− 2009 タイ北部湯めぐり(2) なぜタイへ?そしていざメーホンソンへ −
この本も実はタイ訪問を決める上で重要なファクターの一つでした。
話は2008年の大晦日にさかのぼります。のんびり自宅で芋焼酎を飲みながらネットに興じていた推定午後10時頃のことです。何をするでもなくいろんなページを見ていたら、ふと「マイレージプログラム」という言葉が目に入りました。
「そういえば、自分のUAマイレージも結構たまっているような気がするぞ」というわけで、酔った頭でUAのサイトにログオンしてみたら‥うーんそこそこあるようです。56000マイルくらいだったかな?しかしマイレージの無料航空券って国際線では使ったことがなかったんですよね。で、試しに「これくらいのマイルがあったらどこに行かれるのかなー?」と何の気なしにクリックしてみたら、あれま2人でバンコクに行かれちゃうじゃないですか(もちろんエコノミーね)。
しかしこの段階ではまだ浮かれてはいませんでした。なぜなら「マイルで使える無料チケットの席はすぐ一杯になってしまう」という話をどこかで聞いていたからです。そりゃそうですよね、ほとんどタダでバンコクまで行かれるんですから。でもまぁ、念のため空席をチェックしてみると‥
この瞬間、頭ん中がいろんなところでショートしてシナプスが大暴走し、ミトコンドリアだかアドレナリンだかがとんでもないことになってしまったことは言うまでもありません(笑)。‥気がついたら、12月31日午後11時過ぎに成田発バンコク行きチケットを2人分ゲットしてしまっていたTakemaだったのであります!
しかしやっぱり酔った頭はどこかが抜けているというか、UAバンコク便の空席があるのはともかくとしてタイ航空やシンガポール航空(こちらもバンコク直行便あり)の空席状況を確認すべきところを一切せず、クリクリのクリックでUAの予約を確定させてしまったのは大失敗でした。ご存じの通りUAの成田−バンコク便は往復とも結構とんでもない時間に発着するんですよね(バンコク着23:45、バンコク発6:40)。しかも機内サービスはシンガポール航空やタイ航空と比べればあまりにチープというかアバウトというか、とにかく決して高い評価は出せないでしょうから‥。
ま、でも一部の手数料さえ払えばほぼタダで乗せてもらえるのですから文句は言いますまい。というわけでとにかくこれにて3月末のタイ行きが確定したのであります。
しかしこの日からほぼ2ヶ月もの間、このタイ旅行についての計画は全くといっていいほど進行させなかったTakemaです。2月中旬の北海道行きの計画立案に忙しかったのと、あとまぁ一応お仕事の方も(笑)。で、本腰を入れて考え始めたのは3月の声を聞いてからだったわけですね。
これもまた予約時には全く考慮していなかったことなのですが、3-5月のタイって1年の中でも一番暑い「暑季」なんです。バンコクあたりでは最高気温も軽く35℃を超えるみたいで、そんな中ワットアルンやアユタヤ界隈の観光なんてしたくもありません(笑)。となれば狙うは少しでも気温の低そうな北部山岳地帯か?と思ったところではたと思い出したこと。それは‥
そうなんです。1990年代半ばころ、自分がチェンライやメーサイやチェンセーン、いわゆるゴールデントライアングル周辺をバイクでうろうろしていた頃「ミャンマー(ビルマ)との国境近くの山岳地帯にはいくつか温泉が湧いている」という話を聞いたことがあって、その時も多少調べた記憶があったのです。もっとも当時はインターネットが爆発的に普及する前ゆえ手に入る情報量は圧倒的に少なく、確か書籍上で数箇所の温泉を確認できたに過ぎなかったと思います。
「熱帯のタイで温泉」。これはなかなかいい響きです。無目的にタイ国内をうろうろするよりは、テーマを絞って回る方が楽しいのは言うまでもありません。ま、「暑季に温泉めぐり」をすることについて多少の危惧はありましたが(笑)、水分さえしっかり補給すれば出来ないはずはないはずです。
しかもこれにプラスして心強い「味方」はネット上の情報ばかりではありません。実は2007年の年末にラオスにて出会った方(「Sさん」としておきます)が、「タイ北部の温泉でしたらいろいろ情報がありますから、現地に行くときは是非ご一報を。」とお話し下さっていたことを思い出しました。そこで久々にメールで連絡を入れてみたところ‥
正直、Sさん資料は「タイの湯を目指す旅行者(決して人数は多くないかも知れませんが)にとっては垂涎の的」ともいえる、日本国内では入手困難な資料ばかりでありました。場所がある程度特定できたというのは何よりありがたかったです。あらためてここでSさんにお礼を申し上げたいと思います。本当にありがとうございました。
また温泉とは別に、タイ北部ときたらやはりレンタルバイクで回りたいところですが、パイの町にはレンタルバイク屋があり、そのラインナップの中には何と「CB400スーパーフォア」があるようなのですね。というわけで一部の温泉については「スーパーフォアで回っちゃえ」という野望もしっかり抱きつつの出発となりました。
