これぞ野湯!一本松「たっこの湯」

玉川ダム付近まではかなり大粒の雨が降り続いてました。「あ〜、この林道に入っていけば『見張りの湯』に行けるんだよなぁ」と思うも、雨の山道を歩いて風呂を目指してもあまりいい思いはできそうになく、あえなく通過。どんどん南下して行きます。そしたら!国道から田沢湖に分岐する手前の湧き水のあたりで雨はやみ、路面も乾いています。おお、こっち側は降ってなかったのか!

そうなるとまたも欲望がふつふつと。今回の予定にあった「一本松たっこの湯」は、ここから乳頭温泉に向かった先にあるのです。もしかしたら、そこなら雨は降っていないかも?

田沢湖高原温泉スキー場のあたり、県道から一歩奥まったところで昼食をとりました。結構おしゃれな小さなレストラン。ブナ林を見ながらの昼ご飯(鶏照り焼き丼)はなかなかウマかったぞ。8月下旬の平日ということもあってガラガラなのもなお良し。やはり秘湯巡りは時期を選ぶべきですな。

さて、乳頭温泉郷の黒湯駐車場に車を停め、黒湯の建物を横目に見ながら歩き始めます。Takemaは1992-3年頃、秋田駒ヶ岳〜乳頭山を歩いたことがあって、下山後孫六湯に入浴したことはあるのですが、いまだ黒湯への入湯歴はなし、しかし、そのまた上流の温泉にこれから入るのだから(しかも無料)、今回はパスとしました。

 

まずは河原まで一気に降り、そこから上流に向けて歩き始めます。もともと乳頭山への登山道ですから道はしっかりしていますし、自分は2回ほどこの道を歩いたことがあったはずなのに、その道沿いにある温泉に気づかなかったのは余りに不思議。たしかに当時は温泉目当ての山歩きじゃなかったんだけれどなぁ(ネマガリタケのタケノコ目当てでした。新鮮そのものでうまかったなぁ、ただし皮むきの手間はうちの母に任せたんだっけ。今さらながらごめんなさい)。

最初は緩い傾斜で沢の一段上の道を歩いていきます。少し傾斜が急になったと思ったら、堰堤を乗り越えるための登りでした。たまった水は上の写真のような碧色、きれいなもんです。ただこの深さでこういう色になるということはそれなりに含有物(硫黄系?)があるということでしょうから、汲んで飲むのはおすすめしませんけれど。泳ぐにゃ冷たいしねぇ。

 

さて、ここからはそれなりに結構な登りになります。とはいっても駐車場から温泉地までの標高差は100m+α(徒歩30分)ですから、ここが正念場と思って(思うほどでもないか‥)登っていけば、やがて沢の支流に行きあたります。一本松沢です。

その沢沿いには「ん?これはもしかしたら?」系の湯だまりらしきものがありますが(右上の写真ね)、手をつけてみると「げげっ、全然冷たいじゃないの!」と驚くばかり。冷泉好きの奇特な志をお持ちの方でもない限りおすすめできません(笑)。そこから再び沢を離れて登り出すこと約1-2分、一段上がった高台にあったのが「一本松温泉」でしたのだ。

看板には「一本松温泉跡地」と記されています。看板周辺のあちこちには小さなお湯の湧出が見られます。みんな熱いのだけれど、でもいかんせん量が少なく、さらに湧出エリアの半径が30-40cmというのでは「お風呂」にはできないでしょう。これが登山道側の「温泉」です。

し、しかぁし!「本命くん」はそこからほんの10mくらい歩いたところにあったのでした!

上の写真はメイン湯船全景。すぐ左下に沢の小さな滝が見えますが、飲める水です。んでもって湯船は先人の方々によって築かれた石積みの湯。だいぶ湯漏れをし始めていましたが、うちらが行ったときはまだまだ問題なしでした。ただ、大雨が降った後などはだいぶ崩れるんでしょうね。その時はかなりの大仕事になりそうです。誰かが置いてくれているスコップを大いに活用させてもらいましょう。

なお、水のホースはちゃんと導水していました。でも、一雨降ればどうなるかもわかりません。このあたりはやはり「野湯」ということですから、駄目なときはダメということですね。所詮、下の写真のように浅い湯船が限界なんですから。

 

こんな感じでお湯を堪能。ちなみに水ホースからの補給が絶妙で、見事に適温♪

さてお湯を堪能した後は、それこそゆっくりと来た道をぽこぽこと下っていきます。結局温泉滞在中は雨が降らずに助かりました。この日は再び大深温泉に戻り、またも常連の皆さんがおやすみになった頃に外でうだうだひっそり宴会。やっぱりいいぞぉ大深温泉!

さて、何と翌日は朝からほぼ快晴になりました!‥となれば、まず行こうとするのは、そう、昨日断念した「見張りの湯」、そこに決まってるじゃないですかあ!乞うご期待!

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