- その4 雲母共同湯、黒鴨鉱泉。ほぼ観光なしで一気移動 -



これって相当に大規模な雪害防止工事でしょう。さすが豪雪地帯。

(2025年3月24日-28日 その4)

今回は高瀬温泉利用のお宿に泊まり、この日の朝には湯沢温泉共同浴場にも足を延ばしましたが、せっかくならもう1湯くらい浸かってから山形入りしたいと考えました。となればあちらかそちらかと悩んだわけですが、やはりこちらに立ち寄り湯ということに。





到着は10:30頃で、ちょうど地区当番の男性が作業中でした。「入浴できますか?」と伺うと「大丈夫だよ」とのことでよしよしです。男湯は先客なし、女湯はおしんこどんと入れ違いで湯上がり客が出ていき、どちらも貸し切り状態で入れるようです。











宿湯は適温調整されていただけに、このあつ湯が肌にしみいります。

満足して湯から上がったわけですが、珍しくおしんこどんがゆっくり目に後から出てきました。「あつ湯でよかったね」と声を掛けると「いやそれが、前の人が相当加水したらしくてぬるかった。だから源泉蛇口をひねって加温したんだけれど‥」とのことでした。前の人、若い女性だったからなぁ。

ところで入口には何やらちょっと残念な出来事を示す掲示物が張られておりました(浴場廃止とかジモ専化とかではなく)。詳細は書きませんが、やはり高年齢の人が多いとそういうこと(察してください)も増えていくのだろうかと。自戒を込めて気をつけなければねということで。

そんなわけでR113を東進し始めしたがすぐに左折。橋を渡った駐車場に車を駐めました。







流れる川はその名も「荒川」で、この橋を境にして平野部に流れ出るわけですから(右上画像は上流側を撮影したものです)、なるほど確かに治水工事が十分でなかった時代にはこの下流側で「大暴れ」したことも多かったのだろうなと。旧渡邉邸にも「羽越災害でここまで水に浸かった」旨の掲示がありましたし。



左上画像が下流側を見た画像です。両岸に迫っていた山がなくなれば、水位を増した川水が堤防を乗り越えることも多かったことが容易に想像されます。

ちなみに駐車場では重機が雪を広げていました(表面積を広げて融雪を促す)。ということはここは雪捨て場になっていたのかなと思いつつ再び出発です。ここから県境を越えた山形の小国町あたりは全国でも有数の豪雪地帯です。



ということでページトップ画像を再掲します。豪雪地帯で国道を挟んで片や荒川が迫り、もう一方は急斜面の山というわけで逃げ場なしの国道113号とJR米坂線(運休中)となれば、このような治山(雪崩防止)工事も必須だったことでしょう(それでも雪崩れた跡が見えています)。雪国の交通インフラ維持はかくも大変だというわけです。



ここまでほとんどなかった雪がどんどん増えてきたところで小国の道の駅に到着です。この道の駅の裏には小規模ながらスキー場がありまして、もう今シーズンの営業は終わったようでリフトの椅子搬器も外されていましたが、まだ全面に雪がたっぷり残っており、頑張って登れば?全面滑走可能という感じでした。

画像はありませんが、ここでおしんこどんはお土産をたっぷり購入(職場むけ)。シーズンオフというわけで地元の箱入りお菓子が(賞味期限が近いということで)半額で販売されていたのです。米沢牛の粉末入りおせんべいだったと思いますが正式名称は忘れました(苦笑)。

飯豊町に入った先で県道10号に進み北上します。このあたりになるとすっかり雪はなくなりました。さてしかし、このあたりで湯となると神乃湯温泉ホテルあたりがさっと目に入るのですが、調べてみるとこの日は定休日(火曜日)。そして徐々にお昼も近づき、そうなると山形ですからお蕎麦ですよ、しかし検索してみるとこの県道沿いにはお蕎麦屋さんがほとんどない‥蕎麦街道まではまだかなり遠いし‥と思っていたところで(巨大な)「農家レストラン」が目に入ったのでそちらでランチということにいたしました。



こちらの「エルベ」さん、経営母体は農家さんなのでしょうが造りは完全に普通のレストランで、席数もかなり多くてちょっとびっくり。



おしんこどんは平日ランチコース。



Takemaはバジルソースのスパとコーラを注文しました。

何だかスパが似ているようにも見えますが気のせいです(笑)。量的に自分はちょうどいい感じでしたが、おしんこどんいわく「コーヒーがイマイチだった」ということでした(好みには個人差がありますので念のため)。



