− その1 ポブジカ到着直前まで −



トンサを出発してしばらくは、こんな桃源郷のような風景が続きます。

トンサ(2200m)からペレ・ラの峠(3300m)までは往路に通った道をただ戻るだけなのですが、進行方向が違うとこんなにも印象が違うものなのか、はたまた強い日差しのせいなのか、何とも気持ちがいいものです。車内ではなぜか「般若心経」のMDがかかっていたりして(しかもチベット語)、いやがおうにも「愉快なブータン楽しいブータン、ブータンブータンブーターン♪」というような、昔懐かしいグランドキャバレーのテーマソングみたいな気分になってきました(意味がわかる人はおっさんですな)。

でも道はなかなかに険しく、路面状態も結構悪いところが多いのは往路と同じ(あたりまえですな)。

こういう地形が結構ひっきりなしに続きます。落石がないところを見ると岩盤自体は落ちついてるんでしょうけれどね。雨期には通りたくないぞ。
さすがに1時間以上も休みなしで乗り続けていると、ただ乗っているだけとはいえ少々くたびれてきます(道が道ですし)。というわけでちょいと休憩。無風快晴、言うことなし。あ〜、こういう日ならバイクで走ってみたいなぁ。もっとも峠は雪でしたから、CBR1100XXだったら帰れずに難渋したのは明らかです。そもそも、最大1.5車線、しかも50mの直線道路すらほとんどないブータンでは、あのバイクじゃただへとへとになるのみ。250のツーリングオフ車あたりが一番合ってますな。

ただし、首都ブータン在住のカルマさんでさえ、「レンタルバイクなるシステムはティンプーでも聞いたことがないですね」ということでしたから、個人的なコネでもない限りこの国で中型以上のバイクに乗るのははなはだ困難なことでしょう。

ただ今休憩中♪。ちなみに平均時速30kmでしか移動できないブータンでは、次の町(Chendebji)まで4kmと書かれていてもまだ結構遠いのです。ちなみにセンターラインは、ただ「道の中央」の目安を示しているだけで、普通車でさえ車線内だけを走るのは不可能な幅ですので念のため。
さて、休憩地点から少し行ったところで、上の道標にもあった「チェンデブジ」という集落に着きます。ちなみにブータンの山村は道路から離れた場所に点々と家が散っているのが普通で、日本の街道筋のような「村」を形成しているわけではありません。だから「さぁ、もうすぐ次の町に着くかなぁ」と思っているうちに数軒の家を通過したと思ったら、「今のが○○の村ですね」と言われて「げげげっ」と思うことも多いかと思います。まぁ、今のブータンを旅行する際にはガイドと運転手が必ず付きますから、ガス欠とか昼飯食いそびれなどということはないんですけれどね。

チェンデブジの「集落」もそんな感じです。道沿いに家などないです。しかしその代わりにあったものは?

お、いきなりお目々が特徴的なネパール式のチョルテンです。ブータンにはブータン式以外にも、チベット式、ネパール式などの様々なチョルテンがあります。地域にもよるようで、チベット式は西部にはほとんどなく東部に多いのだとか。ちなみにすぐ右上の写真で、道路脇に見えるチョルテンは五輪塔型のチベット式チョルテンです(勉強になるページですなぁ)。

さて、このあたりからはいよいよ本格的にペレ・ラ目指して登り始めます。ふと来し道を振り返ってみると‥やっぱりくねくねしてますね。これがブータンの正しい道路です。

しかし、上の方の畑に行くだけでも重労働のはず。ブータン人の足腰は日々知らず知らずに鍛えられておりますな。やばいぞ自分。
さていよいよ峠に近くなり、あたりは笹原になってきました。標高は優に3000mを越えています。と思ったらやっぱりいましたね、ヤクの軍団。ちなみに、車が近づくとヤクの番をしていた兄弟のうち弟がおにいちゃんの陰にぱっと隠れました。どうしたのかなと思って通過後後ろを振り返ってみたら、テレながらもしっかりこっちを見てました。何だはにかんでたのね。何ともブータンの遊牧民の子らしいそのしぐさにほのぼのした気分になっちゃいました。さぁ、そしてペレ・ラへ。

やっぱりここは動画でひとつ。

「天気がいいとやっぱりヤクも気持ちいいのかな」
Wmv形式、604KB、14秒



「ペレ・ラ、晴れて爽快の峠越え」
Wmv形式、568KB、12秒
ペレ・ラからしばし下り始めると、こちら側は日があたらないのかかなり雪が残っていました。このカローラくん、スノータイヤじゃないよなぁ。多少緊張しつつも、「根拠なく信じて」下り道を進みます。

道はかなり雪が残ってます。はぐれヤクくん、キミの食べるご飯はあるのかい?たぶんあるんだろうなぁ(笑)。
ペレ・ラからしばし下ったところでいよいよポブジカへの分岐へ。左にダート&雪の積もった急坂を登ります。カルマさんが「いけるかな、雪は大丈夫かな」と言っていたのでどうなるかなぁと思ったのですが、何とかポブジカへの峠まで上がってきました。ここから先は南斜面なので問題ありません。というわけで峠で休憩っ!

メインロードからポブジカに進む途中の峠にてゆったりまったり。ブータン式のチョルテンでゆっくり。でもさすがに12月&3000mの風は冷たいなぁ。ドライバーのアジェくんはこれまでのハードな運転の疲れを癒すべく煙草を一服。そうよそうよ、こういう一服が大事なのですよ。
さて、ここからは一気にポブジカ谷に向けて下っていきます。本当にいるのか、オグロヅル?

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