ちょいと一の倉沢出合まで。

   

(1999年5月22日)
関越道の水上インターから国道291号を北上、土合の駅を過ぎ、ロープウェイの駅からさらに細い舗装道を走ること15-20分で、この国道の終点である一の倉沢出合に到着します。ここから先は諸車全て通行止め。もともとこの道はここから新潟側の清水集落とを結ぶ、いわば上州と越後を結ぶメインストリートとして計画・整備され、戦前(明治か大正)のほんの数年だけは馬の背に荷をのせた隊商が行き来したほどの道なのですが、いかんせん豪雪地帯ということで道の補修も思うようにいかず、結局廃道化。今はその名残の登山道があるだけです。
かつてロッククライミングの黄金期にはこのあたりをベースキャンプにした多くのクライマーの姿が見られました。もちろんその分遭難者も多く、沢を渡ったところにある小さな岩場には、「**君を偲ぶ」系のレリーフが多く埋め込まれています(ホントは違法なのかもしれませんが)。最近はここの岩場を目指す人の数もぐっと減り、テントの数も昔に比べたらめっきり少なくなりました。







それとは逆に、ここを目指す観光客の数はぐっと増えました。道が細いためバス(マイクロを含む)は入ってこられませんが、マイカーは問題なし。ただ、駐車場の収容能力の限界があるのと、途中、すれ違いに苦労する場所がいくつもあるのとで大渋滞になってしまうこともしばしば。特に秋の紅葉の時期の渋滞はすさまじく、よほど時間をずらしていかないと「行くのも地獄、帰るのも地獄」ということになります。ここに行くのならやはりバイクがいいでしょう。

今回は5月中旬、まだ雪に埋もれた一の倉沢でしたが、一つ驚かされたことが。ここ一の倉沢も、これだけ人出が多くなると当然生理現象の問題を抜きにすることはできず、何年も前に立派なログハウスふうのトイレが新設されました。水洗の立派なものだったのですが、今回行ってみたらこのありさま。この春のなだれで完璧に破壊されてしまっていました。かなり堅牢そうな作りでしたし、場所も「ま、ここなら何とか雪崩の直撃は受けないだろうな」と思われるところにあったのですが、やはり自然の力は侮れないものです。
さて、ここに行ったら、出合を見てそそくさと帰るのではなく、そこからさらに奥に続く道(一の倉沢の、ではないよ)をしばらく歩いてみるのもいいでしょう。途中、送電線の鉄塔に上がる道なんかもあったりするので、いくつか寄り道して歩いてみるのもいい気分転換になります。もうすこし気合いの入った人は、ロープウェイで天神平まで上がり、そこからさくさくと谷川岳頂上を往復してくるのもいいでしょう。もっとも、雨具の準備は(傘だけじゃ駄目)お忘れなく。さらに、下りをロープウェイに頼らず、西黒尾根を下ってくるとなればもう立派なハイキングです。晴れてさえいれば最高です。
とてもそんな気にはなれないという方は、ちょっと土合の駅に立ち寄ってみてはいかがでしょう。今は無人駅になっているはずなので誰でも駅構内に立ち入れるはずですが、この駅の下り線(新潟方面)のプラットホームは地上にはありません。はるか地下、階段の段数にして400段以上を下った場所にあります。ホームまで行かなくても、その階段の下り口まで行ってみるのはいかがでしょうか。一気に400段の階段がのびているさまは何ともいえない不思議な光景です(今はどうだかわかりませんが、昔は途中に休憩用のベンチまで置いてありました)。Takemaが学生の頃は、よくこの階段を上って山登りに来てたよなあ。今はすっかり軟弱なTakemaです(?)。
このあたりをまわった後は水上から猿ヶ京に抜ける道を使えば、三国峠や苗場方面にも行くことが出来ます。また、奥利根方面から坤六峠を越えれば尾瀬方面にも抜けられます。ただしガソリンは要チェックです。