− 2009 タイ北部湯めぐり(16) ムアンパーン(Muang Pang)温泉はゴーカイ、でも熱すぎ!(笑) −



こ、これが非火山国の内陸にある温泉だって信じられます?正直、この造形を見て息を呑みました。

さてそんなわけで駐車場、いやそんなものはないのでテキトーにその辺にバイクを止めた上で源泉地帯を目指します。とはいえ源泉までは駐車場から直線距離で30mあるかないか。われわれ以外には誰もおらず、もうホントに内心嬉しくてたまらなかったTakemaでありました。

離れた場所からでも硫黄臭が漂ってくるのはわかったので(ただしそれほど濃厚ではない)湯の素性も予想できました。で、恐いのは「ボッケ」、すなわち源泉地帯の地下にぽっかり空いた空洞なのですが、ここは比較的地盤がしっかりしているのかあまりその気配もなし。しかし本当にいったいなぜこの地に高温の硫黄泉が湧いているのか‥謎であります。

ちなみに湧き出し方もいっぷう変わっていまして、すぐ脇には小川が流れているのですが、その河岸段丘みたいな一段上がった上の台地のど真ん中から湧き出ています。数m横下は川なのですから、その川岸から湧き出てもおかしくない位置なのですが‥。

自噴した透明湯(熱くてさわれません)は、不思議なことに段丘の上を弧を描くようにしてぐるっと遠回りに流れた上で小川に流れ込んでいきます。ただこれは自然の造形というよりは人の手が加えられた気配もありますね。「本流」からあふれ出た湯はそのまま崖方面に流れ、ページトップのような見事な造形を作り出しているのですから。



この部分にもかつてはとうとうと湯が流れ落ちていたと思われます。今はほんの少しだけ。




「ムアンパーン温泉周辺風景」

誰もいません。静かな中ただお湯だけが湧き出すばかりです。

Wmv形式、1.53MB、40秒


それにしても湯気と地熱と、そして言うまでもなく暑季の熱気とで、立っているだけで汗が噴き出てきます。この源泉地帯に限らず、この日は特に暑かった気がします。しかしだからといってダラダラしてはいられません。われわれ(いやTakemaだけか)には「入浴」を完遂するというという大志があるのですから!

しかしこの源泉地帯の湯はほぼ熱湯ですからどうしようもありません。というわけで、小川沿いに下り適温の場所を探すことにしました。

というわけで川を下ってきましたが、何とこのあたりの川底からも源泉があちこちで湧出しているではありませんか!しかも今は暑季で雨はほとんど降らないことから支流の小川は完全に干からびていて、加水による湯温低下も全く望めません。そもそも本流だって川水はほんのチョロチョロでしたでしたし。雨の降る時期なら右上画像あたりの場所で快適入浴が楽しめそうな気がするのですが、この高温ではそれも叶いません。やむを得ずさらに川を下ることにしました。

川沿いに延びる林道を、「Muang Pang Hotspring」と書かれた看板およびあずまやのある場所まで戻ります(200mくらい?)。ふー、日陰はいいわ。風も通るし気持ちいい。ということでこの暑さの正体は気温ではなく強い強い太陽光線であることが判明。そういえばTakemaは日焼け止め塗ってないぞ、こりゃ焼けるのは必定ですがもういいやなるようになれという感じで、冷たい水を飲み、さらなる入浴候補地の探訪へと進むのであります。



なおあずまやのすぐ脇にはパパイヤが実を付けておりました(まだ青いけど)。へー、花ってこんなにちいちゃいのね(右上画像マウスオン)。

源泉の流れはこのあずまやのすぐ下を流れていますから、まずはこの地点での湯温を確認します。流れに手を入れてみると‥

入浴に適した温度にはほど遠い熱さです。河原の源泉地帯はあそこだけではなかったのか、またこの陽気では湯温がなかなか下がらないのか、とにかくこれでは入浴望を達成できません。そこでここからさらに川沿いに下ってみることにしました。薮を漕いだりしながらしばらく下っていくと‥



