− Page13 南アフリカ/レソトの国境越え(Sephapos Gate)はとっても刺激的 −



「横断者あり注意」の看板がありましたが、わざわざフェンスを越えて横断する人がどれだけいるのでしょう?

朝方(8/3)、部屋の前の芝生には霜が降りていました。やっぱり寒いや。夜は電気のエアコンを入れていたせいかやたらに空気が乾き喉が痛くなりました。ちなみにベッドにはヒーターを入れていたんですがやたらに背中ばかりが暑くなりイマイチ。おしんこどんはそのヒータースイッチがあるのを知らずに寒かったのか、朝になってそのことに気づくと「くわー悔しい残念!」とやたらに叫んでおりました。でもまぁ2人とも風邪をひくこともなくてよかったよかった。

ちなみにここまでの夕食を振り返ってみると、最初のHarmanusでは白ワインを注文し、Blackwatersでは車で食べに行ったので飲まなかったとはいえ(おしんこどんが赤のグラスワインを飲んだのみ)、昨日のThachwoodではギリシャレストランで赤ワイン、そしてここでも昨日は白ワインと、基本的に「夕食ごとに2人で1本のフルボトルを飲み干してきた」わけですね。おかげで持参の芋焼酎の減りは最小限に抑えられているし、おまけにこちらではワインが安く、レストランで頼んでも白ワインフルボトル=R55-70(700-900円)、多少高い赤ワインででもR70-90(最大1200円程度)というわけでお気軽に頼めるというのがあるんですが、それにしてもいいペースで飲んでますなー(笑)。



「Getaway Gateway」とは日本語に直訳した意味とはちょっと違うのかな。おしんこどんは相変わらず舞っておりますが(笑)。

さて、ちなみにここAliwal Northには、「普段のTakema」であれば決してスルーすることのできない重要な場所があるのであります。それは‥



そう、南アフリカ国内にも数は少ないとはいえ温泉があります。こちらのサイトによると「ぬるい(34℃)が硫黄臭がする」ということで、うまく時間が取れれば何とかしてしまおうと考え、あえて旅行者があまり通らない(と思われる)この町に泊まる計画を立てていたというわけなのです。

しかーししかし!昨日この町に到着したのは17:00前ゆえ「立ち寄り湯」というわけにはいきませんでした。そうして本日は‥

のであります。よって9:00にはこの町を出たいというわけで、ここでの入浴は断念せざるを得ませんでした。うーん残念。と、今思ったんだけれど、どうやらこの温浴施設には宿泊設備もあったみたいなのに、何でここに泊まろうとは考えなかったんだろう?

さて今さらの未練は捨てて出発することにしましょう。土曜日の早朝ということで町は閑散としていますが、GSはちゃんと開いているのでまずはガソリンを満タンにしてっと。

Bloemfontein方面へ進むには町はずれでいきなり橋を渡るわけですが、オレンジ川にかかるこの橋が何と州境になっています。こっち側は東ケープ州ですが、橋の向こう側はフリーステート州。その昔はオレンジ自由国だった側ですが、ややこしい歴史については他のサイトをご覧下さいませ。ただ、州が違うこともあってか橋の向こうに集落はなく、いきなり大平原が広がることになります。

この道をぐぐーんと走ることしばし、RouxvilleでR26に曲がりローカル色満載の道を進んでいきます。この日のお天気はまさに快晴、でも標高はAliwal Northよりもさらに300mほど高い1600mくらいあることもあって、草原を吹き渡る風はひんやりとしています。

実はこの日の行程として、最初はVan Rooyens Gate(バンルーエンスゲート)からレソト入りを果たそうと思っていたのです。しかし結構メジャーなゲートらしいし(マイナー好きのTakema)、地図を見ているとその南側にもう一つ、Sephapos Gate(セファポスゲート)というのがあるんですね。地図を見ると、Boesmanskopという集落の奥にあるみたい。というわけでいざ行ってみまショー!



