その3 妙見温泉界隈の極上湯三連発っ!



この湯が今も「野湯」として平穏無事に維持されているとは!

(2023年2月8-12日 その3)

さてきのこの里チェックアウト前に行かれる湯というわけですから近隣です。実は今回、SNS上でこの界隈の湯についてお勧めのお伺いをたてたところ、直接お会いしたのは10年以上前ですがその後も繋がりをいただいていた某女史から次のようなコメントをいただきました。



そんなわけでこれは万難を排しても行かずばなるまいというわけできのこの里から車を走らせ、「このあたりだよなぁ?」と思って路肩に車を止めたところ、どんぴしゃりで道路の反対側でした。駐車場には車が2台駐められていて、これは微妙です(先客さんの車なのかお宿の関係者なのか?)。



ま、とにかく車を駐めて進んでいくと、手前の扉(事務室)前に左上画像のような料金「竹筒」がありました。シブイなぁこれ。なおネットで確認したところもう何年も使われているようです。キミはこれまでにいったいどれだけの湯銭を口にしてきたのかい?ま、一浴200円と格安ですからとんでもない額ではないかも知れませんが。

なおこの湯銭竹筒画像を撮影する前に室内の男性と目が合い、男性は(見慣れない客であるわれわれに対して)竹筒方向を指さし「そこに料金よろしくね」と指南なさった上で奥の部屋に消えていきました。いやそれはいいんです、もちろんきっちりお支払いしたわけですが、肝心の湯はどこ?

下調べも詰めも甘いTakemaですんで、実はこのあと奥の玄関を開けて上がり、「あれぇここじゃないなぁ、どうみても湯治宿の部屋エリアだし」とうろうろしてしまった次第です。正しくは建物沿いに進んでいけば右上画像の別棟湯小屋に行きつけます。

さて到着した脱衣場に先客の気配(脱衣)はなし、では某女史ほかの皆さんが絶賛の秀水湯をタンノーさせていただきます!







浴槽の容積に不釣り合いなほどの源泉投入量で、洗い場全面にオーバーフロー湯が溢れまくってます♪(排湯口に置かれた金網は以前はなかったようです。でも確かにメガネも入れ歯も地の果てまで流し込んでしまいそうな勢いですから金網設置は大正解だと思います)。



炭酸を含んだ金気臭のある湯はまさに適温で泡付きも良好。なるほどこちらをお勧めいただいたわけをとことん理解、こりゃいいわぁ。泉質はナトリウム・カルシウム・マグネシウム-炭酸水素塩泉ですが、泉質以上に個性豊かな湯であります。



このほかにもう1つ打たせ湯の浴室もありますが、こちらはバシャバシャと跳ねる湯でイマイチ落ち着けません(左上画像マウスオーバーで投入口画像に変わります)。普段ジャグジーとかもうざったいなと感じる自分は、やっぱりこっちだなというわけでメイン浴室で再び湯ったりくつろぎタイム。



誰もいなければトドもとにかく存分に楽しめますね(自分は基本その習慣なし)。





このあとは近隣の別の湯を目指します。きのこの里コテージはまだチェックアウトしていないのに絶賛湯めぐり進行中というわけです(チェックアウトは11時なので余裕あり)。

計画立案当初は泊まるつもりでいた田島本館の前を通り、対向車をやり過ごすスペースもごく少ない細道(狭いよ)を上っていきます。ただし駐車スペースはずいぶん広くてちょっとびっくり。先客(の車)はなく期待が膨らみます。

と、自分たちが車から離れて歩き出したところで、後続の車が到着。「わ」ナンバーのカップルというわけでまず間違いなく同好の士女でしょう。でもタイミング的には‥申し訳ない。実はこの車とはこのあと何度か出会うことになるわけでした(苦笑)。

さて「細道の先の駐車場から歩き出す」ということで、もうわれわれが目指す湯の見当が付いている方も多いことでしょう。ええ、われわれはここ霧島界隈の初心者ですから「まずは基本を押さえておきたい」わけです。というわけで歩くことほんの数分‥





ちなみに来るまでは全然知らなかったのですが、「和気の湯」の名の由来は和気清麻呂だったのですね。日本史を習った人なら道鏡という人物(僧)の名前を聞いたことがあるでしょうが、例の、称徳天皇(女性天皇)とイイ仲になっていたことを利用して天皇になろうと画策した人物です。

それを阻止したのがこの和気清麻呂で、そのため道鏡らによって改名させられ、その名も清麻呂ならぬ「穢麻呂(きたなまろ)」だった‥ということは何となく記憶していましたが、流罪になっていたこと、そしてその流刑地がここ鹿児島だったことなどは知りませんでした。俊寛僧都が薩摩硫黄島に流されたこともありましたし(薩摩硫黄島訪問時のページはこちら。古い記録ですが)、平安朝廷にとって鹿児島(薩摩・大隅)は「重罪流刑の地」というイメージが強かったのでしょうか。でも気候も温暖だし、逆に薩摩人が京都に赴任したら冬の寒さに辟易したような気がします(笑)。

話を戻して和気清麻呂ですが、流罪から2年後に称徳天皇が崩御して道鏡が失脚したことから清麻呂は赦され、やがて中央政界に復帰したわけです。ということから後年(昭和!)この地にも和気神社が建立されたわけで、その関係から神社の近くにあるこの湯も「和気の湯」と正式に名付けられたようです(和気神社、その存在を知っていたら行ったのに‥)。

ま、とにかく入りましょう浸かりましょう!まずは検温度チアー‥うん、ややぬるめですが入浴に支障はありません。ではIZA!





