秩父の千鹿谷鉱泉、営業最終日に初訪問ほか。




これからの10年で、いったいどれだけの温泉宿が暖簾を下ろしてしまうのでしょうか‥。

(2020年8月27日訪問、9/15掲載)

わたくしTakemaにとって「埼玉県」は「温泉未到の地」でありまして、実はこれまでに1湯しか入ったことがありません。しかもその1湯も、温泉先達の方に誘われて「杉戸の温泉施設建設前、『まだ源泉が出たばかり』の湯」に浸かっただけだったのです(その時のページはこちら、開店後のサイトはこちら@杉戸天然温泉雅楽の湯)。

さて今回なのですが、ネット上で長くご拝察してきたONKEN21さんの情報により、秩父市中心部の北西側に位置する千鹿谷鉱泉が(少なくともいったんは)廃業し現在の建物も取り壊すこと、それにつき2020/8/22までお風呂を一般に有料開放すること。以上のことは認識しておりました。

でも、「お盆は避けたいし、かといってその後は自分も北海道に行っちゃうし、8/22〆日までの訪問は無理だなぁ」と思っていたわけです。そ、それが何と!



ええっと8/27ですか!わたくしTakemaはその日がフルタイムでお休みなのですが!(大笑)。というわけでいっくぞぉ!



関越道を花園ICで下り、いざ秩父方面へ。それにしても、秩父界隈ってずいぶん久しぶり。そもそも秩父を目的地にしたツーリング自体ほとんどなかった気がします。たぶん20世紀の最後のあたり、ぶどう峠や十石峠をバイクで越えた記憶はありますから秩父エリアを通過したのは確かですが、それも「通った」だけですからね。一度だけ上野村界隈を目指したことはありますが、残念ながら上野村は群馬県だから上州か。

もしかして「メイン目的地が秩父エリア」というのは人生で初めてじゃないかとも思ったりして。そもそも千葉からだとなかなか行きにくい場所ではありますし。あ、その昔雁坂トンネルが開通してしばらくした頃「通ってみるべ」と思って山梨側から埼玉側に通り抜けたところ、行楽シーズンの日曜夕方前ということもあり(しかも現在のバイパスなどない時代)秩父市内で大渋滞に巻き込まれ、かなりひどい目に遭ったことを思い出しました。日帰りバイクツーリングで自宅着が22時近くになったのは後にも先にもこの時だけ。これがトラウマになっていたのかも知れません(懐かしい‥)。

しかしこの日は平日の金曜日。外環道は最近朝の渋滞が定番ですが、市川北ICから外環道-川口JCT-東北道-久喜白岡JCT-圏央道-鶴ヶ島JCT-関越道-花園IC、そこそこスムーズでした。圏央道走行中にかなりの豪雨となり、「あーバイクじゃなくてヨカッタ」と安堵した次第です。まぁ雨がなくても夏の関東内陸平野部は決して「バイクで走って楽しい」状況ではありませんし、この日の予報は最高気温35度レベルでしたので最初から車一択でしたが。

ナビのおかげで迷うことなく千鹿谷温泉の分岐へ。かなりくたびれた看板ですが、この日までは少なくとも訪問湯客の目印として活躍してくれていたわけです。こちらを左折、いざ「初めてにして最後の湯(今の施設では)」へ。







8月下旬ゆえ花は入れ替わりの時期でした。



玄関回りだけ見ると、まだまだいけそうな雰囲気ではありました。

ただいろいろと拝見するに、やっぱりそこそこ古びていて手を入れなければなという箇所が見受けられました。でも、この数日後から解体作業が始まると思えば、これが最後のお姿なんだなぁとしみじみするばかりです。しつこいようですがこの日が営業最終日なので。

館内にお宿の方はおられませんでした。到着時に先客さんの車があったのでその脇に駐めようとしたら、たまたま表におられた高齢の女性が「奥に(スペースが)ありますよ」と声をかけて下さったのですが、あの方が現オーナーだったのかなと思います。なおそのあとすぐに姿が見えなくなりましたが。



玄関を入ると左上画像のようなメッセージが床に置かれており、まさにこの日(8/27)が入浴の最終日であることがわかります。入浴代は各自支払いのようで、お釣りの引き出しがあるところに性善説を感じます。わたしにとっては「最初で最後」なので、所定料金に多少プラスして「寸志」を入れた次第です(何となく金額がわかっちゃいますね)。

さてお風呂へいざ!声が聞こえていたのは女湯で(2人組)、男湯は先客さんがもう出たあとだったので貸し切り利用確定です。よーし!







なぜか源泉蛇口を開けたときの画像がないのはご愛敬ですが、ツルツル感が感じられる良泉でした。前日は朝シャワーを浴びたものの夜は浴びなかったので(自宅では冬も含めてシャワーのみがデフォルト)、ここでしっかり全身を洗わせていただきました。もちろん非加熱源泉を利用し、最後は頭から何度もかぶりました。暑い日だったし、これですっきり‥

のはずでしたが、最後に(当然ですが)湯に浸かってタンノーしたことで、湯上がりには汗が全然引かず難渋しました。さすがだな千鹿谷鉱泉!

