− アイスランド2010夏(26) Borgarfjordur(ボルガルフィヨルズル)でパフィンウォッチング‥遠かった。 −



これは‥非常時における待避用シェルターなのであります。

Borgarfjordur(ボルガルフィヨルズル)に向かう峠道の頂上には上のような緊急用シェルターがありました。ダート路にはところどころにこういうシェルターがあるということは聞いていましたが、現物を見るのは初めてです。さて、それではちょっと内部を見学させていただきましょう(非常用なのでロックはされていません)。

これは冬期や天候悪化時に車が動けなくなった時など不測の事態に備えた施設だと思われますから、決して無料宿泊所ではありませんので念のため。内部には3人分のベッドが設置されており、案外に快適そうです。

また、壁にはかなり懐かし系の無線機も設置されています。使い方はアイスランド語と英語で書かれていてこれなら何とかなりそう(笑)。で、その上の棚には僅かながらの食料やガスのカートリッジも置かれていましたが、これは常置されているというよりも誰かが置いていったのではないでしょうか?

シェルター見学後は、フィヨルドの谷間に向かってかなり急な坂道を下っていきます。もちろんダートですし雨で路面も濡れているので慎重に下ります。谷まで下ったあとは海沿いをしばらく走り、いよいよボルガルフィヨルズルの町(Bakkagerdi=バッカゲルジ)に到着です。人口は130人足らずですが、そもそもEgilsstadir(エイイルススタジル)からこっち、家自体がほとんどありませんでしたので「おお、町だ町だぁ!」という感じです。なお、Borgarfjordurという地名は別の場所にもあるということで、こちらの正式名称は本当は「Borgarfjordur Eystri(ボルガルフィヨルズルイイストリ)」なのだそうです。

そんなわけで宿に到着。予約時に宿の外観画像を見ていたのですぐ発見できましたが、建物には看板のひとつすら出ていないので飛び込み宿泊は困難?。



建物は2棟あり、手前の方(新館?)はまだ一部工事中のようでした。

チェックイン時に夕食の要不要を聞かれました。なるほど小さな町だからレストランもないのかなと思ってお願いしましたが、実際は港の近くに「レストランこちら」を示す看板がありましたから食いっぱぐれることはなさそうです。ただし営業しているかどうかは当日のチェックイン前に確認しておいた方がいいと思います。

この日はほとんど観光らしい観光もしていませんが何だか疲れたので、途切れがちな無線LANでメール等をチェック。ちなみにこちらの宿のシャワーは温泉ではありません。この辺は温泉不毛エリアなんですね。

さてしかし、この日はまだ大きなイベントが残っています。それは‥

なぜここボルガルフィヨルズルまで来たかといえば、ものの本に「ここのように集落の近くに繁殖地があるのは珍しい」とあったからで、要は「パフィンのために足かけ2日かけて往復140kmの寄り道」をしようと決意したわけです。だから、だから!じぇったいに見たいのです!

そんなわけで宿の人に旧港の場所を聞いてみると思いがけないお答えが。

「パフィンのウォッチングはちょっと難しいかも知れません。「パフィンのウォッチングはちょっと難しいかも知れません。実は先週あたりに多く巣立ってしまいましたので‥

巣立ったパフィンたちは海上にいるとのことで、それじゃもう全然見られないじゃないのさ!しかしまぁしょうがない、せっかくここまで来たのだからコロニーだけでも見に行くかということで、意気上がらぬままいざ現地へ。遊歩道の階段を上がって観察地まで来てみると‥



そこには鉛色の大海原が広がるばかり‥い、いや、ちょっと待て、よーく見ると海面上に何かいるっ!



遠いんですが、確かに群れをなしてプカプカしている‥あれがパフィンか!

いるにはいましたが、あんなに遠いんじゃ見たうちに入らない‥と思っていたところ、観察地の近くの海面にも数羽だけいるではありませんか!そんなわけでデジカメの光学10倍ズームを最大限に活用して何とか撮った画像がこちら。



近いといっても数十m先ですからね。



羽ばたく瞬間をひたすら待ち続けて‥

でもこれが限界かぁと思いましたが、そういえば今回持ち込んでいるデジタルビデオカメラは光学25倍ズームじゃあーりませんか!というわけで静止画撮影モードにしてパシャパシャ by おしんこどん。それでもまだ小さいので、無駄な部分を画像修整ソフトでトリミングしたのが次の画像です。



せめて肉眼でこれくらいの大きさのところを見たかったのであります(残念無念)。



雨が降る曇天下ということで手ぶれが最大の難敵。相当数がボツになりました。三脚?そんなもん(笑)。

「海にプカプカPuffinの図」

そんなわけで「最悪の事態=全く見られない」ということにはなりませんでしたが、期待していた展開(岩場で子育て中の図)とはなりませんでした。そしてこの翌日に知り合ったブラジル人旅行者氏からは「衝撃の事実」を聞かされることになるのですが、それはまたこのあとのページでね(笑)。



旧港にあるトイレは珍しい形(左上画像)。町中にも写真付き案内板があり「ここから5km」とありますね。

さて旧港から町に戻ってきたところで、往路通過時から気になっていた家のあたりで車を止めました。だって、この家は誰だって気になりますよ!



