NZ南島のツーリング情報 

                    

その1 ツーリングシーズンについて。

当たり前ですが南半球ゆえ日本とは季節は逆です。となれば、確かにツーリング時期としては1・2月、特に1月中旬から2月下旬までがベストシーズンです。とはいえ学生でもない限り、そんな時期にまとまった休みを取ることは難しい。年末年始はどうかといえば、12/30ころに Mt.Cook のキャンプ場で雪に降られたこともあったし、基本的に南島は、夏の温度的には日本より涼しい気がするので(日ざしは強いけれど)、季節的にはちょっと早いかも。もちろん Mt.Cook が例外といえば例外なのですが。でもさっき書いた年末年始の時は、ダニーデンでもフリース着てたなあ。

ただ、とにかく言えることは、「陽射しがあるかないかによって気温は全然違う!」ということです。今回は3/20〜3/31の期間で行ったのですが、ポプラの木が紅葉(黄葉)して散り始めてるのに、気温は30度近かったという不思議な経験もありました(「今年はこの時期にしては気温が高い」といわれましたが)。
その2 装備はどうするか?
(1) ウェアについて

12月中旬から3月いっぱいまでなら、どうせ日本を出るときは冬の恰好をしていくのだから、冬のツーリング用ウェアを着ていけば万全です。今回のツーリングでも、Tシャツ一枚で走った日もあれば、シンサレート入りのジャケットを着た日もありました。グローブも同様で、夏冬両方のものを持っていくと便利です。

(2) ヘルメット・雨具について

ヘルメットはやはり使い慣れた自分のものを持っていくといいでしょう。でも、かさばるんですよねえあれって。今回は機内持ち込みにしました(荷物の中に入りきらなかったので)。メットに限らず、基本的に「向こうでレンタルするのはバイクだけ」にしておいたほうが何かと気を遣わずにすみます。雨具についても同様ですが、やはり向こうに行くと長距離を高速で走ることになるので(NZでは市街地以外は制限速度100km)、「だいぶ雨具がへたっている」人は、これを機にいいものに買い替えるのも手です。なお、さっきも書いたように、曇りや雨の日は気温も低くなることから、日本のように「カッパ着たから体中がムレまくった」ということはまずほとんどないでしょう。無理してゴアテックスなんて買わなくても、防水性だけはきっちりしているもっと安い素材のもの(エントラントとかハイパロンとか)でも十分だと思います。

その3 レンタルバイクについて
(1) クライストチャーチのレンタルショップ

「リンク」のページにも紹介してありますが、自分は大聖堂から南西に15分ほどのところにあった「Te Waipounamu Motorcycle Hire 」というところで借りました。ここは結構新しいバイクがそれなりの値段(破格ではないがネットで見つけた他のバイク屋よりは安い)で借りられたような気がします。この「 Waipounamu ...」とか、または「安ければ安いほど!」の人は「リンク」ページへどうぞ。ここから行けます。なお、NZが初めての人は「せっかくだから北島も南島も」と思われるかも知れませんが、走って楽しいのはやはり南(北島ファンの方ごめんなさい)。駆け足で全国を回るよりは、南島だけを縦横無尽に走るほうが絶対に楽しいと思うのですがどうでしょうか。なお、レンタカーによく見られる乗り捨ては、どうやら「同じ島内なら借りたところに返す」しかないようです。個人経営のバイク屋なんだからしょうがないよね。
(2) 予約の仕方

お店にもよるでしょうが、やはりFaxが一番確実のようです。このショップの方も「メールはいつも見ているわけではないし・・」といってました。貸し出し可能なバイクはそれぞれのHPにのせられていますが、今回メールで問い合わせを出した3軒のショップ全て、別のバイクも置いていましたし、逆に在庫のないものもありました。とりあえず最初は以下の項目を記入した質問状を出すのがいいでしょう。