さてランチ後は、すぐ裏の郵便局でちょっといろいろと手続きを行い(だからTakemaはこの旅行に何と「銀行印」を持参していました)、再び北上です。広域農道で行こうと思っていたら途中で冬期閉鎖の憂き目にも遭いましたが、迂回して再び農道に戻りました。









しかし、最後の取り付け道路はなかなかに狭いです(右上画像マウスオーバーで、帰り道のTakema車フォレスター画像に変わります)。ま、特に問題なく往復しましたが、不安な人は橋の手前に車を駐められるスペースがあります。もっともカーブはありませんから「ちゃんと直進」すれば済むわけですが。



事前に連絡をして「入浴OK」とのことでしたので安心です。しかし鉱泉ゆえ加温している(お金がかかる)はずなのに、入浴料400円とは安すぎませんか?(感謝)。お湯は男湯にしか入れていないとのことで、夫婦揃ってそちらに入ります。



湯温維持のために掛けられていたフタを外すと透明湯が登場します。もちろん加温循環湯なのですがこの湯がスゴイという噂は聞いておりましたのでまずはかけ湯をして‥うわ、かけ湯だけでもうわかってしまうこの湯の湯触り!







「さらり」とか「すべ」とかは最近全然使っていない用語です(苦笑)。

お湯はかなり強めに加温されており、45度程度はあったと思いますが、それよりもこの湯触りにびっくりです。来てよかった。

泉質的にはナトリウム-炭酸水素塩泉(冷鉱泉)、源泉温度は12.0度とかなり低めでpHは8.5。アルカリ泉としての素性もありますが、こちらの源泉の一番の特徴は‥



なお上記のデータは令和元年(2019年)の分析によるものですが、昭和58年(1983年)の分析ではHCOが2132mg/kgもあったそうで、もしかして昔はもっとヌルヌルしていたのかなぁと。今はなき丸進別館みたいな感じで?(もう知っている人も少ないかもしれませんが)。似た湯触りの羽根沢温泉よりもヌル度は高い感じです(羽根沢の湯は自分の分類としては「ヌル」の一段下の「ツルツル~ヌル」です)。

あとからお客さんが来ることもなく(もっとも来たところで貸し切り利用なので待ってもらうしかないのですが)ゆっくり湯を楽しみました。湯上がりにお宿の女性にお礼を言ってお宿を出ました。おしんこどんいわく「ここは泊まりでも来てみたいね」と。



以前は3軒の宿があり賑わっていたようですね。なお近隣には即身仏を安置している曹洞宗寺院の「蔵高院」があり、こちらには即身仏となられた光明海上人が祀られています。ただ拝観には数日前までに予約が必要とのことでしたが‥予約をすっかり忘れておりました、残念。

さてここからは単調な?移動となります。山を下り、県道経由でR287に出てしまうとあとはただ北上するばかり。晩秋から初春の東北地方は、スノースポーツ関係以外は軒並みシーズンオフになってしまいます。自然系の景勝地やアクティビティは雪に覆われてしまい全て見られず参加できず、3月下旬は雪が溶けたばかりで周辺は茶系の色合いばかりなのです。

仕方がないので淡々と車を走らせます。ただその代わりというか、春になると「一気にカラフルになる」のが雪国のすごいところなんですけれど♪



道の駅あさひまち「りんごの森」にてトイレ休憩。こちらの売店ではアップルパイが大人気のようですが、われわれのようなイチゲンの客が手に入れられるわけでもなく「そうなんだぁ‥」と思うばかりでありました。

自販機の横には朝日町の非公認イメージキャラクターである「桃色ウサヒ」についての説明が記されていました。キャッチフレーズは「朝日が育んだ圧倒的無個性という、イメージキャラクターにはまったく以てふさわしくなさそうなキャラながら、かえって他のキャラクターとの差異化に成功して今に至るという、いっぷう変わった存在だったりします。こういうのも面白いかも。

