- その4 お昼ごはん処は大正解、青海島周遊のあと俵山温泉へ -



確かに烏帽子を被り背筋を伸ばした高貴な方が祈るお姿‥。



(2024年7月26日-8月2日 その4)

大河内温泉からは日本海沿岸を走るR191に出て快走です。「日本海」と聞くと反射神経的に「冬の荒波」を連想してしまいがちなTakemaではありますが(演歌の影響もある)、



いや、これまでにも北陸や東北で同じような「穏やか安らぎ日本海」を何度も目にしてきたはずなのですが、長年刷り込まれてきた固定イメージとは困ったものです。思うに、自分が高校2年生の冬に能登を旅した時(狼煙と輪島、そして金沢に泊まったはず。狼煙はYHだった)、輪島近郊の海を見た時の印象が刷り込まれてしまっているのかなと(「波の花」が舞いまくっていた記憶あり)。いずれにせよ、この旅行における山陰の海は爽やかで穏やかでした(海の上でさえ暑かったですが)。

さてそろそろお昼ごはんといたしましょう。しかしこの界隈(特牛地区)にはあまりお店がないのでとりあえず道の駅に行ってみることに。



ちなみにまだ正午前でした。一瞬並びましたが、やはり別のローカル店を探すことにして道の駅をあとにすることに。ただここの売店で買った塩瀬菓子舗の「角島万十」はなかなかに美味しかったのでお勧めです(通販はしていないのかも)。

さてしかし、道の駅がダメだとするとお昼ごはんはどこにするか。相変わらず下調べはしていませんでしたが、少なくとも国道沿いの店舗はどこも混んでいるはずと考えて、ローカルな場所に立地するお店を探し‥うん、ここに行ってみようということで!





こちらは女将さん1人でのワンオペらしく(大変だ)、ただこの時は4名のファミリー(すでに料理は出ており食事中)と3名の妙齢女性(すでに食事終了)でした。女将さんいわく「イカ刺しの定食だけだけれどいいかい?」と確認が入ります。「もっちのロンロン!」と内心では思いつつ「は、はい、よろしくお願いします」的に慇懃注文。と、しばらくして女将さんが驚きの行動に!




(一段上の外観画像は食事後の撮影でした)

ええっと、この時点で「12時27分」でした(デジタル画像は記録が残るので便利ですねぇ)。確かに店頭には「食材がなくなり次第閉店」と書かれていましたが、この閉店時間の早さ&われわれの「すべり込みセーフ強運」にびっくりした次第です。あとでうかがったところ、この日は14時に団体の予約が入っていたのだとか。いずれにせよラッキーでした。

そして、いざ見参、「特牛(こっとい)のイカ刺し定食」です!





われわれへの料理提供をもっていったん手が空いた女将さんとお話ししつつのお昼ご飯となりました(こういうの大好き)。ええっとまず、全然知らなかったんですが(苦笑)ここ特牛(こっとい)地区は地域でも有数のイカ(ケンサキイカ)の水揚げで有名らしく、「下関北浦特牛イカ」としてのブランドを確立しているのだとか(詳しくはこちら)。

しかもこちらの女将さんの息子さんはイカ釣り船の漁師なのだそうで、要は「水揚げされたイカをそのまま提供」ということのようです。「ほかの施設で出しているイカの多くは外国からの輸入だからねぇ」とは女将さんの弁で、あ、となると道の(以下略)。

続いて女将さん「今日は(北陸から)ホタルイカの沖漬けが入ったから出してみたよ」とのこと。ここからいろいろとご家族の話や「やっぱり家は買わなきゃ!」系のお話になりまして盛り上がりましたが、あまり詳しい話は書くべきじゃないか(自粛)。それにしても「人生いろいろ」なんですねぇ。




食事後は目の前の特牛漁港をちょっとうろうろ。お昼どきなのでどなたもおられませんが、ツバメが日陰(の壁にへばりついて)休んでおりました。

さてこのあとはどうするか。じつはこの日のお宿は俵山温泉でありまして、ここ特牛から真っ直ぐ行けば30分ほどで到着してしまうのです。したがって寄り道をどこにするかということだったのですが‥結論からいえば寄り道先を間違えたかな感があります。元乃隅神社とか千畳敷とか棚田のほうに行けばよかった。まぁ今さら詮無いことです、この時は一路青海島を目指しました。



