(2004年2月22日&3月14日)
2月初旬から3月中旬にかけては結構忙しく、泊まりがけで出かけることは全然できませんでした。でも日帰りお出かけは何とか2回ほど有りだったわけで、しかもその2回ともなぜか北茨城方面。エリアがダブってたわけですが、実はこれ、ある食べ物に対する共通する欲望から出たものだったのですね。詳しくは以下をご覧あれっ!
【その1 -2月22日-】
この日は天気も良かったので、朝になってから「よっしゃどっか行くべぇ!」となりました。まずは雪の心配のない常磐道方面へ(車とはいえノーマルタイヤ&2WDですから雪道は勘弁です)。今日の目的は「阿武隈山中の鄙びた温泉に入る」ということにいたしました。日立中央ICで高速を降り、いざ阿武隈山地横断の道へと入っていきます。しかしいよいよ峠のトンネルも間近というところで、道沿いに大駐車場を完備した何やら不思議な施設を発見したのでありました。
「ん?この『日鉱記念館』って何だろ?」
というわけで駐車場から取り付け道路の坂を上がってみると、そこにはコンクリート造りのえらく立派な、そしてちょっと変わった形の建物がどどんと鎮座しておりました。見ると「入場無料」とのこと、こりゃのぞいてみない手はありません。名前から察するに鉱山関係の博物館のようです。
さて、ここがどのような施設なのかということは、中に入り展示物を眺めているうちにわかってきました。どうやらここは、いわゆる「日立グループ発祥の地」のようなのですね。明治時代に鉱山を買い取った久原房之助という人が、地名にちなんで「日立鉱山」と命名し、銅の採掘を大々的に行い始めたのが明治〜大正時代で、最盛期には従業員が8000人を越えた大会社になっていたそうなのです。
ちなみに、同じ大正時代には鉱毒問題解消のため(精錬時に亜硫酸ガスが大量に出たらしく、周辺の山々の木々が完全に枯れたそうです)、山の上に高さ150mを越す大煙突をおっ立てたというのもすごい話で、当時は世界最高の高さを誇っていたそうです。坑道は深さ600mまで縦横無数に掘り進められ、その総延長は東京−大阪間に匹敵するとかしないとか。よくも悪しくも、とにかくものすごい鉱山だったのは確かなようです。
現在の日立製作所を始め、ジャパンエナジーなど現在の日立グループがこの鉱山から始まったんだと思うと何だか不思議な感慨を覚えます。現在は完全に閉山されているため、あたりがひっそりしていることもそう思わせる一因と言えるかもしれません。
坑道に空気を送り込むためのエアコンプレッサー。大正時代の機械だそうです。
さて記念館見学を終え、いよいよ本日のメインイベントである温泉へ向かいます。阿武隈山中には著名な温泉地こそありませんが、小さな温泉(旧「鉱泉」を含みます)はいくつか点在しており、その中には昔ながらの温泉の風情を残した場所も少なくありません。個人的には結構好きなエリアです。
というわけで、今日の目的地は「横川温泉」。とはいっても、聞いたことのある人の方が少ないことでしょう(笑)。でも、だからのんびりできるのも確かです。
母屋は藁葺き屋根で渋くていい感じ。すぐ隣には新館(というにはだいぶ古びてますけど)がありますが、もし泊まるなら母屋(左写真)の2階がいいなぁ。お風呂(別棟)は最近新しくしたようで、男女別の湯船があります。沸かし湯だということですが、沸かした湯をかけ流しているらしく湯船から湯が溢れていました。泉質は硫黄泉だそうですが、においはほとんどなし。ちなみに本格ツルスベ系のお湯です。
なお右上写真は、「外には露天風呂があるに違いない」ように思わせますが、外にはただ小さなテラスがあるだけです。しかも川をはさんで国道から丸見えなので、涼むにもちょっと勇気が要るかもしれません(笑)。
庭の一角には雉(キジ)小屋もありました。ご主人に聞くと、実は建物の裏側でもっと沢山飼っているのだとか。さては‥宿泊者の夕食用に?(さすがにそこまでは聞けませんでした)。
さて、横川温泉を後にして再び太平洋側を目指します。峠道を上っていくと‥道路沿いにもうもうと煙を上げている炭焼きがま発見!
