− Page11 レソト王国の国境めざして進めや進め(1) −



行けども行けども先は長いのでありました。

明けて翌朝も天気はまぁまぁ。この日はレソト王国との国境にほど近いAliwal Northまで550kmオーバーという大移動のため、寄り道は極力なしとして一気に移動するつもりなのであります(結局移動距離は570kmありましたから、初めての場所としてはやっぱりなかなかでしたね。日本ではバイクで800km以上走ってますが)。というわけでまずは朝食です。うーん、サンルームのような部屋で朝日を浴びながらの朝食はなかなかゴキゲンでありました!



われわれが座ったのは、もちろん「あの窓際の席」に決まってます!

実はこの奥に見える芝生のエリアはゴルフ場なんですね。ご主人いわく「ここで宿を始めたのはやはりこの立地があったから」ということでした。もちろんご主人も会員なのだそうですが、最近近くにジャック・ニクラウス設計だか何だかの新しいコースがオープンしたためこちらの人気は今ひとつなのだとか。うーん難しいところですが、でもゴルフ三昧という状況が変わるわけではないのだから‥

ちなみにこちらの奥さんはジンバブエ出身らしく、是非最新のジンバブエ状況を聞きたいと思って伺ってみると、「ビクトリアフォールズ(VF)は安全、大丈夫」とのこと。この「安全」評価がこれまでの経験によるものなのか、それとも現地発最新情報をもとにした結論なのかは不明ですが、やはりジンバブエにとっても最大のドル箱であるVFを混乱には陥れたくないでしょうし、たぶん何とかなりそうな気になってきました。

いや、一番恐いのは「国内情勢の悪化を理由にした空港閉鎖=脱出ルート封鎖」なんですけれどね。あ、でもいざとなれば陸路でザンビアに出国すれば‥いや、国境のイミグレが閉鎖されたらそれも無理‥。ま、とりあえずTVのニュースでもジンバブエ国内情勢の悪化についてのニュースはないし(経済についてはもう十二分に悪化しているんですが)、とりあえずジンバブエに入る前日までニュースを見ながら考えていくことにしましょ。

ちなみに奥さんの言葉はさらに続き「でも現地の人々はとても貧しくてかわいそうです」。ジンバブエ出身ということで「今は離れた場所で暮らす身」ではあっても、やはり祖国を思う心情は同じなのでしょう。現ムガベ政権は白人に対して過酷な政策を連発してきましたから、彼女に限らず多くの白人が祖国を脱出せざるを得なかったわけで(しかも財産没収などの仕打ちを受けながら)、「国を憂う気持ち」も人一倍強いのでしょうね。うーん、ジンバブエに行く前からいろいろと考えさせられます。
さて9時頃に出発です。で、すぐ近くのHumansdorp市内に立ち寄り郵便局で切手を購入。「地球の歩き方」によると葉書はR3.5とありましたが(2006-07版)、聞いてみるとR4に値上がりしていたみたい。というわけで1シート=10枚購入しました。局内への出入口は二重ドア構造になっていてそれぞれボタンを押さなければ先に進むことは出来ず、一気の突入&脱出が出来ないようになっているところに厳重な警戒態勢を垣間見ることになります。

ちなみにこの二重ドア、最初われわれが勝手がわからずあたふたしていたら親切な人が教えてくれようとしたんですが、何とその人も2つ目のドアが開けられずに往生してしまいました(笑)。ドアの上に設置されている緑ランプが点灯するまで待たなきゃいけなかったのね。

なお不審者に見られるのもナニだったので「Takema」「おしんこどん」の順番で一人ずつ局内に入り順番待ちの列に並んだわけなんですが、前に並んでいたおじさんが、

というようにこっそりアドバイスしてくださいました。われわれのあたふたをしっかりご覧になっておられたようです(苦笑)。いやー皆さんとっても親切です。ヨハネスブルグの一部のような「危ない場所の情報」ばかりがピックアップされて伝わってくるわけで、わたしも「南アフリカ共和国=危ない危険、ナミビアのようにはいかないぞ」と覚悟して来たわけですが、当然のことながら絶対大多数の人たちは優しい方なんですよ!これは声を大にして言いたい!もちろん上記お二人は黒人の方ですし。