長門市仙崎までやってきました。青海島の遊覧船に乗るためですが、いっぽうでこちらは童謡詩人である金子みすゞさんの生地でもあったのですね(来て初めて知った)。左上画像の「大漁」は自分も何度か拙サイト内で引用させていただいた有名な詩です。それにしても26歳で没とは‥(いろいろあったようですが)。還暦を迎えた自分からすると、歴史上の著名人が今の自分よりもはるかに若い年齢で逝去なさっていることを知る度に「何だかなぁ」と思うところがあったりするわけですが、


(というわけでさっさとペロペロしました。)



さてこのあとは青海島の観光船です。到着時にチケットは買っておいたのですが、この日は島一周コースは運航せず、東側だけの「大島コース」による運航とのこと。マップで見る限り見どころはかなり限られるような気がしますし、後ろに並んだご夫婦も残念がっている様子でした。そうか、青海島の北側ってやっぱり見どころ多いのね(笑)。



なお船を見た瞬間に「え?これなの?」とちょっと残念に思ってしまったのは事実です。全席室内でいわゆるオープンスペースが全くないのですね。考えてみれば外海をも走る小型船なのですから当然といえば当然なのですが、湖の遊覧船みたいなのを想像していました。でもたしかにあれじゃ危ないですね。

でも、やはり閉じられた空間から窓越しに見る景色はちょっとイマイチ感がありましてね。窓は開けられるとはいってもねぇ(移動中は波しぶきが入るので閉めざるを得ない)。



左上画像くらいならいいんですが、実際は右のようなしぶきが‥

まぁネガティブなことを連ねるつもりもないので前向きにいきましょう。この大島コース一番の見どころはやっぱりこちらでしょうね。





というか、大島コースの場合この他に大きな見どころがないともいえます(あ、ネガ‥)。天気は良かったし、やはり「一周コース」に乗りたかったな。







そんなわけで青海島(の1/3)周遊もオシマイとし、この旅行初日の宿へと向かいます(金子みすゞ記念館にも興味はありましたがもう閉館に近い時間だったので断念)。とはいえ船中2泊&朝イチからの行動だったので何だかまだ行動初日だとは思えません(笑)。ここから俵山温泉までは無料高速がすぐ近くまで利用できるのでほんの一投足。





実はお宿に着くまでにひと苦労というかちょっと迷ったのはここだけのヒミツですが、おかげで各施設の位置関係がわかったのでよしということにしましょう。昔からの温泉街で道路も細いですが、かえってこの風情がいい感じだともいえるでしょう。まさに「湯治場」。

チェックインが終わり「お風呂タイム」なのですが、まずは共同湯に入りに行きましょう。



さすがに一方通行ですが、それでも狭い。



そんな小路を歩いてやってきたのは「町の湯」。実はこの俵山温泉、いわゆる「外湯の湯治場」でありまして、ほぼ全てのお宿に内湯はなく(!)、お風呂といえば「白猿の湯」か「町の湯」という共同湯を利用する方式が維持されているという、風情だけでなくシステムも「古くからの湯治場」スタイルということなのです。

というわけでやってきた町の湯。日曜日の夕方前ということでそこそこ混んでおりまして当然湯画像はありませんが、pH9.8のアルカリ泉でツル感あり、個性がどうこうというよりやさしいお湯です。ここまで巡ってきた2湯にもいえることですが(ツル感でいえば大河内温泉が一番強かったと思います)。



館内には飲泉所もありまして、クールダウンの足しにということでいただきました。癖はなくおいしいです。ただし汗は全然引きませんでした(苦笑)。

こちらの温泉は還元力に長けているようで、釘を入れて水道水と比べての比較ボトルが置かれていました。でもさすがに5年以上経っているのでそこそこへたれてきているかな?そろそろ置き換えてもいいような気はしますが、酸性泉系の温泉地では時々見る「細くなる釘」ですが、「劣化しない釘」は珍しい気がします。それだけ泉質に自信があるということなのでしょう。



さて湯上がりに酒屋さんで缶ビールを買い込んでお宿に戻り相撲観戦です。これまで「夏は暑いので北海道へ上がって避暑」というスタンスだった自分なのですが、最近は北海道も暑いし、それに、お宿にエアコンがない確率が高いのですよ(自分が目を付けるお宿の場合は特に)。その場合、キャンプよりも明らかに暑さに悩まされること必定で、日中しっかり温められた室内の空気を扇風機で空しくかき回すしか術がありません。

いっぽう、今回の山口や島根方面の場合、「エアコンなしのお宿」というのは山小屋でもない限りほぼ考えられません。だから「避暑に北へ」という定番的発想より「暑いから西日本へ」という逆説的行動が成り立つということをようやく理解しました。つまりですね、



というわけです。ええ、言いたかったのはこれだけです(笑)。

さて、上の方で「俵山温泉は外湯方式の湯治場」と書きましたが、実はここ山口屋別館には「内湯」があるのです!まぁそれでこのお宿を選んだというわけなのですが、源泉とか湯使いとかの話はあとにして、まずは行ってみましょう家族風呂!



