- その2 大熊・富岡・楢葉それぞれの桜!-



大熊町内にある坂下ダムは知られざる桜の名所!(ちなみに対岸は富岡町です)。

(2019年4月12日 その2)

さて続いては、この数日前にSNSで知った大熊町内のダムへと向かいます。ここも2日前までは避難指示が出ていた場所であり、震災前には大熊町に来たことがなかった自分としては(さっきの中間貯蔵情報施設はある意味特殊な場所なので)、「初めての大熊町観光地立ち寄り」ということになります。わーい。



除染廃棄物運搬のトラックと頻繁にすれ違います。先ほどの情報センターで「トラックは複数(3台だっけ)1組で移動し、いざという時のトラブルを最小限にするようにしています」ということを聞いていたので、連続で来るのはそういうことなのかと理解した次第です。で、帰還云々地域を通り抜け、右上画像の場所から先はようやく避難指示が解除されたエリアへと入っていきます(よしよし)。



左上画像の塀のお宅はまだ戻っておられないことでしょうが、それでも赤花はきれいに咲き誇っています。ふと、「花ぞ昔の香に匂ひける」という古歌を思い出します。原発事故後、この桜の花を見ることができたのはダム管理の関係者ほかごく一部の方々だけだったはず。それがこの日、大熊町とは全く縁もゆかりもない自分が見ることができている‥ありがたいなぁ。



「坂下ダム」。実はこの数日前まではその存在すら知ることもなかった場所なのですが、たまたまSNS上に「知られざる桜の名所」とあり、避難指示解除というタイミングということもあって、今回必ず訪問しようと思っていた場所でした。ダムそのものはそれほど大きいものではありませんがその周囲にはぐるりと桜が植えられており、もう10年も経てばさらに幹も太くなり枝も伸びていっそう見ごたえが増すことと思われます(しつこいけれど青空と太陽がほしかった!)。



ダム湖の最上流部まではさしたる距離もありません。清流が流れ込んでいます。

なおダム湖南岸富岡町側のダム管理道路は閉鎖されており車で進むことはできません。歩いて一周しようとしてもダム上を渡ることはできないので北岸の往復のみとなります。登山口もありましたが日隠山への道だったかな?広めの駐車場もあったので、震災前はハイキングを楽しむ人で賑わったんでしょうね。学校登山とかもあったのかもしれません。

それにしてもほぼ人がいません。平日ということもありますが途中に車が一台止まっていたのみ。さて帰りましょうかというわけでダム湖沿いの復路を撮った動画です。動画の最後に別の車がやってきたところで動画は終わります。





さて、こぢんまりとしたダム管理事務所の前で車を駐めました。ベンチもありますがもちろん無人(ベンチ自体は新しく更新された感じです)。ちなみにここ大川原地区自体がようやく避難指示から解除されたばかりということで「こりゃダムカードはあるわけないな」と思ってこのあと坂を下っていったわけですが‥



ぐわわぁ、失敗したぁ。職員さんもいたようなのに‥(ダム管理事務所での配布は職員さんが作業で外に出ていると当然もらえないわけですが、「お昼には基本的に滞在してます」との記載がありました。事務所前には軽トラも駐まっていたし、時間的にもお昼時だったし、くっそぉ大失敗!また行くしかないですね(何かのついでに千葉から間違いなく行くつもり)。

さてこのあとは「大熊町の復興拠点」となる大川原地区の造成地区へ。実は富岡町境にほど近く、イメージとしては(あくまで例えであり変な意味はありません)「北朝鮮との国境近くにある韓国の首都ソウル」という感じでしょうか(北朝鮮国境とソウル市中心部とは最短距離で40kmくらいしかないのです。同じような感じでもっとマイナーな例でいえば、ラオスの首都ビエンチャンはメコン川を挟んでタイとの国境に位置しています)。

で、やってきてみると‥





楢葉町の「ここなら商店街」周辺の復興住宅街のようにやがてここもなっていくんでしょうか。隣接地には町役場庁舎が建設中で(この少しあとに開庁しました@右上画像マウスオン)、役場や住宅があれば周辺に一定の商業施設もできるはずですが、浪江だって2019/4現在ようやくイオン系列のスーパー進出が決定したばかりですし、ここ大熊町はどんなビジョンを描いているのでしょうか。

さてこのあとは富岡町へと向かいます(大川原地区を出たと思ったらすぐに富岡町でしたが)。となればまずは夜ノ森の桜並木、いやいやその前に!




