- アイスランド2010夏 (8) 未利用のKrisuvik(クリスヴィーク)地熱エリアを訪問! -

そんなわけでいよいよこの日から本格的にアイスランド本土の移動(というか旅行)スタートです。そんなわけでまずはレイキャネース半島の南部グリンダヴィーク(Grindavik)へ向かったのですが、悲しいかな間欠ワイパーを作動させる程度の雨。しかもGPSナビ(液晶画面は3.5インチくらい)の使い方をまだ理解していなかったこともあり町中で分岐するはずの目的ロードすらわからなかった始末です。でもこれが首都レイキャベクじゃなくてヨカッタよなー。

このあたふたを乗り越え、いざ半島南部経由でクベーラゲルジ(Hveragerdi )を目指します。なお拙サイトでは便宜上地名を全て英語表記にしていますが、実際の地名表記は現地語のため「Hveragerði」ですし、そもそもブルーラグーンだってアイスランド語表記では「Bláa Lónið(ブラゥア・ロゥニズ)」なのですからかなり(というかほとんど)わかりにくいです。そして地方に行けば行くほど現地語表記のみの比率が高まったりするのである種大変です(でも大体英語は通じるんですけれどね=ただし通じない人もいることを忘れずに)。

左上画像は、わかりにくいのですが看板には「この先未舗装路」の表示がなされています。そして確かに未舗装路になりましたが、このあたりのダートはきちんと整備されていて走りやすいです。しかしそのぶん路肩には深砂利がたまっているので、四輪駆動でない乗用車は対向車とすれ違う際にもあまり路肩に寄せない方が良さそうです。実はこの車でも一瞬ハンドルを取られてビックリしました(苦笑)。

わたしは海岸沿いの道を走るつもりだったので問題なかったのですが、とある分岐にこのような看板がありました。

この分岐路から山側に入る道路は道路状況が悪く、ここから先は最低地上高が高い4WD車以外は進入禁止ということのようです。アイスランドの場合、こういう道では単純に道路が荒れているだけではなく川に橋が架けられていない=川渡り必須ということを意味するので、車高の低い乗用車では通行不可というか川のど真ん中でスタックというパターンになりかねないわけです。また何とか乗用車で通れるはずの道でも、ひとたび大雨でも降ろうものならそうはいきません。というわけで「少しでもダート路を走る行程を組んでいるのであれば、やはり最初から4WD車を借りておいた方がはるかに安全」というわけです。

ちなみにこの道には入りませんでしたが(その予定もないし)、海沿いの道を進んでいくと、地図上にはとある集落を示す地名表示がありました。ということは「小さいなりに集落があって当然」と思ってしまうのが絶対大多数の日本人だとは思いますが、さすがアイスランド、油断はできません(笑)。

その地名が書かれた場所には羊が数頭だけ(笑)。そして何もない平原に妙にしつらえられた白い板塀の脇の看板内容を要約するとこんなことですかね。
1857年、この地に入植していた開拓農家が教会を設立した。建物の構造は当時のアイスランド各地における教会と同様のものであったが、やがてこの教会は信仰の中心としての地位を失い公民館的な場所として活用されることとなった。しかし1950年、この地で牧畜を営む人々が離散した結果教会の管理者が不在となり、1964年以降教会のあったこの場所は国立博物館機構の管理下に置かれている。
この和訳が正しいか否かは現地でこの看板を見てもらわねばわかりませんが(笑)、多分そんなに間違っちゃいないかなと。「Parish」なんて英単語はほんとに久々に見ましたね。

とにかくはっきりしているのは「アイスランドの地図の地名(またはナビで表示される地名)に過度の期待をしてはいけない」という厳然たる現実です。日本的な感覚は通用しないので油断しないように御願いいたします。というか日本でも限界集落や離散集落の問題が現実化してきており、このような例にあてはまる場所が増えてしまわぬことを祈るばかりです。もっとも新旧与党はそのための対策をほとんど進めようとしていないのですから、おそらくこの不安は現実化することでしょう(残念無念)。

話がそれました。そんなこんなでダート路が終わって舗装路になり、しばらく進んでいくと「本日最初の大地の営みエリア」に到着です(「最初の」というからには「次」もあるわけですが)、どんどん硫黄臭が強くなってきたと思ったらいきなり!一般道路のまぁ見事な真横に!



はいはーい、地獄@源泉が大口を開いてます!すぐ奥、ガードレールの向こうは車道です。

いやぁたまりませんね♪(何がたまらないのかを理解できる人が、多分日本全国に25,000人位はおられると存じます)。そんなわけでここは濃厚に学術的な探索が必要であると判断し、でも近づきすぎると地獄の藻屑と消えてしまいそうなので、結構消極的に遠巻きに眺めることにしました(何のこっちゃ)。

要はこんな感じです。何だかいつかは車を停めている場所も地獄に引き込まれてしまうような気もしますね(笑)。ちなみに結構大規模な穴であることは、右上画像のしゃがむおしんこどんを基準に考えればわかりやすいと思います。

しかし、このエリアの真骨頂は実は道路の反対側にあるのです。というかどう見てもそちらがメインでHut(山小屋)やトイレまであったりしますからね(ちなみに山小屋は無人で施錠されています)。というわけでそちらに車を移動して、地獄めぐりをしてみることにしました(って、それがそもそもの目的なんですが)。

