− 2度目のティンプーマーケット −



ドマ(ビンロウジュの実)とキンマの葉を売るおばさん。
ちなみにぶら下がっているのは乾燥チーズですな。

海外旅行中にローカルの市場に寄るのが好きな人はかなり多いと思いますが、ここブータンではちょっと注意が必要です。それは何かといえば、首都ティンプーを含めてブータン国内の市場は週末にしか開いていないということ。幸い私ら夫婦はブータンに10日間滞在していましたから見る機会は何度もあったんですが、たとえば月曜日に来て木曜日に帰るというような日程の場合は市場見学が出来ないということなんです。日程を組む際には十分お気を付け下さい。

さて、ティンプーの市場は到着日にちらっと見たんですが、いかんせん日曜日の夕方ということもあって店の数も少なく活気も今一歩でした。ならば今度こそ活気のある土曜日の午前中にあらためて見ちゃれということにしたわけですね。

野菜の種類は冬場にもかかわらずかなり豊富です。というのも、この時期は国内では野菜があまり取れませんから、これらの生野菜の多くはインドからの輸入が多いらしいんですね。バナナ(ミニバナナ系です)も売られていましたが、あれもどう考えても輸入なんでしょう。

当然パックなどはされておらず量り売りが基本です。必要な量だけ買えるというこのやり方は外国のスーパーなどでもごくあたりまえなんですが、どうして日本のスーパーではやろうとしないのか理解に苦しみますなぁ。

さらにブータンのすごいところは、基本的に「プラスチックバッグ禁止」だということ。土に戻らないような使い捨て品は処分にも困るわけで、ならばそのような品を使わないようにさせようというのがブータン政府の方針のようですね。日本でも「買い物袋持参運動」のようなことをやっていますが、もう一歩踏み込んで強制力を持たせてもいいと思うんですがいかがなもんでしょうかね。

ちなみにこの国では「日本も見ならわなくちゃイカン」系の施策が他にもいろいろあったりします。たとえば「文化の根元は森林であるから、木は切らない。」という方針。途上国とはいえあまりにも勇気のある決断といえるでしょう。興味のある方はこちらもご覧下さい(松下政経塾のサイト)。

というわけで話を戻しますが、市場で何かを買いたいときは袋を持参しましょうね。

というわけで、こちらで売られていた品物をいくつかご紹介しましょ。

まずはいわずと知れた、ブータンの国民食ともいえる唐辛子。カルマさんに聞いたら、「唐辛子1kgをだいたい5日くらいで使い切るのが普通」ということですから半端じゃありません。ちなみに、エマダツィ(エマ=唐辛子、ダツィ=チーズ)は一年中食べられていますが、冬は新鮮なものが手に入らないので干したものを使います。春になってしばらくして生のエマを使ったエマダツィを初めて食べるときには「あぁ、いい季節になったなぁ」と感じるのだとか。唐辛子で季節の移り変わりを感じるとはさすがブータンというべきでしょう。
というわけで、うちらも買うことにしましたブータン産のエマ。左の写真で袋にどんどん詰められているのが我々の買ったものです。1kg=4-5日分とはいえ、干して軽くなっているものですから袋の大きさもかなりのものです。ちなみに1kgで150NU(当時のレートで380円くらい)。爆安です。

ちなみにエマにも大きさやら辛さやらがいろいろとありまして、ここで買ったのは長さ7-8cmにもなるかなり大きめのもの。辛さは日本の唐辛子よりも多少マイルドです。でも一度に食べる量が半端じゃないですから、大汗は必至です。

え、買ったエマはどうしたのかって?そりゃもちろん、そのまま日本には持ち込めませんよね。というわけで、自分たちで食べたり皆さんにおすそ分けした‥はずです‥たぶん(最近忘れっぽいもので(汗))

あ〜あ、こんな量になっちゃいました。また、すぐそばの店では山椒がずどどっとてんこ盛りにされており、これまた格安。またも購入〜♪。

出ましたブータンの嗜好品「ドマ」(左写真)。台湾の「ビンロウ」と同じように、ビンロウジュの実とキンマの葉に石灰を混ぜて楽しむというお楽しみです。

右の写真は皮をむいた実とキンマの葉と石灰(オレンジっぽいやつ)の三点セット。あとは葉にそれぞれを包んで口に運ぶだけですな。しかしこれ、慣れないとシブイだけで終わります。1回試しましたが、まぁもういいやという感じ。それにしてもあんまり身体に良くなさそう。って、喫煙者のTakemaがいうのも変ですな(笑)。

なお、ブータン国内で道ばたに赤いシミが付いているのを見つけたら、それは真っ赤に染まったつばのなれの果てです。念のため。

多少緑がかっているのがチュル。これは何かといえば実は海苔。この国では海苔も食べるんですね(そういえば料理の中にも入っていたぞ)。ちなみに輸入品ではなく、国内の川で採れる川海苔だそうです。

このページのトップでも出てきたおばさんですが、今度の主役はぶら下げられたチーズ。白いのは乾燥チーズ。中央の茶色いチーズのほうは、煙でいぶした燻製チーズだそうです。しまった、どちらも食べてみるのを忘れた。どちらも保存食で、エマダツィなどに使う料理用チーズとは別のものです。少年がしっかりカメラ目線なのが健気というか嬉しいというか(笑)。ちなみにお金などの要求はありませんからご安心を。

これは見た限りでは全く何だかわからない商品。実は「お香」なんだそうです。杉の葉が多いようですが、それ以外にもいい香りのする葉がいくつか使われるそうで、写真にある一山なんかは各種ブレンド品なんでしょうか。ブータンの各家には立派な仏間(仏壇ではない)があり、毎朝のお勤めの時に焚くのが普通ですから、消費量もかなりなものなんでしょうね。もちろんお線香もないわけではないです。



なお、ティンプーの市場(サブジ・バザール)はさすがに都市のマーケットだけ会って店の数も多いのですが、市場独特の雰囲気という点ではちょっと味気なさを感じるかも知れません。屋外の開放的なマーケットのほうが良いのなら、パロのマーケットのほうがいいかなぁと思います(このあとのページでも再度出てきます)。好みにもよるでしょうけれど。

さてお次は、現在のブータン(特にティンプー)で問題になりつつあるある状況についてご紹介いたしましょう。題して「ブータンのお犬様事情」。

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