− その2 車窓堪能のあと鄙び系温泉へ −
小出〜只見〜会津横田(大塩温泉)



雪景色にはこれが一番でしょ。

というわけで発車直後からワンカップのプシュぐびぐび行動開始です(むふふ)。それにしても雪が少ないなぁ。あとで宿の人に聞いた話では、年始あたりにはまったく雪がなく、雪見に来た観光客の方々(われわれと同じですな)をがっくりとさせたのだとか。ということは、せめて今は雪が付いているだけでも良しとせねばいけないんでしょうかねぇ。

列車は北魚沼のあたりをひとしきり走ったあと、いよいよ六十里越の峠に向かい始めます。只見線乗車が初めてのTakemaもこの六十里越は何度もバイクで国道を走っていますが、この道は冬期閉鎖。そういえば5月末頃に只見までバイクで来た時、まだ峠越えの国道が冬期閉鎖されているのを知って愕然としたっけ(ものすごい大回りをして帰らなきゃいけなかったからですが)。

ところで、直通列車が1日3本しか運行しないような超ローカル線である只見線は、豪雪地帯を走りかつ路線長が長いこともあって維持管理の費用も膨大だといいます。利用者も少なく廃止されてもおかしくはなかったはずなのですが、それでもまるで「お大尽さまの道楽か?」と思えるような形で走り続けています(大失礼)。しかしそれには、やはり豪雪地帯ゆえのれっきとした理由があったのです。

この沿線が名にし負う豪雪地帯であるということは改めて記す必要もないでしょう。となると冬期間この地域が豪雪で孤立するということもあり得ない可能性ではないわけです。さらに、六十里越の只見側には東電の巨大ダムがいくつもあるわけで、たとえ冬期であってもそのダムへのアクセスを寸断するわけにはいきません。特に田子倉ダムのダムサイトは峠の近くにあるわけですが、ダムの維持管理だけのために峠までの長い国道を常時除雪するというのは割に合わないことともいえます。ならば、峠部分をトンネルで超える「安全な」鉄道線を地域&ダムのライフラインにすべきではないかということで生き残った路線、それが只見線だったわけですね。

詳しいでしょ。随分昔に鉄道雑誌で読んだんだもんね(笑)。
そんなこんなで動画いきまっせ!

「雪の六十里越に挑む」

窓を閉め切っていますから(当然)あんまり臨場感は
ないし、雪の量も少ないんでちょっと拍子抜けですが、
ま、雰囲気だけでもということで‥。

Asf(MPEG4形式)、420KB、15秒

さて、列車は田子倉駅を通過して只見に降りてきました。相変わらず雪の量はご覧の通りなんですがまぁ仕方ないというのは上で書いたとおりです。そして列車は我々の目的地である会津横田駅に定刻に到着しました。あれまホームは完全に乾いてますね。

この駅で下車したのは我々2人だけ。駅前の小さな広場には、岩崎屋旅館さんの奥さんが自家用車で待っていてくれました。宿までは夏なら徒歩15分くらいということらしいのですが、やはり道路(特に路側帯付近)は凍っていますし、お迎えは嬉しいものです。そして本日の宿へはほんの数分。

ここ大塩温泉は「温泉」と名は付けられていますが、宿泊施設といえばこちらの岩崎屋旅館さんともう一軒民宿があるだけです。しかし、そんな小さな温泉場にもきちんと共同浴場があるところが嬉しいですね(というか、そういう場所を探し出したんですが)。近くにスキー場等の集客施設が全くないからということもあるのでしょう、この日の宿泊客はわれわれだけ。やったぁ、お風呂も何もかも貸し切りです。お部屋も一番広くて景色の良さそうな(勝手に決めつけてる)「松の間」(いい名前です、ハイ)を使わせてもらい、いうことなし。



12畳の部屋はゆったりひろびろ。

さて、宿に着いた時に共同浴場についての説明がありました。1.ここから歩いてすぐの川沿いにあるとのこと、2.利用料金は200円だけれども、宿の方で支払うから浴場の料金箱に入れる必要はないということ、そして何よりも、3.共同浴場(含重曹食塩水(塩化物泉))と宿の内湯(炭酸泉)とは泉質が違うから両方をゆっくり楽しんでほしいということ。

もちろん、それぞれの温泉を楽しみに来たのですからゆっくり楽しませていただきます!というわけで、まずは明るいうちに共同浴場を楽しんじゃおうということでいざ出発です!



