- 2011年末NZその8 NZ初の野湯「Sylvia Flat」で常連さん?の泰然自若ぶりにビックリ -
というわけで「夕食前にもうひとっ風呂」へのお出かけ行動開始です。実はチェックイン時に、この温泉その他についていくつか質問をしていたのです。その結果このシルビア・フラット(Sylvia Flat Hot Pools)の場所はわかりました。なぁんだ、わかりやすい分岐を思いっきり無視して通過して来ちゃっていたわけですわ。
ちなみに、このとき実は「あと2ヶ所についても」質問していました。しかし、最初の1ヶ所については「先年の豪雨でこの流域も川の流れが大きく変わってしまい、また増水により源泉自体が埋没している可能性もあります。豪雨後はわたしどもも現地を確認していないので現状については不明です。ただはっきりしているのは、『源泉が出ているにしても湯温はそれほど高くない』ということですね」。
またもう1つの場所については宿の方もご存じありませんでした。そうだよなぁ、英語サイトでもたった1件しかヒットしなかったし(笑)、その人は何でも「カヌーで川下り中に硫黄臭がしたので見つけることができた」ということで、陸路からのアクセスが可能かどうかも不明な秘湯です(でもTakemaの湯勘によれば「たぶんあー行ってこー行けばあとは何とかなるんじゃないか?」という気がしていたんですが。ただし情報源のページでは湯温その他についてが未記載だったので、実際は「湯」じゃないかもしれませんが。
さて、先ほど来た道を車でぐんぐんと戻ります。決して歩いて行かれる距離ではありません。峠越えの道だし宿から20kmくらい離れていますから。なお、この記載は結構重要で、逆から考えればクライストチャーチから来る場合、ナビをマルイア温泉にセットしておけば「残り距離20km」あたりに分岐があるというわけです。
「そんなわけでシルビア・フラットの入口に到着!」 よーく見ていると、分岐にあるランドマークがちらりと写ってます。 |
車を止めた広場からは上流に向けて歩いて行きます。一部に昔からの踏み分け道が残っていますが(野湯を目指した先人の皆さんの足跡)、やがて斜面の崩落によりその道もなくなります。野湯自体が河原にあるわけですし、増水時は河原も歩けなくなりますし、さらには両上画像のように崩落は日々進んでいますから、天気が悪い日は近づかない方が賢明です。大木だって落下して来ているわけですので‥(右上画像マウスオンで拡大)。
この日は天気は問題ないのでさてどこだろう?と思いながら進んでいくと‥
いかにも系の古い湯船工事跡発見!さすがにここには入る気もありませんが(というか冷たかった)、その先には意味ありげな水たまりエリアが見えてきました。あれはもしかして?湯なのか水なのか?さわってみると‥
となれば「どこでもお着替え」を登場させて、いざ入浴の儀へと邁進せんとするわれわれなのであります!(「それにしても最近のTakema旅行記ってこんなのばっかりだね」というご意見があることは重々承知之助なのでありますが、だからと言って新たな旅のパターンスタイルを考えようとはじぇんじぇん思っていませんのでこれまたご承知おき下さいませ)。
「シルビア・フラット温泉をタンノー中!」 おしんこどん湯浴み中、Takemaは手前のぬるい湯へちゃぽり。 |
ちなみに湯温は、おしんこどんの入っている湯で38.9度(左上画像マウスオン)、そちらよりは広いがぬるい手前の湯だまり(右上画像)では体感で35度ちょいくらいというところでした。そしてさらに、今回の訪問時にはもう1つ「現役の湯船」がありましたが‥(右上画像マウスオン)。
本の世界に没頭なさっている「彼女の優雅な時間」を邪魔するのも失礼と思いそちらの湯には浸かりませんでしたが、立地からしてたぶん湯温が一番高いのはあそこであったと思われます(相当深く掘ってあったし)。ちょっと残念でしたがまぁ仕方ない‥。
さてしかし、わたくしTakemaが彼女を「常連」とみたのにはもう1つ理由があります。こうやって画像で見る限りでは全くわからないことですが、実はここシルビア・フラットの湯には「落ち着いて入っていられないある現実」が厳然として存在します。それは‥