前述したとおり、こちらの建物はこの数日後から取り壊されるということで、このページをタイプしている9月中旬現在ではほぼ跡形もなくなっていることでしょう。一方でページトップ画像にもあるように「数年後に再開予定(未確定だが)」とありますが、果たしてどうなるのかなぁ。保健所としては建物を建て替える以上「新規湯としての審査」という扱いになるでしょうし、埼玉県の場合その基準がなかなか厳しいという話を聞いたこともあります。そうなると再開するにしても「似ても似つかぬ湯」になってしまいそうな気がします。大丈夫かなぁ。



最後に「原状復帰」作業(湯冷め防止のため蓋をする)を行い、玄関にあったメモ用紙に記帳して訪問終了。まぁそのあと軒下のベンチで10分くらいドリンク休憩しましたが。汗が引かないのよとにかく(笑)。

自分が上がったときにはすでに女性客も上がっていて、メモからすると自分がこの日4人目の利用客だったと思われます。ちなみにこの最終日、千鹿谷鉱泉最後の「湯浴み客」は、この宿の営業終了情報をSNSで広めて下さったONKEN21さんのようでした。情報ありがとうございました。おかげで最終日にもかかわらずまさかの貸し切りで最後の湯をタンノーできました。

さてお昼近くになってきたのでそろそろ昼ごはんでもという感じなのですが、ここから先雁坂トンネル方面にどれだけの飲食店バリエーションがあるのかを確認しないままやってきたので、県道37号線沿いにあった(看板を見つけた)「そば工房 そば福」というお店に入りました。いや、まだ入ってません。



大きなお店ではない&コロナ対策として席数を減らしているらしく、何と11:40の段階で「2組目の待ち」でした。あとで調べてみたら開店が11:30だったようで、そのタイミングで満席になってしまったみたい。それにしても平日なのに、ここって人気店なの?そんなわけで検索してみると、もともとは手打ち蕎麦を出荷する工房だったようですが、その隣に上画像のような直営の食堂を建てて今に至るようです。

自分はあまり「待ってまでして食べる」ことが好きではないのですが、この先どれだけお店があるかわからないし(実際はお蕎麦屋さんだけで数軒ありました)、それに「お店の人に声をかけたので番号札もいただいちゃったし、まぁいいか」という感じでしばらく待つことに。山あいとはいえこの日は暑く、屋外のベンチ前に置かれた業務用扇風機がありがたかった!(まだ千鹿谷の湯汗が止まっていなかったので)。

で、20分弱ほど待って入店(すでに自分よりもあとに4組くらい待ち客が増えていました)。あー、4テーブルしかないのね(グルメサイト掲載の画像では6テーブルあるようなので、コロナ対策かと)。しかも当然ですが相席なしでわたしは4人席を独占。申し訳なくなります。



こちらはくるみダレのつゆが売りのようなのですが、くるみダレだけだとなぁと思い(ノーマルのつゆもセットで付いてくる場合は問題なく頼みます)ノーマルの天ざるを注文。さて人気店のお蕎麦とは‥お、出てきました。



まぁ蕎麦のコシについては各人の好みがあるでしょう(あ、山形県東根市の伊勢そばは、自分としては「コシがありすぎでもういいや」と思うのに、しばらく経つと「また食べに行きたいな」と思う感じです(笑))。

まだ新蕎麦の時期ではありませんでしたがソバの香もしっかり。つゆも出汁しっかり&甘すぎずでなかなかでしたし、天ぷらもカラリと揚げられておりサクサク。うん、なかなかいいお蕎麦を食べられたので満足です。店員さんも丁寧な応対でした。



このお蕎麦がいいんですよ。気に入りました(なかなか来られませんが)。

さてこのあとは雁坂トンネルを越えて山梨方面へ。ここから雁坂トンネルまではとにかくワインディングの幅細め国道だったと記憶していましたが、上流部に向かうにつれて道が良くなっていきます。そして‥




(思わずその途中にあるパーキングで車を駐めて撮影)。

記憶がないのは当然の話で、自分が唯一雁坂トンネル経由で山梨から埼玉秩父に抜けたのは(バイクでした)間違いなく西暦2000年を少し過ぎたあたり。でもって、このループ橋を含む滝沢ダム関係の構造物全ての建設完了は2011年なのですから。20年近く通っていなければ、そりゃ道も変わりますわな。

さてトンネルを通り抜け(平日にもかかわらず案外通行量は多いなという印象でした)、どこかの湯にと考えて、でも下調べはしていないので(毎度のこと)、Tマップルを見ているうちに「ほほぅ、沸かし湯だろうけれど確かその昔『信玄の隠し湯』と称されていた嵯峨塩鉱泉はどうだろう」と思いつきました。ネットで調べてみると日帰り入浴は15:00まで。うん、ナビによると14:30過ぎには着けそうだということで、フルーツラインでぶどうを購入することもなく(これは大失敗)すたこらさっさ。しかしいざ現地では‥


