− アイスランド2010夏(32) もしかして?の読み大正解、思いがけず野湯をタンノー −
車に乗り込み、峠の向こう側にあるNamafjall(ナウマフィヤットル)地熱地帯方面へと、昨日来た道を戻ります。でも昨日のうちに立ち寄ったこの地熱エリアに用はありません。これから向かうのはKrafla(クラプラ)という別の火山方面で、最近では1984年に噴火したといういわば現役バリバリのエリアなのであります。
そうそう、左上の画像はレイキャフリーズ近くの国道(R1)沿いにある湯だまりです。過去の火山活動で珪藻土工場が壊滅したすぐ近くの場所(下流側)にあるのですが、何と立ち寄って湯温を確かめるのを忘れました(大ばか)。でも何度も通ったのに誰1人として車を止めていなかったので、もはや水たまりと化していたと思われます。いや、そう思うことにしないとやりきれません(笑)。
なおクラプラに向かう途中には地熱発電所があります。何でも日本の技術援助のもと1975年に運転を開始したのだそうで、クラプラ火山の噴火時にはかなりの危険が懸念されたとか何だとかいうことですが、結局は操業停止に至ることもなく現在に至っているそうです。
そんなクラプラ方面に向かって緩やかに道が延びています。完全舗装で道路状態も良く、とても快適なドライブコースといえるでしょう。いやそれはこのあたりのほとんどの道路にいえることでもありますが(笑)。
この道路に平行する形で(やや距離を置きながら)上流から川が流れてきています。川の様子は直接は見えないのですが穏やかな流れであることだけはわかります。が??
Takemaの野性の湯勘(何だそりゃ)が心の中でしきりにアラートを発します。考えてみればブルーラグーンの湯は地熱発電で使った湯の再利用ですし、この川の上流にあるのも地熱発電所。ということはもしかして‥
というわけで、小川に続く未舗装路があったのでこれ幸いとばかりに進入!ちなみにこの道は発電所の源泉井に続いているらしく、川を渡った広場から先は進入禁止になっていました。でも広場までなら問題なく合法です。
川の上流側(左)と下流側(右)。ちなみに上流側には遠くに地熱発電所が見えています。
下流側の川床を見るに「いかにも」の様相を呈していますが(これは見る人が見ればわかりますよね)、肝心の温度はどうなのでしょうか?手を浸けてみると‥
念のため検温してみたら41.0度というあまりにも絶妙な湯加減!先ほどの車やチャリの人たちにはやや熱く感じてしまうのかも知れませんが、日本人にはバッチリ適温!気温がそれほど高くないのでもう少し高めの湯温に感じそうなのでそれもまた良きかな、というわけでこんなところで思いがけず「入浴」開始です!(なお道路からはさして離れていないので、公序良俗の見地からちゃんと水着を着用しましたので念のため)。
ちなみに未舗装路が川をまたいでいる関係上、川のその部分は橋ではなくパイプによる暗渠でつながっています。この工事の関係で暗渠の下流側は広い湯池になっており、さらにコンクリの堰から滝状に下段の湯池に導かれています。こ、これはスゴイ!というわけでまずは上段の湯へいざ入浴っ!
湯の流れが速いのと、上流側が砂地の河原であることもあり池の底は砂で覆われており、いわゆる藻やデロデロ系の湯花の堆積とは無縁です。ただしかなり深いところもあるので注意が必要ですが、こんなところに入ろうと考える人であればわざわざ言わずとも気をつけるでしょうから余計なお世話ですね(笑)。
さて、気をよくして今度は下段の湯池へと移動します。こ、こっちはさらにイイっ!
もうこうなったらPHとか泉質とか言っている場合ではありません!(さすがに味見はしませんでしたが、このあとこの川の上流部にて硫黄の析出を確認しましたから含硫黄泉であることは間違いないでしょう)。
ちなみに湯池側から堰の側を撮るとこんな感じになっています。これだけ見れば確かに風情という点では欠けますが、でもこの堰あってのこのアワアワ天然ジャグジーですからもちろんいいのです、スバラシイのであります!
「まさかまさかの適温野湯!」 |
「いやぁ素晴らしかった!」。これほどまでにたっぷりタンノーしたのですから、ここで入浴を終了しておけばここからの「悲劇」は起こらなかったのであります(笑)。しかし人間の欲望というかTakemaの湯欲には限りがないというか、ここでTakemaは新たな野望をむき出しに。それは‥
というものでありました。自分の調べていた限りここでの入浴レポは見たことがありませんでしたし、この時は意気高揚というか無意味にハイになっていたことだけは間違いありません(大笑)。
で、車で寝て待っているというおしんこどんを置いてさらに下流部の探索に出かけました。いわゆる「本当の天然湯船」で湯に浸かろうと考えたわけですね。タオルとカメラだけを持って、もちろん水着のままの移動です。
しかしなかなかいい場所が見つかりません。あまり車から遠くなってしまうと帰りが面倒なので、しょうがないこの界隈の浅瀬で寝湯画像でも撮って終わりにしようと考え、川に1-2歩足を踏み入れた瞬間、「あまりの現実」に愕然としたTakemaでありました。
そう、先ほどの2段の湯池で砂が留められているので、あそこから下流の川にはほとんど砂が流れ込みません。となると、温泉水などに好んで棲息する藻が思いきり石や岩の表面で元気よく繁殖していたというわけなのです。しかしその滑りやすさといったら、日本の似たような場所の比ではありませんでした。2歩ほど足を踏み入れたところでいきなり動けなくなってしまいました!まさに「進むも地獄、戻るも地獄」モードです(笑)。
しかしこの状況で「進む」という選択肢はとりあえず考えられませんから戻るしかないのであります。しかし困難なのですよ方向転換でさえもが!片手にタオル、片手にデジカメなので四つんばいにもなりきれず、それでもタオルを持った左手で流れの中の石をつかもうとしたら‥ツルン!
