台湾温泉巡り2009

- 2009/12 台湾湯めぐり編その12 地元の方のご厚意に大甘えの上で旭海温泉へ -

さて、バスを降りたはいいもののここからが難関なのであります。

事前の調査では恒春から四重渓温泉までの路線バスがあるのかどうか不明だったので(あったとしても本数が少ないのは確か)、まぁタクシーで行こうと考えていたのですが、どうせタクシーで行くのなら明朝の復路予約もしてしまいたいですよね。もちろんこれだけなら大したことはないのですが、もう1つ「大いなる別件」が絡んでおりました。それは‥

「ここまで来たなら、何としても旭海温泉に立ち寄ってみたい!」

というものであります。

「旭海温泉」。100を越える温泉(源泉エリア?)があるといわれる台湾の中でも、少々マイナーな部類に属すると思います。集落内に共同湯があるという情報は仕入れたわけですが、旭海温泉をマイナー温泉たらしめているのは何といってもその立地にあります。下の地図(台湾最南端部)を見て下さい。

現在われわれがいるのは恒春。四重渓温泉まではほぼ平坦な、しかも片側1車線ずつの立派な道路なので何らの問題もありません。問題は上記地図の赤丸エリアでして、ここはかなりの山岳路であるという情報を事前に仕入れておりました。しかも、上記地図をよく見ると旭海温泉から海沿いに北上するはずの26号線はすぐ先で「ぶちっと」切れています。

しかも、旭海から北上して9号に出ようとすれば必ず地獄の峠越えが待っています。その最大の大物が壽峠です(上画像マウスオン)。このあたりの道は1-1.5車線ほどの舗装林道でしかなく、結局旭海地区は日本で言えば知床の相泊集落のような「行き止まり」的な場所として今に至っているわけです。なお、おそらく東部海岸側から旭海への公共交通機関は存在しません。タクシーがあっても運ちゃんは嫌がるんじゃないかなぁと思われます(想像ですが片道利用のみの場合は特にそうじゃないかと)。



はい、前置きがとてつもなく長くなりましたが、要はここまで来たならその旭海温泉にも行ってみたいということなんですよ。

バスを降りると、バックパックを持ったわれわれの前に1人の運ちゃん氏が登場。台湾語で話しかけてきますが全く要領を得ません(当然)。でもこちらとしても何とかしたいものがありますから、「ここは筆談というか紙で説明するしかない!」と覚悟を決めた次第です。



字が小汚いのは立ちながら書いたメモだということでお許し下さい。

しかし上画像の「妙に矢印の数が多い」ところを見ていただければわかると思いますが折衝は難航。というかこちらの意図がわかってもらえていません。うーん、今回の旅行で初めての(そしてふり返ってみれば最初で最後の)苦難であります。しかしここで状況は急転直下、まさに救世主ともいえる1人の男性が突如として登場なさったのであります!

その方は「あなた方、日本人ですか?どこへ行きたいのですか?」と声を掛けてきて下さいました。そしてTakemaが、

と申し上げると、その方はいきなり運ちゃん氏と折衝を開始いたしました!(驚)。しばしの話し合い(内容は全く不明)のあと、その方が次のようにおっしゃいました。

そしてこの方の話は続きます。

「今日はここから旭海温泉まで往復し、四重渓温泉まで戻ったところで1000元、そして明日四重渓からここ恒春に到着したところで1000元を 支払うという提案をしました。運ちゃんは同意していますがあなたはどうですか?」

そのあとバスの事務所に向かって係員氏と何か話しておられたと思ったら、戻ってきて次のようなご発言が。

というわけで、「疾風のように現れたメシア(救世主)氏」のおかげにより、何とわれわれはなんの苦労もなく2日ぶんのタクシーチャーター折衝を完了!偶然とはいえ「この旅行の山場」と捉えていたこの場所での折衝が、値切りも含めて全て目の前で完了してしまったことには本当にビックリさせられました!

