ちなみにジャングルの中はご覧の通りの暗さ。
これを撮ったのは9:30AM頃ですから、「昼なお暗いジャングル」というのは
ウソじゃないなぁと実感。写真を撮るのに苦労しました。あ、言い訳に聞こえた?その通りです!


(うわっ、すぐ上の区切り線、なんだか気持ち悪いな)

さて、ヒルとの格闘も終わり、遅めの朝食をとったあとは山の上のビューポイントへ。昼間は暑くなるので動物たちはほとんど動きません。だから彼らを見つけるのも非常に困難になるわけで、だったら景色でも眺めに行くしかないなということですね。というわけで、気温もしっかり上がったジャングルの中を、えっちらおっちら歩き始めます。

 

そうそう、熱帯雨林の大木といえば「板根(ばんこん:上の写真左)」を抜きにして語ることは出来ません。熱帯雨林では葉や小枝など、温帯ではじっくりと時間をかけて熟成(腐っていく)ものが、高温ゆえたちまちのうちに腐ってしまい、我々の感覚でいう腐葉土というものがほとんど存在しません。従って表土が薄くなり、樹木はその薄い表土部分に根を張ろうとするわけですから当然倒れやすくなります。高ければ高いほど安定度に不安が出てくるというわけで、その対策として木々が考え出したのが板根というわけです。

今回スティーブさんが教えてくれたこと。彼は「ジャングルの中では、大声を出しても木々に阻まれて案外聞こえない。数百メートル離れたらもう駄目だ。だから自分の存在を遠くの人々に伝えるにはこうするんだ」と言って、木の棒を板根に打ちつけました。「ドンッ!」。そうなんです。人間の声のような高い波長の音は案外遠くまで伝わらないのに対し、低波長の音は遠くまで伝わります。鯨が低波長の鳴き声で遠くの仲間に自分の存在を伝えるのと同じ発想です。「これなら1km先の相手にも自分がここにいることをアピールできる」。なるほど、確かにそうだ。試しに自分たちが打ちつけた「ドンッ!」という鈍い音は、ジャングル全体に響き渡り、その音になんだか神々しさを感じた一瞬でした。

(写真右)川の支流にはこのような滝&広い滝壺プールなどもありました。現地ではこの場所を「ジャグジープール」と呼んでいましたが、さもありなん、つい泳ぎたくなるような場所です。ただしこの付近にはヒルも多いですから(ヒル特集ページで葉っぱから身体を伸ばしていたヒルの写真がありましたが、あれはここの脇で撮ったものなのです)、プールで泳いで上がってきたら身体中の至る所にヒルがへばりついてっ!というようなことになっても知ったこっちゃありませんが(笑)。ま、そういう趣味の人にはいいかな(爆)

森の中には、ある場合は上の写真のように地表から、そしてある場合は大木に着生しながら生きている野生のランが多く見られます。ここでまたスティーブさんの一言。「このランの花、全然花のにおいがしないでしょう。木の上に着生しているランの花にはにおいがあるんです。それは、樹上のランは何たって上空にありますから、お客さんをわざわざ呼ばなければ受粉が完了しないわけで、そのためににおいを発しているんですね。」とのこと(だったと思う)。なぁるほど、子孫を残すためには色々やらなきゃいけないんですねえ。

 

そしてこちらが展望台からの写真。これまで「スティーブさんが…」と何回も書いてきましたが、こちらがそのご本人。こう見ると結構お腹でていらっしゃるなあ(笑)。でもジャングルの中の動きはさすが。ルートをはずれて薮の中を縦横無尽に歩き回ったときも、さて戻ろうという段になると道無き道をどんどん進んで、ルートをはずれた最初の地点に確実に戻ってきたんです。しかも地形はでこぼこしていて見通しは利かないところをですよ。「自分で目印を見つけながら歩いてきたから、このくらいの距離ならどうってことないよ」とはおっしゃいますが、Takemaも元、いや軟弱ながら現役の山男、オリエンテーリング系ルートファインディングに関しては少なくとも素人じゃない。でも、ありゃあ迷うな。

「私はこの地域のネイティブ民族出身だからね、子供の頃からジャングルで生活してきて祖父や父からここで生きる知恵も授かっているからこそ、動物のにおいを感じて『あ、この近くに○○がいるはずだ』とか、動物の移動のほんの僅かな音とかに反応することが出来るんですよ。ガイドの中には町で育った人もいるけれど、彼らとはやはり違うと思う」という彼の言葉には、さすがに重みがあった気がします。

なんだか画像を張って重くなっちゃったんで、先住民族関係のネタは次のページで。