おっと窓口脇のガラスに貼られていたシール、上から順番に「フルフェイスのヘルメット×、携帯電話使用×、拳銃持ち込み×‥」、おお!(笑)。

さてガソリンも満タンにして(19.7リットル=R207.05+R6チップ)いよいよ長駆ドライブの始まりです。と、ここでTakema痛恨の勘違い!(大苦笑)。

東西の大動脈N2に合流した瞬間、「ここは片側2車線」と勘違いしたTakemaは追い越し車線を快調に加速していきます。と、はるか彼方からトレーラーが同じ車線を対向して来るではありませんか!その瞬間のTakemaは、こともあろうに

と考えてしまったのであります!かのトレーラーはTakema車の存在に気づき、南アデフォルトの「路肩走行」に切り替えます。もちろんこちらも少しして「走行車線」に戻ったわけですが‥。おしんこどんいわく、

くわー、完全に勘違いというか思いこみをしでかしておりました!ちょっと間違えば120*100km/h=220kmで衝突してもおかしくない状況でした!それにしてもトレーラーは勘違いTakemaにクラクションの一つも鳴らさず。いやーGentlemanですねー。というかあの時の運転手さん、絶対このページを読んでいるとは思いませんが大変失礼いたしましたm(_ _)m。

いきなりの大歩危小歩危はありましたが、とにかくN2をひたすら東進していくのであります。なに、Aliwal Northに行くのには内陸の9号線経由の方が近いんじゃないかって?うーん突っ込まないで下さい、ポートエリザベスに行ってみたかったんですから!もっともそういう割には結局ポートエリザベス市内に立ち寄ることなく、ジャンクションから10号線へとどんどん進んでいったTakemaなのでありましたけれど(笑)。
さてそんなわけで気持ちよーく走っていくと(まだここはN2)、ちょっとした山越えのルート上にいきなり「STOP」の停止表示が!

うわー、ここからは工事区間ということなんですね。Takema車はこの列の先頭に並ぶことになったんですが(右上画像マウスオンで別画像に変わります)、おしんこどん日記にはこうあります。

うーん確かに。ただしちゃんと係員もいて無線でやり取りをしていたわけですから間違いはないと思いますが‥。でも彼女の詳細メモにはさらにこう書かれています。「9:35停車、9:43対向車が通り始める、9:47、GO!」。うーん、12分の停車だったわけですね。というわけで発進したわけですが、何だかこれだけ長い工事区間となるとついつい「先頭車の誇り」というべきなのか、ついつい嬉しくなって加速しちゃうわけですね。いやそういう輩がえてして事故を起こしたりするわけですから、隠忍自重冷静沈着ハッパフミフミが大切です。皆さまもお気をつけ下さいますように。



「延々と続く片側交互通行の先頭を行く!」

そんなわけで工事区間の先頭を発進!動画の中にも出てきますが、N2というメインロードとはいえ元々の交通量が少ないのでせいぜいこんな感じなんですね。

Wmv形式、2.55MB、1分4秒

さてポートエリザベスからしばらく進んだあたりでN10号線へと進みます。いやーN2と同じ格付け(N=National Road)のメインロードとはいっても、そこはやはり結ぶ都市が違いますからぐぐんとガラガラなのであります!と同時に生活のにおいも少なくなり、荒涼とした丘陵地帯をずっと突き抜ける感じにもなってきます。



こういう風景なんですね。交通量もまさにこんな感じかな。バイクで走ったら気持ちいいと思いますが、たぶん飽きます(笑)。

実は地図上ではこの沿線にいくつか「町」の表記がありまして、だったら「どこかで飲み物を買おう、、できればTakeawayでもあればいいな」と思っていたのですが、実際には「町の体裁」をなしているところがほとんどありません!というわけでそのままN10を進まざるを得なかったわけですが、何だか気持ちよさそうな休憩場所があったのでとりあえずピットイン。
ちなみに主要国道のあちこちには休憩所が設置されています。あるのはゴミ箱と木陰くらいで、運が良ければベンチなどもあったりします(トイレはありません)。ちょっと休憩なんて時には重宝しますが、そこそこゴミなども落ちている場合が多いので、きれいな場所を選ぶといいでしょう。

しばしのんびりして(おしんこどんはいつものように何やら演技中)再び出発しようとしたところで、道の先に何やら人影発見。うーんどうやらヒッチハイカーのようですが、このあたりに人家らしきものは全然見えないのに、あの人はどこから来てあそこに立っているんだろう?