ちなみにこの方、確かに「仕事で日本に行ったことがある」とはおっしゃっていましたが、日本語の素養はどう考えても(発音アクセントの正確さを考えれば)後付け語学ではありません。親御さんを含めた親族に日本語の出来る方がおられたのでしょう。

お礼を申し上げると「いや、こういうのはお互い様ですから」と、最近では日本でもなかなか聞かれにくくなったお言葉を返してくださいました。もちろん金銭的なお礼は間違っても受け取ってもらえそうにありませんし、「一緒に写真を」というのも「いや、そんなのはいいですから‥」と言われそうでしたので、



姑息なTakemaはこっそり隠し撮り敢行!(あのねー)。横縞模様のシャツの方がわれわれにとっての「メシア様」だったのです!

さてお名前も聞けぬまま、まさに「疾風のように現れて疾風のように去って行かれた」この方が全てアレンジして下さったタクシー、それは何と

数時間前の枋寮でも誘われましたが、乗っちゃっていいのかな?というか、先ほどの氏はすでにこの場におられませんので選択肢は一切ありませんね(笑)。あ、今回の運ちゃん氏は右上画像の帽子をかぶった方であります。

すでに今日明日の予定は間接的に、でもかなり濃厚にお話ししておりますので、言葉は通じなくても目的行動だけは何とかなりそうです。あ、そういえばいきなりTakemaが発した言葉といえば‥

またもこれかいな(苦笑)。いや、ちまちまお金を下ろしているからなんですけれどね(手数料のことを考えれば「ドカンと一発!」の方がいいのに‥小市民)。セブンではATM利用以外何も買わなかったので、運ちゃん氏は「あれ?なんで何も買い物してないの?」という表情でありました。



さーてそんなわけで車城まで戻っていざ温泉へ!(右画像の茶色の標識には「四重渓温泉→」と書かれています)。

30分もかからずに四重渓温泉へ。ん?今宵の宿である「新亀山別館」の駐車場に入る?どうやら「先にチェックイン&荷物を置いて」ということのようです。ちなみに応対に出てきたご主人とおぼしき方は流暢な英語を話す方でした。あてがわれたのは一番奥の、「すぐ隣に大きな屋上テラス」がある部屋で、これなら屋外喫煙も全く問題なしというわけでOK。(実はある意味で「一番問題の多い部屋」でもあったのですが、この時は気づきませんでした)さ、それではいよいよ旭海温泉へと向かいましょう!



しばらくは片側一車線路。登り始めると何とロックフィル式ダムが見えてきてビックリ。

しかしダム関連で整備されたと思われるエリアを過ぎると、昔ながらの舗装林道のような1-1.5車線道路に変わります(左上画像マウスオン)。しかもここから先は壽峠越えの激しい道なんですよね。しかしその手前には山肌にへばりつくような集落があったりして結構いやされます。
「199号線を壽峠へ向かいます」
山あいの集落の風情は日本と何ら変わりません。

壽峠の前後はまったく家もなくて森また森の中をくねくね系のワインディングを進みます。はるか先の丘の上には場違いな感じの大規模な建物がありましたが、おそらくあれは軍関係の建造物だったのではないかと。この「国」における真の「戦争終結」はいったいいつ、そしていったいどのような形で収束するのかと思わずにはいられません。

壽峠をずーっと下りて来て、ようやく集落が出てきたあたりで、「旭海温泉」と書かれた茶色の看板を発見!運ちゃん氏は通過しようとしたので、ここで「ちょっと戻って!Back!」といきなり叫んだTakema(笑)。たぶん運ちゃん氏には「温泉に行きたい」という意向は伝わっていなかったと思われます。Takemaも「旭海」とだけ言っていたからなー。

というわけでありましたありました。何だか一部工事中ではありますが(この工事の内容に後で気づいてびっくらこきました)、とにかくここであることに間違いはありません!よーし辿り着けて万々歳です。

ちなみにこの園地の奥には小学校(旭海分校)があったのですが、工事中の溝に橋として渡されている板を見てビックリ。これって、どう見ても小学校の掲示物が貼られている板ですよね?(左上画像マウスオン)。あのー、

というわけで踏みつけにした上で(笑)、すぐ隣にある共同湯へと向かいます。それにしても文化の違いがあるとはいえ、日本だったらある種の「イジメ」ですよね。当の本人たちはどう思っているのかしらん?(特に何も思っていないんだと思いますが)。



