- アイスランド2010夏(25) 雨時々曇りのなか東部フィヨルドへ -

そんなわけでHofn(ホプン)の町を出発してリングロードをさらに東‥いやこのあたりからは北東へ向かうといった方がいいでしょう。しかし天気は悪い‥雨とガスとのミックスで、風が強いわけではないのがせめてもの救いです。

最初は海沿いの道、途中には1000mを優に超える長大トンネルもあったりしてちょっとビックリ。人口32万人のこの国の予算でこのようなトンネルを掘りあげるって、まさにプロジェクトXレベルだと思うのですが‥。しかしこのあと、これよりはるかに長いトンネルが出てきてさらにビックらこいたんですが(笑)。

休憩スペースがあったのでちょっと停車。掲示を見てみると、やはりここにもかつて開拓農家というか人々の営みがあったのだということがわかります。



しかし今はそぼ降る雨に打たれる大地があるばかりなのであります。

このあと海辺でくつろぐハクチョウなどを横目にしながら進んでいくと、何やら道が妙に険しくなってきた‥

うーむ何というか、小石ザレザレの斜面を強引に整地して道を通してあるのが一目瞭然というか、これはこれでかなりコワイ道であります。しかしごく最近再整備されたのか斜面側には落石ストッパーとしての石組みが延々と続き、海側には(この国ではある種珍しい)ガードレールも。それにしても、わざわざここに駐車帯を作らない方が安上がりだったと思うんですが(笑)。なお、上の両画像ともマウスオンで別画像に変わります。

さらに走り続けて、Hofn(ホプン)以来久々の町であるDjúpivogur(ドューピヴォグール)へと到着しました。人口は400人程度だそうですが、ちゃんとスーパーもあり、よく見ると公式の酒屋さん「Vinbud」まで!(しかし営業時間はかなり短く、われわれが訪問したときにも閉店していました)。で、もう少し奥まで行ってみるとビジターセンター発見!ちょうどトイレタイムだったこともあり立ち寄った次第です。おっと、ここで気になる鳥の模型だか剥製だか‥。



そうそう、今日の目的はこの鳥(Puffin=パフィン)を見に行くことにあるのです。大きさはこれくらいなのねとイメトレ。

それにしても雨が強い‥。まぁこの日は基本的に移動日なので大きな問題はないのですが、何だか気分が滅入ってきます。するとやがて、R1=国道1号線にもかかわらず未舗装のエリアに突入!



舗装&未舗装の境目手前には左上画像のような看板があります。見逃すと下手をすれば大変なことに‥。

ただしR1の未舗装部分は「いきなり大荒れのガレガレロード」になるわけではありません。制限速度も舗装路より10km/h低いだけの80km/hですし、右上画像のように急なカーブなどもあまりありません(ただし「ない」わけではありません。その場合はだいたい手前に速度規制表示があります=右上画像マウスオン)。

Höfn(ホプン)から180kmくらい走ってきたところでStöðvarfjörður(ストズヴァルフィヨルズゥル)までやってきました。

そうそう、紹介する機会がなくここまで進んできてしまいましたが、アイスランドでは町の出入口に必ず上のような看板が立てられています。左は町の入口、右は出口です。これと同時に制限スピードももちろん変わりますので注意しましょう。それにしても町の建物シルエットの中にひときわ高く教会の塔がそびえているのがいい感じです。

で、ここStöðvarfjörður(ストズヴァルフィヨルズゥル)で昼食にしようかとも思ったのですが(ちょうど12:30ころ)、あれれ何だかレストランがない?いやあるにはあったけれど通過しちゃったし‥というわけで、次の町であるFáskrúðsfjörður(ファゥスクルーズフィヨルズゥル)を目指すことにしました。あれ、今気づいたんですがこのページの現地語地名だけアイスランド語表記にしてました。読みにくいのでここからはアルファベットの代用表記に戻しましょう(苦笑)。