こんな釜が国道のすぐ脇にあるのだから、阿武隈山地恐るべし。
どう考えても観光客の車がバンバン通るとは思えないこの峠越えの道(一応国道)ですが、直販もしているということでモノを見てみると‥何だか良さそうな感じの炭です。炭については素人のわたしがいうのですからたぶん間違いはありません。というわけで購入っ!(ちなみに購入したのは「お買い得品」です)。
しかし‥こりゃ相当の量です。確か10kgだったと思いますが、これを全部使い切るには、キャンプで何泊かしないと。でもまぁホームセンターなどで安売りをしている輸入炭よりも気分的な「風情」を感じるのは確かでしょうし、どうせ1シーズンのうちにはもっと使うはずですしね。
というわけで再び太平洋側に出てきた午後2時すぎ。と、ここで問題発覚!実は昼ご飯を食べていないのです(苦笑)。ま、ここまでのルート上には気の利いた食堂もありませんでしたから仕方ないのですが、このまま千葉までご飯お預け or 高速のSaPaで食べるのもナニなので、国道沿いの「いわくありげな」お店を探します。そうして見つけたのがここ。
お店の名前は‥わかりません。店構えははっきり言ってB級ですが、それでいて見るからに「何だかウマソ系」の雰囲気が漂います。というわけでお店に入ってみると、何だかすごいぞ系のメニューが沢山!しかも昼食の時間からは相当外れているはずなのに、店内は結構なお客さんの数。こりゃ当たりだったかもしれない!
さて上の写真にも出ていますが、北茨城〜福島にかけての太平洋側といえば「どぶ汁」、これで決まりでしょう。しかし、おしんこどん@関西出身はおろか、わたくしTakemaもこれまで本場のどぶ汁を食べたことはなかったのです。とすれば、こりゃ注文しないわけにはいかないでしょう!
「どぶ汁って何じゃい!」という方のために:
北関東太平洋沿岸の冬の味覚といえば「あんこう」だということはご存じの方も多いことでしょう。その「あんこうの鍋」だといえば大概の方は納得して下さることでしょうが、実際のところ、「あんこう鍋」と「どぶ汁」とは別物のようです。というのは、鍋の具のメインとしてあんこうの身が入っていれば確かに「あんこう鍋」だと言って差し支えがないわけですが、「どぶ汁」とは、水分そのものもあんこうの身から出たものだけを使い、そこにアンキモと味噌をそれぞれ溶き混ぜ(アンキモは溶きこむ前に煎るという説も)、最後にだし汁を入れて作る鍋のようなのですね。具も基本的にはネギと大根のみ、よって普通の「鍋」よりはるかにねっとりとしていて濃厚。というわけで、たとえば寄せ鍋を注文するような軽いノリで頼むと、その濃厚さにへこたれるかも(笑)。
しかし、いざ注文する段になって新たな、そして致命的な大問題発生!
どぶ汁は2人前からということだったのですが1人前3000円とのことでした。しかし、「ガソリンほぼ満タン=無給油で帰れる」&「高速代はハイウェイカードがあるから問題なし」という状況で出てきた我々夫婦、注文前に財布の中身を見てみると‥
ビンボーだったのね。
というわけで「やむを得ず海鮮丼とか刺定」などを注文し、せめてもの悪あがきとしてアン肝を単品で注文。
写真ではわかりませんが、出てきたアンキモはものすごく肉厚!厚さ1cm×3枚はたまげ系の嬉しさでした(でもなぁ、ここで日本酒を注文できないのがなぁ(呟))。しかし、何だか最後に煮え切らないというか消化不良を起こしたというか、いずれにせよ納得できる形で終われなかったという後悔が残ります。くっそぉ、今度こそは!
そのリベンジは、案外すぐ(ひと月後)に行われたのでありました、ハイ。