サンドフライ。最大でもショウジョウバエくらいの大きさでありながら「しっかり噛んでくる」吸血ハエ(正しくはハエではないようですが)。NZ以外にもスコットランドあたりではミッジ(Midge)というのがほぼ似たような見かけと吸血行動とでかつてのTakemaを閉口させてくれやがりましたし、日本でも山奥に行くとブヨ(ブユとかブトとか呼ばれることも)がいて難渋したりしますが、彼らに共通しているのは「皮膚に針を刺しての吸血ではなく、アブ同様皮膚表面を噛み切った上での吸血を行う」ことで、おかげで食われたときにはチクッという痛みまでも伴うわけです。
かつて食生態学者の西丸震也氏が吸血虫に関して「人の血を勝手に吸っていくだけでも失礼な話なのに、あとに厄介なかゆみまで残していくとは何事だ。せめて吸われた人が気持ちよくなるような成分でも残していくのが『虫の道』ってものじゃないか!」というようなコメントを残していた気がしますが(表現や単語については微妙に違っていると思いますが、ニュアンス的にはこんな感じだったと記憶しています)、その本を読んだ当時「確かにそうだ!」と激しく同意した記憶があります。
もっともサンドフライについての様々な知識や防禦方法については、このNZコンテンツの前ページでも紹介したあきばさんのこちらのページがやっぱり一番参考になりますので是非ご一読を。最終更新が2004年ということですが、いまだに他の追随を許さない情報の豊富さはさすがです。
で、上記ページ内にも記載があるのですが、「サンドフライに刺され慣れるとかゆみを感じなくなる」というのです。あきばさん自身もかつてその感覚を実感なさったようですが、残念ながらTakemaのWH時代をふり返ってみてもその記憶はありません(当時は結構な頻度でサンドフライ王国に分け入っていたのですが‥)。
でも考えてみればKiwiの方々はサンドフライがたくさんいるところでもそれほど慌てていないどころか、のんびりBBQをやっていたり時には肌を露出して日向ぼっこに興じていたりしたわけです。となるとやはり「慣れ」がモノを言うんでしょうか。そう、そして‥
やるなー常連さん(笑)。ちなみにNZのサンドフライは変なウィルスや菌などの媒介者ではありませんから「リペレント塗ってるし、刺されても別にかゆくもないし‥」ということであれば実害はないわけですね。でも刺激としては僅かとはいえあの「チクリ」感を感じなくなることはさすがにないと思いますが(笑)。
一方、われわれは2人ともそのような有り難き免疫を持っていませんから2人とも「パン、ピシャリ、パンパン!」と、夏の北海道でも時々風物詩的におこなっている(おこなわざるを得ない)われわれ夫婦の無形文化財とも言える「アブたたき音頭」をこの場でも披露してしまったというわけです(笑)。その一部はすぐ上の動画でもおしんこどんがやってましたが気づきましたか?
そんなわけで当初の目的を達したわれわれは再びマルイア温泉へと舞い戻ります。何だかだいぶ雲が出てきましたが今のところは大丈夫。
ところでマルイア温泉のメイン建物の前には広い駐車場がありますが、実は宿泊者用の駐車場はここではなく裏側にあります。そしてそこへ進入するには「箱根の関所のようなゲート」を通り抜けなければなりません(暗証番号タイプによる自動開閉=右上画像)。何だか似たようなゲートをどこかで見たなと思ったら長野の中房温泉が有人のゲート付きでしたっけ。
ゲートがあることについては賛否両論があると思いますが、少なくともここNZではそれほど違和感なく受け入れられていると思いますのでツッコミは入れません(笑)。そういえば、ここマルイアスプリングスには以前付帯施設としてキャンピンググラウンドやバックパッカーズもあったといいます。おそらくは経営が現在の秀山さんに引き継がれた直後は「さまざまなスタイルの旅行者を広く受け入れよう」というスタンスだったのでしょうね(宣伝にもなりますし)。
やがて「温泉リゾート宿」としての営業が軌道に乗ったことにより、「日帰り入浴は継続するとしても宿泊については一本化しよう」という流れになったのかもしれません。うーん、でも何だかバジェットスタイルの宿泊施設だけは残して欲しかったような気もします(イチゲン旅行者の戯れ言なんですが)。
