ん?Takemaの手からぶら下がる奇怪な果実はナニ?

ここ木地山キャンプ場の最大の難点は、スーパーがひたすらに遠いことだ。スーパーらしいスーパーといえば稲川町まで行かなければならない。往復するだけで1時間くらいかかってしまうので、あらかじめ買い出しをしてからいくのが賢明だ。なお、日本酒(特にこの地域の地酒)を買いたい場合は、国道13号から県道51号に入ってしばらくいった左側にある酒屋がオススメ。店主の方も日本酒に詳しく(田舎の酒屋だと結構こういう人が少ない場合が多い)、しっかりした管理がなされているのでなかなかいい感じであった。

さて話がそれた。栗駒峠からの帰り、ついでだからということで湯沢市内のSATYにて買い出しをすることに。夕飯は何にするか、昨日は焼き肉だったから今日はちょっと趣向の変わったものがいいなあ、夜はかなり冷え込むから暖かいメニューがいいなあ、じゃ、鍋にしようか等々、密度の濃い割にはごくあたりまえの結論へと話は進み、春菊やら白菜やら鶏肉やらを買い込んだ。ほぼ所期の目的を達成し、あとはレジへ行って会計するだけという時に、とんでもないものが目に入った。

「ドリアン(タイ産) 1980円」

な、な、何で突然こんなもん売ってるんじゃ〜っ!確かに今はドリアンの旬の時期ではあるし(雨期があけた4-5月が旬のピーク)、熱帯果実の女王といわれるドリアン、この値段なら食べてもいいか、という感じの魅力的な価格設定ではある。でもなぜこの、雪が解けたばかりの、秋田県湯沢市のこの店頭に?

いうなれば、この時の突然のドリアン出現は「9回裏2死ランナー1塁、最後の打者ボテボテのファーストゴロ、されどファーストこともあろうにそのボールをキャッチ出来ずに蹴飛ばしてしまい、ボールはファールエリアへコロコロ、バッターランナー走るよ走る、2塁をけって3塁へ、1塁ランナー早くもホームインで同点、ようやく追いついたライトが3塁へ渾身の投球、しかし神も仏もないものか、哀れボールはサードの頭をはるかに越える大暴投、それを見ながらバッターランナー、悠々と逆転のホーム‥イン!」的に、我々の心のひだ、いやツボに余りにも深くはまりこんでしまったのだ(長い、余りにも長い説明でごめんなさい)。

「買おうか?」「買おうっ!」ドリアン購入を巡るやりとりはせいぜいこんな必要最小限かつもっとも効率的な会話によって終了したような気がする。かくしてはるばる神秘の国タイからドンブラコと海を渡ってきて、「ボクどうなっちゃうのかなあ、この国寒いよぉ、誰か買ってくれるのかなあ、このまま腐って終わっちゃうんじゃあんまりだよぉ」的不安にさいなまされていたはずのドリアン君は、Takema夫婦によって安住の地を得たというわけなのである(またも長かったな)。

なお、それより数日間の車内が、熱帯特有の、甘〜い、甘ったるい、何だかアンニュイな気分になっちゃうなぁ的な魅惑の香りに満たされたであろうことは想像に難くない。

さて、このドリアン、食べてしまうのは簡単なことなのだが、正直いってまだ僅かに雪の残る山里のキャンプ場には余りにも似つかわしくない代物である。「究極のミスマッチ」、この一種独特の感動を何とかして後世に伝えたい、いや残しておかねばならないというTakemaの(余計な)センチメンタリズムは、以下のような画像として結実したのである。


ミズバショウの白さは清楚さの象徴かもしれない。
そしてその前に、午後11時30分の悩ましい淑女とでもいうべき
熱帯の妖しい魅惑の象徴が、荒々しい心のトゲもあらわに鎮座している。
うーむ、このペアは誰がみてもうまくいくとは思えないぞ。ミスマッチここに極まれりだ。

あーあ、またも下らぬ無駄ネタで1ページ作っちゃったなあ(爆)。