お風呂への道は凍っていて結構滑ります。

そしてこちら(左上写真)が公衆浴場の建物です。何だか普通の民家のように見えますが、入口部分の建物は休憩室(2部屋。何と本棚に「Hot Spring Library」と書かれていて、いろんな本が置いてありました。強いて言えば漫画が多かったかな)とトイレがあるだけです。一段下にある温泉棟(右上写真が外観です)へは室内階段で降りていくわけです(左上写真にマウスポインタを乗せると階段が表示されます。何ということのないロールオーバーですが)。温泉棟の下には只見川がとうとうと流れて‥いればいいんですが、実は川をせき止めたダム(本名ダム)になっていて、水は滞っています(悲)。でも、十分に風情がある立地であるといえるでしょう。

温泉は男女別です(男湯の写真は右上写真にマウスオンで表示されます)。先客の方がいらしたので、この温泉(共同浴場)についていろいろとお話を伺うことが出来ました。
* この共同浴場の源泉は38℃程度なので夏場以外はほんの少し加熱をしている、とはいっても循環などはせずに源泉をそのまま加熱して出すだけで、完全なかけ流しにしているということでした。考えてみればすごい贅沢な話で、この共同浴場は常駐の管理人さんが居るわけではありませんから、日中などお客さんが居ない時でも加熱したお湯がどんどん流しっぱなしということになるんですね。ちなみに、昭和40年代前半に近くで鉱山開発が行われて以来湯の温度が低下してしてしまったそうで、それ以前は加熱などしなかったそうです。
* 実は、すぐ下の本名ダムが出来る前はこの共同浴場のすぐ下、只見川の河原に露天風呂があったのだそうです。それどころか、その河原はどこを掘っても温泉が出るという何ともうらやましい環境だったのだそうです。しかし、今やその面影は影も形もなし。往時を偲んで水面を見つめるしかなくなってしまいました。ん?そういえばどこぞのサイトに「雪解け時だけ入れる湯」がこの付近にあるとかないとか書いてあったような?お聞きすることはしませんでしたが、地元の人がおすすめしていない以上やめておいた方が良さそうです。
*  ここのお湯は流し口から飲んで構わないということ(男湯にはコップ等は置いてありませんでしたが、地元の方は流し口から実際に飲んでおられました。女湯にはコップがあったとか)ですが、ここでの飲泉の一番の特効は「二日酔いに効く」ということだそうです。「もう、どんなに飲んだ後でもこの温泉水をぐびぐびっと飲めば、そりゃ二日酔いなんてするもんじゃねぇ」とおっしゃっておりました。確かにこの日、私は新幹線で缶ビール(2本だったっけ)、ワンカップ4本弱、んでもって入浴後にもう2合弱と瓶ビール半分という怒涛の飲み助だったのですが、翌日はしゃきっとしていましたなぁ(これほどに飲みまくったのは、普段のお出かけがバイクや車だったことへの鬱憤晴らしだったのでしょうか)。いずれにせよ、確かに効くようです、はい(実証)。
さて宿に戻ったあとは、宿の内湯@炭酸泉のお風呂にどっぷり。脱衣場の流しに源泉の蛇口があるので、しばらく出しっぱなしにして水道管のたまり水を流しきったと思われるあたりで飲んでみました。う〜ん、炭酸泉にしてはマイルドな味わいで、もっとシュワシュワ感を期待していたのですが(ちなみに自分が飲んだ中で一番炭酸が効いていたのは北海道にある五味温泉の源泉でした。どこかって?ちょっとマイナーな場所にあるのでネットで検索してね)、でもここの源泉も口の中で発泡していたのは確かです。

結局1泊で共同浴場・内湯とも2回ずつ入浴して湯ったりしたTakema夫婦。あ〜気持ちよかったあ。

しかし暗くなる頃から天気は荒れ始め、「これぞ奥会津!」という感じの横なぐり風雪になってきました。部屋の中にいるからすきま風などもありませんが(何せ松の間♪)真夜中にすぐ横の道路を除雪車がうなりながら通過するのを、まるで「地獄からの使者」の到来のように感じながら(何といってもうとうとしながら聞いていますからね)寝ていました。でもこれも、現代奥会津の一つの風情なんだなと思えば‥。

(「世界の車窓から」ふうに)「明日は、会津若松に向かいます。」

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