− その5 トロッコで往復、んでもってきっちりかけ流しの湯の口温泉 −



かつての鉱山鉄道が今も運行維持されているのはある種奇跡。ゲージは610mm!(右上画像マウスオン)。

さてここからは「やわら鉄の道一直線九十九里浜うさぎ跳びモード」がしばらく続きますのでご承知沖雅也下さい。あー、あの方の末期の言葉もすっかり遠くなっちゃったなぁ。

われわれが連泊していた瀞流荘付近はかつて鉱山鉄道のヤード(車両係留地)として利用されていたようです。あ、いきなりだと何だかわかりませんね、それではこの界隈の鉱山についての説明から!ん?





ないじゃん旧紀州鉱山についてのwikiページが!(驚)。なぜ?

まぁいろいろあるみたいなんですが、個人的には「戦後68年が過ぎた今も関東より関西の方がその方面に敏感だ」ということなのかなと。たとえば北海道や東北ではもっと人知れずの云々があちこちにあったようですし、そしてそれは国籍を問わず行われていた、当時はそういう時代だったのだと思うTakemaです。そして今のわれわれにできることは「とにかく手を合わせるのみ」であることかと。

で、現在はこのトロッコ軌道がすぐ上の湯の口温泉まで定期運行しているのです。これって凄いことですよね!はたしてペイしているのか?(たぶん無理かなと)。でもそれならじぇじぇじぇったい乗らなくちゃ!

しかも、われわれが連泊した宿である瀞流荘(循環湯)からこのトロッコに乗った先にある湯ノ口温泉(完全かけ流し)へは「トロッコ往復+入浴料=600円」という破格値!これはもう万難を排して行かずばなるまい系のはんにゃはらみたハッパフミフミなのです!(ちなみに宿泊しなくても同じ料金ですが)。「鉄の補給」にもなるし、それでは行ってみましょ!



瀞流荘の上にある「駅」はご覧のようにとっても立派です。蛇足ですがトイレも清潔で、わたしはこの前日「突如おしよせた体内奔流」をここで解決しました(何のこっちゃ)。

時刻表は館内にも掲示されていますし(右上画像マウスオン)、ネットにも宿にも同時刻が書かれていますが、お盆のこの時期はダイヤにない臨時運行も行われていました(笑)。自分たちもそれで絶妙タイムに帰ってこられましたし。



機関車は1978年の閉山時まで使われていたものをそのままメンテナンスして使用。この鉱山鉄道の幹線部分(この区間)は架線で電化されていたそうですが、現在は全て撤去されています。それではこの機関車の駆動はといえば‥何とバッテリーカー。48Vの蓄電池パワーで客車を牽引しているわけですが、ある意味この鉄道で活躍していた「時代の生き証人」なんですね。

右上画像マウスオンでマスコン部分の拡大画像に変わりますが、「日本輸送機株式会社」の製造です。どんな会社なのかと思って調べてみたら、現在「(株)ニチユ三菱フォークリフト」として存続しており、親会社は何と三菱重工業なんだそうです(へー)。

そうそう、トロッコでバッテリーカーによる運用というのは「もともと架線で電気が来ていたから充電が容易」だったからなのかと思いますが、鉱山鉄道ゆえディーゼル機関車だと排気ガスの問題もあったのかも知れませんね。で「そういえばどこかにもバッテリーカーによる運用が今でもなされている場所があったような‥」というわけで思い出してみたら、黒部峡谷鉄道の上部軌道(欅平−黒部ダム)でした。あちらの場合はまた事情が違って、「途中の高熱隧道区間においてディーゼル燃料が発火したら危険」というわけでバッテリーカーが導入されたそうですが‥。



駅の先はトンネルです。約1km先の湯の口温泉駅まではほとんどトンネルなのですが、だからこそ数カ所の開口部が嬉しいかも。黒部峡谷鉄道も、あれだけ長いトンネル区間があるからこそ楽しいのでは?

それはそうと(上画像はともに前々日のうちに撮影したものです)、この日の全運行を終えた運転手さんと話をしていたらとっても気さくな方でちょっとビックリ。手順そのものは現場の職人そのものなんですが、さすがです!そんなわけで、まずは前々日の最終列車到着後、バッテリーカーの入れ換え作業を動画でご覧いただきましょう。

手慣れたものですね。これで明朝の始発列車運行準備完了です!


そんなわけでいざトロッコ客車に乗り込みますが‥左上画像のTakema実寸と比較していただければわかるとおり人車(客車)もちいさーい!木製の車両で、1989年の敢行運行開始に合わせて「かつての風情を再現しつつ」新造されたモノだそうです。でも窓は開きますし膝をつき合わせ系の車内には座布団がセット済み。5人乗りくらいかな。

運転士さんに「先日はどうも、今日こそ乗せていただきます!」と申し上げると、「はぁい、こちらこそよろしくお願いします!」とやっぱり気さくなお返事をいただき、何だか乗る前から嬉しくなっちゃいます(笑)。



それにしてもトロッコ往復+湯の口温泉の入浴料を合わせてたったの600円/人はとってもお得!ちなみに湯の口温泉までは車でも行かれるのですが、こういう乗り物がある以上車で行くのはあまりにも無粋ですよね(と勝手に決めつける)。

8/15のお盆まっさかりゆえ列車は超満員‥ということは全然なくて、われわれの他には家族連れが数組、5両ある客車もそれぞれ貸し切り利用してまだ空きがある状態でした。運営は大丈夫なのかやっぱりちょっと気になります。あ、大人気なくしっかり先頭車両を陣取ったTakemaをお許し下さい。帰りは他のグループに譲りますから(って、帰りには最後尾車両をゲットする気満々だったりしますが)。

それではいざ、約10分の鉄路旅、出発進行!



