あのねえ、せめてもっとゆっくりしゃべってよ!(NZワーホリその1)

AucklandのYMCA

NZ1日目。着いたはいいが、悲しいほど落ちこむ…


いよいよオークランドに降り立ってしまったのはGWも明けた5月中旬。シンガポール経由でたどり着いたNZであったが、シンガポールでは至る所で日本語が通じ、あまり不便は感じなかった。もっとも初めての海外ということで何も勝手がわからず、タクシーの支払を日本円でしたりするくらいのバカはしていたが。しかしさすがNZ。空港からタクシーに乗るときからもう何言われてんだかわからない。しかし、1泊目だけは日本からホテルを予約していったので、とりあえずクーポン券を見せるだけで事足りるはずだ。しかし、問題はホテルのフロントだ。クーポンを買った日本の旅行会社では、海外旅行初めてで不安いっぱいのTakemaに対して、いとも簡単に

「クーポン見せて『Check in , please』と言えば大丈夫ですよ」

と言ってたのだから、その一言だけがその時の自分にとって唯一かつ最強の英語なのである。何たって高3の4月、大学受験の模試を受けたら英語の偏差値は30台だったのだ。もちろん受験英語だけは何とかしたとはいえ、ヒアリング・スピーキングの訓練などというものをしたことはなかった。それでも来てしまったのだ。そして、それでも英語学校などに通う気は更々ないのだ。だから自分で何とかするより他はないのだ。そして、その時は来た。レセプションで、こいつは厳かに、そして誰が聞いても日本人だとわかるJapanese Englishでカウンターの中のお兄ちゃんに「Check in ,please .」と発したのであった。ところが、である。そのお兄ちゃんはこっちの予想に反してなにやら話しかけてくるではないか。"☆◎◆○〒<Dゥ?"ゥゥわかるわけがない。仕方ない、発音が悪かったのだろうと思い、再度 Check in ,pleaseアタックである。しかし、最強の英語とて用を成すことはなかった。彼は相変わらずなにやら呪文のような語を発してくる、しかもさっきより長く"◎◇○●£▼※∈→←■▲△・・・"と。お手上げである。

結局、フロントで約30分(誇張じゃないよ)押し問答である。いや問答は成立してなかったか。こっちは何も言えなかったんだから。「彼に自らの意思(大した意思じゃない。だって今日ここに泊まりたい、ということだけだ)を伝える術はないのか!」と途方に暮れた。そこで、ない頭を使って考えた上での最終手段だ。”I want to sleep here!(ちなみに大げさな身振り付き。念のため。)” 彼はやっとわかってくれた。いや、正しくは「わかった」んじゃない、こいつには何言っても無駄だと「あきらめて」くれたというのがより正確である。

部屋に案内され、ぐったり疲れ果てたTakema は、とりあえず持参の日本酒を飲み、それから何気なくTVのスイッチを入れた。(TVがあるくらいだから、バックパッカーとしては無茶苦茶ゼータクである。しかし彼はまだそのゼータクさに気づかぬほど、旅については無知だったのだ)チャンネルをいくつか回し、それからとっても悲しくなった。「日本語やってない…」(あたりまえだ。ここはワイキキビーチのホテルじゃない。)」ここにいたってTakema は、今自分のおかれている現状についてはっきり認識した。「大変なところに来てしまった!」しかし、ここで後悔したって後の祭りである。何とかするしかないのだ。頑張れTakema!

その翌日、チェックアウトを終え(なぜか全くあっさりいった。多分フロントの伝達事項にあったのだろう。「××号室の客は全くことば通じないからあきらめるように」って。)オークランドの街中を徘徊する24才の一青年の姿があった。彼はどこへ行くというのか?

彼が目指したのはYMCA。今の彼にとって頼りとなるのはあの「地球の歩き方」しかなかったのだ。「長期滞在ができ、食事もそこで食べられる」。もうそこまで読んだら、彼の選択肢は一つしかなかった。とにかくどうしていいかわからなかったのだ。そして、与えられた部屋でとったのが上の写真である。何だか生活臭がにじみ出ているが、旅はまだ始まったばかりである。

しかし、そこには大きなうれしい転機が待ちかまえていたのだ。ふっふっふ。
Go to  着いて一週間で車を買うに至るまで