おお、出たなヤクっ!んでもっていよいよブムタンへ

峠の頂上から標高にして200mほど下ってくると、道の両側はサルオガセの薄緑衣を枝にまとった針葉樹の高木林となります。そろそろトイレ休憩でもいいなぁと思っていたちょうどその時(何たって昼飯でビール飲んでるからね)、道のすぐ脇に牛の群れがいた!と思ったら、「ヤクですねぇ」とカルマさん。それならばということでちょいと車を止めてもらい、しばしの見物ということに。

よほど北部の奥のほうに行かない限り野生のヤクはいないということで、このヤク達も当然放牧ヤク(右のヤクの首にベルがついているのが見えます)。飼い主達はしばらく下りたほうで牛を追いながら登ってきていました。

ヤクは正しくはどうだかわかりませんが、いわゆる高地順応型のウシと思えばいいのでしょうか。暑くなる場所には住むことが出来ず(このあたりでは3000m以下には住めないとか)、よって高地に住む遊牧民の家畜として飼われるようになったわけですね。

ちなみにヤクの肉はコクがあっておいしく、様々な肉の中でも一番高価とのこと。脂肪分も牛に比べて少ないそうで、ということは「北部地域で手をかけて育てられたヤクの霜降り!」なんていうのは絶対にバッタもんだということですね(そんなの売ってないけど)。

遊牧民はヤクの全部位をすべて食用 or 活用するそうですが、なぜか舌だけは食べないそうな(←「地球‥」の受け売り)。どうしてかな。食べず嫌いじゃないのかな。捨ててしまうのなら、その舌だけ冷凍して日本に送ってみたらどうだろう。「ブータン産 放牧ヤク舌」、うん、これは高くても希少価値で売れると思うぞ!(もともと供給量も少ないし)。少なくとも自分なら絶対買うね。

なお、ヤクの体毛は牛と違い長くて縮れ毛。高地の寒さに順応するためには是非とも必要な進化だったのでしょう。尻尾も同じで、そのためマーケットではヤクの尻尾がハタキとして売られているようです。ティンプーのマーケットでも見たんですが、何だか一度付いたほこりが取れそうにないので(笑)買うのをやめた記憶があります。ここまで来てまだ左上の写真のロールオーバーに気付かなかった人は、左上のヤクの尻尾をよく見た上でマウスポインタを画像の上に載せてみて下さい。ほら、同じでしょ(笑)。

というわけで、お次はまたも「ホームページ容量を無駄に増大させるだけ」ともいう動画くんです。

やっぱりここは動画でひとつ。

「全く動じずただ食うのみ、あっぱれヤク!」
Wmv形式、504KB、11秒

黙々と草をはむヤク。こっちを向かせようと口笛を吹いたりするが
いっこうに反応なし。ズームアップとともに一歩近づいたけれど、
怖くなってズームも足も下がってどうするTakema(笑)。



「実はやっぱり臆病だったのか?」
Wmv形式、678KB、16秒

最初のヤクにはビビッタけれど、次に出会った集団を見ると、
何だ、えらく臆病じゃないか!(つまり同類)。
しかし彼らは決してTakemaにビビッタわけではなく、日本が誇る
世界のカローラに驚いただけなんだけれど(笑)。

てなわけで、標高で1300m(プナカ)-3300m(ペレ・ラ)-2200m(トンサ)-3400m(ヨトン・ラ)というようにわっせわっせと越えてきたんですが、いよいよ今日の目的地ブムタンに近づいてきましたなぁ。しかし!

ヨトン・ラからだいぶ下ってきて(標高差にして700mくらい)、のんびりした広い支流の谷ぞいを走っているし、もう本流沿いのブムタンも近いんだろうなぁ♪と思っていたのに、なぜか道はまたもぐわんぐわんと登り始めやがりました。もう日暮れ近いのにぃ!

