山の上からトンレサップ湖を見れば…



前のページにも書いたが、「道ばたに水牛」はここでは珍しいことじゃない。


さて、ロリュオス遺跡群に行ったあとの午後は、あの広大なトンレサップ湖のほとりにそびえ立つPhnom Krom山に登り、広大な湖を眺めることにした。要は船着き場のほうに戻るわけだが、市内〜船着き場の区間は舗装されていて、運転には何の支障もない。

地図には頂上まで延びる道のマークが付いている。でも、行ってみたらゲートが閉まっていてバイクで登ることはできなかった。頂上にはお寺があるから、その関係車両以外は通行止めなのだろう、数少ない観光客(2組)もてくてくと歩いていた。もっとも、途中まではまっすぐ直登するお寺の参道の階段があるので、それほど時間がかかるわけではない。頂上付近まで15分〜20分位で登り着いた記憶がある(もっとも途中からは道のないところを直登したが)。頂上付近は双耳峰と言えばいいのだろうか、やたらに広く、そのため360度の展望というのは望めない。ただし景色のめっぽういいのは寺院のある側ではなく、何だか変な鉄塔のあるほうだ。そこからちょっと細道を踏み分けていくと180度の展望がガバッと広がる斜面に出るので、ここまで行ったら是非足をのばしてみて下さい。

 

左の写真は、なぜかひとりぼっちでタコを上げている男の子。手製のようだが、タコの形状が悪いのか、
それとも風が弱すぎるのか、彼のタコは常に彼自身より低いところをふわふわ舞うばかり。


さて、トンレサップ湖は確かに広いなあと船に乗りながらも思ってはいたが、山の上からあらためて眺めてみると、やはり東南アジア最大の湖は余りにも広大なのであった。しかも、乾季と雨季とで湖の広さが全然違うのだということも、上から眺めてみてまさに理解できた。左の写真を見ると、平原のあちこちに水がたまっているのがわかるが、これらは乾期になるとすっかりひいてしまい、広大な大地が現れる、といったところなのだろう。左から右に延びた線上には船着き場に続く道路(土盛りされて一段高くなっている)が走っており、その両脇には民家。そういえば船着き場のあたりの家は「標高2cm」くらいのところにバイクが停められていたりしたし、もう少し手前ではまだ水上家屋状態の家々や水の中に生えた小灌木も多かった。乾期になれば陸続きになるんだろうな。こんな時、日本だったらどうするかな、絶対に大きな(そして周囲の風景との調和のない)堤防を張り巡らせて「これで水害の危険はなし!」とやっちゃうんだろうな。あるがままの自然に合わせて生きていくのと、自然をねじ伏せようとしていくのと、どちらがいいのかを考える時期に来ているんじゃないかな、と、この風景を見ながらふと考えた。あれ、うまくまとめちゃったな(笑)。

 

そんなわけで、夕陽があたりを色づけるころ、いよいよシェムリの街に帰還。Ren君ともここでお別れだ。さらばマグマよ、また来る頃にはお前はもうポンコツになっているか、さもなくばこの世からなくなっているんだろうな、などと心の中でうったえたなどということは全然なく、「さ、このあとどこで何食べようかなあ」と、めくるめく本能的な欲望で頭がいっぱいだったのだった。

 

そしてそこでは、相も変わらずアンコールビールを飲みまくり(だっておいしいんだもん)、揚げ句の果ては近寄ってきた犬に構っていたらそこに猫もやってきて、犬と猫とのケンカに巻き込まれておろおろし、揚げ句の果てはその犬に吠えたてられるというような、いつものTakemaの姿があった。まあいいじゃないの、明日はいよいよシソフォン方面に移動なのだ。悪路らしいのだ。

そうそう、シェムリアップの市内では日本語学習熱がけっこう熱を帯びている。市内を流れるシェムリアップ川の脇にある路上屋台(とはいってもかなり本格的なものである)では、2軒のうち1軒には日本語のメニューがあり、そのためか日本人のお客もそれなりに多かった(誰かがワープロで「三姉妹の店」とかネーミングしていた紙があったな)。そうなると悔しいのが隣のお店。しかし、日本語をそう簡単にマスターできるはずもない。そんなところにあえて日本語屋台を外して隣のお店に行ったTakemaは、店のお兄ちゃんにしっかり日本語の「授業」をさせられてしまった。まあ、そういうのは楽しくていいんだけれどね。
さて、お次はいよいよ噂の国道六号線。国道なんですよ。でもやっぱりすごかったな。続きは次のページでどうぞ!