こちらが今回おじゃました民家。外には染色した糸が干してある。うーむブムタン。
さてさて、数ページも前から「そろそろ昼ご飯」という文字を読んで待ちくたびれた皆様、お待たせいたしました。というわけで、いよいよランチタイムがやってまいりました。
こちらのお宅はれっきとした「民家」(とはいっても飛び込みで入ったわけじゃないですし、ある程度は我々のようなお客を受け入れた経験があるはずですけれど。ね、Kさん♪)。今日の昼ご飯は、ここでブムタン名物の蕎麦料理ほかをいただこうというわけです。
【 ブータン建築こぼれ話 】
上の写真を見ていただければわかりますが、ブータンの伝統的な建築法では階段は外についています(そして例外なく急。トイレは外だから酔っぱらったら大変)。1Fはいわゆる納屋。2Fが生活の場となっています。2Fと屋根の間にかなりの隙間がありますが、実は屋根は2Fの上にあらためて土台を作った上で「載せて」あるのです。台風のないこの国ならではの構造です。
その隙間(3F)は、肉や野菜を干したり(もちろん洗濯物も干せる)、さらには穀物や干し草などの貯蔵庫などとして利用されているそうです。この家の場合は風通しの良いままになっていますが、家によってはこの周囲に竹の覆いをつけて鳥や虫の進入を防ぐとともに、一種の飾りとしてデザインしている場合も多いようです。
さ、勉強になったところでいよいよ2Fの居間へ。まずはお客さんを迎える儀式というか、ブータンの家庭では必ず最初に出てくるものがやはり出てきます。それは‥バター茶。
ブータン文化のベースは完全にチベットにあるといっても過言ではありません。国語のゾンカも、そしてゴを代表とする服飾文化もみなその源流はチベットに求められるようです(そういえばゾンの雰囲気もポタラ宮に似ているぞ)。となればバター茶があっても全く不思議ではないのですね。
バター茶は紅茶、バター、塩などを混ぜて飲むものです。ティンプーなどでは最近でこそ攪拌の手間を惜しんでミキサーでしゃしゃっとやってしまうようですが、ここブムタンではまだ伝統的な攪拌機が生きています。
この筒が攪拌機。この長い筒に、バター、塩、そして熱い紅茶を注ぎ、その上で上からえっちらおっちらと棒でつついて溶かしていくわけですね。おばさんが右手に持っている棒がそれです。え、それでも作る時の雰囲気がよくわからないって?しょうがないなぁ(笑)。
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そうして出来上がったバター茶はお客人に対して振る舞われます(この写真では置いてある椀に注いでいますが、カルマさんは椀を手に持っていました。やはり「お酌」系が正しい作法なのでしょうか、いかん、聞くのを忘れたぞ)。
このバター茶や、あとで出てくるアラ(ブータン焼酎)にも共通しているのは、決して最初の一杯で終わりにしてはならず、必ずおかわりをいただくのが礼儀だということです。わたしゃ始めてのバター茶でしたが結構イケたので何杯もおかわりしましたが(アラに至っては際限なくおかわりしました)、口に合わなくともやはりおかわりはしたほうがよろしいかと。
さて、そうしているうちにアラが出てきます。麦やら米やらを蒸留して作ったいわゆる焼酎ですが、においについては好みが分かれるかもしれません。でも、口に含めばこれはまさに焼酎。普段から25度の焼酎をロックで飲っている人にはたまりません(あ、そういう人はそんなにいないのかな。わたしゃいつもなんだけれど)。
ちなみにこのアラ、自家醸造は認められていますが市販は許可されていません。ということは、レストランなどで「アラおくれ」といっても「ありません」と言われるのが普通ということ(例外はたまにあるようですが)。こういう機会でなければ飲めないわけですね。ぬふー、うれひ〜(あのねえ)。
自家醸造ゆえ入れ物はその家のあるものを使う。この家ではコーラのペットボトル。右にあるのはバター茶の入ったやかん。そうだ、「アラのバター茶割り」やってみるんだった(笑)。
そうこうしているうちに、キッチン(とはいっても目の前なんだけど)ではいよいよ蕎麦料理の準備が始まります。ブムタンの蕎麦料理の中でも代表的なものは「プタ」と「クレ」。プタはまさにお蕎麦そのもの、つなぎなしの10割蕎麦(だったと思う)。クレはブータン版ホットケーキといえばいいのかな、でも甘いわけじゃないですからインドのナンみたいに他のおかずと一緒に食べるのが普通のようでした。
さて、いよいよプタの調理が開始されます。説明するのが面倒なんでここからは怒濤の動画でどうぞ(笑)。
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あまりに動画ばかりでは怒られそうなので、普通の画像もご紹介いたします。
ほぼ練り終わった蕎麦玉がこれ。色が濃いなぁ。
年期入りまくりのこの機械で押し出します。いわゆるトコロテン方式ね。
格闘するTakemaの図。体重をかけて一気に押し出します。
そうすると、こうなります。おおっ、確かにお蕎麦だぁ!
そうこうしているうちに、すぐ横ではもう一つの郷土料理、「クレ」の準備が始まりました。し、しかぁ〜し、もうこのページは情報盛り沢山すぎになってしまったんで、続きはお次のページでお楽しみ下さいな。