(目的地への通り道ですし)



両サイド桜並木の堀割駅である夜ノ森駅。でもまだ電車は通っていない区間です。上画像で鉄道トラック(正式名称は不明)が通っているように、「浪江-富岡」の不通区間が再開通するとともにこの駅も「復活」するというわけです。

でも2019/4現在、左上画像の線路左側は「帰還困難区域」に指定されたままでした(右側エリアが比較的早くに条件付き(居住制限)で一般の立ち入りを解除されたのは、この堀割地形により線引きが簡単だったからでしょう)。以前は線路をまたぐ橋の西側に設けられていたゲートが左側(夜ノ森駅側)まで後退していたので両上画像(常磐線の南北側それぞれを俯瞰)を撮れました(両上画像マウスオンでそれぞれ別画像に変わります)。



ちなみにこの並木道でも夜はライトアップされているようでした。




(ホーム上の工事の方々、ありがとうございます)

さて続いてはもう1つの桜の名所、いや「富岡で桜」といえば間違いなくこちらが連想されるはずの「夜ノ森 桜(のトンネル)並木」です!車で行けばすぐなんですよね。並木道沿いの駐車場が一般開放されていて(誘導員さんもいた)助かりました。













でも、現実の問題としてこの桜並木はゲートで分断されたままだというのも厳然たる事実ではあります。ただし居住制限区域になった頃に初めてここを通った時と大きく違うことが1つ。先ほどの夜ノ森駅もそうですがこのゲートの向こうからもショベルの音やダンプの往来が見られるのです。

「帰還困難」などという夢も希望もないように思えるネーミングとは裏腹に、そのエリア内で行われている工事というのは、当然ながら「今後」を見越しているわけで、まだその時期が公表されているわけではないですが、いつかきっと再び‥その日が来ることを心待ちにしています。



ありがたい駐車場、そしてその脇には無料の休憩所があり、



「ご自由にお飲み下さい」のホットコーヒーサービスまで!ありがたくいただきました。



そうこうしているうちに人の数が増え車も多くなってきたので出発することに。次に目指すのは昨年(2018年)12月、オープン3日目に訪問したこちらの施設です。



この脇にも桜が植えられていたんだと知りました。



さすがにオープンから半年弱の平日ゆえ館内はがらがらでした。



現在の作業員数は平均4400人。昨年訪問時には4050人でしたから少し増えてますね。

さて今回廃炉資料館に行ったのは展示見学のためではなく別の理由があってのことで、こちらにある英語パンフレットをもらいに来たのです。誰に渡すかはともかくとして、日本語を読めない人に福島第一原発の状況を知ってもらいたくてというわけです。英語パンフレットはそれほど多くはありませんでしたが、一生懸命あちこちを探してくれた館員さん、ありがとうございました。



平日の午後だというのにスーパー内には多くのお客さんがおり、子ども連れのご家族がモール内のフードコートに多く座っているのを見て、「富岡も前に進んでいるな」と気を新たにしました。別の場所では子どもたちが広場でサッカーをしていたし、初めて来た頃(2014/3)とは町の趣が全く違います。



このあとはさらに南下、第二原発の横を通って楢葉町へ。せっかくなのでひとっ風呂のしおかぜ荘、実は以前に入浴したあと源泉にトラブルが起きたそうで新たに源泉を掘り直したのだとか。というわけで新源泉になってからは初訪問ということになります。で、浴感なのですが、何だかツル感が以前より弱くなった気がするんですが気のせいでしょうか?(規定によりお風呂画像はありません)。でも湯っくりタンノーし全身を洗い流し、よし今日は帰ってからシャワー浴びなくていいぞ。

