その2 −元湯はこんな場所なのよ編−
さて、尾根上の分岐からは急な斜面を下ることになります。とはいっても道そのものはしっかりしており、雨の直後でなければ何の問題も無し。ぐんぐん(いや、実はネマガリタケノコ採取の故、「だらだら」だったんですが)下ってくると、3棟ある小屋が眼下に迫ってきます。
ところでここを訪れる方にまず知っておいていただきたいのが、ここ沼尻元湯の「位置づけ」です。まずこの「元湯」は、下流に位置する沼尻温泉郷及び中の湯温泉郷の源泉引湯地となっています。うちらは、その源泉のあまり湯が流れる川に「入浴」することになるわけです(「あまり湯」とはいっても半端な量じゃないんですが)。管理用施設には立ち入るべきではないですし(その必要もないですが)、また、一般に開放されている場所というわけでもないですから、すべてのリスクは自己責任で負うことになるということを了解しておきましょう。特に無風の場合などは火山ガスによる呼吸困難の可能性もあります(現に、この上流の沼の平では登山客の死亡事故が起きています。
源泉管理用の施設(小屋)は全部で3棟あります。ただし最下流のわらぶき屋根の小屋は崩壊寸前です(左上写真)中央の小屋が現役で、内部には作業用具等が置かれているようでした。一番上流側の小屋は倉庫ですな。ただ、いずれの小屋も「一般登山者の休憩および宿泊用のものではない」ということだけははっきりしています。むやみに中に入ったりするのはやめておきましょう。
これらの小屋から源泉までは木道および橋で結ばれています(上の写真参照)。もちろんこれらは訪問者の利便を考えたわけでは決してなく、源泉管理用機材の移動をスムースに行うために設置された、いわば「作業道」。しかしこの木道、場所柄金属の腐食が早く、下手に橋板の端っこを踏んだりすると底が抜けたりします(笑)。歩く時もお気を付け下さい。ま、こういう野湯を目指す方々はそういうリスクをしっかりご承知のはずですね。
左写真はとうとうと溢れる源泉取水口。パイプからお湯が流れ落ちていますが、このお湯はおまけみたいなもののようで、メインの源泉は下から湧き出しているようです。そして、湧き出したお湯(熱湯に近い)は、まずは木製の樋(とい)を伝って下流へと送り出されます(左上写真マウスオン)。
しかし、今回やたらに気になったのが左写真。たぶん数日前くらいに地元の方々が作業をなさったのだと思いますが、樋のすぐ脇に捨てられたような感じの黄色いもの、これって「湯の花だぁ!」(右写真マウスオンで無意味に拡大表示)。普通、湯の花って「売るくらいの価値はある」ものとして認識しているわれわれですが、ははぁ、ここじゃ「樋を詰まらせるから」ということで捨ててしまうんでしょうかね?謎です(ちなみに、記念として少しだけ持ち帰らせていただきました)。
さてさてお目当ての源泉入浴が楽しめる「川」は、この樋と平行して流れています。作業用の橋が架かっているので移動も楽々です。
立派な木製の橋から下を見ると(ちなみに左写真にマウスオンすると、嬉しげなおしんこどん画像に変わります)、流れる川はすでにやや青系統のうっすら白濁です。嬉しくなります(笑)。
こんな感じで流れている川の「水」に手をつけてみると「あっつぅ!」。手をつけられないほどの熱さです。これでは入浴などできるはずもありません。が、こういう場合、下流に行けば行くほど湯温が下がるはずというのが野湯の常識です。というわけで、しばらく下流に向かって歩きつつ湯温チェックをしていくと‥ありましたよありましたぁ適温場所が!
んじゃ、いよいよ次ページでは念願の沼尻元湯入浴です!