− Page12 レソト王国の国境めざして進めや進め(2) −
灌漑設備が稼働しています。地下水は枯渇しないんだろうか?
N10号線をさらに北上し、Cradockという町に近づいていくと、地下水利用によると思われる農地が散見できるようになってきました。そうして最初に見えてきたのはCradockのタウンシップ(黒人居住エリア)。大都市周辺のタウンシップはごみごみしていてバラック的な建物も多いんですが、ここは整然と建物が建ち並んでいて、ある種の猥雑さとは無縁です。と、道ばたで何かキラキラするものを並べて売っているみたい?というわけで急停車。ん?こ、これはと思って近くに寄ってみると‥
あたりには大きなものから小さなものまでヤンマー耕耘機のように色々ありましたが、みんなちゃんと風を受けてくるくる回っていたので遠くからでもキラキラ光って見えていたのですね(右上画像にマウスオンすると拡大画像に変わります)。うーん、これはなかなか「いい仕事をしている」と思うぞ!
というわけで、小さめの中からよく回るものを選んで購入しました。ええっと、いくらだったっけ?確かR5くらいのものだったと思うんですが。でもこのあとの旅行中にこれほど安価でいい感じのおみやげ風車はついぞ見かけませんでしたから「いい買い物をした!」というところです。それに、中間搾取もなくそのままこの人たちの収入になるわけですしね(R5ごときでこんなエラソなことを言うのも口はばったいですが)。ちなみにこういうところを含め、南アフリカではあまり値段をふっかけてくることはないようです。
さてこのあとはCradockの市内へ。大きな町なのでスーパーで買い出しでもと思いましたが(この日は土曜日=夕方まで営業中)、その前に立ち寄ったガソリンスタンド併設のショップで、昼食として十分そうなサンドイッチやミンスパイなど美味しそうな食べもの発見。というわけで飲み物と一緒に購入し、どこか景色の良いところで食べようと決めて町を出発です。
ここからはN10号線を離れ、R390号線でHofmeyr、さらにSteynsburg、Burgersdorpを経由し、最後はR58号線で目指すAliwal Northへと進んでいくわけですが、さすがにメイン国道を外れると、ただでさえ少なかった交通量はさらに減り、すれ違う車は10分に1台くらいという感じです。はるか向こうの山麓付近に木が生えているのが見えるけれど(つまりは他には木がなく一面の草原)、「あの木までこのまっすぐの道で一体何kmあるだろう?」と、お互いに距離を予想したりもしておりました。トリップメーターで測ってみると‥
そんなこんなで暇をつぶしながらも、「景色はどこでも同じようなものだし(どこでもほとんど360度の大展望状態)、ベンチのあるレストエリアがあったら座ってランチだよなー」と思いながら車を走らせていたわけです。しかーししかし、行けども行けどもベンチつきのレストエリアがなーい!というわけでベンチはあきらめて、2本の木が植えられたエリアで昼食にすることとしました。
乾いた風が平原をさわさわさわーと流れていきます。日射しが強いこともあって左上画像のように半袖で十分です。あー気持ちいいなぁ、ここまで来てよかったなぁと何だかしみじみしながらお昼ご飯をパクツキました。食事のあとしばしまったりしていたら、おしんこどんがこの木に突然着目。よく見ると、なるほど何やら実が成っているではありませんか!(右上画像マウスオンで拡大)。
この木は何なのだろうと思っていたら、おしんこどんいわく「これは‥ピンクペッパーなんじゃないかな?」いま改めてネットで調べてみると、うーん確かに葉の形状や実の付き方はそんな感じですね。聞けば「以前フラワーアレンジメントで使った素材だから」ということでした。ちなみに「Pepper」とはありますが、この種類はコショウ科ではなく「ウルシ科サンショウモドキ属」に属するんだとか。ま、そんな由来はどうでもいいですけれどね(笑)。
なお、地面には右上画像のような黄色い花が落ちておりまし‥いや落ちてない落ちてない、この状態で咲いてます!何の花かはわかりませんが、葉を付けることもなくいきなり地面すれすれで咲いてしまうとは‥この乾燥地帯で生きる植物の厳しさ、頑張れよと言わずにはいられませんね。
さてそこから行くことしばしでR390号線ともお別れ、ここからはR56号線をしばし走るわけですが、日本であれば普通このような「交通の要衝」にはせめてお茶屋さん(京都のじゃないよ)があったりするものです。でも西洋の合理的な(何が合理なんだかわかりませんが)発想のもとに作られた道路では、案外分岐に何にもなかったりするんですよね。もともと期待もしていませんでしたが、やっぱりあるのは看板とレストエリア(ここにはベンチがあった)だけでした。あたりには「方面を示す看板」と「120km」の制限速度を示す看板が、僅かに風に揺れているばかり、やっぱり緑豊かな日本っていいなぁ(右上画像マウスオンでベンチのあるレストエリア画像に変わります)。
ここからも「まったく人の気配を感じない」エリアをずんずんずんと120km/hで進んでいきます。ん?何だかいきなり「まだらに緑色が見えるエリア」に来たぞ?
