台湾温泉巡り2009

- 2009/12 台湾湯めぐり編その11 「池上便當」で元気百倍、さらに南下して恒春へ -



これが、台湾駅弁ファン垂涎の「池上便當」なのであります!

ほぼ定時到着の自強号に乗り込みますと、あれま席にはまた「先客さん」がおられました(笑)。おしんこどんは「何だか私たちの予約した席って必ずといっていいほど先に誰かが座ってるね」とのたまいます。ちなみにこの列車はここからさほど遠くない花蓮始発ですし、瑞穂到着時点で結構ガラガラでしたし、その途中にさしたる大きな駅もなし。

ということは「台鐵の優等列車では指定席が空いていても無座券が買えるのか?」とも思いましたが、台鐵の日本語サイトを見てもそんなことはどこにも書いていないようでしたし、そもそもそんな本末転倒チケットを売るはずもないのではないかと推察されるわけです。となるとあと考えられるのは‥

よくわからないんですがそんなふうに考えてみたりしたわけでした。ま、ここは日本じゃないんですから別の考え方があって当然ですし気にはなりませんが。

さて自強号は今日も元気に走ります。おっとここで珍しく車内検札です。その平均頻度についてはわかりかねますが、少なくとも台鐵の車内で検札が来たのはこの1回きりでした。車窓には、時期外れなので刈り取られた稲の根元だけが残る田んぼが目につきます。そう、前のページにも書きましたがこのあたりは「美味しいお米の産地」として有名なエリアなのです。そしてそのお米を使った有名な駅弁を売る駅に、もうすぐ自強号は到着しようとしているのです。その駅の名は‥「池上」駅。駅弁の名は‥「池上便當」!

この「池上便當」ですが、台湾国内におけるネームバリューの高さからか、台北市内などにも販売店舗があったりするようで(宜蘭行きのバスの中からも見た)、日本でいえば函館本線森駅の「いかめし」のように、どう考えても森駅構内および駅前店舗よりも「北海道物産展とか駅弁フェア」における売り上げの方が圧倒的に多いでしょ!的な「御便當屋」なのであります。

「でもせっかくなら池上駅で買いたい!しかも売り子さんから買いたい!」と思うのは駅弁愛好士の方々なら当然のことでしょう(自分はただのミーハー(死語?)なんですが)。しかしここでいくつかの深刻な不安要素を抱えているわれわれでありました。それは‥
たぶん売っているはずだとは思いますが確証はありません。
はるか遠くに売り子さんがいたら買っている余裕がないです。
NT$70の便當を買うのに$1000札はお釣りの準備が大変。
うーん、こればっかりは如何ともし難い‥(苦笑)。
というわけで瑞穂駅出発直後から「どうしようかなぁ」と悩んでいたTakemaだったわけですが、おしんこどんの次の一言で吹っ切れました!(食に関しては案外決断力のないTakemaの本性が露呈したとも言います)。それは、

という「天の声」でありました(笑)。

というわけで列車は池上駅構内にてどんどんスピードを落としていきます。席の反対側がプラットフォーム(「月台」と表示されています)なので、列車が停止するまでずっと「月台上に売り子はいないか売り子はいないかウリ坊はいないかその親は猪突猛進なので恐いんだがでも瓜の子どもといっても結局は瓜だしそれを売り出すしか農家の未来はないわけだし、とにかく売り子はおらんものかなー?」と思いながら反対側の窓を見ていたわけですが‥停止直前!

駅弁といえば「駅構内の売店で売っているお弁当?」と答えるあなたはかなりお若い方ですね(あ、車内販売は除いての話です)。駅弁といえば「あ、ホームで駅弁専用の台車とかを使って売ってましたよね」という方はもう少し人生の年輪を重ねてきた方だと推察いたします。でも、

などとおっしゃるあなたはかなりの年輪を?(笑)。「客車の窓から」というのはホントにもうなくなっちゃいましたよねぇ。まだ「ホーム上でくくり紐による駅弁立ち売り」をしている駅はあるんでしょうか?それを観光の一環としている場合も含めても、行ってみたくなってきました(笑)。嗚呼昭和ノスタルジー(しみじみ。あ、人生過去をふり返るようになったら精神的に最終局面だって?だからといって「それを言っちゃあオシマイよ!(by 寅さん)」(こんなことを書いている自分に大苦笑))。