バランスを崩したTakemaの本体を立て直すには、残された最後の肢体、すなわち右手を使うしかないのであります!しかしその手には「非防水デジカメ」がっ!この時のTakemaの慌てぶりをあえて「心の中の声」で表現すると次のようになります(笑)。
川床の緑色はもちろん温泉藻の繁殖を意味します。で、右上画像がデジカメ様ご臨終前の最後のショットです(笑)。
しかし何とか半水没で食い止めましたので、このあとはなりふり構わず進化途中の謎の生物のような動きで何とか川岸へ。急いでカバーのファスナーを開け、カメラ表面の水分を拭き取り、おそるおそる電源を入れてみると‥おお、動いた!よーし地獄に仏!ん?はれ?電源をオフにしても反応なし?マズイ、生死の境をさまよってる!(笑)。
そんなわけでまずは命の核心部であるSDカードを取り出します。幸いカードには水分の付着が見られません(よーしよし!)。あとはできるだけ振動を与えないようにして何とか車へと戻りました。
寝ていたおしんこどんに今のアクシデントを伝達し、予備として持ってきていた防水デジカメに先ほどのSDカードを挿入して再生してみると‥よかった、保存データには異常がないようです!(「あのね、何で最初から防水デジカメを持ち歩かなかったの?」という、至極当然のご質問にはお答えしかねます(大苦笑))。
そして渦中の非防水デジカメ「DMC-TZ5」くんですが、「これはもう、乾かすしかないでしょう」というこれまた至極当然の助動詞的な結論しか出せません。しかしこの日はともかくとして、この翌々日、彼は69日間の暗黒世界から坑夫たちをすくい上げた不死鳥=フェニックスのように華麗な復活を遂げたのであります!すごいぞPanasonic!ちなみに現在も全く問題なく動作しております!
というわけでこの日及びこの翌日の画像は全て予備カメラで撮影したものなのですが、実はこの予備カメラ(PENTAX Optio W60)の方がカメラとしては新しいんですよね。しかも画質もこっちの方が高画質に設定していたことにあとで気づいてある種びっくりした次第です(笑)。
そんなわけで野湯天国半地獄体験のあとはいろんな意味で気持ちを切り替えて観光いたしましょ(実はこの時はちょっとやけくそ気分でしたが)。
そんなわけで地熱発電所にやって来ました。源泉井立地の都合でしょうか、なぜかパイプの下をメイン道路が通るというちょっと変わった造りも眺めながら、いざずんずんとクラプラ火山方面へと向かいます。
左上画像は自然の噴気口ではなく圧力調整弁から噴き出す蒸気なのですが、これがまたすごい圧力で噴き出しております。次ページの動画でも出てきますが、噴出口付近は蒸気が熱すぎて湯気にもなれないほどです。そしてこの噴気音はかなり離れた場所からもかなりの音量で聞こえました。さすが現役バリバリの火山エリア!(大丈夫なんだろうかこんな場所の地熱発電所って?とついつい心配になっちゃいます)。
もっともわれわれ人間の感覚で地熱活動を語ってはならないというのは、2010年10月に起きた鬼首地熱発電所での死傷事故を考えればわかる通りです。富士山だって約300年前はモクモクと噴煙を上げていたわけですし、いつ「現役に復活するかんねドカーン」と来てもおかしくないわけですから‥。
話がそれました。で、この道の終点はViti(ヴィーティ)という火口湖。実はこの奥というか東側にかのクラプラ火山があるのですが、いい画像がなかったのでごめんなさい。で、この火口湖の周囲も一周できるということでしたが、このあと続いて別の場所に行きたかったのでパス。この時はもう16:30になっていましたので‥
で、少々戻ったところにある広い駐車場に車を止め、ここからは再び歩き始めます。気がつけばこの日はアイスランド滞在中一番歩いた日かも知れません(笑)。目指すは‥レイルフニュークル(Leirhnjukur)!しかしここもまた駐車場からは結構歩くんですよね(知らなかった)。
生々しい噴火の痕が残るこの場所についてのレポートはお次のページにて。かなりすごいです。
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