そして到着‥って、もう終わりなの?沿線風景とか見どころの紹介はないの?(笑)とお思いの方もおられるでしょうが、ほぼ全線がトンネルなのでしょうがないのです。でもこれじゃあんまりなので動画をご覧いただきましょう!というか、動画を撮っていたから静止画がないわけです。そうそう、最後の方では「次の列車の到着風景」もおまけで付いてます。

走行中は振動による木製車両のガタピシ音がスゴイ(笑)。


さて話はいきなり変わって湯の口温泉です。実は予約時にこちらのバンガローもまだ空きがあるということだったのですが、われわれだけならともかくおしんこどん母にご同行を願うのにバンガローはないだろうというわけで瀞流荘にしたわけです。それと原則自炊というのも‥。あ、でも見た感じ「このバンガローは泊まってもいいかな」という雰囲気でありました。ここをベースにして湯めぐり‥今度はバイクで来てみたいな(もっとも千葉からここまで来るのが大変なんですが)。



各バンガローは屋根付き通路でつながっており、その向かいには共同炊事場が。何だか東北の湯治場をホーフツと(微笑)。

それにしても何だか嬉しいのは、ここは昔からの温泉地ではなくかつては鉱山の中心地であったのに、現在においても別の形で賑わいをみせているというところです。閉山の翌年にボーリングをして温泉を掘り当てた風呂ジェクト関係者各位の慧眼に敬意を表するばかりです(主目的は鉱床の調査だったようですが細かなことは言いっこなし)。

ちなみにそれからしばらくは旧鉱山施設内に「地元住民対象」の浴場があったそうで、しまったこれに来てみたかったなぁ。なおH20年に現在の新源泉が利用されるようになり現在に至るということです。

でもこの新源泉もなかなかのパワーを持ち、湧出量は何と毎分1200L!ナトリウム・カルシウム塩化物泉で45.7度ということですから、大量投入によるかけ流しのトキメキが嬉しいわけで、すぐ下の瀞流荘に連泊しながらもここは「満を持しての訪問」というわけです。

ちなみに、同じトロッコ列車でやって来た家族連れの皆さんはお風呂はどうでもよかったらしくどこかに消えて行かれましたが‥川の水は枯れていたし、どこに行ったんだろう?

さて受付でチケットをお渡ししていざ脱衣場へ。先客さんはお1人か、ここは内風呂と露天があるしシメシメと思いつつ服を脱いでいたら‥「むむむ、湯治浴場があるじゃないですかぁ!」。というわけでまずはそちらに即突入!



何だか山小屋チックな受付の脇の通路の先に‥(右上画像マウスオン)、シアワセ世界へのプロムナードが。そして湯治浴場、そこには!




(上画像にマウスオンするとTakemaの心の叫び画像に変わりますがこの下に動画もあります)

よっしゃーまずは湯の口温泉の新鮮湯をタンノー!




そして続いては大浴場と露天なのです。うわーい誰もいなーい!



そしてもちろん続いては大浴場と露天です。先客さんは露天風呂がお気に入りのようで全然戻ってきませんのでこちらはこちらでのんびりです。湯は石膏臭が感じられます。肌ざわり的には弱ツル感というところでしょうか。でもこのゴーカイな湯の投入を見ているだけでシアワセ感がたっぷり擦り込まれます(笑)。

ちなみに自信ありげな掲示も‥(右上画像マウスオン)。

そうこうしているうちにようやく先客さんが戻って来られたので、さーて露天湯へ。へ?





でもお湯自体はちょっとぬるいんです。投入量が浴槽の大きさに見合っていないのかも。ついでにいえば全面屋根掛けであまり開放感もなく、自分としてはイマイチでした。やっぱり最初に湯治浴槽に浸かっちゃいましたからね(笑)。

しかし南紀のこの界隈でこんな湯に浸かれるとは思ってもみませんでした。宿泊も含めてここは自炊滞在がお勧めですというか自炊でのんびりしてみたい!




露天風呂から川沿いの施設を見ると、タオルがずらりと並んでいます!南紀の山の中のこの風情、かなりイイです!

この日も猛暑日だったので湯上がりにはコーヒー牛乳でクールダウン。TVには高校野球‥あーあ福島代表が負けちゃったのね。でもそれはそれ復興は復興、皆さん福島の産品を買いましょう応援しましょう!

さてそんなわけでこの続きは次ページにて。

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