- 2011年末NZその17 テアナウ界隈をミニお散歩+翌朝は氷河湖方面へ -
ん?夜の闇にうごめくキミは誰?正体はハリネズミくんでありました。
テアナウ到着は15:00ジャスト。かつての空き地スペースだったメインロード北側にスーパーやホームセンター、さらにはレストラン街などのモールができていて、いやぁ知らないうちに発展してました。かつては4Squareくらいしかなかったスーパーも、大きな「Fresh Choice」がOpen 7 days、8:00-21:00で頑張ってるし、何だか中心部全体が華やかになっているような?
そんなわけで連泊するモーテルのお宿にチェックイン。昨日までのお宿に比べればもちろん質素ですが、あちらはわれわれにとって「無意味すぎるほどゴージャス」だったのでこちらで十分というか、まだまだ十分過ぎる感じです。
エントランスはしっかり屋根付き、椅子も置かれています(一部に蜘蛛の巣が張っていましたが)。こっそりと灰皿も置かれており、雨の日の喫煙者にもやさしい気遣い(笑)。室内は「なぜ?」という感じにせり出した棚付きキッチンの使い勝手を除いてはこれまた問題なし。掃除もきちんとなされていました。ちなみにこちらのお部屋も2ベッドルームでしたが(右上画像マウスオン)、4人でワイワイやるにはテーブルがちょっと狭いかも。ま、晴れていれば外の芝生部分に気持ちいいテーブルと椅子があるんでそちらに出ればいいんですけれど。
さてマナポウリ湖にでも行ってみようか、それとも釣りでも‥いずれにせよまずは情報収集というわけでフィヨルドランド国立公園のDOCビジターセンターへ。でもうーむ、期待していたテアナウ湖でのトローリングツアーはどこもやっていそうになくてがっくし。2-3時間のボート釣りツアーでもあれば(もしかして夕ご飯食材の調達もできるかもしれないし)サイコーだったんだけれどなぁ。
それじゃポコポコと湖岸でもお散歩しましょうかね。お金もかからないし健康にもいいし何といっても時間つぶしになるし(笑)。
湖岸沿いに植えられたポプラの根元にはポプラの種がびっしり。いや「種が」というのは語弊があるかもしれません。正しくは「種に付随する真っ白な綿毛」がびっしりと地面を埋め尽くしていたわけです。それこそ雪が降り積もったあとのように‥しかし写真を撮っておかなかったのは失敗だった。
しばらく進んでいくと湖岸沿いのトラックになりました。ジョギングしている人もいましたよ。
ちなみにこのトラック沿いのところどころにとーってもワラビに酷似した、いや形状からいえばまさにワラビそのもののシダ植物発見!(左上画像マウスオン)。これってワラビかなぁ、ワラビだろうなぁ、でも食べられるのかなぁ変な毒性があったりするのかしないのかどうなのかなぁ‥。もっともアク抜き用の重曹を持参しているわけでもないし灰が手に入るわけでもなし、ついでにいえば西洋人がワラビを食べるって話は聞いたこともないので、もしビジターセンターに持っていって「これ、食べられますか?」と聞いたところで「そんなの食べる人なんかいません」とバッサリ切り捨てられておしまいでしょう。ということで摘んでこなかったのですが‥。
重曹はスーパーで手に入っただろうし(余るけど)、ネット上の日本語サイトではニュージーランドのワラビを食べてみた記録が見当たらないところをみると「最初のチャレンジャー」になれたわけだし(意味ないけど)、何よりも「現地調達できる新たな食材世界を開拓できたという満足感」も得られただろうしねぇ(笑)。
ちなみにさっき調べたところによると、NZの先住民族であるマオリの人たちは伝統的な食材としてワラビを食べていたそうです。
このあとはさらに歩いて(とはいってもせいぜい10分くらいですが)、Te Anau Wildlife Centreへ。ここもDOCが管理しているようですが、見学無料なのが嬉しい話で、ワーホリでテアナウに滞在していた時は何度も来たような記憶があります(笑)。
左上画像はAntipodes Island Parakeet(あ、鳥の名前ね)。Keaよりも二回りほど小さな大きさで、この個体は人慣れしていて金網越しにどんどん近寄ってきます。実はNZのメインランド(北&南島)では50羽くらいしか生息が確認されていないらしく、ほとんどは南島より南の島嶼部で暮らしているのだとか。冬は寒いだろうに大変だなぁ。
