スカイ島で Midgeの大歓迎をうけるの巻。


castle
さて、OBANの町を出発し、一路北上である。なお、OBANの町中から坂道を上がっていくとなんでも100年以上前の不況時に、雇用創出のためだかで町の金持ちが作ろうとしたらしい丸い建物が残ってます。今でいう公共事業のようなものなのだろうけれど、結局は工事途中のままほったらかしにされてる。何だか日本の、いわゆる「箱モノ」の将来を見るようで、複雑な気分にさせられます。

OBANからはA828号線を北に向けて走っていきます。海岸線を行くので眺めはよいのですが、入り江をぐるっと回ったりするところもあるので、なかなか北に行けません。Portnacroish という小さな町のあたりで、右写真のような小さな城を発見。駐車スペースはないので、いわゆる路駐で見に行きました。道からは見えず、道横のフェンスをまたいで私有地の中に入ると見えます。みんな考えること同じと見えて、すでに踏み跡がついてたな。町の中からも見えるので、「大体このあたりが一番見えそうだ(道路脇のほうが道路より高いので直接は見えない)」と思われる所に車を停めて偵察するのがいいですね。

さて、このあたりでは大きな町であるFort William に到着。ここですることは3つある。

(1) 昨夜あまりに寒かったので、防寒用及びお土産としてフリースを買う。なんと80ポンドのカリマーのやつを買ってしまった。しかし、着用後30秒くらいして、くわえタバコの火で焼け焦げを作った。もったいない・・・

(2) 念願のガスカートリッジを4缶買う。これで当面は快適なキャンプ生活が出来るぞ。

(3) 手持ちのポンドが残り少なかったので、銀行でお金をおろす。うーん、やっぱりこういう時ってシティバンクの口座持っててよかったよと思う。何だか最近はいくつかの都市銀でも同様のサービス始めたらしいけれど、国内のATMまで手数料無料って他にはまだないみたいだしね。平均残高が100万上ってのが一般にはネックだけれども、自分はとりあえず問題なし。どうせこの低金利時代だし、どこに入れてたってあんまり変わらないから・・

話はそれますが、成田空港出るときは日本円2万5000円以外には何も(現地キャッシュとかTCとか)持っていきませんでした。シティバンクのキャッシュカードというか、「Cirrus」の提携してるATMがあれば全く問題ないですよ。これは98年末のボルネオ(東マレーシア)でも同様だった。手数料とか、換算レートが・・という人がいるかもしれないけれど、少なくとも休みにこんな所までこられるくらいの人だったら、あんまり目くじら立てて言うのもどうかという気がする。ただし、ATMにカード飲み込まれたら終わりだけれどね(笑えない笑えない。NZで1回あった)。
アーカート城

さて、まっすぐスカイ島まで行かなくても少し時間に余裕はあったので、ちょっと寄り道してネス湖のアーカート城見に行くことに。この日無茶苦茶天気よかったものだから。

さて、さすが世界的に有名な観光地で、駐車場入るのに並んでしまったぞ(とはいっても5分位のものだけれど)。人もたくさん。

ネス湖自体はごくごく普通の、どこにでもある湖ではあった。何だか初めて諏訪湖を見たときのがっかりを思い出してしまった。やはりネッシーの話を先に知っていて、勝手なイメージを作ってしまっているとろくなことはない。

もっとも、超有名観光地だけあって人がいつまでも切れないのと、観光客用のサービスなのだろうが、バグパイプを手にしたオジサン(写真)がどこからともなく現れて、ひとしきり演奏したあとまたどこかへと去っていく、という光景を見ていたら「おいおい、まるでここは日光江戸村じゃないか!」と、何だか不思議な気分になってしまった。

さて、アーカート城から来た道を少し戻り、途中からショートカットルートとしてA887に入る。この道が何とも気分良かった。何というか、この国では森林の中を走ることがあまりないのだけれど、このルートはさにあらず。距離はないけれどおすすめです。

A87号という幹線ルートに出ると、さすがに車の量は多くなるが景色はめっぽういい。同じ区間を走る鉄道もいいって評判らしいけれど(乗ったことないのでわからない)、コーチの旅だとしてもこのあたりはすばらしい。進行左側に席を取ることが大切です。

さて、Kyle of Lochalsh に到着。何となくリゾート的雰囲気はあるが、天気が良かったこともあって、ずいぶんと開放的な印象の町。最初はこの町のキャンプ場に・・と思って下見にも行ってみたのだが、結構混んでいたのでパス。スカイ島に渡ることにする。「渡る」とはいっても橋でつながっている(有料)ので、面倒は全くない。

渡ったところでドイツ人のバックパッカーをピックアップし、Harrapool までのせる。彼らにしても、やっと止まってくれた車が東洋人の観光客だったとは思いも寄らなかったようで、会話はほとんど日本についてのものであった。

さて、しばらく行ったところ(Sligachan Hotel)で気持ちの良さそうなキャンプ場を見つけて、今宵の宿はここと決める。サイト自体が広いので、密集している、という雰囲気にならずにすむのがよい。一番奥の、小川の近くにテントを張ることに。