さらに、2008年10月発行の「SAPIO」誌(上の画像)に、タイ/ミャンマー国境に近いクンユアムという町にある「旧日本軍博物館」を紹介する記事を読み、ここには是非とも行っておかなければという気持ちも強くなりました。詳しくは後述しますが、この博物館はタイ人の元警察署長さんが私財を以て設立した博物館なのです。
そんなわけで、出発の数日前にタイ国内線の手配を始めるという結構綱渡り的な準備のもと(笑)、いよいよ「真夏のタイ湯めぐり紀行」がスタートしたわけです。前置きがとっても長くてごめんなさい(苦笑)。
さてUA(ユナイテッド航空)は第一ターミナルからの出発。スターアライアンス加盟キャリアは全てこちらのターミナルですから、最近は「海鮮三崎港」で寿司をつまんでから飛行機に乗り込むパターンが増えてきたように感じます。でも同じ飲食街に寿司屋さんがあと少なくとも2軒あるんですよね。今度は「回らない方」にでも行ってみましょうかね。
さて予約確定段階にて選べた座席は全て「中央の4人シートのど真ん中*2(つまりはE.F席)」のみでしたから、もうこの往路は身動きできないダルマモードになって我慢するしかありません。ま、無料なんですから文句は言いません。ビジネス?あのねー人間は一度でもハイステイタスというかより快適な世界を知ってしまったら後戻りは出来ないのよ。まだ40代半ばだし身体はへたれてもいないし、しばらくはエコノミーでいいんじゃない?
しかし、もう10年以上UAに乗ったことはありませんでしたがやはりというかくっそーというか、アルコールが「US$6」というのはナサケナイ。天下のアメリカでしょ自由の国アメリカでしょ何とかしなさいってと思いながら白ワインを購入したTakemaでありました(笑)。ま、ユナイテッドもかつて経営破綻した航空会社なんだからしょうがないか。でもそれならアジア系に乗る方がよっぽどいいです。今回を限りとしてマイレージの航空会社をUAからSQ(シンガポール航空)に変えましたしもう乗ることはないだろうな。あ、その前にANA国内線で現在のマイルを使い切らねば(笑)。
バンコクのスワンナブナート空港の到着ゲートを出たのはもう午前様時間。翌朝の国内線出発までどうせ7時間くらいだし、しかも空港内にトランジット用の休憩施設もないし(どうせ24時間運用ならばシンガポールのチャンギ空港のように時間単位で利用できる「横になれる部屋」を作ってほしかったなー。すぐ近くのノボテルはまぁどうせ泊まりたくもないし)、ならば出発ロビーで寝るか?という発想を計画時には抱いていたのでしたが、空港近くのトランジットホテルを検索してみると、そこそこの値段で泊まれるビジネスホテル系トランジットホテルがあるんですね。というわけで、From/To空港の送迎無料でそこそこのお値段(1部屋850B=2人で2600円弱)の宿(Silver Gold Garden Suvarnabhumi Airport)を予約しておきました。
調べてみるともっと安い宿でも、そしてもっと高い宿でも「片道だけ無料(つまりは往復利用する場合は2回目が有料)」というところが結構あるんですね。このあたりは気をつけなければいけませんし、また「雨後の竹の子」のように出来たと思われるこのようなトランジットホテルゆえ、タクシードライバーが場所を知らずに彷徨してしまうという例も多いようです。やはり「さっさと着いてさっさと寝たい」場合はホテルの送迎車ありが確実かと。
このホテルの部屋そのものはシンプルでしたがまだ新しく、「数時間寝るだけ」であれば何らの問題もありませんでした。4Fなのにエレベーターがなくたって、シャワーが電気式の簡易シャワーであったりしたって、このお値段ならしょうがないでしょという感じです。
そんなこんなで短いながらもゆっくり寝られたので朝から元気に出発です。あ、トランジットホテルゆえ早朝はお客の数に対して送迎車が足らないなんてこともありそうです。われわれの次にチェックアウトしたカップルは「次の車を待つように」言われたみたい。次の車って‥今出発する車が戻ってくるんですが(笑)。
さてまず向かうはチェンマイです。何だかUAの殺伐さに比べてほのぼの感がただようタイ航空国内線ですが、さすがに幹線路線だけあって機材そのものはUAと同じ747-400でありました。でもそこそこ空席がありましたっけ、朝一番の便だからかな。
ちなみにこの日はチェンマイ乗り換えでメーホンソンまで行くつもりだったので、てっきり荷物もスルーでメーホンソンまで預けられるかなと思っていたのですが、チェックインカウンターで係員の女性からこのようなな説明を受けました。
げげげっうそだろ、飛ばないってこともあるのか?しかも今はまだ大雨の降る時期でもないし‥。いや違うんです。この時期のこの地域だからこその特殊な気象条件があるんです。それは‥「焼畑の煙」。
