アンコールワット(その2)内部など


さて、これほど有名なアンコールワットなんですが、数百年ものあいだ忘れられていたとは言っても、建てられたのは12世紀になってからなんですね。日本で言えば平安時代の末期。そう考えてみると、やっぱり法隆寺なんてのはすごいんだよね。木造なのにいまだに頑張ってる。ま、対抗しても意味がないことではありますが、そうかあ、今度改めて飛鳥にでも行ってみようかなあ。

ま、それはともかくとして、アンコールワットの内部の浮き彫りなどは相当に「きれい」なんです。しかしその「きれい」ってのが問題で、建立当時の彫刻ならともかく、最近の十年のうちに修復された(またはレプリカ)ものも多くあります。本物なのかレプリカなのか書いてあるわけではありませんが、第一回廊あたりの壁画は修復されたものもかなり多いようです。もっともそういうものばかりではないようで、ポルポト軍との交戦でできた弾痕がそのままになっているところなんていうのもあったりします。

そうそう、「地球の歩き方」に「アンコールワットで辟易するのは子供の物売りだ。しつこくつきまとってきて、ひとたび買わないとわかると罵声を浴びせてくる」なんて書いてあったので「ふーむそうかそうか、心せねばいかんな」と思っていたのですが、これがとんと違っていた。物売りの子供の姿すら見ない。おそらくは、政府がアンコールのイメージ低下を防ぐために手をのばしたものと考えられ、たしかにゆっくりと歩き回ることができました(自分としてはボンベイの子供達をタチ悪くしたくらいのもんか、と覚悟していた)。でも、いないならいないでちょっと拍子抜けしたのも事実であり、ま、旅行者ってのはわがままなものです、と改めて実感。

 

アンコールワットの遺跡は自由に見て回れると書きましたが、左の写真のようにエラく危なっかしいところに立っても大丈夫です(ちなみに足の下は20mくらいスパッと何もなかったりする)。で、内部の廊下の上部は赤茶色に塗られており、建立当時は随分と派手な寺院であったことが想像できます。

そういえば、ツアーのお客さんが塔の上に登ってくることはあまりありません。例外はあるようですが、やはりいざお客が転落したときのことを心配して登らせない場合が多いのでしょう。年輩の人も多いしね。したがって、第一回廊あたりはひっきりなしのお客でも、塔の上は意外と静かだったりします。


しかしまあ、屋根のあたりに施されたこれほどまでに細かな浮き彫りの数々を見ていると、「すごいなあ」というより「つくるの大変だったろうなあ」という気持ちのほうが先に立ちます。人海戦術とはいっても、みんながみんな彫刻をできたわけでもないだろうし、しかも一部だけならともかく、ワットの建物全てに彫刻を施すとなると、それはもう大変な労力だったろうと思います。それとも、コツをつかめば意外と簡単なのかな。いやぁ、そんなことはなさそうだ。最悪なのは、あと1個彫刻すればこの面は完成だ、というときに手が滑ってしまい、できあがった彫刻を誤って削ってしまったときだな。まさか全部やり直す(深く掘り下げることによって)のだろうか。それとも誤魔化すのだろうか。わたしゃ後者だと思うな。ま、そんなことどうでもいいか。

さて、この日は平原に落ちる夕陽を眺めようと、よくあるパターンですがPhnom Bakheng(プノンバケン)へ。行ってみて驚いた。すでにすごい人だ。夕陽のおりる側での第一次陣取り合戦(最前列)はすでに埋まっており、第二次の陣取りもいい場所は残っていない。こまったな。

で、どうしたか。窮余の一策。塔に登ったわけですね。しかも、大分ガタがきててあぶなっかしいやつに。でも、おかげで超特等の場所での日没見物ができました。しかし、自分が邪魔になったせいで、せっかく陣取りに成功した人のうち数人はその場から撤退していたことをつけ加えねばならないだろう。この場を借りて申し上げます。「すみませんでしったっ!」(ってもう遅いね)(笑)。

そうそう、ワットでは追い払われた物売りの子供達もどうやらここでは健在のようで、「コーラいらんかねーっ、ビールもあるよぉ」って感じで歩き回っている。物乞いの姿も多い。でも、決してしつこくはなく、何だかひょうしぬけといった感じだ。夕闇の中をバイタクで宿まで戻る。さあ、明日はいよいよバイクを運転できるぞ!と期待しつつ食べる夕食がまずいはずはなかった。もっともこの日は奮発して、屋台ではなくきちんとしたレストランで食べたのだが。そして寝る前におきまりの冷や酒。この時期のシェムリアップは夜になると結構冷える。フリースがあってちょうどいい。ちなみに、安宿では掛けふとんがありません(あっても薄い布一枚)ので、薄い毛布などあるといいと思う。いけないと思いながらいっつも思うんだよなあ。飛行機備え付けの毛布持ってきちゃえば良かったなあって(おいおい)。あれって薄手でかさばらないわりにはあったかいし、ちょうどいいと思うんだけれどなあ。ただし、まだやったことは一度もありませんので念のため。

 

おまけ

プノンバケンからのぞむアンコールワットは、実際は左上の写真よりも遙かに遠い。これは105mmズームで撮ったものをさらにスキャンの際ズームしたものなので、やっぱり200mmのレンズくらいはあった方がいいだろうと思う。


さて、次のページでいよいよ「MAG"M"A」が登場いたします。実際のバイク事情 in Siem Reapはどんなもんなのか、ご期待あれ。あ、次の次がもっと細かいか。