Boesmanskopへの看板に従って曲がってみるとしっかりダート路。結局1台の車も見かけませんでした。

ちなみに「こちらレソト方面」というような掲示は最初から最後まで一切ありませんでしたから、本当にこの道で正しいのかどうかは文字通り行ってみなければわかりません。と、こんな「産業遺構」を発見!

あれまー鉄道が廃線になってます。しかし運行用の標識はそのままだし、線路の路盤もまだしっかりしているし、線路と道路の交差部分にまかれている盛り土もまだフカフカだし、見た限りでは廃線になってからまだ間もないような感じです。場所柄旅客営業はしていなかったとは思いますが、列車の姿だけでも見てみたかったなぁ。

さてこのあとは三叉路でしっかり道を間違えてあらぬ方向に5-6kmくらい行ってしまいましたが、やっぱりおかしいと思い戻ってみると、もう一方の道のすぐ先にめざす国境があったというわけです。というわけでゲート付近のグーグル画像です。


大きな地図で見る

三叉路の分岐から数百mほど進んだところからいきなり道路がコンクリート舗装に変わりました。ただのインフラ整備とは思われませんから、この先にイミグレーションがあるのか、または軍の秘密基地か、はてまたもしかして某巨大企業のヒミツ工場か何かがあるに違いありません。ただし後者2つだったらただでは帰れないでしょう(笑)。

しかし脇にある看板を見ると「LESOTHO」「BORDERLINE」の文字が。うーん、どうやら間違いなくこの先が国境のゲートなのでしょう!

それにしても、国境施設に至るまでまったく案内がないというのも驚きです。それは裏を返せば「それだけ利用者が少ない」ということでもあるのでしょう。そして、その予感は意外な形で的中したのでありました(笑)。

事務所とおぼしき建物の前に車を停めると、中から国境警備の警官が2名出てきました。「ハロー」と声を掛けますがあちらさんに笑顔はなく、ここが「緊張すべき場所」であることをあらためて意識させられます。パスポートを出すとざっと確認した上で一人が事務所の方に持って行きました。あちらでスタンプを押したりするのでしょう(室内に女性の姿が見えましたし)。

で、その間に行われたことはといえば‥

われわれの荷物はといえばバックパック(Takema)とスーツケース(おしんこどん)、それと後部座席にいくつか置いてある荷物だけですが、チェックの目はその全てに及んだのであります。全ての荷物を取り出し、袋の中に入っているものはそれもいったん表に出してチェックします。ちなみにTakemaの荷物の中に入っていた2リットルのペットボトルの中身もチェック。




(取り上げられなくてヨカッタ‥)
もちろんおしんこどんの荷物も例外ではありません。彼女は結構こまめに袋に分けて荷物を収納していたのですが、それらも全部中身のチェックを受けたのであります。そしてまだまだチェックは続きます。

ボンネットまで開けて調べられるとは、この国境っていったいどんなに緊迫した状況にあるんだろう?と思っていたら、チェックしていたのは車のエンジン番号でありました。こ、こ、ココマデヤルトハ!

さて荷物検査の結果はもちろん「おとがめなし」であったわれわれなのですが、その過程において警官に緊張の色が走った(ように見えた)瞬間がありました。それではここで問題です。警官はわれわれの荷物の中のどのような物品に対してキンチョー蚊取り線香モードになったというのでしょうか?
正解は、左下の画像にマウスオンすると表示される仕組みとなっております。それにしても一体どうして「見たままその通りの物品」を厳重に点検したのでありましょう?謎です。

さてそんなわけで再び車に乗り込み、われわれのために開いたゲートを通っていざレソト王国に入国しましょう!



「ここまでの出国の流れダイジェスト」

一応南アのイミグレ到着前からの車載カメラですが、出国のイミグレがピリピリしていたものですから手持ちカメラでの撮影は断念。これは車載カメラの画像です。

Wmv形式、4.01MB、1分48秒



キビシかったイミグレから下っていくと坂の下でコンクリ舗装がとぎれます。まさにその場所が「国境」でした。

さーて、坂の下にあるレソト側のイミグレーションは、南アフリカ側と比べてあまりにも対照的な雰囲気と対応とで、これまたわれわれにとって驚きの連続でありましたわ!(笑)。

まずはこの建物のたたずまいが何とも言えない味わいを醸し出しております。入口部分の屋根なんかは、何だか民家の軒先みたいな感じ、「ごめんくださーい」と言いながら入っていってもよさそうな雰囲気です。ちょっと言い過ぎに聞こえるかも知れませんが、さっきまでの物々しさと比べればどうしてもそんな風に感じちゃったんですよね。

しかも車を降りたところで、次なる「ほのぼの」を足下にすぐさま発見!