ホームに降りると、すぐ近くにいた売り子さんがすぐにそれと気づいてくれました。指で「1個ね」と示した上でNT$1000札を見せて「これでいい?」と日本語で伝えると、この売り子さん、

ただの途中停車駅ゆえ停車時間も僅かである中、いかにして効率的にお客をさばくかが勝負の分かれ目ということで、お釣りなどもすでにセットしてあるというわけですね。なかなかやるな池上便當!というわけで車内に戻るとすでに列車は動き始めておりました。売り子さんの写真を撮りたかったんですがその余裕は全くなかったです。

10:00ころになって「さーてそろそろ食べますか」という感じになってきたところで便當の包み紙を開けてビックリ玉手箱!下の両画像にそれぞれマウスオンして「中身の違い」を実感してください!

昨日食べた「台鐵便當」(NT$60)

「池上便當」NT$70

「お肉メインであとはおまけ」感が強い台鐵便當に対し、池上便當は「こりゃあおかずの玉手箱!」という感じで、たったNT$10の差とは思えません!それに、NT$70といっても日本円換算でたったの210円ですから、こりゃあコストパフォーマンス高杉晋作!

ちなみにおかず数で比較すると、台鐵便當が全6品だったのに対し池上は全11品のゴージャスバージョンでありました。おしんこどんメモによると、その中身は次のようになります。

というわけで大満足の「早めの昼食」となりました。ちなみにこの日は夕ご飯までこれしか食べなかったんですが、小食夫婦ゆえ特に問題はなかったのであります。

お懐かし系の客車が留置されている引き込み線が見えてくると台東です。この列車はここで終点、隣のホームに停まっている別の自強号に乗り換えとなります。ちなみに上の両画像にマウスオンするとそれぞれ別の画像に変わりますが、左上は台鐵のシンボルマークですね。何だかとってもわかりやすいぞ。で、右上画像では行き先のサボ表示が活字ではなく手書きなのが何だか不思議だったりしたのでついつい撮ってしまった次第です。

で、今度の自強号は何とディーゼルカーでした(さっきまでのは客車)。何だか「いよいよローカルエリアに来たぞ」と感じさせられます。この列車は本来なら枋寮より先の高雄方面まで直通するはずなのでしょうが、この時点で南廻線は枋寮-屏東区間が災害のため不通になっており、したがって南行きの全ての列車は枋寮止まりになっているわけです。

この南廻線区間は居住人口が少ないこともあり全線開通はぐっと遅くて1992年。全線の1/3がトンネルということですから工事も大変だったでしょうが、逆にそのことが「道路に比べて鉄道被害本数が少なかった」ことにもつながるのでしょう(後述)。

さて台東を出発して少しすると、通路反対側の男性が台東駅で購入したと思われる便當を食べはじめました。通路側席に座っていたおしんこどん、何やらTakemaに向かって囁いてくるではありませんか。いわく‥

こらコラKORA!ひと様のお弁当にケチをつけるんじゃありません!(笑)。というわけで窓際のTakemaもちょっと背を伸ばして盗み見てたりして(大笑)。
さて話は大きく変わって、台東までは特に気にならなかった車窓風景ですが(ただ「景色いいなー」というくらいの意味で)、この自強号から見える景色、それも特に川を渡るときなどは「え?」と思わせられる場面が何度も出てきました。それはたとえばこんな感じで。



こんな橋を車窓から見たのは1度や2度ではありません。このあたりではどうやら相当の豪雨被害が出ていたようなのであります。前のページで「八八水害」のことを書きましたが、その時のものなのかもっと前のものかはわかりません(中にはすでに新橋が供用開始されているところもありましたから)。でも、相当の激甚的災害であったということは間違いなさそうです。

列車は定時の正午過ぎに無事枋寮に到着です。この先の不通区間には代行バスが運転されており、駅コンコース内にはその乗車券を求める人たちの列が出来ていました(たぶん切符と引換えにバスチケットが渡されているのでしょう)。その列も徐々に短くなり、やがてなくなりました。



まだ少し列が続いています(右上画像)。なお高雄方面時刻表には「停用」と紙が貼られておりました(右上マウスオン)。

しかしわれわれはその列に並びません。今日の宿泊地は恒春の手前から少し奥に入ったところにある「四重渓温泉」ですので、まずはここ枋寮からバスで海岸沿いに南下し、四重渓への分岐にあたる車城の町か、または恒春でさらにバスかタクシーに乗り換えていかなければならないのです。

しかし駅前には恒春方面へのバス乗り場はありません。そもそも恒春方面(墾丁行き)バスは高雄始発なので、メインロードしか通らないわけです。というわけで駅前通りを少し行った信号近くにバスのターミナルを無事発見!



