台湾温泉巡り2009

− 2009/12 台湾湯めぐり編その4 台湾訪問の初野渓温泉「梵梵温泉」! −



ふっふっふ、適所適温適湯でスバラシイ!

そんなわけで鳩之澤温泉をあとにして、しばらくは来た道を戻ります。で、往路で「ん?ここはもしかして?」と思った「英士」(地名)の門をくぐってしばらく行ったところでタクシーは停車したのでありました。



ほーらやっぱりこの門が梵梵温泉の入口だったんだと、自己満足的に喜色満面。

停車したのはこのような看板の付いた建物のある三叉路(T字路)。ちなみに台湾では平仮名の「の」がある種の人気らしく、絶対に日本人観光客とは無縁の広告看板などにも「の」が入り込んでいたりします。で、この左側の家の方々が外のテーブルでくつろいでいたので(午後一番から宴会をしていたと言えるかも知れません)、最初は「(運ちゃんの)黄さんがここからの道を聞くために止まったのかな」と思っていました。しかし、何だか妙に話が長いようなのでわれわれも車から降りてみると‥ん?その家の角にある置物タヌキに目がいきました!



こちらのお宅の置物タヌキ、そのタマ○マ部分に書かれていた文字とは?(右上画像マウスオン)。

おおーっ!われわれが目指す梵梵温泉まで「あっちからもこっちからも15分」と書かれているではありませんか!

ちなみにこの梵梵(現地読み=ファンファン)温泉まで直接タクシーで行くことは出来ません。この「15分」というのは徒歩による時間表示です(ただし現在は諸般の事情でもっとかかりますしそれなりの危険も伴いますので念のため=後述)。またはかなり車高の高い4WD車で‥。

鳩之澤温泉で黄さんにも「最後は歩くしかないということをわれわれも承知しています」ということを「例の電話」で伝えてあったわけですが、それにしてもこのご家族との会話が長いなぁ‥と思っていたら、ここで状況は思いもかけない展開へと進んだのでありました!

このお宅の御主人とおぼしき方が自分の車(三菱デリカ4WD)の方に向かうとともに、黄さんがわれわれに向かってジェスチャーで「そう、その車。」と指し示します。

こうなるに至った事情は全く理解できませんでしたが、一つだけ思い当たる節がありました。それはとある情報にあった次のような記事です。

「梵梵温泉は集落から川を挟んだ対岸にあります。河原を歩いて行くことになりますが、車高の高い4WD車ならば源泉地まで入ることができます。」

というような内容だったと思います。「なぜ車を出してくれるのか」についての疑問はまったく解決していませんが、もしかしてこの方は温泉まで送ってくれるのかな?という期待をもとに、言われるがままだいぶ年季の入った(年式というよりも使用度という点で)デリカに乗り込んだ次第です。ちなみに助手席にはなぜだか5歳くらいの男の子(お孫さんかな?)も乗り込みました(笑)。

片言の日本語で話しかけてきたこのご主人ですが、しきりにあちこちを指さしながら「あそこ、学校、***はダメ、あの道が***!」とわれわれにいろいろと伝えようとしているようです。「帰りにこの車はいない」ということはわかったので、「そうか、この方は帰り道の指示をしてくれているんだな」と納得。

しばらくこの方のお話を聞いて(解読して)いると、何とこの方のお父さんが日本人なのだということが判明!なるほどそれで切れ切れとはいえ日本語が!(しかしその父親は?何だかちょっと考えてしまいました)。しかしそのことは本題から外れるのでここまでにして(というかこれ以上書くネタがありません)、本題である温泉道中に話を戻しましょう。これがまたなかなかスゴイ!



梵梵温泉への車両入口からしばらくは比較的平坦なダートが続きました。が、しかーし!



やがて道というよりはただの河原を行くようになり、車は激しく揺さぶられます(でもお孫さんは楽しそう=左上画像マウスオン)。

ちなみに右上画像は、この方が「あそこを渡るんだ」と指示して下さっているタイミングで撮影したものですが、すでにこの時点でかなり深い川渡りを終えていますし、いくらデリカだってこの道はかなりヤバイでしょ!と、乗せてもらっているわれわれが恐縮というか危機を感じてしまうほどのものであったことをここに申し添えます。わたしが普段乗っているスバルフォレスター?完全にダメですよ。

もっとも画像だけではその雰囲気は伝わらないと思うので、ここでその道中の動画とまいりましょ。
「梵梵温泉への送迎道中」
おしんこどんのうめきとTakemaの高笑いをお楽しみ下さい(笑)。