りんご温泉に立ち寄ろうかとも思いつつ、自分がこのあたりにやってくるのはいつもこういう時期なので露天風呂が冬季閉鎖なんですよということで通過。寒河江まで来たところで「ゆ~チェリーはどうだ?」とも一瞬だけ思いましたが、有名どころゆえ気が乗らず通過。このあとは何と高速に乗って一気に尾花沢北ICまで北上しちゃいました。というわけでさすがに併設の道の駅で小休止です。



というわけで道の駅尾花沢「ねまる」までやってきました。「ねまる」とは当地の方言で「くつろぐ」という意味だそうです。ええっと、われわれ夫婦内だけで通じる用語の「ねまる」とは「眠る」の意味なんですが全然関係ないですね(苦笑)。

道の駅の駐車場に面した側は全面的に農業用ビニールハウスによる雪囲いが為されており、2ヶ所の扉から出入りするようになっています。うーむなかなか壮観。で、内部に入ってみると‥



尾花沢といえばスイカが有名であり、ご当地キャラクターにも「もとなりくん」という名前で出ているようです。左上画像はそのミニチュア人形なのですが、今画像検索をしていたら着ぐるみバージョンのもとなりくんが出てきました。その感想は‥いや言いますまいむにゃむにゃ。

丸テーブルをスイカに見立てたのはいいアイディアだと思います。それにしても尾花沢スイカ、まだ数度しか食べたことがないんだよなぁ。スイカサイダーとかスイカジェラートとかは飲み食いしましたが。

ここからはR13(高速新道ではなく旧道の方)を舟形まで向かいましたが、まさか!と思ってしまうほど車が通っていません。中長距離を移動する車は無料高速のほうを選ぶのでしょう。地元車ばかりが利用する閑散国道となっていましたっけ。

舟形からはR47へのショートカット路である県道56号へ入りましたが、こちらの方がR13の旧道よりよほど交通量がありました(あくまで相対的比較ですが)。と、途中では何ヶ所か除雪作業が行われておりました。



とはいえ、もはや路面の除雪ではありません。

この除雪はロードサイド部について行われているようでした。つまり積雪期、ロードサイドが田んぼや畑である場合、それらの土地は冬期には使いませんので除雪車は路面の雪をサイドに飛ばして積もらせます。そのためロードサイドにはうずたかい雪の山ができるわけです。

しかし春になり田畑の雪が消える頃になるとこの雪の山が問題となります。田畑を一刻も早く使えるようにするため、田畑の端にできた雪の山をどけない限り農作業に入れません。そこで左上画像のように一度は除雪でサイドにどけた雪を再びいったん道路に戻し、その雪を右上の除雪車でダンプに積み替え、最終的な雪捨て場に運んで捨てるという、



でも、これが一番効率的な作業手順なのでしょう。というかロードサイドが田畑であればこれで事足りますが街中となるとこれも出来ずにダンプ搬出となるようですが、作業に手間が掛かる分排出に時間がかかり‥2024/25冬シーズンの青森市内や札幌市内はとんでもないことになっていたようですし。

自分はたまたま千葉という「え、外は雪だって?(窓を開けて)あ、ほんとだ雪だぁ♪」とびっくりするような、それこそ江戸時代に豪雪地域秋山郷の窮状を記した「北越雪譜」の著者である鈴木牧之が皮肉的に非雪国人の反応を描いた通りの反応をしてしまう側に住んでいるわけですが、だからこそやはり雪国に住む方々にはある意味畏敬の念を抱いています。ねばり強さと諦観の中で生きるということ、雪との戦いのなかで身体にしみこませたその生き様に対する畏敬の念です。

話がそれました。このあと車を走らせていたらその雪を載せたダンプに追いつきましたよ。で、ダンプは‥



県道から離れて最終の雪捨て場へ。ここは最上川の支流である小国川の河川敷(=公有地)なのでとにかくここに集めてブルで(圧縮しつつ)ならして、あとは溶けるのを待つばかりというわけです。

自分たちがGWにどこぞの河川敷に「あ、雪が残ってるな」と見たりするのは、雪国の方々による苦難の作業の「なれの果ての雪」だったりするわけです。でも最近はそんな雪国エリアも夏は普通に35度超えの最高気温の日々が続いたりするわけで、何だかなぁと思います。

というわけでR47に合流してしばし、





というわけでお宿の滞在記は次のページにて。

[この旅行記トップへ] [次へ]