しかし前回訪問時に駐車場の反対側にあったかなり大規模なプレハブ施設は影も形もなくなっており、ホントに来るたびに何かが変わっていてびっくりします。

湯上がりには天神岬の公園へ。ここで本日最後のお花見です。



うん、こちらもしっかり咲いてますね満開です。週末はお花見に来る人も多いんじゃないかな?ちなみにこの公園に来るあたりから雲がとれて青空が出てきました。「半日遅いぞ太陽よ青空よ!」とも思いましたが、まぁ最後の最後には晴れたのでヨシとしましょう。









さて天神岬の先っぽに展望台があったので歩いていくことにしました。人がいないのでとにかく静か、風がそよそよと吹くのみです。ん?これは?



大震災のほぼ1年後、犠牲者追悼の思いを込めて植樹された桜並木のようです。しかし震災の翌年のころ、まだ楢葉町は立ち入り禁止の警戒区域内だったはず。もちろん立ち入り許可を得ての作業だったはずですが、当時の町長以下の方々は、ゴーストタウンと化した当時の町を通ってここに来て、どのような思いを胸にこれらの木々を植樹されたのかなぁと。大丈夫、楢葉ももちろん前に進んでいますよ!Jヴィレッジも完全復活+αとなりましたし!

ちなみに自分は「なんで植樹木として『花と葉が同時に出る』ヤマザクラを選んだのかなぁ?」というところが気になりましたが、そんなのどうでもいい話ですね(苦笑)。というわけで展望台に上ってみます。



おおー、た い へ い よ ぉ ー っ!ん?左上画像に小さく船が写っていますがあれは‥(左上画像マウスオン)、うん、やっぱりそうだ商船三井フェリーのさんふらわあ!時間的には深夜便ですかね。あと、とかくあまりいい話を聞かない洋上風力発電も見えました。それにしても穏やかな海だこと。



目を南北に移せば、北には延々と続く海岸段丘、南には広野の火力発電所が見えています(関係ない話ですが、震災の年の夏、首都圏の電力事情を支えた大きな力として、この広野火力発電所の存在があったと思っています)。



ただし、別の展望台からは「まだ道半ば」の景色を目にせざるを得ません。そう、除染廃棄物を入れたフレコンバッグの集積所カバーが午後の日差しに照らされているというわけです。

しかしこれとてもずっとここにあり続けるということではありません。常磐道を走っていると見えてくるこの緑カバーも以前より幾分少なくなってきたように思います。この場所に再び水田の緑が甦ることもそう遠いことではないでしょう。今も楢葉産のお米は少量ながら売られていますが、ここ楢葉のお米、そして浜通りのお米、積極的に買わせていただきます!

と‥現実に戻って1つだけ問題が。



さくらモール富岡に寄ったのも「フードコートで食べる気満々」だったからなのですが、残念ながら午後2時過ぎだったので全店終了だったのです。となると一縷の望みは‥


というわけで行ってみると‥うーん軒並み閉店模様。この時間(15:30)にやっていたのはパン屋さんだけ(イートインスペースなし)‥ん?違う、パン屋さん向かいの喫茶店が16:00までやってるみたい!というわけで突入しましたよ(笑)。



というわけでBLTサンドとアイスティーを注文。自分としては「このタイミングでガッツリ系だと常磐道を運転中に眠くなること必定」なのでこのくらいの量がちょうどいいのです。ふぅ、満足満足。

ちなみにお店の外に人材募集の掲示がありました(右上画像マウスオン)。やはりこの地域の人材不足は深刻なようで、時給は1500円ですかそうですか。ちなみにTakema地元の千葉県市川市某コンビニでは深夜勤務の時給が1160円のようでした。

このあとは広野ICから高速に乗って一気に千葉まで帰りました。本当は谷地温泉とかに泊まることにして夜間のライトアップも見たかったんですがしょうがない。いや、でもたっぷり見られましたよ双葉郡各町の桜を!

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