さっすが、ブータンを代表する峠は派手なんです! − ドチュ・ラ 3050m −
− ドチュ・ラ(3050m)の峠にて −



峠の頂上はまるで運動会を思わせるようなダルシン旗の波っ!

日本の山なら、わっせわっせと背中の重荷に耐えて耐えて耐えかねたあげくの末にようやくたどり着く標高3000mの高み‥のはずなんですが、ここブータンでは別にそう大騒ぎするほどの高さでもありません。そりゃそうだ、首都よりたった700mほど高いだけなんだもの。しかし、先ほどのゲートのあたりの松林とは植生も全然違い、このあたりは針葉樹林に寄生植物のサルオガセが垂れ下がる、高山特有の雰囲気になっています(日本でも北海道の根室沿岸では海岸沿いに似たような風景が広がっています=北太平洋シーサイドラインの東側)。

峠に着いてびっくらこいたというかやっぱりというか、とにかく驚いたのはえんえんと連なるダルの列。ダル(旗)、シン(棒)については前にもどこかで書きましたが、要は祈りの旗であるわけです。黄や赤や青色のカラーダルは(この場合、ルンタとも呼ぶようです。上や左下の写真はほぼみんなそれ)現世利益というか、願いが叶ったその感謝として、そして白いダルは(ブータンメニューページのトップにあるこの写真ですね)死後の極楽往生を願う意味で、それぞれみなお坊さんの祈りをいただきつつ設置するそうです。

道路沿いに横断幕として左右に広がるカラーダル、そしてその手前には一面の白ダルの林。峠は、日本と同じようにやはり祈りの場所だったんですね。しばらくは、このようなドチュ・ラの一風変わった風景(ブータンではここ以外でもあたりまえの風景なんですが、初心者だったもんで(笑))を楽しんでおりました。

し、しかぁし!ドチュ・ラの魅力はこれだけではありません。峠の北側は展望が開けており、そこから見えるのは、な、なんとブータンヒマラヤ山脈!確かに8000mオーバーの有名山岳こそありませんが、Mt.ガンガプエンサム(7541m)をはじめとした7000m峰が延々と連なっているのが一望できるのです!

乾期である冬で良かった。その他の季節は見えないことも多いとか。ちなみに地図を手元にしての山座同定の場合は、上の写真で一番高い木(微妙にね)のほぼ上にある平らな山がその名も「Table Mountain(7094m)」であることを目安にして下さい。

はぁ〜っと、しばし山々のお姿を眺めつつも、そろそろ昼ご飯タイムということで峠のすぐ上にあるレストハウスへ。ここはブータンを訪れる旅行者のほとんどが(日中ならば)訪れる施設だと思うのですが、さすがにオフシーズン、お客は最初うちらだけでした。昼飯は到着後オーダーしてから出てくるまで2時間ほどかかりましたが、さすが、ここにしっかと流れているのは「ブータン時間」なんですね。まぁこの日は時間的に余裕もあったし、まぁいいやということでのんびりと構えます。

ところで、出されたお茶を飲んでいるうちに、お茶請けとして出されたお菓子に目がとまりました。「むむっ、こ、これは?」

(左) レストハウス内には日本の山岳関係者が据え付けたという山岳展望用の望遠鏡があり、暇つぶしに最適!
(右) お茶請けのお菓子、左はサッカー、真ん中はバスケットボール、このふたつはわかるけれど、右側は何だろう?新体操?
さて、待ちに待ったお昼ご飯の登場です。ここでわれわれ2人の心じゃなくて舌を大いに揺さぶったのが新たなるブータン料理の一つ、「イヅィ」でありました。地球の歩き方いわく、「脳天に突き抜ける辛さ」とありましたが、これは唐辛子のみならず山椒を大量に使用していることからくる形容でしょう。でも、辛くてピリリ系の割には案外食べやすくて結構気に入ったのですが。観光客向けにマイルドにされてたかもしれないけれど。

ここからはプナカのある谷まで、標高差にして一気に約1700mも山道を下っていきます。

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