そうそう、この町の港は「のの字」型をしていて何だかユーモラスでしたよ。

さらにフィヨルドを大回りしながら進み、Faskrudsfjordur(ファゥスクルーズフィヨルズゥル)へ。別にシーフードレストランで新鮮魚介鶏卵地に舌鼓♪という気もしないので(そもそも昨日の夕食がそうだったし)、シェルGS併設の軽食コーナーでお茶を濁すことに。



味は悪くないんですが、量が多すぎて困ったちゃんのお昼ご飯でした。

なお、この店で食事をしている前後だけ雨が止んでいました。それだけでなく何と!食事中に限り薄日まで差していたではありませんか!すわ天候回復か!とも思いましたが結局「束の間の晴天」に過ぎず、この日このあとの移動中、太陽が僅かでも顔を出すことは一度たりとてなかったのでありました(あーあ残念)。

ここから東部最大の大都市Egilsstadir(エイイルススタジル)までは、フィヨルドをぐるりと回り込んで進む道もあるのですが、ナビを見るとショートカット路があるみたいです(手持ちの地図でも確認)。ならばというわけで近道を行ってみましょう96号線!

道路は登り調子でずっと進んでいきます。道路の造りなどからいっても最近整備された道であることは一目瞭然です。すると前方にトンネルが見えてきました。しかし何だかこのトンネルも長そうだぞ!



い、いつまで走っても出口がラオスの見えんちゃん!(かなり苦しい)。

左画像の看板に書かれている説明表示を見てびっくり。そこにはこう書かれておりました!「Faskrudsfjardargong 5900m(2005)」。

しまった、午前中に通った1000m超のトンネルを「プロジェクトXだ」なんて書いちゃいましたが、あんなトンネル(失礼)とは比較にならないほどはるかに長い!こりゃあ「プロジェクトXX(ダブルエックス)」であることが確定!(何のこっちゃ)。繰り返しますが、人口たった32万人の国ですよ!国家予算のうちいったいどれだけをこのトンネルにかけたのでしょう?ちなみにこのトンネルによる短絡ルートが開通したことにより、旧道経由より31kmほど区間距離が短くなっているのは事実ではありますが(地図上の距離表示で確認しただけですが)。

でも、ただでさえ通行量の少ないこの周辺道路ですからねぇ。右上画像をご覧いただければわかるように先行&対向車の姿はほとんどありません(実際、はるか前方をウィンカー消し忘れのまま走行するバイクが1台走っていただけでした)。何だかふと北海道の名母トンネルとかを思い出しちゃいました。あそこも深名線の廃線とかいろんな事情があったのでしょうけれど、もしかして「なければないで別の手段で代替できたんじゃないか」と‥(名母トンネルを普段から利用している方々ゴメンナサイ)。

もっともこの「Fask‥」トンネル、開通が2005年というところがナニですね。アイスランドの経済が絶頂期を迎えていたころですから、予算編成にも大盤振る舞いをする余裕があったのだと思われます。日本だって高度経済成長期は行け行けドンドンだったわけだし。このトンネルの場合、2005年に開通させておかなかったら工事中断の憂き目に遭っていたかも知れません。物事はタイミングという運に大きく左右されます。八ッ場ダムしかり。
ちなみに大地熱国アイスランドですが、この東部と北西部は地質が比較的古く安定しているとかでトンネルを掘るには適したエリアなのでしょう。下手なエリアを掘ったら「出るぞ熱水吹き出すマグマ」なんてのも冗談話ではすみません。日本の安房トンネル(長野岐阜県境)だって工事中に水蒸気爆発なんてのがありましたし。
話がそれました。そんなわけでトンネルの恩恵だけはしっかり享受したわれわれはEgilsstadir(エイイルススタジル)へさっさと到着。東アイスランドの中心都市で空港もありますし、スーパーの店舗面積もとてつもなく広い!日本の郊外型スーパー(ベイシアとか)にも引けを取りません!でも人口は2200人くらいなんだそうですが‥(もちろん周辺地域の人口は含みません)。

