宮之浦岳登山について 

頂上へのルート取りとしてもっとも一般的なのは淀川(よどごう)小屋に入って、翌日頂上を往復するコースなのでしょうが、これだと縄文杉を見ることはできない。従って一般的には頂上を越えて反対側の尾根上にある新高塚小屋まで縦走し、さらに翌日縄文杉を経由して小杉谷へ入り、ダム下の車道終点まで歩くか、もしくはもう1泊して白谷雲水峡まで行く、というパターンが多いようです。ただ、縦走の場合、どのコースを取るにしてもテント以外の自炊用品や寝袋は背負わねばなりませんし、頂上を越える日は比較的コースタイムが長いので、初心者同士で行くというのはあまりおすすめできません。また、冬の時期は当然山も空いていますが、ハイシーズンは各小屋も超満員になっているようなので、できれば時期を外したほうがゆっくり出来ていいでしょう。地元の人いわく、5月下旬頃、シャクナゲの咲く頃が一番いい季節だといっていましたが、GWや夏休みの混み方は尋常ではないということです。また、年末年始の場合、よほどのドカ雪の場合を除いてはピッケル等は必要ないと思います。ただしスパッツはあった方がいいし、頂上から新高塚小屋までは登山道が凍結していることが多い ので、不慣れな人は軽アイゼンがあった方がいいかも知れません。いずれにせよ、稜線上ではストックが有効です。
(1) 淀川小屋
空いているときと混んでいる時とではまるで印象が違うと思いますが、いい小屋です。小屋のすぐ裏を流れる川の流れは清冽で、感動ものです。小屋の周辺にはリスがちょこちょこ遊びに来ています。車道終点から30分にあるとは思えないほど山深く、ゆっくり落ち着けます。ただ、本流で米をといだあとがありましたが、水場の方でやって欲しいと同時に、とぎ水は別の場所に捨てて欲しいとは思いました。この小屋はハイシーズンには相当混むそうなので、もしここから単純往復をするのであれば、テントを担いできたほうが落ち着けるかも知れません。テントサイトもあります。また、トイレが一つしかないので朝のラッシュは相当なものだと思われます。
この小屋に備え付けのビジターズノートはなかなか読み応えがあり、雨の日の暇つぶしにはもってこいです。
そうそう、屋久島の各小屋に言えることですが、小ネズミが生息しているため、食べ物の管理は厳重に。ザックに入れて厳重にしめておくか(雨ブタの締め方をいい加減にしておくと侵入される)、ひもで縛ってぶら下げておきましょう。また、壁にぴったり頭をつけて寝ると、彼らの夜の通り道をふさぐことになり、結果としておでこの上をはねまわられます。彼らが通れるくらいの隙間をあけて寝るのが共存のためのマナーです。くわしくはビジターズノートをご覧あれ。被害を受けた先人の記録が連綿と綴られているはずです。
(2) 花之江河
本州の高層湿原を見慣れた人にとっては小さな湿原の一つとしか見えませんが、ここの緯度や高度を考えるとかなり貴重な存在なのでしょう。淀川からの急登を終えて一息つけるところです。もっとも縦走の場合はまだまだ先が長いですから休憩も程々に。特に冬の間は日暮れが早く、新高塚到着と日の入りはいつも同時になってしまいました。ご注意あれ。なお、ここまでの道すがらかなり多くのシャクナゲの株がありますから、花の季節には相当きれいなんでしょう。ここから一息登ると黒味岳の分岐になりますが、残念ながらいまだに往復したことがありません。次回への課題です。また、ここに来る途中の高盤岳展望台からは、スライスした蒲鉾のような岩を頂上に載せた珍しい景色が望めますので是非ご覧あれ。
コース途中の水場ですが、頂上直下まで比較的潤沢に手に入れることが出来ます。投石岩屋の直下や、時期にもよるのでしょうが翁岳を巻いて行くあたりにもあります。まあ、投石付近で汲んでおけば万全です。
(3) 投石岩屋
始めていったときは稜線上も風がびゅうびゅうで、この岩屋の下でかなり躊躇しつつ寒さに耐えた記憶があります。ここからは完全に吹きさらしになるので、悪天の場合はここから引き返すことにするのもいいでしょう。なお、岩屋自体は確かにひさしはあっても、風は容赦なく(それでも随分弱いのですが)入り込んできます。ツエルトなしのビバークはきついでしょうね。ただ、晴れていればこのあたりはなかなか気持ちの良いところで、2回目の時はここで兵六餅を食べながら屋久鹿を眺めつつのんびりしてました(ちょっとブレた写真で済みません)。




(4) 宮之浦岳頂上
晴れていれば360度の水平線が拝めるところなのですが、残念ながら自分が行ったときは2回ともガスとみぞれ。2回目は永田岳の勇姿は拝めましたがそれ以外の大展望は望むべくもなく、早々に退散せざるを得ませんでした。

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