ま、そんなことはともかくとして戻ってきたからには夕ご飯!ところでこちらの宿は原則として朝食も宿泊料金には含まれません(宿泊パックの場合は除きます)。ただとてつもない山の中に立地していることもあり買い出しは不可能ですし、はるか手前のどこかで「そのまま食べられるモノ」を用意してこない限り夕朝食ともこちらのレストラン利用が賢明ですね。あ、われわれはハンマーのドギーバッグが‥(朝食に回しました)。
部屋からレストランのあるメイン建物に上がってくるとそこにはロングサイズの足湯が(笑)。レセプションからつながるロビー(右上画像)は広々としているし清潔感もあって快適そうです(結局1度も座って寛がなかったのを後悔)。
さて、そのロビー画像を見て何か気づきませんか?そう、それは「レストランにつながる太鼓橋」。右上画像にマウスオンすると拡大画像に変わりますが、メインの動線にあえてこの橋を据えたというのは、Kiwiのお客さんを相手にしようとする上でなかなかいいアイデアかと。急傾斜のところにステップを切ってあるのも「こだわり過ぎず」という点でいいかも。以上、宿経営素人のTakemaつぶやきまで(笑)。
そんなわけで「花道」を通ってレストランへ。何度も書いていますが少食人種のわれら2人ですから量は不要、というわけで「Yose-Nabe」は即座にパスしてそれぞれ単品で巻き寿司と天ぷら盛りをオーダー。あ、アルコールはケチらないので「KIMURA」のボトルをささっとオーダーです(笑)。
ちなみにお宿のアルコールメニューには「久保田 千寿」「男山(どの酒蔵の男山なのかは不明)」「上善如水」(以上日本酒)、「黒伊佐錦」(焼酎)などのラインアップもあって、これだけ見れば日本の居酒屋そのもので、十分に「夫婦大宴会翌朝へろへろ系」が出来上がりそうな気もしますが、いかんせんここはNZ、円高でもお値段は結構そこそこなので?NZワインで足らない分は部屋のマイストックを消費することにします(笑)。
そんなわけで巻き寿司のサンライズロールと天ぷらが登場!これがわれわれの全夕食です。普通の男性ならこれでやっと1人前なのでしょうがわれわれなら2人でこれで十分なのです。おしんこどんはこれにデザートを付けましたが(右上画像マウスオン)、このあと部屋に戻ってから朝まで食べ物摂取は一切なし、経済的ですねぇ(笑)。たとえば全先進国の国民がわれわれのような食生活に移行したとしたら、世界の食糧事情は一気に解決しそうな気がします(笑)。あ、中国漢民族系の方々「もう食べられない!」まで饗応する習慣は考え直しましょうよ、人数多いんだから(大笑)。
なお、隣の白人カップルさんは「怒涛系寄せ鍋」を「おおぅ、これはいいねーオイシイねー」と日本酒とともにどんどんパクついておられました。すごい!(もう感嘆のみですわ)。
ところでシルビア・フラット野湯滞在中にあれだけ良かったお天気ですが、やはりここは山懐ということで天候が変わりやすいというのは日本の南北アルプスのようなもので、食事中にはどしゃ降りの雨が!うっはぁ部屋まではオープンデッキと砂利道なんだぞどうする?と思っていましたが、これまたやっぱり南北アルプスの夕立のように、雨雲は一気に去っていったのでありました。
さ、そんなわけで部屋に戻りましょうかね。何だか雰囲気が北アルプスの徳沢や横尾みたいでちょっと懐かしく思いました。
このあとはしばし部屋で待機というか休息です。ただ、今日の行程をふり返ってみればカイコウラ出発後70号線経由でハンマースプリングスで温泉&数々のプールに浸かり(結構疲れた)、そのあとここに来て貸し切り湯をタンノーのあと‥
そんなわけで男女別の内湯にさっさと行ってさっぱりした上で寝ちゃえばいいんですが、いろんな意味でせっかくなら貸し切り入浴したいぞと思い、「限りなく22:00に近い時間まで匍匐前進、いや違った雌伏のビミョーな時間」をひたすら待機タイムとしたわけなのであります。ただしTakemaはその時間中にのんびり芋焼酎飲んでましたし、おしんこどんは睡魔秋穂雲丹王と戦って敗北し「のんびり就寝の刑」に服していたようでしたが(笑)。
そして21:30を過ぎてさすがに外も暗くなった頃作戦行動を開始します(笑)。ちなみにこの男女別大浴場ですが、夜は22:00までで閉鎖、そして翌朝は開放しないということなので、今夜のうちに入っておかないと「入りっぱぐれる」ことになってしまうわけです。