最後に待っていたのは「キキ・ラ(2900m)」。小さな峠だけれどいい雰囲気。この写真、夕方じゃなければなぁ。ちなみに、帰りのときはド快晴でむちゃくちゃキレイな場所でした。
というわけで、目的地ブムタンに着いたのはもう真っ暗になった18:00ちょっと前。ブムタン地域の中心部ジャカールのメインストリートは、立ち並ぶ家々(せいぜい200mだけど)からぽつんぽつんと灯りが見え隠れするさびしい雰囲気。しかしこれはティンプーの夜景、いや日本の都会を基準にしているからいけないんですな。その証拠にカルマさんもアジェくんも、宿に着いておちついたあとにしっかり「夜の街」に消えていきました(笑)。まぁ実際は夜の街といっても「妖しい世界」はないんですけれどね(ここはブータンです。バンコクじゃありません。お忘れなく)

さて、うちら夫婦は実に素直に部屋に入ります。向かいの部屋には、トンサの昼食時に偶然一緒だったKさん。もっともこの日の宿泊客はうちら2組3人だけだったみたいです。

部屋の中には‥おおっ、ストーブがあるじゃないのさ!



やっぱ薪ストーブでっしょ!ぬくぬくっ!

薪ストーブはいいなあ。火ぃ見てるだけでもいい気分だし、おまけに直接的な熱が一気に感じられるのもまた捨てがたい。もともと火はついてなかったけれど、今回は薪をくべて一発で着火!ああ〜と至福の時間を満喫するTakemaなのでありました。

さて安心したおしんこどんは、お湯が出るのを確かめた上でしっかりシャワーへ。わたしゃ外気温でしっかりと冷やしておいた(冬ですからね)日本酒をキュピキュピっとやりながら、まぁ今日の日記でも書くかなぁとのんびりし始めたところで‥

「ブータンは電力事情が悪いから、突然停電する」というのは知識として知っていましたし(送電事情の問題なんですけれどね。ブータン自体は水力発電による電力の輸出国)、各部屋にロウソクとマッチが常に常備されているのも確認済でした。しかしやはり停電に慣れないわたしゃ、いざ停電になったら何だか嬉しくなってきちゃいました(笑)。

シャワー中のおしんこどんのところにロウソクを持っていき、部屋のテーブルの上にももう一つ設置し(ここSwiss Guest Houseでは1部屋に2本のロウソク完備。ということはそれだけ停電が多いということか?)、でもじっと座っていられずにトーチを持って表へ出てみます。

母屋のほうもぜぇ〜んぶ真っ暗な中、宿の方々とおぼしき人々がライトを持ってああだこうだと言いながらうろうろしているお姿が見えます。そういえば、子供の頃は日本でも結構停電って多かったよなぁ。親が「あかりもってこい、あかり」などといっているのを聞きながら、結構心ときめいていたっけなぁ。

ロウソクの灯りがうすぼんやりと部屋の中を照らしています。

隣の部屋のKさんはかなり明るいライトを持参していたようで、窓とカーテンの隙間から明るい光が洩れているようです。「そちら、だいじょうぶですか?」と声をかけてくれました。うちらはそれぞれマグライトを持っているのですが、せっかくの停電なので(笑)ブータンスタンダードのロウソク生活を楽しむことにしました。

このゲストハウスは町からちょっと離れた高台にあるので、何とか町の方を見ることが出来ます。まっ暗闇の宿からふと町の方を見てみると‥

何だ、停電はこの宿(およびこの一帯の狭い地域)の問題だったのね。ちなみに雨期には停電がよく起こるということだったんですが、今は乾期なんだけれどなぁ。さて、停電はしばらくして復旧。飯でも食べようかということで食堂へ。飯はいつものエマダツィほかのものなんですが、ここブムタンに来たからには是非とも飲みたいお酒があるんですな。それは‥「Red Panda Beer」。ブータン唯一の国産ビールです。

これが憧れの?パンダビール。不思議なコクがあるんだけれど、なぜかビンの底に沈殿物があるのが面白い。多分酵母その他を完全に除去しきれていないんだろうなぁ。
あったか薪ストーブのおかげで夕飯自体はつつがなく終了。さて、明日はブムタンをうろうろするぞぉ。

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