ちゃんと看板に「Seltun」と出ていますので見逃すことはありません(これがこの源泉の名前であり、クリスヴィークはこのエリアの総称と思われます)。ちなみに看板に表示されている「四つ葉のクローバーのようなマーク」は何らかの見所(自然の景勝地とか歴史的な意味のある場所とか)を意味しておりただのレストエリアではありません。寄り道する価値がある場合もあります。ただし上記のように「昔ここには‥」的な場所も多いですが(笑)。さてそんなわけで、ここの地獄めぐりではちゃんと整備された歩道を歩いていきましょう(ただしロープや柵はありません)。

山小屋はご覧の通りでなぜかお洒落なウッドデッキ付きです。でも建物そのものはそれほど新しいものではなさそうで、デッキだけが最近増築されたもののようです。個人または団体の私有なのかも知れません。奥に見えているトイレはそれほどキレイではなかったそうです(おしんこどん談)。そりゃ私有で無人となれば管理も行き届かないのかとは思いますが‥ただしここはともかくとして。

【アイスランドのトイレ事情】

アイスランドを旅行していてとにかくビックリしたのが「とにかくトイレが清潔なこと」なのであります。たとえばキャンプ場のトイレは朝方に「ラッシュ」を迎えますが、ふと気づけばちゃんと綺麗に掃除されていますし、インフォメーションなどにあるトイレが清潔に維持されているのは当然としても、地方のスーパー併設のトイレや、また無人のトイレでもきちんと清潔。室内にこびり付いたアンモニア臭などとは基本的に無縁です。少なくともTakemaがアイスランド滞在中に「うわーこりゃいろんな意味でキビシイなー」と感じたトイレタイムは1度もありませんでした。その一方でこの後数泊したイギリスではちょくちょくそれを感じたりしたわけですけれどね(苦笑)。

それと、トイレを訪問する客数に関係するのかも知れませんが、トイレ内が広い!(そして数が少ない)。男性用の場合「大と小」を分けるのが普通ですが、アイスランドではそこそこの比率で女性と同様「個室」が基本です。広さも、時には室内が3畳くらいあって、「コトをおこなう」には何だか満足できます(何のこっちゃ)。

ただし宿の場合はもちろんシャワー室と共用ですので「ペーパーが湿気ている」のはしょうがないんですけれどね。ちなみに今回の旅行では共用の場合で8畳間くらいのスペースがあってビックリしたことがありました(もちろん1度に使えるのは1人なのに)。なお、よほどの場所でない限りちゃんとお湯も出ます。すぐに出ます。マイルドに出ます(いきなり熱湯になったりはしない)。アイスランドの湯水絡みは素晴らしい!

またまた話がそれました。しかしあくまで本題は源泉探索でしたね。ちなみにこの日は太陽が出ておらず結構涼しいというか寒いこともあり、ヌクいエリアをうろうろするというのはまことに理にかなった所行なのであります。



だって外気温は10.8度なのに、足下から吹き出る蒸気は72.6度(右上画像マウスオン)。ちなみにここから湯は出ていません。

さすがにとっても危険地帯であることから、ここには最近設置されたと思われる木道が続いていました。というかこの木道も何代目かのものなのかもしれません。この源泉地帯ではあちこちからかなり激しく吹き出していましたから。



ごく普通の源泉エリアに見えますが、木道すぐ脇の小さな噴出口に温度計を置いてみると‥(右上画像マウスオン)。



こうやって見ると小さな源泉帯にも見えますが、このずっと上にも源泉の湧出があります。とにかく高温湯エリアです。

ではではそんなわけでここまでの流れを動画でご案内いたしましょう。ビデオの中程でTakemaがもぞもぞ話しているのは「謎の中国人、い(硫)、おう(黄)、しゅう(臭)」という呪文のようなものであり、全く意味はありません(苦笑)。
「クリスヴィークの源泉地帯」

そんなわけでかなり濃厚な源泉地帯のようですが商業利用はされていないようでモッタイナイ。ちなみに施錠されている山小屋の中はどうなっているんでしょうね‥と、山小屋のすぐ裏に、蒸気を噴き出す不思議なパイプが!

うーん、地中からいきなり直立する金属パイプ、そこからただ単純に蒸気が上がっているだけで、いったい何のために設置されているものなのかわけがわかりません。まさか単なる「ガス抜き」というわけでもないでしょうにねぇ(笑)。でも考えたところでわかるわけでもないので先を急ぎましょ。

そんなわけでクリスヴィークをあとにしたわけですが、その近くにはブルーラグーンと同じく青白色の水を湛えた池などがあったりします。ただし湯気などが上がっていないところを見ると冷水かな(この日は結構寒かったので)。周辺はハイキングコースになっているようでしたが、やはりこんな日に歩いている人はいません。再び進んでいくと、海沿いに教会があるようなので行ってみることにしました(ちゃんと道路標識にも教会マークがある=右上画像)。途中からダート路になりましたが道の状態はいいので特に気になりません。

そうそう、アイスランドの車道を走っていると道路に沿って石積みのケルンが続いているのを見るのがあります(左上画像。マウスオンすると拡大画像に変わります)。とはいえいつも道路脇にあるというわけではなく、時には道から100-200mくらい距離を置きながら、それでも道路と同じ方向性を伴いつつ延びています。これは現在のように車道が整備される以前、当時の人々が道標として築いたものであり、特に冬には有用であったと思われます。もちろん現在では特別な役に立っているわけではありませんが、開拓往時をしのぶ上で非常に貴重なランドマークであると言えるでしょう。

さてそんなわけで道路の行き止まりにある教会まではもうすぐですが、長くなってきたので画像や説明は次ページにて。
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