さ、そんなわけで温泉です。ご覧の通りコンクリ造りの立派な建物であります。



男性側入口の壁には立体的な装飾が。その前のパイプから出ているのは源泉の余り湯?(未確認)。

まずは入浴料を投入‥ん?料金を入れるような箱などありません。数段の階段を上がるとそこはもう浴室ですから、もしかしてここは無料の共同湯?(そもそも観光客が大挙して訪れるような場所ではありませんし、この時期はどう考えてもシーズンオフだし)。

浴室内には3人の先客がおられたので、日本語で「こんにちは」と挨拶した上で奥の脱衣場へと向かいます。ちなみにここでの入浴スタイルは「完全日式」のようでこれまた一安心。先客のうち1名(掃除なんかもしてましたから完全に地元の方でしょう)は、水中メガネ&耳栓を着用して「潜湯!」までやってましたっけ(笑)。

浴室内には2つの浴槽があり、最初は「あつ湯」と「ぬる湯」なのかなと思いましたが、郷に入りては郷に従えのことわざ通り先客各氏の雰囲気を見ていたら入口側の大きな浴槽が入浴用、奥側の小さい方は湯汲み専用として利用されているようでした。

源泉は浴槽内直接投入方式でしたので味見はしませんでしたが、掲示によると弱アルカリ性炭酸泉と書かれていましたのでそういうことなのでしょう(何のこっちゃ)。透明湯ですが、うっすらと黄色みを帯びています。

さて先客がおられたため浴室内にはカメラを持ち込みませんでした。皆さんそろそろ上がらないかなーと願いながら入浴していたわけですが皆さんかなりの長湯派(笑)。結局Takemaが上がるほうが先でした。日本なら「そういうわけで画像はなしです」で終わっちゃうわけですが、今後ここまで来ることは今後なかなかないだろうと判断し、先客さんが写らないようにしてこっそり撮影したのが次の画像だったりします(笑)。

左上画像は入口側から撮影したもの。よく見ると浴槽内に先客氏の足が写ってますが(汗)、浴槽はそこそこ大きく、4-5人だったら余裕でしょう。奥に脱衣場の部屋が見えています。「浴室の奥に脱衣場」というところに台湾らしさを感じさせますが、こうやって独立した脱衣場のある無料共同湯はある種珍しいかも知れません。

中央画像は脱衣場内から撮ったものです。手前の浴槽は汲み湯専用ということからか、湯面付近のタイルが変色していますね。浴室床のタイルも全体に茶系に変色していますから、そこそこ鉄分も含まれる湯なのかも知れません。

右上は脱衣場。ちゃんと開放式ロッカーが設置されていますが、自分も含めこの時のお客さんはベンチにそのまま荷物を置いていました。奥の方の床は乾いていたので、ちゃんと足を拭くことが出来てラッキー(結構どこの湯でも着替える場所の床がびしょびしょなんですよね)。

さて、湯上がり後は工事中の園地のベンチをお借りして涼むことに。いやー汗が引かない引かない!などと思いつつ、赤字で旭海温泉と刻まれている岩などを撮っているうちにあることに気づきました。



(民国暦)98年10月30日ってまさに今年、ほんの2ヶ月前じゃないのさ!

と、この時点でこの周辺の工事がいかなるものなのかが一気に理解されました。この園地周辺にいくつも出来つつある建物やコンクリートの建造物、これらの工事は何と‥

「旭海温泉再整備工事中」
こんなに大規模施設にしちゃって、お湯は足りるのかな?

これもまた「地方の活性化」の名の下に行われているんだと思いますが、お湯もそうですがお客さんはそんなに来るのかなぁ。夏場はともかくとしてもシーズンオフは厳しそうな気がします。

このあとはせっかくなので太平洋まで行ってみましょ(というか、運ちゃんが何も言わずに連れて行ってくれたんですが)。



しかしまぁ、曇天なのでこんなもんです。冬だしね。

さてそれでは、この日の宿である「四重渓温泉 新亀山別館」に戻りましょう!
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