閉鎖時間近くまで入りに来なかった理由は、夕食後しばらくは宿泊のお客さんがそこそこ入りに来るのではないかと想像されたこと、そして、浴室入口にスイムスーツはオプションという掲示はあっても、「他の入浴客全員が海パン着用の中で自分だけマッパーというのは相手も気を遣うはず」という気遣いと(いや、自分も気にせざるを得ませんし)、そして何よりも、チェックイン時にマネージャーさん?に、
とおっしゃっていただいたことが一番の理由でありました。閉鎖時間の直前に行けば先客さんも誰もいないだろうし‥。そんなわけであらためて画像データをチェックしてみたら、どうやら脱衣場に足を踏み入れたのは21:50くらいだったようです(笑)。先客さんの気配はなく、うーむ予想通り湯っくり入れそう。
右画像は大浴場の外観。マウスオンすると入口の掲示画像が出てきますが、ネットで見た限り水着着用率が高そうでした。
で、ページトップ画像の通りここは完全に日本の温泉旅館の大浴場!しかもここしばらく誰も入ってないことを示す「乾いたメインストリート」!あちゃー、だったらまだ少しでも明るいうち(30分前とか)に来るんだったと後悔するも「After the Festival」(意味なく英訳)。右上画像の脱衣場ですが、浴室との出入口に敷かれたマットも(ほとんど)乾いてました。
この日の宿泊客のうち日本人は見ていた限りわれわれのみ、Kiwiの皆さんは貸し切り湯と露天湯(水着着用)を楽しめば、3つ目のはしご湯&「マッパー入浴の言いしれぬ不安を内包するJapanese Bathhouse」には無理に入浴しなくてもいいということだったんですかねー。特にこの時期はイチゲン系の観光客が多い時期ですし(自分たちもそうなんですが)。
さて、そんなわけで貸し切り湯をタンノーいたしましょう!
日本のように照明バリバリの浴室ではないですが、誰もいない暗めの空間の中静かに注がれる&流れ出るお湯の音だけが小さく響く‥うーんとっても素晴らしい!本当にここはNZなのかどうなのかちょっと迷ってしまうほどの劇的な空間です。
トップ画像を見ればわかるとおりちゃんとシャワーも完備なのですが、こうなれば身体を洗うのもぜーんぶ湯船の湯をすくって使うのがイイ!単純硫黄泉系ゆえ泡立ちも問題なく、思いっきりさっぱりしましたわ。はふーしあわせTakema47才(笑)。
翌朝は早々と6時半に起床。しかしすぐ上に書いたとおり「朝は上記内湯に入れない」ので露天プールへと向かいます。でも、この運用については何とか改善してもらえませんかね?朝7時過ぎ、内湯からは「ただ今清掃中」を示すデッキブラシの音がしていました。でもこの時間に掃除する必然性が全く理解できないのですよ(強く主張)。
で、水着着用の上で露天プールへやってきました。朝一番なのでまだ陽があたっていませんが、これはこれで気持ちよさそうなしつらえですね。しかし画像からはわかりませんがしっかりサンドフライがうろうろしています(シルビアフラットほどではありませんが)。撮影と退避(湯に浸かる)を交互に繰り返しました。ホントにもう、こいつが居るか居ないかでその場所の印象まで変わっちゃいますよねー。でもしばらくいると慣れるというか諦めちゃうんですけれどね(笑)。
場内には温泉プールのほか「打たせ湯」もあります。夏なんですが湯気モウモウ(笑)。
湯の表面には成分が固化していました。これはこれで悪くないぞと思うのは自分が温泉好きだからだと思いますが(笑)。
何だか1つだけちょっと違った湯だな?と思ったら水でした(右上画像)。NZ人は喜んでヒャッホーなんでしょうね(無理)。
谷あいの宿にも日が射してきました。お、温泉ネコも出現(右上画像マウスオン、でもなかなかカメラ目線になってくれない‥)。
「マルイア温泉露天プールほか!」 淡々と進むだけなので、温泉ファン以外の方は見なくていいかも(苦笑)。 |
さてそんなわけでお宿をチェックアウト。なんだかんだ言っても基本的に素晴らしくてのんびり出来ました。「ここはどうなのか」系の意見をいくつか書きましたが、日本式だからといって日本の旅館とそっくり比べちゃいけないでしょう。ここはNZなのでこちらのデフォルトに合わせる必要もあるわけです。
ではでは、一気に西海岸を南下しますよー!