(情報の詳細が抜けていたのね。まぁありがちなことです)。



というわけで、一段下がった(戻った)ところにある「やまと天目山温泉」へ。こちらは公共の日帰り入浴施設なのでしょうが、実はこのまた下に老人福祉施設もありそちらでも入浴が可能です(駐車車両が多かったのでパスしましたが)。いずれの湯もアルカリ泉のぬる湯ゆえ(冷たすぎず)、戦の傷を癒やすには絶好だったのだろうなと。

でも、その一方でここ天目山界隈は「武田一族滅亡の地」でもあるんですよねぇ。武田勝頼墓所がある景徳院、立ち寄ればよかったな(また次回@初めて来たのに)。



先客さんがおられたので湯画像はありません(撮禁掲示はありませんでした)。

で、こちらのお湯ですがツルツル感もあり悪くはなかったです。源泉浴槽もあり(でもあれはどう考えてもちょこっと加温していると思います。分析掲示後に源泉温度が上昇しているのでなければ)、屋根付きの露天風呂もありました。なお、公営らしく入館時のコロナ対策はしっかりと行われており、入館時の検温、氏名と連絡先記入は必須です。あ、退館時間も記入する欄があったのに、退館時なぜか「それはいいです」とのこと。せっかくならやればいいのに。休憩で長時間滞在する方も多いはずなので。

お風呂も2つ入ったことだし(何と控えめ!)、そろそろ帰路につくこととしましょう。ナビを自宅方面にセットすると「来た道をちょっと戻って勝沼ICから中央道に乗っちゃいましょう!」と嬉しそうにガイドされましたが、そうは問屋が卸しません。


(個人的見解です)。

前にも書いたことがありますが、かつての中央線、特急や急行はもちろん、笹子峠を越える区間では普通列車でも、



と、あの弁当立ち売り系カゴを懸けた売り子さんが車内を回っていたものでした(ちなみに記憶の限りでいえば、当時の売り子さんの多くは「笹子餅はいかがですか」という明瞭発音ではなく、少しラフな感じでの声掛けだったと思います)。

どんなに車内が混んでいてもやってくる笹子餅売り(われわれが通路に置いていたキスリングを踏みつけていったことも(苦笑))。そのことで「笹子餅許すまじ」と衆議一決したのは高校山岳部時代のことでした。

いっぽうで売れているのをあまり(ほとんど)見たことがなかった笹子餅。初めて購入したのは大学生になってからで、売り子さんから購入して食べてみると‥



と感じの目が点モード。草餅で肉厚、アンコもそれほど甘くはなくて。自分は甘いお菓子はあまり積極的に食べるほうではないのですが、結構気に入りました。

しかしその後、方針が転換したらしく車内販売はどんどん縮小。今はもう車販はなく、直売所以外には中央道のSAPAで販売されているくらい?(SAPAでの販売は未確認)。というわけで、





もっともこれはこの日お仕事に邁進していたおしんこどんへのお土産なので、購入後すぐに食べることはなくこのまま帰宅の途に。大月ICから中央道に乗ったわけですが、さすがの中央道も平日午後の上り線は空いているかと思ったら、調布界隈で事故渋滞(苦笑)。

ところで首都圏の高速道がバイパス路や迂回路の開通により特に週末の渋滞頻度を減少させる中で、中央道は安定の「必ず酷い」状態をキープしています。もちろんネクスコも小仏トンネルの新トンネル掘削などいろいろとやってはいるのですが、いかんせん「首都圏直近の急坂路」だけになかなか難しい部分はあるかとも思うのです。

でも個人的に思うのは「平日朝、八王子方面から都心に向かう中央道の渋滞の酷さ」です。毎日間違いなく10kmくらい渋滞しています。これは観光客はまったく関係のない完全な「通常モードにてのオーバーキャパ」であり、こちらの改善こそ優先すべきではないでしょうか。いっそのこと「全二層建て」にしてしまうのもありなのでは?(そのような道路は首都圏各地にありますし)。でもまずは3車線化だとは思いますが。かつての東名=2020現在解消や、東名阪=現役の「苦し紛れの3車線化」を思い起こします。

でもあれはあれでアリですよ。車線が狭くキンチョーしますが「そもそも運転はキンチョーして行うべき」ものですし、おバカなスピードも出せないので煽りバカも必然的に減りますし。わが家直近の京葉道路もその流れでやってますね。

さて自宅に戻ってきて‥











というわけでこの日は日保ち優先で厚岸の牡蠣(頂き物)を食することに。当然の助動詞的にウマウマであったことはいうまでもありません。そして(画像がないのは大失敗でしたが)笹子餅も翌日しっかりといただきました。少し固くなっていたとは思いますがこちらも絶品。個人的には「フニャ餅よりやや歯ごたえのある餅のほうが好き」ですので、かえってヨカッタのかもしれません。

営業最終日の鉱泉湯訪問がメインのお出かけでしたが、何だか1日楽しかったなぁとしみじみ。そもそもコロナ禍により自分もお出かけ頻度が激減していますしね。

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