さてこのヒッチハイカーですが、南アフリカを車で移動しているとそれこそあちこちで見受けられます。モーターウェイ上だって例外ではありません。こちらが1○0km(制限速度は120km)で走っているすぐ真横でも平気で手を挙げています。

手を挙げているのはまず間違いなく黒人の方々で、もちろん主要道路ではミニバスなどの運行もあるのですが、そもそも不定期なのと、もちろん「節約」という意図もあるのでしょう。また「お金を手にしてドライバーに見えるように手を挙げている」のは比較的長距離の移動を希望している人だというのもどこかで聞いた話です。

ただ、南アフリカのヒッチハイカーについて紹介している記事に共通しているのは「危険があるので乗せないこと」というスタンスです。このページなんぞを見ていると「何があってもおかしくはない」という気にもさせられますし(外務省 海外安全ホームページ 南アフリカ編)もちろん乗せなければ、そのことから事件に巻き込まれることはないでしょう。でも都市部ならともかく、こんな田舎(失礼)においても同様な危険があるとはちょっと思いにくいのですが‥。というわけで、


(何かあってもあくまで自己責任なのでその辺のところは念のため)

見えている人物が女性一人、しかもその背後には誰もいないようなのを確認して停車、「どこまで行くんですか、私たちはCradock方面に行きますが」と問いかけると、どうやらすぐ近くにある町(集落?)まで帰るところなのだとか。はいはい、いいですよー。

少し話をしましたが、向こうも英語はそれほど堪能ではないらしくお互いすぐ無言に(笑)。というか、現地の人にとってヒッチハイクは「一つの移動手段」として割り切って考えている部分があるのかも知れません。

目的地(Paterson)には10kmほどで到着、最後に「一緒に写真撮ってね」とお願いしてお別れしました。



ナイスバディのお姉さんでありました。

さーてこうして味を占めてしまうと「では次のお客さんでも探しましょうか」という気にもなってくるから不思議です。こうして慢心しちゃう人が得てして事故に巻き込まれるんですよね(苦笑)。ただ、さすがに男性及び男性を含むグループを乗せようとは考えませんでした。

次に車を停めたのは先ほどの集落からかなり進んだ丘陵地帯。これまた何でこんな所に人がいるのかわからないような所に若い女性と女の子の2人組が立っていました。かなりスピードを出していたのでずいぶん先まで行き過ぎましたが、バックミラーを見るとお二人さんがこちらに向かって走ってくるのが見えたので一安心。こちらもバックして「合流」。



「2人組を乗せて‥うわ、行き過ぎました!」

車がバックするところから始まるこの動画ですが、いやはやこのお二人、まさか今日中にヒッチハイクで100km以上先まで行こうとしておられたとは‥頭が下がります。ちなみに分岐を通り過ぎたTakemaの「どわはっはっは!」系大声が突然響きますのでご注意を(苦笑)。

Wmv形式、6.72MB、2分53秒

地図を見せながらどこまで行くのかを尋ねると、うーん、こりゃまた随分と遠くの町まで行くんですね。というわけでその町への分岐点であるCookhouseまで80kmもの大移動となりました。会話はほとんどできなかったんですが、まぁにこやかにしておられたのでお役には立てたと思います。



というわけでここでお別れ。次の車にはうまく乗れたのかなぁ。

Cookhouseの町にはTakeawayくらいあるんじゃないかと期待していたのですが(何せもうお昼)、ありゃまーここも小さな集落に過ぎなかったんですね。幸い小さなリカーショップが1軒だけあったので、ここで飲み物(ビールじゃないよ)だけ飲んで再び北上を続けたのでありました。

ちょっと長くなってきたので続きは次のページにいたしましょ。
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