滝の上温泉。何だかどこにでもありそうな名前ですが、ここで紹介するのは岩手山南西に位置する静かな山のいで湯のこと。野湯があるらしいとの情報を仕入れていたので、網張の休暇村からも近かったので急遽行ってみることにしたわけです。

滝の上温泉に近づくにつれ、道の対岸に何ヶ所も上記の噴出を確認。場所が場所だけにおいそれと行くわけにはいきませんが、「こりゃもしかして、何かあるかも」とかなり期待が高まってきます。今にも崩れそうな玄武洞を眺めながら、温泉の入口に位置する「鳥越の滝」まで来ました。

こ、こりゃあすごいなこの滝は!こんなに大きな滝(水量の点で)だとは思ってもみませんでした。轟音も立派だし、しかもその滝のすぐ脇や下流側から立ちのぼる蒸気の多さよ!道路が滝より上を通っていますから見た目の豪快さは半減していますが、これ、滝の下側に降りる歩道を取り付けたらすごい名所になるのでは?という感じです。関東にこんな場所があったら、華厳の滝には勝てないかもしれないけれど袋田の滝には十分対抗できるんじゃないかと勝手に思ってしまったくらいです。

やっぱり出てきた動画!


「鳥越の滝を上から見ると‥」

核心部は見えませんが、豪快さは十分想像できます。
MPEG4形式、206KB、11秒
ところで、実はこのあたりの野湯とはここ鳥越の滝の少し下流のことだったんです。滝の下側に降りるルート(決して道ではありません)があるようで、うちらも実際にそこのスタート地点までは行ってみたのですが、そこには「立ち入り禁止」の看板が取り付けられていました。以下、あとで地元の人に聞いた話です。
「あの滝の滝壷付近では、壷の上部の水は蒸気で熱せられて暖かいのだけれど、そのすぐ下は水温がぐんと低くなっているんだよ。数年前にあの滝壺で泳いだ人がいたんだが、滝壷は水の流れが複雑だから結果的に深みの部分に追い込まれてしまい、身体がいきなり冷たい水に包まれたものだから一気に心臓麻痺を起こして亡くなってしまってな。だからその事故の後あの周辺が立ち入り禁止になってしまったんだよ。」
滝壺で泳ぐなどというのが自殺行為にも等しいというのは普通の人なら判断できると思うんですけれどねぇ。うちらはそのはるか下流の河原あたりで何とか適温の場所を見つけたいと思っていたのですが、地元の人が立ち入り禁止にしている場所にまで強行しようとは思いません。というわけで鳥越の滝下流温泉エリア探訪はあきらめました。もっとも気軽に行かれるルートでもなく、ロープも今は撤去されているでしょうから、万が一看板を無視して強行しても事故を起こすだけかもしれません。やめたほうが正解ですね。

その代わりといっては何ですが、滝の上温泉駐車場に車を止めて少しあたりをうろうろしてみました。

電線がちょっと邪魔ですが、川の対岸に蒸気をもうもうとあげている地熱地帯が見えます。聞くところでは蒸気だけではなくちゃんと「熱湯」が出ている場所もあるのだとか。この画像では見えませんが、川沿いのすぐ左側に宿もあります。しかしやはり危険エリアであることは間違いがないようで、この一帯も地滑りで以前とは風景が変わってしまっているのだとか。もちろん熱湯により火傷の危険もあり、立ち入っちゃいけないようです。ただ、このようなお話も聞いてしまいました。
「以前はこの温泉の上部にも地元の人御用達の温泉(というか野湯)があったんですよ。ただ、やっぱり集落以外の人がちょっとしたことを起こしてしまってね、それでその『施設』も取り壊してしまったんです。」
そうだよなぁ、一部の節操ない人達によって全体が影響を受けるんだよなぁ。今は何か事故が起きるとすぐに「責任の所在探し」が始まるものなぁ。でも責任の最大の所在はだいたい本人その人だったりするのに、その事には触れずにやれフェンスが壊れていたからとか看板の注意書きが不適切だったからとか、枝葉末節系のあら探しに走り回る輩が多すぎる!某超大国の大欠点を見習ったりせずに自分の尻ぬぐいは自分でやるべきだぁっ!

‥あ、いかんいかん。ついついホンネが(笑)。

さて、温泉から奥に進むと葛根田地熱発電所に行きあたり、それより奥は道路閉鎖となっているのですが(ちなみにここから休暇村まで抜ける林道もあるということですが、一般車両通行の可否については聞くのを忘れました)、上で書いた「以前あったという野湯はどこなんだろう」ときょろきょろしながら進んでいくうちに、道ばたのほったらかし源泉発見!



発電所のパイプが見え始めるあたりの道路すぐ脇。う〜むもったいない!

量は少ないですがごぼごぼと熱湯がわきあがり、そのままたれ流しになっています。う〜む、首都圏ならここに宿が建っているに違いないはず!しかし温泉天国のこの界隈ではこんなショボイ源泉を生かそうという気はないようですな。でももしかしたらここがかつての野湯跡?(おそらく違うとは思いますが)。

ここでも出てきた動画!


「ミニ源泉でも温度はアチチ!」

MPEG4形式、145KB、7秒
というわけで葛根田エリアをあとにして、次に向かうは某リゾートであまりにも有名な場所なのであります。しかしほとんどの方々は知らないはず、あそこの山奥に極上の野湯があるということをっ!

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