(i )レンタル希望期間(ただし借り出し・返却日とも日曜にかからない方がいいでしょう。定休日です)。
(ii)希望車種(一応リストにあるものを選んでおくと同時に、そのバイクが在庫リストから消えている場合も考え、それに近いイメージのバイクにはどのようなものがあるかを教えてもらい、また、それぞれのバイクを希望期間借りた場合の見積もりを出してもらう。なお、保険についてはどうやらどこのショップもレンタル料金に含まれているようですが、念のため確認しておく。
(iii)空港からの送迎の有無。だいたいの場合はフリーチャージで送り迎えしてくれるようです。

(3) 車種について。

ショップによって置いてある車種には違いがありますが、概してYamaha・Kawasakiが多く、Suzuki/Hondaはあまりなかったような気がします。ただこの国ではバイクは贅沢品。日本に比べて新車価格も高いことから、レンタル代もそれなりに高いです。少なくともレンタカーより確実に高くつくことは覚悟して下さい。参考までに「Te Waipounamu...」ではYamaha XJ600 Diversion が1日NZ$95(1999 3月のレートで約6000円ちょいでした。ただし、ハイシーズン(2月を中心とした前後期間)は+αのチャージが追加されます。なお、やっぱり一番高いのはBMW。ハーレーはどこの店でも置いていませんでした。なお、TakemaはラッキーなことにXJの値段でBMW借りられちゃいましたが、さすがはアバウトな(いい意味で)NZ。

(4) バイクについてその他。

バイクによりますが、後部に荷物くくりつけ用の縦パイプが付けられている場合があります。日本ではまず見ないのですが、あれだと大きめのバックパックとかをどうくくりつけていいのかわかりません(うまく説明できないので、詳しくは「Te Waipounamu..」のHP見て下さい。)。聞いてみて下さい。なお、自分は今回初めてパニアケースを使ったのですが(おまけでついてた)、あれって便利ですねえ。サイドに30リットル×2のスペースがあると思うと、思わず缶ビールはダース買いはするわ、3リットルのカスクワインは買うわ、スーパーでもついつい余計な食料まで買い込むわ、それでもまだキャパシティに余裕があるというのは、長距離長期間のツーリングにはもってこいです。ただやっぱりすり抜け必須の日本では邪魔だろうなあ。

(5) ロードマップについて

本屋に行くと、ちょうど日本のツーリングマップルと全く同じサイズのマップが売られています。それで全く問題なく走れます。
道路情報・交通法規など

(1) 道路について

前にも書きましたが市街地は50km、ちょっと郊外は70km、その他は100kmです。市街地の制限速度はよく守られていますのでくれぐれも日本の感覚でぶっ飛ばさないこと(2000/6注:地域によって、60kmとか80とか、別の制限速度をもうけている場所も多くなったようです)。郊外ではだいたい110〜120kmくらいで走っていることが多いです。交通量は国道1号線であっても少なく走りやすいですが、あくまで高速道路ではないので突然急カーブが現れることもありますし、道路が緩やかに波立っているため、対向車が来ないと思って追い越しをかけようとしたらいきなり前方の死角からぬっとトラックが、なんてことだってあり得ます。交通標識はかなり的確なので(カーブの手前にはそのカーブの適正進入速度が書かれている、追い越し禁止の車線マーカーは必要なところには必ずあるが、日本のように「無意味に20kmずっと追い越し禁止」なんてことは絶対ない、など)、きちんと法規を守っていけば全く問題ないといえるでしょう。