ええっと、いきなりですがこの外階段を使って広場兼駐車場に下りたちます。たぶん後付けなのでしょうが、今になって思うに、この母屋自体の造りが「1F埋め込み方式」なのはなぜなのでしょう?半地下だと湿気も籠もる気がするのですが。なおこの屋外エリアは有り難く「喫煙スペース」として利用させていただきました(灰皿はないので自前持参で)。

そして裏に回ると‥



別棟で、家族風呂2つを備えた湯小屋がありまして、こちらが俵山温泉のお宿(たぶん)唯一の内湯です。なおこの日の宿泊は2組4名ということで、奥の風呂にしか湯を入れていないとのことでした。問題なし(一度も鉢合わせなしでした)。

あ、右上画像マウスオーバーで表示される「ほぼ40度の温度計画像」ですが、これはパチモンの表示データです。この温度計自体がずっと西日に照らされていたものですから。でもこの日も真夏日レベルの温度ではありましたが。



脱衣場にもしっかりエアコンがありまして何よりです(もちろん出入り時に点けたり消したりしました)。そしてお風呂!うむ、ツル感は共同湯と同じか少し強いくらい。でも湯の動きがほとんどない?(この事情については翌朝明らかになります)。でも塩素系の臭いはなくてさっぱりです。



湯上がり後にはもちろん夕ごはんです。地元のお酒とお魚万歳。順番に出てくるいろいろなお料理を満喫しました。




でもですね、おしんこどんの発言に自分も同意。それは‥





鮎に限らず山女や岩魚などの川魚は塩焼きが一般的で、その場合そこそこたっぷりの塩塗り塗りが普通です(特に焦げやすい尾びれとか)。でもこの鮎はひれにも塩はほとんどなく、そして身にも焦げがほとんどない、でも身の中までしっかり火が通されているという絶妙な焼き具合だったのでした。

おしんこどんいわく「これ、これまで食べてきた鮎の中で一番かも」と話していましたし、自分も同意です。ちなみにこのあとも鮎を食べる機会はありましたが、やはりこちらが一番でした。

夕ご飯後は当然お風呂にも入りましたが、山を背にしているので夕方以降は涼しい風が吹き下ろしてきます。これは温泉街にはない役得かなと思いました。もっとも喫煙行動のため外に出たからこそわかったことですが(苦笑)。



さて翌朝です。実は昨晩から気になっていたのですが、やっぱりこちらの内湯はかけ流しではないようです。そして朝になると塩素玉ではないにせよ別の玉が。



この疑問は、朝ごはん後の湯浸かり後(正しくはそのあとの喫煙行動中)、ご主人と駐車場で長話(笑)をしたことで全て判明しました。

ここまでご主人とはチェックイン時に少し話をしただけだったのですが、海外温泉談義で自分たちがアイスランドの湯めぐりをしたことがあることを申し上げるとご主人のスイッチが入り(笑)、かつてドイツで仕事がてら温泉探索をしていたこと、その後某温泉著名人と話をしていたら妙に態度が変わったこと(自分のほうが詳しかったようなので)、そしてここでも出てきた松田教授のお話など(変な意味ではなくて、あの方も相当回っているのだなぁとびっくりした次第です)。

で、ここでこちらの内湯についてうかがったところ‥



あぁ、あの玉はそれだったのかと合点。でも確かに塩素臭は皆無でしたけれどね。なおわれわれの少し後に訪問した温泉先人によると、「確かに塩素玉ではないが独特の臭いはあり」ということでした。でも、湯に浸かっての異臭がなかったのだから問題なしかなと思っています。

というわけで山口屋別館さんをチェックアウト。この日は山口から島根方面へと向かいます。ええっと還暦を過ぎたTakemaですが、島根県入りは初めてです!ただしその前に山口県をもう少しね。



お値段はまぁまぁかな。コスモ石油、最近関東では見ないなぁ。

[2024夏、山陰編トップへ] [ホームへ] [次へ]