山や畑に生えた草や木がすっかり枯れ、または水分を一番持たない時期に下草を刈るという焼畑の農業はこの時期が最盛期です。しかしその一方でまた「一番気候が安定していて大気の流動がない」のもこの時期。すなわち、
というわけなんですね。これはタイ国内に限らず、気象条件を持つ周辺諸国(ラオスやミャンマー)の各地域でも同様の状況になるようで、ひどい時には「朝の太陽でもまぶしくない」ということもありました(ラオスにて体験)。しかも上記Sさんからは出発直前に次のようなメールももらっていたのです。
あわわー視界ゼロ!もちろん有視界飛行のみで運行しているわけではないと思いますが、日本でも霧の発生によりかつては欠航が多かった釧路空港のことを考えると、計器飛行だけでどうこうとは行かないみたいですね。霧による欠航数を激減させた釧路空港でさえ、やはり「視界ゼロでは如何ともし難い」らしいのですね。
急遽チェンマイ行きの機内にて、飛行機が飛ばなかった場合の陸路を考えてみました。チェンマイからメーホンソンへは8時間、しかもその道中の多くはかなりのワインディングが続くらしくてスピードアップは望めそうにもないということ、そしてこのヒコーキが8:55にチェンマイに到着したところで、空港からバスターミナルへの移動、さらに発車の待ち時間を考えるとメーホンソン到着は早くて18:00、遅ければ20:00くらいになるであろうことが予想されました。くわー、頼むし何とか飛んでくれー!
そうこうしているうちにチェンマイ行きTG190便は定刻に到着。バゲージエリアに向かって歩いて行くと、何とその途中に次のようなプレートを持ったおねーちゃん係員さんグループが!
うわわこれはコレハもしかして?というわけでもちろんその該当便に搭乗予定なので声を掛けてみると、リーダーらしき女性が「ではこの人についていって下さい」とのひと言。こりゃまず飛ぶなと思いつつ(最悪の場合振り替えバス便でも出るのかと思った)歩いて行くと、なぜかInternational Departure方面へ。なんだなんだと思っていたら、空港内工事中につき国内線もこちらでチェックインということのようなのですね。わかりにくいのでわざわざ案内してくださった次第、うーむフライト確定はもちろんのこと、このきめ細かい人的サービスはさすがタイ航空。UAではこんな手間暇かかることはやらないだろうなー(もちろん人件費の問題も込みという意味でね)。
ふっふふー、10:20発Mae Hong Son行きはチェックイン中だし、チケットがあれば最悪のことにはならないぞと安心三昧。
それでもやっぱり最後の不安もあり早々と手荷物チェックを受けて国内線の搭乗待合室へ。ここでは売店も見るべきものはないしすることもなくて(喫煙室もないですし)ただひたすらボーっとしていたTakemaですが、おしんこどんにとってはかなーり充実した時間だったようでした。だってさ、
待合室のTVでは「冬のソナタ」が放映中だったのですから!(笑)。映ってますねーあの方が。
そんなこんなで空路ならたった35分でメーホンソンまで来てしまえたのでした。Takemaはすでにビーサンモード。
さてそんなわけでメーホンソン到着なのでありましたが、実は今回の旅行は「ひょんなことからスタートした」とはいえ、実は「Takemaのあっちこっちサイト10周年旅行」というのも兼ねておりまして(後からの定義付けでしたが)、しかも国際線フライトにお金がかかっていないこともあり、ならばということで「宿にはお金をかけちゃおう=いい宿に泊まろう」ということに決めていたのであります。いや、宿をネットで予約したのは成田出発の40時間前くらい=ぎりぎりでしたけれどね(笑)。
そんなわけで到着ロビーに出てきたら「Takema&おしんこどん」の紙を持った、若いけれど結構信頼感のありそうなお兄ちゃんが待っていてくれました。今回宿に向かうお客はわれわれのみ、さすがにシーズンオフだなーと思っていたら、この送迎バスは宿と街との定期送迎車だったんですね(宿泊者はもちろん無料)。
Takemaが喫煙タイムの間黄色い上着のお兄さんは待っていてくれたわけですが、うわ、これってマンゴーの花!
わが家のマンゴー樹はまだこの1/3位なんですが‥いつか実がなる日は来るだろうか?そんなわけで宿に向けて出発です。
2泊する予定の宿の名前は「Fern Resort」。メーホンソン市内からはかなり離れていますが(車で行くと片道200B取られる)、1日に何本か、町や空港と宿とを結ぶ無料のバンが運行されているのでまぁ特に問題はありません。というか交通の便よりも静かでのんびり出来る環境の方を選んだというわけです。それにしてもネット時代とは恐ろしいもので、こんなところの宿まで自分の部屋のPCから予約できちゃうんだから。こりゃ確かに旅行会社さんは大変だわ。
そんなわけで、次ページでは「Fern Resort」の雰囲気をお伝えいたします。
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