(2) 舗装について

(1)よりもこっちのほうがライダーにとっては気になります。舗装の方法の違いを知っておいて下さい。舗装する際、日本ではコールタールにまぶした小石を敷き詰めてローラーで平らにしていきます。こうすると表面には浮き石など全くないことになりますが、NZでは最初にただのコールタールを一面に撒き、その上にただの小石(日本のものより粒は大きい)を敷いていきます。軽くローラーはかけますが、それだけです。となると、舗装作業終了直後の表面は浮き石だらけ。車が通行していくうちに、ある小石はコールタールにくっついて固定化し、ある小石はタイヤにはじき飛ばされて道路外へ。そのうちに浮き石もなくなり、その時点で初めて舗装完了、となるわけです。問題はその見極めです。カーブに進入するときに、そのカーブ上にある小石(粒が大きいから見えるのです)が果たして固定されているのか否なのか。一種の賭けですよね。車ならともかく、バイクの場合は片輪滑ったら終わりですから。ま、実際のところは浮き石状態のところはほとんどないのが実情ですが、完全にないわけではありません。オレンジ色の工事用標識に「New Seal 」なんて書かれている区間だけは特に注意しましょう。また、自分は大丈夫でも、対向車が小石をはねとばしてくる危険性は日本に比べて格段に高いです。ヘルメットはシールド付きのものを強くおすすめします。

(3) 交通法規について

左側通行だし、別に難しくはありません。ただし次の3点だけは気を付けて下さい。

(i)ラウンドアバウト 
交差点全体が一方通行のロータリーになっているもの。日本ではほとんど見ない(皆無ではない)システム。特に片側2車線のままラウンドアバウトに突入するときなどは「おいおいどうなっちゃうの?」という気にもなりますので、未体験者はまず状況をよく観察してから同じように進んで下さい。特にウインカーの出し方などはよく覚えておかないと危険な目に遭います。

(ii)右折車優先の原則
交差点で自分が左折、対向車が右折しようとするとき、日本では当然左折車優先ですがNZでは逆。たとえ自分がバイク、相手が車であってもでもこの原則は変わりませんので。それほど多い Situation ではないので、いざという時ついうっかりやってしまいます。左折するときは思い出して下さい。

(iii)横断歩道では歩行者優先!
市街地で横断歩道がある場合、横断しようとしている人がいたら必ずバイクを止めて歩行者を先に渡らせなければなりません。ここは日本とは大きく違うやり方なので(日本でも原則はそうなのだろうか?)注意して下さい。

(4) その他

(i)駐車場
市内中心部ではバイクであってもむやみにそこらに駐車していいわけではありません。パーキングメーター式の駐車場が道路脇にずらっと並んでいるのでそれを利用しましょう。ただし、ところどころに二輪車専用の駐輪場(無料)がありますので、それを見つけられれば全く問題ありません。この国では駐車違反の取り締まりの頻度が日本より高い(しばしば見回りに来る)ことも覚えておいて損はないでしょう。
(ii)ガソリンスタンド
基本的に全てセルフ式(自分でガソリンを入れる)です。難しいことはありません。給油口の脇に電卓のようなものがありますから、バイクの場合はその中の「Fill」ボタンを押し、あとはレバーを握って満タンになるまで入れるだけです(握り方の強弱でガソリンの出る量が変わります)。入れ終わったらレジにいって自分の使ったポンプの番号(必ず書いてある。この写真の場合は【NO.1】ですね)を言えば「$8.40です」なんて言ってくれます。なお、南島では町と町とが遠いことも多いので(特にWanaka〜Greymouthなど西海岸)、早め早めの給油を心がけることと、日曜休業のGSが多いことは必ず知っておくべきでしょう。
だいたいこれくらいのことさえ知っていれば、ソロでのNZツーリングはそれほど困難なことではありません。北海道より広く、60km制限のネズミ取りに怯えることもなく(ただしネズミ取りのカメラはありますよ。でも100km制限ですからね)、言葉は通じないけれど愉快で親切でアバウトなKiwiとの交流を楽しみながらのツーリングは最高に面白いです。最近は日本から「オーストラリア バイクツアー」なんてのも随分盛んに企画されているようですが、せっかくだったら一人で(ないしは自分たちのグループだけで)、お仕着せでないツーリングに出かけるのもいいんじゃないでしょうか。

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