建物の入口付近には、何とトウモロコシの実が撒かれておりました!この周りにしか散らばっていないところを見ると、これは明らかに意図的に誰かが撒いたとしか思えません。何のために?ニワトリだか野リスのためでしょうか?そして肝心なのは一体誰が撒いたのかということなのです。それは‥

心やさしき職員さんはどんな方なのかなと思っていたら、予想通りというか柔和な顔つきのおじさん。パスポートを渡すと、次のような質問というかやり取りが。


わざわざ説明してくれながらスタンプを押してくれるところが何ともほのぼのしていいいじゃあーりませんか!続いてはレンタカー情報の記録事務作業に移ります。


あくまで旅行者を信じ切ってくれている(アバウトとも言いますが)この入国手続き作業でありました。もちろん荷物のチェックなどという無粋な行為は一切なし。でも、このようなほのぼのイミグレの「白眉」ともいえる瞬間は一番最後にやってきたのでありました。

手続きが全て完了し、「OK、行っていいよ」と言われたわれわれですが、周囲の写真(上のトウモロコシとか)を撮ったりしていてすぐには出発しませんでした。その時、建物の奥の部屋に入ったはずの先ほどの係員さんがちょっと急ぎ目に再び出てきて、われわれにこう告げたのであります!

こ、こ、こーんな「基本中の基本業務」を忘れてしまっていてヨロシイんでしょうか係員さん!(大笑)。われわれがのんびり出発しようとせずにすぐさま車を走らせてしまっていたら、もしかしてわれわれは「正式な入国手続きを取らずに入りこんだ旅行者」という扱いになってしまっていたんでしょうか?(激笑)。ただし南アとは違いこの国の出入国管理はオンラインの一元管理というわけではありませんから(というか全て手書きの記録保存みたい)、もしそうであったとしても出国には何の問題もなかったと思われますが。

いやぁでも、「ビザ発給後に入国カードを書いた」のは初めての経験でした(笑)。でもこののんびりムードは、やはり「それだけこのゲートからの入国者数が少ない」ということを意味するんでしょう。いやぁ、入国手続きでこんなにほのぼのしたのって初めて‥「ん!?」。たった今、はたと気づいたんですが‥

確かに、このあと再び陸路で南アフリカを出国した際(もちろん別の場所)よりもはるかに厳重だったもんなぁ。たぶん南ア〜レソト国境の陸路の表玄関である「Maseru Bridge」では荷物検査などやっている余裕もないだろうし、この推察はあながち間違いでもなさそうな気がします。あとは「東洋人が珍しかった=見慣れない奴ら」というふうに写ったというのもあり得る話ですがね。




「というわけで無事にレソト王国に入国!」

イミグレーション付近には人家もなく、あるのは青空と丘陵のみ。その青空も、何だか南アフリカよりもずっと開放的に思えたのはなぜ?

Wmv形式、1.53MB、40秒

というわけで無事レソト王国への入国を完了しました!ちなみにレソト側のゲートは「常時開放」というのが基本のようですね。ま、ここをそのまま突破しても南ア側のイミグレで必ずとっつかまるでしょうから、これはこれでよろしいのかも知れません。

ちなみに左上画像にも小さく写っておりますが、先ほどの係員さんは本日本来のお仕事=洗濯業務に戻られたみたいですね(左上画像にマウスオンで拡大します)。なるほど、お仕事中失礼しました!(笑)。

さーてここからはいよいよ「憧れのレソト王国」を走り出すわけなんですが、ここまでで随分長くなっちゃったんで次のページにて続きをば。
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