めげるなTakema。いざ!陸路カンボジア入国。

そんなこんなで「寄らなきゃ良かった」今回のベトナムであったが、まあ起きてしまったことはしょうがない。ただ、カンボジア国内では交通・宿泊料金がドル払いということで、全部あわせてUS$200くらいしか持ち合わせのない自分としては、ちょっと節制しなければ途中でドル切れということにもなりかねない。節制する品目としてすぐに思いつくのが「ビール」!こ、これは悲しい!しかし、まだ日本から持ち込んだお酒(庄内誉純米吟醸等)が1.5リットルくらい残っているので、これでできるだけもたせることにする。

日本円はあるとはいえ、発展途上にあるこの国で外貨への両替なんてのは夢のまた夢。日本円\20000も現地通貨リエルにしか両替できないのだから、今回の盗難は正直言って痛い。…とまあ、こんな風に思っていたこのころであった。しかし、実際は状況が違ったわけですね。その種明かしはまたあとで。



ホーチミンからカンボジア国境のMoc Baiまではバスもあるにはあるらしいが、せっかくだからCu Chiのトンネル(ベトナム戦争当時共産ゲリラが掘り抜いたもの)を見たかった。そこで、金もないというのにタクシーと折衝。しかし寄り道して国境まで$40だという。折衝空しく退散。なんとか$35にはしたいと思っていたら、泊まっていたホテルのフロントのお姉ちゃんが「じゃ、$30でいいわよ」と、嬉しいことを言ってくれる。このルートを行ったことのある人なら「$30でも高い!」ということだろうが、とりあえず今回はもうベトナムはどうでもよかった。ベトナムそのものが嫌いになったわけではないが、今回のメインであるカンボジアに早く着きたかったのだ。

で、翌朝指定された時間にホテル前に出てみると、タクシーかとたかをくくっていたが、実は車のチャーターであった。しかも相乗りではない。こりゃラッキーだ(ちなみにこういう国では自分がチャーターしたと思っていると途中からほかの客を乗せたりしてしっかり相乗りになるケースが多い)。しかし、残念なことにまだ若い運ちゃんは全く英語が話せない様子。途中も会話はほとんどなかった。しかし飛ばすなこの兄ちゃん。

というわけで、Cu Chiのトンネルへ。チケットを買って中にはいると、自分一人に専属のガイドがついた。さすがに政府および共産主義のプロパガンダ的な場所なので、ものやお金をせびるような素振りは一切見せない。最初にこのトンネルのビデオ(日本人だと知ると日本語のビデオを流してくれた)を見る。しかし、訳し方にもよるのだろうが、なんだかあまりに直訳すぎて、かえってウソくさくなるような時もあった。


そのあと、いよいよトンネルへ。とはいってもここのトンネルは観光用に内部を広げてあるらしい。むろんそれでも狭い。左の写真は当時のトンネルの入り口だが、これまた入り口を広げてあるそうだ。まわりの枯れ葉の大きさからいっても、これより狭い入り口とはどんなものか想像できる。こりゃアメリカ人じゃ入れないな。

で、中を案内してもらう。井戸あり、会議室あり、食堂あり、執務室あり、まあ確かに何でもある。表にはあちこちにB-52 Bomb Craterの看板と大穴。要は爆撃でできた穴がそこかしこにある。こりゃたまらんわなと思いつつ、あのビデオ通りではないにしろ、当時の苦労は確かに偲ばれる。

入場料に含まれている「当時のゲリラ(ちなみに、彼らは自分たちのことをゲリラとは言わないだろう。彼ら、少なくとも現政府軍にとっては正義の戦いだった)の食事」を食べさせてもらったが、これがわりかしうまいのだ。なんだか薄甘の芋が酒のつまみにぴったりで、さらにサトウキビの甘味を自分たちでつけて食べるところなどTakemaの嗜好にぴったり。「これ、持って帰っていいですか?」と、ついつい言い出しそうになったのだった(ちなみに自分はお酒=日本酒のつまみに栗ようかんでも何でもいけるクチである)。


そして出口方面へ。そこにはかつてのアメリカ兵を恐怖に陥れたトラップの数々がこれでもかというふうに並んでいた。基本的にアメリカのやり方を好まない性格のTakemaではあるが、これらのトラップには同情を禁じ得ない。特にこの、ひとたび落ちると芯がぐるぐる回って串刺しになるトラップだけは勘弁して欲しいと思ったし、現在のアメリカに今なお表沙汰にされずにいるベトナム傷病兵(精神的な面も含めて)を思わずにはいられない。そして、 見には行かなかったけれど、ホーチミンの博物館で公開されているというホルマリン漬けの胎児のことも、だ。


さて、そのあと国境を出国。国境付近の写真は、撮ろうと思っていたがプノンペン行きのタクシーの運ちゃん及びその勧誘のおっちゃん兄ちゃんに囲まれ万事休す。しかし彼らは国境の緩衝地帯(つまりどこの国でもないエリア)でしっかり自分を囲んできた。緩衝地帯なんだからもう少し静かにしろよな。そんなわけで仕方ない、それぞれの国のビザをお見せするにとどめましょ。
  
カンボジアの入国審査を終えると、待ってましたとばかりさっきの彼らが再び近寄ってくる。見ると、タクシーらしき車はさっきから1台しか止まっていない。いかん、完全に需要と供給のバランスが保たれてるじゃないか!しかも、イミグレーションで自分の前にいた白人バックパッカーはしっかり3人で去ってしまったところだし、後から旅行者が来る気配もない(なかった)。あ〜あ。

ここで秘技。プノンペンまで$30とか言ってるので、「バカ言うな、某白人旅行者向けのロ○リープラネットでは$15〜20っていってるぞ(これもまた古い情報なのだが)」というと、「冗談じゃない!」そこで、話を方向転換。運転手は一人、あとの3人はただの客引きらしいのを見計らって「ちょっとここで休憩ね」。どうせ彼らも客(=ターゲット)は自分しかいないのだから何とかなる。おもむろに竹風のぐい飲み(プラスティック製)で酒をキュッとやる。「それは何だ?」「This is Japanese domestic alcohol,"Sake". Would you tra this one?」「Yes!」よし、これで流れをつかんだぞ。究極の「Tomodachi」攻撃じゃ!結局、プノンペン市内まで$20。うーむ、酒パワーは恐ろしい。しかし、いかんなあ、酒のパワーを借りて値切るとは。まあ、これがいつもの常套手段なのだが。


市内には着いたが(ちなみに知らなかったのだが、プノンペンへの国道にはメコン川に橋がかかっておらず、フェリーが就航していた)、このおやじ運ちゃんは市内の地理を全く知らず、「Central Market, please.」といってもやたらに悩む。最初は「ちょっと郊外の、安めのゲストハウスに、と思っていたのだが、結局悲しいかなCapitol Hotelへ。水シャワー・トイレ付き$4。部屋は窓なし。1Fでなけなしのドルでビールを飲み、さらに夜は買い出しまで行って、それで夜のプノンペンを階段の踊り場で眺めてはちびちび。ああ、あったかいシャワー、浴びたい!

というわけで、明日はプノンペン〜シェムリアップを結ぶスピードボートと、着いてからのいきさつをばちょっくりと紹介します。日本円をUS$に交換できる幸せ!