ちなみに2つ目の川渡りとおぼしき場所の手前で、河原にいる(というか渡るべき川の水深の深さに唖然とし途方に暮れている)カップルを見つけたこの方は、ジェスチャーで「上流=温泉か?」と聞くと「この車に乗れ!」とこれまたジェスチャー。台湾人のカップルさん、喜んで同乗!さらに車高が下がることなど全く気にせず2回目の川渡りに突入!(こっちの方が深かったように見えました)。

というわけで、道ともいえない道を梵梵野渓温泉すぐ手前(30mくらい)まで来て下さったこの方は、お孫さんとともに再び来た道を帰って行かれたのでありました。



ええっと、大したことのない河原だと思わないで下さい。というわけで動画も撮影しています。

「帰路は大丈夫‥なんでしょうね」
ご覧の通りちょっと車を動かすのも難儀だったりします。

最初が「何が何だかわからないまま」だったこともあり、結局この方のお名前をお聞きすることも出来ないままお別れすることとなってしまいました。一体どういう流れだったのかは、この帰り道に初めてうっすらと理解できたような気がします。

さて、何はともあれ梵梵温泉なのであります。実は先客さん一行が「デリカよりもはるかに車高も高く(改造済み)大口径のタイヤを履いた」四駆2台で到着しくつろいでおられたのですが、それはそれでよしというわけでお仲間に入れてもらうことに。着替える場所などないのでもちろんわれわれは「どこでもお着替え貫頭衣」でささっと。同乗のお二人はわれわれが着替えるのを待って岩陰で着替えたのか、温泉入湯までには少々時間がかかったみたいでした。

そんなわけで台湾野渓温泉の一つである梵梵温泉、まずは周辺風景からご覧いただきましょう。

河原の右岸(下流から見て左側)の崖下付近からかなり熱い源泉が湧き出ています。その源泉を川の水とブレンドして適温にして入浴するというわけですが、ありがたや多くの先人の方々により工事は完了しているため、われわれはそのままありがたく入れてもらうだけです。

湯だまりは大きく分けて3つからなっており(入浴不能の激熱だまりは除く)、まずはあまり人気がなく先客さんもいなかった最下部から入浴させていただきましょう!



持参の温度計で湯温を測ってみると、42.3度とまさに適温!しかも湯底は小石と砂ベースで湯が濁ることもなく、もちろんお尻に当たるような突起物もありません!うーん、この湯だまりだけでも梵梵温泉に来た甲斐がありましたっ!



はぁー、野渓温泉良き哉、景観も良き哉、ついでに夫婦仲も何とか良き哉です。

さて続いてはひとつ奥の湯だまりへ。ここは崖側がかなり深くなっていて、野渓温泉(野湯)なのに肩まで浸かることができるんです(右上画像のTakemaの場所)。しかし、この湯だまり内の川原寄りに源泉が底から湧出している箇所があり、ダイレクトに踏んだりするとアチチのチという感じです。逆に崖側は快適かも。推定温度44度というところですが、湧出箇所では45度を超えるかも知れません。

さて、そして問題は3つ目の湯だまりです。これがかなりの難敵でして、2つ目と同様河原側の底から源泉が湧出しているのみならず、さらにその上流の源泉地帯からもどんどんと新鮮激熱湯が流れ込んでいるという状況です。先客さんもこのあたりの岩に座り込んだりしていて、片言の英語で「Very Hot!」などと教えてくれます。ぬるいところ(崖側)を確認しながら湯だまり内を進みますが、時折湯の表面にアッツイ軍団が紛れ込んできたりするので「湯断」は出来ません。推定は45度ですが、Takemaの日記には「下手な場所では46℃を軽く超えているだろう」というメモ書きが残されています。しかし体感じゃなくて全部正式に測っておくべきだったな(後悔)。

しかしここで、おしんこどんが「茹でしんこ」覚悟の?身体を張った調査に乗り出してくれました!

この「3つ目の湯だまり」の、しかも最上流部におしんこどんが突撃し、流れ込み付近の湯温を計測しようというのです!しかも湯に浸かりながら(笑)。それが上の中央画像なのですが、そのあたりの表面温度は‥うわ、48.7度?マウスオンすると別画像に変わりますが「よ、よんじゅうきゅうてんきゅうどっ!」。大丈夫なのかおしんこどん、夫であるTakemaを置いてひとり「茹でしんこ即身成仏」になってしまわないのか?