ここにも酒屋「Vinbud」があり、しかも大都市ですからしっかり営業中でしたので白のカスク(箱)ワインを購入‥したつもりが、実は赤ワインでした(苦笑)。しっかり確かめてから買いましょうね。

しかし今宵の宿はまだここから70km近く移動した先にあるのでのんびりしているわけにはいきません。この日の移動距離は約320km、そこそこの大移動なのであります(そうでもないか)。そんなわけでR94へ。目指すはBorgarfjordur(ボルガルフィヨルズル)!



またダートになるようです。道路脇にはきれいに並べられた牧草ロールが見えています。

と、この道中、みごとに何もない平原のど真ん中に何やらポツンと建つ小屋を発見しました!(というかこの道を走っていればいやでも目に入ります)。緑色に塗られたホントに小さな建物と、その脇にはテーブルとベンチ。

そしてさらに、小屋には太陽光発電パネルが据え付けられ、テーブルの奥にはプロペラが。このプロペラも実は風力発電のためのもので、そこで作り出された電力は小屋脇に埋め込まれた防水ケース内のバッテリーに蓄電されているようです。


(答えにあたる画像が視界に入らないよう、以下にブランクを設けてありますのでご了承下さい)

それは‥(考えてからページをロールダウンさせてね)。





















な、何でこんなところに自動販売機を置かねばならないのか?などという市場経済的必然非必然の議論はさておき、これはかなりおったまげるとともに笑いがこみ上げ、そしてさらにこの自販機というか小屋及び周辺機器を維持管理しているオーナー氏にはいたく頭が下がります。これってすごいよ、ある種究極の遊び心の体現ですよね。そんなわけでもうちょっと内部を観察してみましょう。

ただの利潤追求系商売、もうかりまっかぼちぼちでんなのノリと一線を画しているのは、自販機小屋なのにビジターズノートが置かれているところからもわかります。しかもよく見るとロール系紙ナプキンもセットされていますね(笑)。そうか、ポテチとコーラを購入してここで食べたら手がアブラギッシュになりますもんね(でもよほどの悪天でない限り表のテーブルで食べるか自分の車に持ち込んで食べるんじゃないかと思いますが)。小屋の内部は2畳もないくらいなのですがちゃんとテーブルもあります。そして、そのテーブルの奥の方には?



これは‥お釣り用なのか両替用なのか?Googleで「Bland í poka」を翻訳してみると「袋に入れて混合」と出ましたからおそらくはお釣り皿?(ネットの翻訳機能もまだまだですね)。それにしても小銭とはいえこの無造作な性善説系施設はあまりにも楽しく、そして嬉しいのであります。ただし‥

もっともこの自販機(というか小屋そのもの)のオーナー氏は全てにおいて性善説的見地に立脚した「経営」をなさっているわけではありません。小屋の内外にはしっかりと‥(右上画像マウスオン)。

でもまぁ、基本的に遊び心たっぷりの施設をタンノーさせていただきました。よしわが家の前でも同じように‥たぶん釣り銭は朝になれば全てなくなっているんでしょうね。あれ、日本って治安がいい国じゃなかったっけ(笑)。

さてそんなわけでこんなのんびりしたエリアを進んでいくと、いよいよフィヨルドエリアを高巻く峠道に入っていきます。ダート路がどんどん高度を上げていく中白黒の羊がのんびりと草をはんでおりました。さてここで、この日これまでの道中(運転中)の景色を動画でふり返ってみましょう。カーステに接続したIPodから流れる曲にも注目です。Takemaの節操のなさがよくおわかりになると思います(おしんこどんはこの場合関係なし)。
「この日の道中風景(というか車中音楽変遷)」

さてこのあとは最後の峠を越えてBorgarfjordur(ボルガルフィヨルズル)へ!
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