しかも建物のペイントのみならず庭もきれいに整備されており、これは一見の価値あり!ただしこれだけ整備されているということはこの集落の博物館なのかと思い入っていこうとしたところで、おしんこどんから「ちょっと待って、説明板があるよ」。それを読んだTakema、「あー、無人博物館のつもりでドアを開けたら大変なことになるところだった」と安堵した次第です。



確かに説明板があります。別角度からの画像では、なぜクッションボールが?しかも母屋の奥には洗濯物干し場も(笑)。

では以下に説明板の内容をTakema訳にてご紹介いたしましょう。ええ、英検とかTOEICとかを受験したことすらないわたしですが何か?(苦笑)。

【LINDARBAKKI】(Takema注:敬称略)

この家はエリザベートの自宅住居です。彼女は冬のあいだ別の場所に住んでいますが、毎年5月中旬から9月末はこの家で暮らしています。

エリザベートと夫のスクーリが「LINDARBAKKI」という名で呼ばれるこの家を購入したのは1979年のことで、その時この物件の販売者は次のように説明したようです。

「この家はご覧の通り土と芝、そして石(レンガ?)およびそれをつなぐためのセメント、そして木材とで建てられております。ただ、現在において新しく建てられているような家とは全く違うのだということをご理解下さい。」

エリザベートとスクーリはこの家の購入後、修繕及びリフォームに多大な労力を費やしつつ、この母屋のそばにこの伝統形式にのっとった新たな小屋を建てました。その小屋は現在、2人が長年にわたって収集した様々な骨董的物品の保存室になっています。

夫スクーリは残念ながら1987年に亡くなりましたが、それ以降もエリザベートは各方面からの援助を受けつつこの家の維持に力を注いでいます。この家の暖房が昔ながらの油によるヒーターのみでまかなわれていることもその一例でしょう。

この家(母屋)の室内面積は約30平方m(玄関ロビーを含む)。内部は1ベッドルームにキッチン、そしてバスルームもあります。倉庫は地下室にあり、そこには井戸も設置されています。この倉庫はこの家屋におけるもっとも古い建造部分であり、1899年建造という記録が残されています。それ以外の母屋(上屋部分)の建築は1934年頃以降に行われたようです。

なるほど。かなり確固としたポリシーをお持ちのご夫婦だったようですね。しかしスクーリ氏が1987年に亡くなられたということはエリザベートさんもかなりのご高齢でしょう。Takema夫婦(というよりこの場合はTakema)が何も考えずにご自宅のドアを開けたりしたら‥アブナカッタ(笑)。しかしその一方でエリザベートさんと直接会ってお話してみたかった気もします(ご迷惑でしょうが)。

さてそんなわけで宿に戻ってシャワーを浴びてスッキリ。おしんこどんは66Northのフェルト系カーディガンに着替えて嬉しそうです。



Takemaは館内のちょっとした変わり種表示を見つけたりしてこれまた嬉し(笑)。

そうこうしているうちに夕食タイムです。いつの間にか他の宿泊客も増えていて食堂は大にぎわい。と、どうやらバイキング方式ではなく各テーブルにサーブされるようですがどんな料理が出てくるんでしょうか?で、サーブされてびっくり(笑)。



これはかなり驚きでした。いわゆる西洋料理系が出てくるのかと思っていましたから、まさかここでインディアンディナーとなるとは!そういえば夕食前にキッチンをのぞいたら何やらこねている様子がうかがえたのですが、あれはナンの生地だったのね(笑)。

ナンは生地がやや厚めだったこともありちょっと固かったのですがカレーはまぁまぁよろし。でもこれだけだと安達太良山中くろがね小屋の夕食みたいなもんだぞと思っていたら、しっかりデザートも出てきました。おお、前の方のページで紹介した「Skyr(スキール)」ですね!アイスランドの国民食ともいわれるこの乳製品、ヨーグルトとも違って酸味はほとんどなく柔らかレアチーズといった感じ。だから付け合わせのソースによって多様な味が楽しめるというわけです。結構大盛りで出てきましたがおいしく完食です。これ、日本でも売り出さないのかな?(その流れはあったようですが頓挫?)。

ところでこの夜はかなり冷えたようです。さすがに寒い国の宿だけあって室内はポカポカでしたが‥



しっかり窓には結露が(笑)。この日は8/4、日本は猛暑真っ盛りの時期だったんですよね。

そんなわけでごくごくアイスランドらしい朝食をいただき(要は特徴なし)、この日はMyvatn(ミーヴァトン)の湖へと向かいます。ちなみにアイスランド語では「vatn=湖」、ということは「ミーバヴァトン湖」と表記すると日本でいえば「江戸川リバー」というようにダブってしまうんですよね。しかしわかりにくいのでやっぱりミーヴァトン湖と表記することにしましょ。

前にも書いたようにこの地に来たのはパフィンのウォッチングが目的です。昨日の段階でもう近くの崖=繁殖地にパフィンがいないのはわかっていたのですが、ついつい未練がましく出発後もう一度旧港に行ってみることにしました。



Puffinは昨日とは別の場所にもいましたが、まぁ最大ズームでこんな感じなので脱力。



カモメはまだ営巣中なんでしょうかね。そんなわけで一気にミーヴァトン湖向けて移動開始です!

[戻る] [次へ]