買い出しは面倒でも Portree まで行かねばならぬ。思いっきりハイシーズンということもあって、スーパーはすごい大混雑。品物もあまり残ってない。幸い、旨そうなサーモンを売っていたので、これを今宵のメインと決め、あと、ビール買い込んでテント場に戻る。
skye-camping

キャンプ場はご覧の通りえらく景色のよいところで、まだ日も高いので、とりあえずテント前でビール飲みながらゆっくりくつろぐことにする。しかし、やはり白人は強いね。写真奥の小川で泳いでたけど、水をさわってみたら何だか小学校のプール開きが低温のため中止になったくらいの温度しかなかった。何だか変なたとえだけれどとにかく冷たかった。だって、見ているこいつはフリース着てるんだものね。

さて、さっき買ってきたサーモンを持参のフライパンで焼き始める。味付けはホントにシンプルで、軽ーく塩胡椒してバターで炒め、焼き上がりにじゅわっと日本酒と醤油かけて終わり。バター使いすぎのきらいはあったけれど、うまかった!

そんなこんなしているうちに、さしもの太陽も随分傾き始めた頃。心地よく吹いていた風も収まってきたのです。そうしたら、出没し始めたのですね、あいつが。そう、Midge のやつが。

Midge とは、日本語に訳すならまあ「小アブ」なのですが、見かけはアブ(日本にいるウシアブとかハナアブを連想しないように)というよりは「黒ショウジョウバエ」というのがぴったりです。で、こいつらが大挙して襲ってくる。数は半端じゃありません。でもって、喰われると、長いときは一週間に渡ってかゆみが続き、かゆいものでかいてるうちにかさぶたが取れて血が噴き出し、それでもまだ痛かゆいという、非常に腹立たしい虫です。

でも、ハイランド地方近辺をまわった中ではここの生息密度が一番すごかった気がする。NZにはサンドフライという、非常によく似たアブがいますが、あれとそっくり。習性などもほとんど同じなので、彼らと仲良くつき合う方法をお教えします。まちがっても、「彼らを完全に撃退する方法」などを模索しないように。無駄です。

(1) 町の中にはほとんどいません。かれらはどうも清流で育つのか、小川のそばなんて行こうものなら地獄を見ること必定です。今回のキャンプ場も、小川のそばに張ったのが第一の敗因でした。なお、NZでは、南島ミルフォードサウンドのそばに無料キャンピングエリア(ほとんど知られてませんが)がありますが、あそこだけは避けた方がいいです。推定数千〜数万匹のサンドフライがあなたを歓迎してくれます。経験者は大変悲惨な体験をしました。

(2) 多少の雨、つまり霧雨くらいでは彼らは活動を停止しません。逆に、思い切り日差しの強い日中はあまり出てきません。体が黒だから熱くなりすぎるんだろうか?夕方から朝まだ日差しの弱い時間帯が鬼門です。勿論霧雨の日は一日中出てきます。

(3) 防虫対策。蚊じゃあないんですから蚊取り線香では蟷螂の斧に過ぎません。ただけむいだけです。日本から防 虫スプレーを持っていくというのも手かもしれませんが、携帯用の小さいやつなんかはすぐなくなるのでやめた方がいい。むしろ、こっちにきてから INSECT REPELLENT買ってしまう方がいいです。なお、スプレータイプとローションタイプがありましたが、スプレータイプは何だかえらくべとべとするのであまり使い勝手はよくありませんでした。

(4) 彼らは何が好きか。多分蚊と同様炭酸ガスを察知して集まってくるのでしょうが、どうも見ていると黒いものが好きなようです。となると日本人は不利。そう、黒髪ですからね。帽子はあった方がいいと思います。頭皮を喰われると腹立たしいので。あとは、頭皮にもローションしちゃうという必殺技も効果的ではありますが、あまりやりたがらないだろうなあ(効果絶大なんだけどね
)。髪を茶髪や金髪にするってのも一つの解決法ではありますが、なんだかそのこと人に説明するのも面倒だよなあ。

(5) 当然のことですが、テントの入り口や、宿の扉などはきちんと閉める。midgeの多いところでは、建物も彼らの進入を防ぐ構造になっています。次の人が閉める・・ではなく、その都度ちゃんと閉めないとあとで全員がひどい目に遭いますからね。

(6) ミッジとてアブですから、食らいつく瞬間は軽くちくっと来ます。そのサインをのがさぬこと。あまり素肌を露出しないこと。とにかく常に用心しておくことです。

まあ、一度は痛い目に遭うのもいいですし、もともと宿泊まりならここまで心配する必要など全くないですし、あんまり神経質になるのもどうかと思います。ただ、このエリアでキャンプを考えてる人は気をつけてね。

さて、このあとスカイ島でしばらくのんびりしようと思ったのも束の間、突然思い立ってさらなる離島に渡ってしまうことに。そこにはストーンサークルあり、無茶苦茶きれいなビーチあり、何とも言えずよいところでした。

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