地元の方々および野湯フリークの方々にはそれなりに有名なここ「見張りの湯」は、国道から林道を約11km、そこから発電関係の専用林道(諸車通行止め、傾斜きつし)をトコトコと40分くらい玉川本流まで下っていった先にあります。現地には玉川発電事務所の「大深見張所」という県の施設があって、見張りの湯はその付属施設として整備されているもののようです。もちろん公式に一般開放されているわけではありません(たぶん)ので念のため。
国道から、この夏東北地方で降り続いた豪雨のために少々えぐれて荒れた感じの林道を進みます。4駆でなくとも行けましたが、慣れていないと車の腹を擦るような場所がたくさんあります。車を大切にしたい人はやめておきましょう(うちの車はもう10万km以上乗ってますからねぇ‥)。「これより先専用林道につき一般車進入禁止」のあたり(広場あり)に車を止めて歩き始めます。歩き始めてすぐに、左上の写真のように絶妙な感じで倒れた大木が現れます。
急な坂を下ること7-8分で、ロープで厳重に?くくられたゲートが出てきます。そこをさらに進みます。あたりは広葉樹の美林で、大きなブナもあちこちに現れ、なかなかきれいなものです。
道は基本的に下るいっぽう。平らな部分はほとんどありません。ということは、帰りはお湯で火照った身体のままこの坂を登らなきゃいけないのね。道は林道ですからのんびり歩けるのですけれど、少々憂鬱な話です。
小さな沢を2度ほど横切り、大きな沢をコンクリートの橋で渡り、さらに下っていくといよいよ玉川の本流に降り立ちます。そこからしばし段丘の上を歩いていくと、いよいよ吊り橋に到着です。
このあたりの風景は、なんだかニュージーランドのトランピング中のひとこまといってもおかしくないくらいに日本離れしています。橋の下を流れる玉川本流もかなりいい感じ。もっとも、ここから下流で合流する玉川温泉からの沢の酸性度は極めて高く、下流には「中和所」という設備まであるそうです。ここはどうなんだろ。まぁ、本流の水は飲まないに越したことはありませんね(林道の途中で渡る沢の水は問題なく飲めました)。
よく整備された吊り橋を渡ると、ほんの少しの歩きで見張所の建物に到着。建物の裏手から続く道を進んでみると‥。
ありましたありました。広めの湯船にお湯がこんこんと流し込まれています。適量の水も注がれていることもあってほぼ適温(ただしちょっとぬるめ)。よっしゃぁ入浴!と思って入ったら、湯船内は緑色のコケがびっしり。滑りやすいことおびただしいぞ状態になってました。ただし、「人間が入ると湯が緑色に染まる」などということは一切なく、案外に快適。まぁ、時間があればテッテー的に掃除(ちゃんとタワシやデッキブラシも置いてありました)できるでしょうね。結局やりませんでしたが。
さて、この湯船のすぐ下には、本流とは別の小沢が流れています。とはいってもこの小沢、流れているのは全て熱湯に近いアツアツの湯。水がないですから入浴は不可能ですね。まぁすごい場所にある温泉、場所が場所(&設置者が設置者)ですから、今後ともこの姿のまま維持されていくんじゃないかと思います。大人数で来たら、今度はコケ掃除でもしたいもんだと思いつつ、「見張りの湯」をあとにしました。はい、再び標高差250mを登ってです‥。
熱湯の流れる支流の沢。