‥ええっと、実はこの状況には多少の「裏」がありまして(笑)。この湯だまり内では時計回りにお湯がゆっくりと循環しているようだったのです。上流の源泉地帯(左上画像)から流れてきた激熱湯は、おしんこどん前方の「石の堤防」により主に中央画像画面の右側に流れ込みます。Takemaが写真を撮っているすぐ手前あたりの足元からも激熱湯の湧出が少しあるのですが、その湯と上からの湯とが川の本流から導入されてきた冷たい水と混ぜ合わされ、上流からの湯の勢いにしたがって少しずつ時計回りに回っているという感じでした。だから、おしんこどんのいる場所はある種「この湯だまりで一番ぬるい場所」というわけです。でも45度だって恐いよなぁ(笑)。

ちなみにおしんこどんは那須鹿の湯の一番アッツイ湯船にも果敢にチャレンジする「剛の者」ですので、よい子の皆さんはマネしちゃダメよ。

そんなわけでおしんこどん、3rd湯船でご満悦!(左上画像)。先客さんの誰も湯に浸かっていないことや、それはないでしょ的なウェットスーツ着用のお背中が涙ものです(笑)。でも温泉のみならずここまでの人の温かさについついよしよし(微笑)。

ちなみにネットで見つけた某データによると、ここ梵梵温泉の泉質は「アルカリ性の炭酸水素ナトリウム泉」、源泉温度は62℃なのだそうです。なお、今回このページをアップするにあたりいろいろなウェブサイトを確認したわけですが、時代によってアプローチも、そして野渓温泉の状況も全く違うことがわかりました。そして当然のことながら川の状況も。あれ?川の氾濫といえば確か台湾では‥

というわけで調べてみると、日本でいう2009年の台風8号は日本の南西諸島にこそ大きな被害こそなかったものの、台湾の南東部においては死者行方不明者合わせて600人以上に及ぶ激烈な災害が起こっていたわけです。詳しくは下の検索ボックスで調べてくださいね(親切なサイトでしょ?)。

この同時期(8月上中旬)に北海道にいたわれわれはバイクツーリングゆえ「天気に敏感」になっていたこともあり、TVに表示された天気図のことをよく覚えています。好天に恵まれた北海道にいながら、「もう数日前から台湾南部に上陸しっ放しで居座り続ける」台風8号情報を見ていて、「うわー、こっち(北海道)に来ている身としては嬉しいけれど、これはもう台湾はすごく大変なことになっているんじゃないの?」という思いを抱いていたわけです(でもまさか、その数ヶ月後にこの地に来ることになろうとは思いもしませんでしたが(笑))。と、ここでふと考えました。それは、

という仮説です。家の敷地のタヌキ置物に「梵梵温泉15分」と案内を明示しておきながら、タクシーの黄さんとしばらく話した上でわざわざ車を出してくれたのも、その内容はもしかして次のようなものだったのではないかと推察されるのです。
タクシー(黄さん) 「ええっと、ここまで乗せてきたお客がこれから梵梵温泉に行きたいということなんですが、ここから歩いていくということで間違いないですか?」
この家のご主人 「梵梵温泉?あそこまでの道はこの前の水害で荒れちゃってねぇ、川の流れも大きく変わってしまったし、渡渉(川渡り)ができる場所も限られていて、およそ初めて来た人が簡単に行かれる場所ではなくなっちゃったんだよね。」
タクシー(黄さん) 「ふーんなるほど。ちなみに彼らは日本からこのあたりの温泉めぐりに来ていて、ここに来る前も鳩之澤温泉に寄ってきたところなんですよ。残念だけれど「行かれない、無理だ」というしかないかなぁ。」
この家のご主人 「わざわざ日本からこの温泉を‥。わかった、自分が彼らを案内しますよ。日本人だと言うことだし(ページ上部の内容参照)、うちの四駆なら何とか荒れた河原の道経由で現地まで入れるからね。」
お2人の話し合いはそこそこ長い時間がかかっていたわけですし、これくらいのドラマを勝手に想像したとしてもバチは当たらないかと思います(笑)。

さてそれでは梵梵温泉から帰ることにいたしましょう。帰りはもちろん川渡り有りの徒歩ですが、「川渡りは1回だけ、ここを渡って対岸に行くんだ(絶対に車道を通って帰ってきてはダメ)と指示されているので多分大丈夫なはずです(謎笑)。

しばらくは川原を歩きますが、「ここをノーマル仕様のデリカが走ってきたの?」と驚くばかりの荒れた道でありました。うちのフォレスターでは‥無理です!(運転手Takemaの力量を多分に含む判断です)。そんなわけで、いよいよ川渡りの現場に到着。

出発前にジェスチャーで「帰り道途中の川渡りでは深さはこれくらいあるよ」膝下(推定水深35cm)くらいのところを示して下さっていたので、まぁそれなら大丈夫だろうと考え、指示された場所のなかでも浅そうなところを選んで渡り始めたわけですが、結果として‥