そして右上画像はタカヘ。とてもよく似た色合いの鳥にPukeko(プケコ)がいるのですが、特にくちばしの色や形状とかはそっくりです。外観的な違いは「タカヘのほうが一回り大きくて全体的にほっそりしている」ということなのですが、ある種見分け方は簡単です。タカヘは一時は絶滅したと思われていたほどの希少種なので、一般的に姿を見られるのはこのような保護ケージの中だけ。
いっぽう、NZでは比較的ポピュラーな鳥であるプケコは道ばたや草むらでも普通に見られます(われわれもレイクマセソン近くで見ました)。となれば、そんじょそこらで見られるのは全部プケコだというわけです(笑)。ちなみにタカヘは飛べませんがプケコは飛べます。
また、チャボのような茶色い羽の似たような大きさの鳥はWeka(ウェカ)です。こちらも飛べない鳥ですが、時々Kiwiと勘違いされるのだとか。ウェカは昼行性でキーウィは夜行性、また野生のキーウィはもはやNZのメインランドにはほとんど生息していないレア種ですから‥。もっともウェカはその昔ミルフォードトラックで見ましたが、こちらも町の近くで見かけることはまずないはずです。
ほかにも何種類もの鳥さんを眺めつつTe Anau Wildlife Centreの見学終了。‥‥さてここで「え?Wildlife=野生動物なのに、鳥しかいなかったのはなぜ?」と思われたNZ未訪問の方、あなたは鋭い!NZの「野生動物」とは現在生息する全ての動物たちを意味しません。対象は鳥だけです。なぜなら‥
現在のNZに生息する全ての哺乳類、その中には3420万頭を超える数のヒツジ(2010年)をはじめ牛や馬も、あたりまえに飼われている犬や猫も、そして害獣として現在も駆除が行われているポッサム(Possum)、さらにはこのページトップ画像に写っているハリネズミまで、それら全てが外部から持ち込まれた「外来生物」なのです。もちろん人間が最初の外来生物だったのではありますが(wikiによるとマオリの人たちは9世紀から10世紀ごろポリネシア方面から移住したとあります)。
それまでのNZメインランドはいわゆる「天敵」がいなかったため、無理をして飛ぶ必要がなかった一部の鳥たちの翼は長い時間をかけて退化。その象徴ともいえるのが最大3m近い身の丈を誇った巨鳥モアでしたが、wikiによると「乱獲により16世紀頃までに絶滅した」という説が有力のようです。
しかしその後白人が入植しワイタンギ条約(1840年)の発効により本格的に白人というかイギリス人が入植するようになると、母国その他から持ち込まれた(または偶然に入りこんだ)哺乳類により、NZの生態系は大きく変化します。
その代表格が上記のポッサムで、毛皮を利用するためにオーストラリアから持ち込まれた個体が逃げ出して野生化し、植物を食い荒らすだけでなく鳥の卵やヒナなども捕食してしまうことから、特に上記「飛べない鳥」たちの被害は深刻の度合いを増しました。その結果現在に至るまでポッサムは駆除の対象になっているというわけなのです。
実際、NZの国道を走っているとよく見かけるのがウサギとポッサムの死骸(あ、ウサギももちろん外来生物です)。それらはすべて車にはねられたものなのですが、その数の多さには驚きます。DOCの推計によるとNZ全土におけるポッサムの生息数は約3000万匹なのだとか(ヒツジとほぼ同じ!)。
ウエストコーストで見たこの看板も、間違いなく駆除対象はポッサムなのです。あのあたりにはまだ僅かながらキーウィが生息しています。
人間の都合により必然偶然を問わずNZ入りした哺乳類が、ある場合は「野生では生きられないほどにまで品種改良」されたり、またある場合は「利用しようと思ったら逃げ出して、都合が悪くなったので駆除」。たまたま人間がこれまで地球上で一番力を持っているからこういうこともまかり通ってきたわけですが、案外ウルトラ一族は「守るべき対象」を見誤っていたのかも?(笑)。バルタン星人は案外キーウィやタカヘと、そして地球上の野生生物と仲良くやっていけそうな気がするぞ、少なくとも圧政による支配はしないしできないと思うぞ(大笑)。
まぁそんな戯れ言はともかくとして、ポッサムは今でもNZで商業的に飼育されています。皆さんがNZを訪問したときにお土産屋さんに寄ったらたぶんウール製品に手が伸びることでしょうが、その時にそこそこの確率で「メリノウール&ポッサム混紡」の製品を見つけられると思います。ポッサムの毛は中空構造になっていて保温性抜群なのだとか。