中にはミッキーの耳みたいなのもありました(右上画像マウスオンで別画像に変わります)。
あれまサボテンですね。しかしいきなりなぜここに?というのには理由がありまして、基本的に「1時間走っても全く人の営みの気配がない」このエリアにも「私有地」の概念はしっかり存在しているわけで、道の両サイドはそれこそさっきの町(Cradock)からここに至るまでにも(もちろんその前も全て)道の両側にはフェンスが張りめぐされ、一般人の侵入を拒んでいるのであります。つまりここは「持ち主のサボテン畑」というわけなのですね。
同じような環境にあるナミビアでもそうだった記憶がありますが、いくら地平線まで見える大展望の中を走っていても「通行を許されているのはこの道路だけ」と思うとちょっとがっくりきますね。NZやイギリスなどでもそうでしたが、あちらの国の場合は実際に羊の放牧で使っているために「勝手な移動を阻止」するという大義名分というか必然性がありましたか。でもまぁ、これもお国柄ということで仕方ないのかな。というわけでさらに車を走らせていくと、
でも本日ここまでの走行ルートを振り返ってみるに、道路状況にあまり大きな変化はないわけで?もちろんこの国を一度はバイクで走ってみたい気持ちはありますが、たぶん飽きちゃうんじゃないかなという気持ちになります。海あり山あり峠道ありの道を楽しんでいるわれわれ日本人にとっては‥。あ、右画像は「このあたりにしてはちょっと整然としていないタウンシップ」。でもケープタウン等の大都市周辺に比べれば広々としているんですけれどね。
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このあと「本日最後のヒッチハイカーピックアップ」です。まだ20才そこそこと思われる女の子、牛の乳を入れたプラスチックの入れ物(これがまた形状的に車のオイルが入っているそれに酷似していたんですが、たぶん違うということにしておきましょう)を持っていました。もう16:00近く、そもそも車の通りは皆無に近いのに、彼女は(そしてそれ以外のヒッチハイカーの皆さんも)、日が暮れてしまったら一体どのように対応しているんでしょうか?これを聞くのを失念してしまったのが大失敗でした(もっともこの女の子も英語はほとんど話せなかったみたい?)。
それでも彼女の住むタウンシップの前で記念写真だけは忘れません(笑)。
それにしてもCradockや彼女の住むBurgersdorpのようにある程度整備されたタウンシップがある町と、同じような地方にありながら整備が行き届いていないタウンシップとがあるのは‥やっぱり「政治」なんでしょうかね?
そんなわけで、本日の目的地Aliwal Northへ到着、市内のどこにあるかわからず道行く人に聞いてみると市内の外れなのだとか。というわけでしばらくきょろきょろ進んでいくうちに何とか見つかりました「The Umtali Country Inn」!ほぼ17:00ころの到着で、はーアブナカッタ、暗くなってからだとかなり悩むような場所にありましたんで。
宿の雰囲気も、チェックイン時のレセプションのおいちゃんの応対もかなりのんびりしている感じでしたが、そもそもこの町自体が旅行者の逗留する場所じゃありませんですから仕方ないのかも知れませんし、この雰囲気自体も決して嫌いな世界ではないので「何だかウフフ」なのであります(謎)。
なおこの宿もB&Bベースで予約しているので夕食は外食というのが原則なのですが、ちなみにこの日は土曜日、市内のレストランはどこも休業なんでしょうね、夕食のリクエストを聞いてくれました。そもそも宿で夕食を食べられるのならその方が明らかに楽だし(堂々とお酒も飲めるし)ということで、スペアリブやらポークチョップやらサラダやらをオーダーしておきました。んでもって日没直前のお散歩へ。途中地元の子どもに「ニーハオ!」と声を掛けられましたが、そうじゃないのよ日本人なのよ。
部屋のキーは昔ながらの懐かしい形状です。敷地内には大きな大きな松の木がありました(たまに松ぼっくりが落ちてきます)。
宿の敷地角まで来たところでちょうど日没、というわけで右上画像では「人間影絵」にチャレンジしてみました(照笑)。
照度が高くないゆえ暗め&ピントの合っていない画像になってしまいましたが、スペアリブは右上画像からは想像できないほどのボリュームでした。大判の骨付き肉が2枚重なっていましたからね。
この晩はかなり冷え込みました。夜半に外に出てみたらオリオン座が見えていましたっけ(さすが南半球の冬ですな)。暖房はエアコンのみで寝ていてもちょっと寒かったかな?だって翌朝の最低気温予想は「2℃」でしたからね。ここAliwal Northの標高は1300mを越えていて、さすがに寒いのですがそれでもおやすみなさい!
ちなみにこの日のコンセント接触合わせには靴を利用しました。押し上げるようにするとちょうど接触がよくて、この時はPC充電中。
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