからなぁ(Takemaはほとんどコンビニ休憩をしないタイプです)。



歩道にポンと置かれた椅子が何だかミスマッチで面白い。

最後は当然遅めのランチタイム@手打ち蕎麦でしめくくりました(15:00)。いやぁ、何だか充実した一日だったなぁ、うん。

[戻る]