砂の河原をせき止めている石、そして何と土のうまで見えています。こ、これはもしかしたら「先人の手によるお手製湯船の跡」ではないでしょうか?しかも土のうを使っているということは観光客とは考えにくく、つまりは地元タイ人のどなたかが「ここで入浴を楽しんだのではないか?」ということが十分に考えられるのであります!ただし完全に埋まっているということから考えるとかなり前に作られたものなのかも知れませんが。

この遺構を利用すればスコップさえあればすぐに湯船が完成?いやいやそれもそううまくはいきません。あずまやからこれだけ下ってきたにもかかわらず(右上画像の奥にあずまやが見えてます)、川を流れる湯の温度はさして変化していない(相変わらず熱すぎる)のです。これはもう、年末年始あたりの一番寒い時期に来ないと無理なのかも知れません。

ちなみにこのすぐ上流で別の沢と合流しているのですが、この時期ゆえ支沢の水は涸れていました。もう少し雨の降る時期であればこのあたりは支沢からの河水で適温になっているのかも。いずれにせよこのエリアでの入浴は断念せざるを得ませんでした。

あずまやに戻り、今度はバイクで来た道を戻ります。温泉川は道路のすぐ下に平行して流れているので、比較的簡単に降りられそうな場所があったらと思いつつ進んでいくと‥ん?眼下に温泉川をせき止めた場所があるのを発見!ここだここだ、もうここしかない(300-400mくらい下流に来てるし)と、バイクを止めて斜面を下り始めると、ちょうどバーン・ノーンヘーン温泉で家族が採集していたのと同じだと思われるセミが、推定1000匹近く、「ジジっ!」と鳴きながらぶわわっと飛び上がったのはなんともゴーカイでした。



土のうでせき止められた温泉川、入浴には深さといい最良の入浴ポイントになりそうです。

かなり喜び勇んで川辺まで下り、まぁもうぬるいくらいかなと思いつつそっと手を浸けてみました。すると‥

これには驚きました。推定湯温はだいぶ下がったとはいえ50℃くらいはある感じで、この場所での全身入浴はかなりつらそうです。というかまだ無理ですって!(笑)。こ、こんな入浴適地を目の前にしながら撤退せざるを得ないというのはかなりブルーな気分です。しかし入れないものはしょうがない。「あぁ、携帯湯船さえあればどこででも湯を冷まして入れるのに‥」、しかし「携帯用」とはいえさすがにあれはかさばりますからね、海外でのタンデムツーリングにまで持参する気にはなれずおうちでお留守番ですからしょうがないです(笑)。

しかしここから車道は川沿いを離れ、山腹を巻くようにしながらの登り坂となります。谷を遠望しながら「あの辺には絶妙温度の湯が流れているんだろうなー」と思ったりしますがもはやどうしようもありません。そしてやがてメイン道路との分岐点にまで戻ってきたというわけです(源泉から2km)。

ちなみに分岐のすぐ先には橋が架かっています。その下を流れるのは例の温泉川です。まぁさすがに無理なのはわかってはいますが、やはり念のため水温をチェックしたくなり、橋の上にバイクを止め、橋のたもとから川へ降りてみました。

流れに手を浸してみると‥うーんさすがに(笑)。何となく温かい気がする水が流れておりました。ここに来るならやはり年末年始あたりがいいかな、湯の素性がいいだけにここはいつかリベンジしてみたいところです。

このあたりはメインロードとはいっても奥は行き止まりのため地元の農耕車くらいしか通りません。ちょうど先ほどの住民総出でニンニク収穫作業をしていた関係の車でしょうか、ニンニクを満載したピックアップトラックが通り過ぎていくところでしたが、その後には「食欲をそそるいいにおい」が残されました。さーてそれではパイに戻ってお昼ご飯といたしましょうか。



「橋の下から空しく眺め&あとはパイ市内へと帰ります」

ま、このエリアはまだまだ「深い世界」があるようなので、次回への「宿題」なのかも知れませんね。

Wmv形式、1.55MB、41秒



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