水底の石がかなり滑るということで、ビーサンを持参したおしんこどん共々ハダシで渡り始めました。川幅は10mくらいなんですが、水深がどんどん深くなっていくのがいやというほどわかります。しかもTakemaの場合この川渡りをなめきっていたのです。つまり‥

さすが台湾、水は身を切るほどの冷たさではありませんが、それよりも水底の石のヌルヌルに悩まされたのは当然です。Takemaの場合どんな苦行を強いられたかというと(いや自分が悪いんですが)‥

川の半ば手前、すでに深さは膝頭くらいまで達していたところでおしんこどんが「これ、もっと深くなるとキツイよ、戻る?」と声をかけてきました。しかし「ここまで来たら行くしかない!」とおしんこどんを励まし渡渉を続行せしめます‥といえば聞こえはいいのですが、その本心はといえば「この本流ど真ん中の場所&この左右塞がりの状況で180度方向転換する自信がなかった」というところです。せめて靴などを入れるデイパックを持ってくれば何の問題もなかったはずなのですが‥

この時遭難を覚悟した‥とまでは申しませんが、とにかく川の真ん中で「焦ってヘマをやらかすよりは、どんなに濡れてもいいからゆっくり慎重に行こう」と思っていたのは確かです。気がつけばTakemaより後ろにいたはずのおしんこどんはルート取りとして正解の「Takemaより上流」を歩いていました。そう、そのあたりを渡るのが正解なのさ!Takema大失敗!

結局、おしんこどんに遅れること1分強でようやく川渡りを完了したTakemaでした(反省)。



というわけでお互いこんなに濡れちゃいました。お互いズボン(パンツ)を膝上までまくり上げていたのに(笑)。

突然ですが世の「ズボンパンツ論争」を念頭に置いて「(パンツ)」と表記したTakemaではありますが、個人的には完全にズボン派ですね。世代的にも間違いなくそうだしなー。「ズボン」がわれわれ世代(現在40代なかば)における「チチバンド」くらいの認識度に近くなってきたら考えるとは思いますが(笑)。
あ、そうこうしているうちに後方から往路の途中から同乗した台湾人カップルが対岸まで歩いてきました。男性が「どこを渡渉点とするか」ポイントを探し始めましたので、もちろん言葉は通じませんがジェスチャーで「こっちはヤバイ、そっちがいい!」と示しました。彼も「OK、わかった!」というように両手で示してくれたので理解はしてくれたと思うのですが、われわれもそこから渡ったのではないので真相は不明なのであります(笑)。でも「一番良さそうな場所」を示したのは確かなので意地悪ではありませんよね。ちなみに、このあと歩き出したわれわれは何度も何度も後ろをふり返ったわけですが、結局「彼らが渡渉を完了した姿」を見ることなく終わりました。大丈夫だったんだろうか?



左上画像では彼氏が渡渉点探索中(このあとジェスチャーで示した次第です。彼のいる場所からほんの少し下流側がポイントだと思われました(ちなみにTakemaは彼から7-8m下ったあたりを選択して大失敗したわけです)。

ここからは堤防上を歩いていきますが、堤防の外側にもうずたかく大量の土砂が堆積しているのがわかります。しかも画像からはわかりませんが堤防にはあちこちに修繕の箇所が。もしかして水害直後はこの堤防そのものも完全に埋まっていたんじゃないかなと思われます(そのあとユンボで河原の石を外に掻き出したのかなと)。そして堤防と林がようやく隣接したところからは山道を歩き、ようやく集落まで戻ることが出来たというわけです。

集落の端にあるお宅の敷地内には、先ほどのドライバーさんとよく似た上着を来た方が出入りしながら何か作業をしているように見えました。でもまぁさっきの家とは違うしということで声をかけないままタクシーまで戻ってきました。すると黄さん、「さ、それじゃ行くよ」というようにエンジンをかけるではありませんか!

と思っていたと同時に、案内についての謝礼もお渡ししようと思っていましたから‥(この場合黄さんが裏でお礼というかお金を渡しているとは「仕事上」あり得ないようにも考えられますので)。しかしその望みを伝えるだけの「豊富なジェスチャー語彙力」を持ち合わせていないTakemaですので、「ああぁ、お礼も言えないままに車はどんどんかのお宅から離れていってしまう‥」という状況になったというわけです。このページをご覧いただいてる皆さんの中で現地を訪問する予定のある方、動画内にかのご主人のお顔が出ていますので、是非「Takemaからのお礼の一言」を伝えてくださいませ(本当)。

そんなわけで英士集落の方々に思い切り親切にしていただいた上で、次に目指すは本日3湯目、野湯2つ目の「清水地熱」なのであります!
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