セブンイレブンの隣が「国光客運」のミニターミナルになっています。

というわけでチケット購入完了。恒春までは1時間かかるというのにNT$125(約370円)は安いですね。ちなみにターミナル側には高雄方面行きバスが発着するので、恒春方面は交差点を挟んだはす向かい(左上画像の場所)で待つことになります(小さなバス停標識有り)。バスは10分-30分おきに来るということです。予約も不要。

と、店先に置かれていたプラ椅子(これはバスを待つお客用に置かれているものと勝手に理解して利用)に座ったりして待っていたら、お隣に初老の女性が腰掛けたので「こんにちは」と声をかけると「こんにちは」のお返事が。おお、この人も日本語使いの1人かと思って「日本語は話せますか」と聞くと、「ほんの少しだけ」とのこと。日本語会話が出来るほどのレベルではないようでしたが、このあとこの方にあることを教わることとなりました。

なかなか来ないバスを待っていると、目の前に一台のミニバンが止まり中から人が降りてきました。それはいいのですが、ドライバー氏がわれわれに声をかけてきます。もちろん話の内容はわからないのですが、どうやら「恒春までこの車でどうだ?」と言っているようです。ということは‥白タクなのか?

われわれはすでにバスチケットを買っていたので、それを見せたところ運ちゃんは下がっていきました。で、国光客運のバスが来たと思ったら、あれまこのバスは行き先が違うのね。うーん、もう随分(20分以上)待っている気がするんんだけれど‥(まぁバスですからしょうがないんですが)。

そのあと少しして、向こうから「中南客運」と書かれたバスがやってきました。「高雄-墾丁」と書かれていますから明らかに恒春経由の墾丁行きなのは確かですが、バス会社が違うんだよなー、国光はいつになったら来るんだろう?と思っていたところ、先ほどの女性の方がわれわれに対して「これに乗るんだよ」と指し示します。「いや、われわれのチケットは会社が違いますんで」という意味でチケットを見せると、

とのお言葉が。バスの運ちゃんにチケットを見せると大丈夫とのことで、最初はどういうことかと思いましたが、つまりは‥

「この区間、同じ路線を走るバスならどの会社のバスに乗ってもいいみたい。」

との結論に達しました。高雄-墾丁間は「国光客運」「屏東客運」「中南客運」「高雄客運」の4社がそれぞれ運行しているようですが、この翌日は屏東客運発行のチケットで高雄客運バスに乗りましたからたぶん間違いないと思います。



枋寮でそこそこの人数が下車し、車内はガラガラ系でした。海沿いには養殖池(ウナギの養殖が盛んらしい)が数多く並んでいます。

恒春市内に入ってきたところでキンチョーするTakemaでありました。市内のどこで降りればいいのか、それについての情報は全くありません。鉄道駅でもあれば必ずタクシーの1台でもいそうなものですが、ここには鉄道はありませんし、バスターミナルでもいいんですが、先ほどの枋寮ターミナルだって小さな事務所があるだけでバス停車専用スペースすらありませんでしたから、恒春においても大ターミナルは期待薄でしょう。

運ちゃん氏は、われわれが旅行者だからここじゃないかというわけで大きなホテルの最寄りバス停でバスを止めてくれましたが、ここは間違っても違いそうだなというわけで、運ちゃん氏のみならずバスの乗客さんたちに「四重渓温泉」という文字を見せると「ああなるほど」という反応を見せてくれましたので、これでまずは安心でしょう。というわけで「ここだよ」的な合図が出たロータリー脇で下車しました。「屏東客運恒春站」と書かれていました(チケットの販売事務所や屋根付きのベンチがあった。

さてしかし、ここからが大きな難関です。というわけでこの続きは次ページにて。
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