上画像の2つの浴槽のうち、相対的に奥の湯が熱め、手前の湯がぬるめになっていました(あくまで「相対的に」ですが)。で、あとできのこの里のご主人に「和気の湯に行ってきました」と申し上げると、「入れましたか!最近は湯が安定していなくて、湯が溜まっていないことも多いんですよ」とのお言葉が。どうやらラッキーだったようです。

駐車場に戻ると、先ほどのカップルの車はいなくなっていました。どうやら「われわれが戻ってくるまでは待てない」ということだったのでしょう。申し訳なかったなと思うと同時に、われわれの運の強さ(数分早着)を感じた次第です。しかしこれで終わりではなかった‥(後述)。



最後に橋の上から湯を遠望しつつパチリ。戻ってきた駐車場が妙に広いと思ったら、和気の湯だけでなく、犬飼の滝への遊歩道スタート地点でもあったわけですね(これまた行けばヨカッタですが後悔不先立)。

さて再びきのこの里に戻り、最後にもう一浴(先客ありで画像はありませんがもうさんざん撮ったしね)。そしてチェックアウトというわけですが、ここでご主人から思いがけないご提案が!



このクーポンですが(2023/2末で販売終了)、霧島市内の宿泊施設利用者を対象に電子クーポン形式で販売されていました(LINE経由)。その内容ですが、「5000円分のクーポンを平日は2000円、休前日は3000円で販売」という太っ腹企画だったわけで、きのこの里の宿泊にこのクーポンを使うとどうなるか‥(宿泊当日は平日)、



これにはびっくりでした。2000円で離れのコテージって超破格でありましたよ!ご主人に感謝です。というわけでチェックアウトも完了し、この日の行動開始ということに。とはいえこの日の宿泊場所も同じ霧島市内なので時間はたっぷりあります。そんなわけで、まずは気になる野湯へと向かいましょう。

坂本龍馬の新婚旅行逗留地だったということで夫婦の銅像まである某温泉に車を駐めますが‥どうも施設管理者からは野湯訪問者が(施設を利用しないことにより)気に入られていない面もあるようで過去にはトラブルもあったのだとか。少し下流左側には何台か駐められるスペースもありましたので、そちらに駐めるのが正解かと(繁忙期などはたぶんどこも満車になっていそうですが。なおバス亭周辺には駐車禁止の掲示がいくつもありました)。さてそんなこんなで出発です。



そして道の脇を歩いていくとエントランスに屋根付きのゲートが。エントランスです。

と、ここでおしんこどんからびっくり発言が。



自分としては「カップル」という記憶しかなかったのですが、おしんこどんは服装も記憶していて「たぶん同じ人たち」だというのです。そういう面での記憶は間違いなくおしんこどんのほうがしっかりしているわけで、たぶんそうなんだろうなと。

しかし無料野湯訪問に関する限り、厳然たる「秩序」が存在するわけです。それはシンプルに‥



いやそもそも野湯ですし混浴を気にしなければどうでもいい話なんですけれどね。ただ混浴に関する感覚は自分のふた世代くらい前から以降大いに変化していると思っていますから、無理に残さなくてもいいかなと思ったりもします。ただししつこいようですがここは野湯なので(笑)。



よく踏まれた竹林の中を下っていきますと‥





そしてここから湧き出た源泉は、先人たちによる実に巧妙な湯路工事(湯量の調節等を含む)の結果として‥












(これが無料の野湯って‥すごすぎです)。



下段の湯はこの時期ちょいとぬるめだったので軽く浸かったのみでした(その下にもミニ浴槽があるようでしたが湯温は推して知るべしだったのでパス)。それにしても、これだけの「野湯」(と最早言っていいのかわからないレベルですが)を維持管理している地元篤志家湯守の方々には感謝しかないですね。湯温絶妙とはいえ、右上画像のような捨て湯と投入湯のバランス一つとっても、日々の調整が必須でしょうに。

そして、湯の周辺はもちろん道中も含めてゴミ一つなくきっちりと管理されている環境整備にも頭が下がります。と、ふと思い出したのが栃木県塩原温泉の不動の湯や岩の湯でして、首都圏から近いこともあって利用者が多く、それでも(有料とはいえ)利用者のマナーを信用して無人で維持していた結果として、今はもう「入浴困難」になっているようです。

馬鹿ッターのような輩はどこにでもいる気がしますが、さすがに首都圏人はここまでお金をかけてやってこようとしてはいないようですね。この「竹林の湯」がこれからも愛好者の湯として維持されることを願うばかりです。



和気の湯には浸からなかったおしんこどんもここでは湯ったり。





というわけで、和気の湯と竹林の湯を合わせた動画です。

ではこのあとは少し「移動」しましょう。この日は朝からここまで半径2km圏内をうろうろしてきただけでしたし。というか、このあたりが「濃すぎ」なんです、まだまだ立ち寄りたい湯もありましたし。

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