− その2 プナカゾンのご本尊に「合掌」 −

だいぶ夕方近くなってきた頃に本日の最終目的地であるプナカへ。さて、ブータンという国はなかなか変わった国で、かつては夏と冬とで首都が別の場所に定められていたそうなのですね。暑い夏は標高の高い=涼しいティンプー、寒い冬は低地のプナカが首都だったそうで、そのシステムは1955年まで続いていたそうです。

しかし、ここで話をややこしくしているのは初代&二代目の国王で(現在は四代目)、首都がティンプー&プナカにありながら、この王様たちは「夏はブムタン、冬はトンサ」で政治を行っていたそうです。どっちも首都じゃなかったじゃないのさ!うーむ、何をお考えになっていたのだかよくわからない(笑)。まぁいずれにせよ、つい50年くらい前までの数百年間ここプナカは一国の公式首都であったことには変わりありません。しかし、その割にはあまりにも田舎なんですが(笑)。

プナカにあるゾンはポ・チュ(=男川)とモ・チュ(=女川)の合流地点にあって、遠くから眺めてみてもかなり立派なものです。しかしやはり立地そのものがすごい場所にあることから、以前ポ・チュが大増水したときにはかなりのダメージを受けたのだそうです(何でも、ずっと上流にある氷河湖が決壊したのだそうな。地球温暖化の影響がここにも影響したということなのでしょうか?)。下の写真で、ゾンの手前にある三角州的砂地にはその時の土砂の堆積物が相当含まれているらしいです。恐るべし自然の猛威。

左の写真を見るとゾンがそれほど大きくないように見えますが、ゾンそのものは縦長の構造をしていて、今見えているのはその細い側の面なんですね。左の画像にマウスオンすると別角度からのゾンの外側をご覧いただけます。んでもって、このゾンには右のような長い橋を渡っていくわけです。
さて、時間的にはそろそろあかんというタイミング(すでに17:00=門の閉鎖時間?をまわってた)だったんですが、カルマさんが警備の警官の方と折衝してくれて、めでたく中に入ることができました。「地球の歩き方」には「宗教界の最高権威ジェ・ケンポが滞在する冬の間、内部には基本的に立ち入ることができない」とあるんですが、まだお見えになっていなかったのか、それとも「例外的に入れた」のかは謎です。

ゾンの入口はかなりの傾斜の階段から始まるのが通例です。これはゾンが外敵からの防衛を考えて作られている「城」なのだからと考えてみれば当然のことで、橋を恒久的な造りにせずに吊り橋のままにしているのもその観点からのことなのでしょう。一番有名なゾンであるパロ・ゾンでさえ、橋は「いつでも落とせるようになっている」ということでしたし。

ちなみにここブータンにおける「外敵」とは、歴史的に北方のチベット族をさします。もちろんブータンの人々も民族および文化的にはチベット系の流れを汲んでいるのですけれど。ちなみに南のインド方面勢力は寒い地域まで占領しようという発想がなかったのか、ほとんど直接的な対決がなかったようです。イギリスの植民地政府とは多少やりとりがあったようですが。

こちらがプナカ・ゾンの正面入口。下のほうの白く見える階段はだいたい普通の傾斜ですが、そこから上にのびる木の階段は相当の傾斜です。木で作られていることから考えて、非常時には取り外すことができるんでしょう。それにしても相当のボリューム&威圧感です。この写真にマウスオンすると、木の階段あたりでボーゼンと立ちつくすわれわれが出てきます。全体の大きさを実感してくださいね。

さて、時期的にも時間的にも入れないはずのゾン内部でしたが、カルマさんは本来立ち入れるはずの中庭はおろか、どんどん中に入っていってくれます。奥の方にある「お寺本殿」まで行き、そこでお坊さんに折衝して、何と拝観までさせていただけました。もちろんこれは幸運な例で、いつでもそういうことではないはずですが。

お坊さんのほうに向かって3回の拝礼、そしてご本尊への拝礼。聖水をいただく際は右手で受けて口へ。余った聖水は頭などにすりつける。チミラカンでやっていたため、今回はさほどどぎまぎせずにできました。

さすがに少しずつ暗くなってきた頃、今日の宿へと向かいます。Zangto Pelri Guesthouseが今宵の宿。町からは相当離れた山の中腹にあります。本館以外にもコテージ形式の部屋がいくつもあって、それぞれ何ともいい雰囲気。各部屋の入口には宗教画とでもいうべき壁画があったのがいかにもブータンらしいんですね。

これが宿の本館@朝になって撮った写真。ドライバーのアジェくんが「さ、もう出発するよ」とでも言いたげにしていますが、近くの棚田を見に行ったTakemaは出発時間に遅刻しました(笑)。
宿の夕飯はビュッフェ形式。前のページで書いた「KUENSEL」編集長さん&お仲間のご家族と一緒になりました。ここではインド料理が主でしたがエマダツィもちゃんとありました。考えてみれば、ブータン出発前には「各ホテルの飯はインド料理のビュッフェが普通」という情報をつかんでいたのですが、振り返ってみればインド系料理を食べたのはここだけでした。おそらく大人数のツアーだとインド系が基本になるのでしょう。うちらは2人ですから、あらかじめカルマさんに夕飯の希望を話しておけば、チベット系料理を含めて大体何とかなりました。好きにオーダーすることも多かったし(それでも食事代は全て込み)。やっぱりオフシーズンの少人数旅行はいろいろ融通が利くのかな。

さ、翌日は峠を3つ越えて一気にブムタンまでの長丁場っ!でも結構だらだらと移動(笑)。

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