またNZ在住で犬や猫をペットとしてお持ちの方は、ポッサムソーセージをご存じかも知れませんね。駆除されたポッサムなのか毛を剥がれたあとのポッサムなのかもしくはその両方なのか、とにかく最後はミンチされて‥嗚呼。
わたしは自然保護論者でも動物愛護論者でもありませんが(ともに「盲目的な」という意味で)、それにしてもNZのポッサムは「人間が一方的に作った尺度」の中で生きていくのが大変そう。ちなみに隣国オーストラリアではこれまた一方的尺度のもと「保護動物」に指定されているそうです。うーむ‥。
何だかやたらにテキストばかりになっちゃいましたんで先を進めましょう。もともとこのページを作り始めた時には「大きなネタもないし、さらりと終わらせちゃおう」という下心満々だったのになぁ(笑)。
浜辺のあたりまで戻ってくると、船着き場の先に人の姿が。何度も「よぉーし取ってこーい」と木の枝を投げる飼い主とそれに応じる犬。犬は身体も冷えて寒いだろうにと思いきや、しっかり飼い主のご一家も「いっくぞぉ!ジャポーン!」とダイブを繰り返しておりました。ちなみにこの日は結構風も強く、わたしだったらこの場で海パン1枚になることも「断固拒否する」温度感覚だったんですけれどね。ま、そもそも皮膚感覚の点では「冷強温弱」のヨーロッパ人種の皆さんと、長年の修練により「冷たいのは苦手だけど温は48度の湯船に何とか入れるようになった(10秒くらいですが)強さを持つ」Takemaとは文字通り「人種が違う」ので、まぁ見ていて楽しかったなくらいで満足(比較の意味なし芳一)。
宿に戻ってきてみたら入口の看板には「No Vacancy」の赤文字が燦然と輝いておりました。連休そのものは終わったといえさすがにクリスマスから年始に至るハイシーズンですからね。
この日は自炊でラムステーキとソーセージのボイル。TakemaとしてはNZに来たらいつも生ソーセージをボイルして食べたいのですよ。プリプリの食感がたまらないのです!しかし今回は「ちょっと高級」なのを買ってしまったのでイマイチというかイマ2というか‥まぁ詳しくはあとで書くとして、このソーセージは脂肪分少なめだから時代の流れとして悪くはないのかも(笑)。
そして夜。おしんこどんがいつもの通り早めに寝入ったあとでこっそり喫煙行動というわけで外へ出てみると‥何だかすぐ脇の茂みの中でガサゴソと音がします。急いでLEDライトとカメラを持ってきて撮影行動に入ります。
手前の白い石についつい目がいきますが、あくまでただの石ですキノコではありません(笑)。
上記のようにこのハリネズミも外来動物なのですが、捕食するのは昆虫や地虫(ミミズなど)だけなので、確かにNZの鳥たちとは捕食対象が重なるもののお互いを食べ合うことはなく、また鳥は昼行性、ハリネズミは夜行性という棲み分けもあるからか駆除対象にはなっていません。この人間による線引きが彼らの「平和な生きざま」を保証してくれているわけです(ちょっと複雑)。
視力が弱いハリネズミですが、いちさんLEDライトの威力はやっぱり眩しすぎたのか、このあと敷地外の茂みに立ち去っていきました。さーてTakemaももう寝ましょ。
明けて翌朝。空を見上げればまだら雲で青空はほとんど見えず。過去の経験上こういう時は「こっちで降っていなくてもミルフォード方面はほぼ間違いなく雨」なのです。というのもある種日本と似たような感じで「海側でたっぷり湿り気(雨)を降らせた乾いた空気が山を越えて流れてくる」わけであり、したがって、
ということなのであります。
実はこの日はマナポウリ湖からダウトフルサウンドへのツアーを予定していたのですが(お金がかかるんで行ったことがありませんでした)、いざテアナウ到着後に状況を確認してみたらそのツアーは「やっぱり満員御礼」だったのです(さすがハイシーズン)。
それじゃしょうがないということで「いつものミルフォード方面」に方向転換したわけです。ミルフォードサウンドにはワーホリ滞在時を含めて間違いなく10回以上来ているはずです。ワーホリ時代はThe Divideエリアが未舗装で、あそこを雨の日に泥沼ばりばりの中を観光バスが通るもんだからさらに泥が深くなり、そのあと乗用車(たぶんそのほとんどがレンタカー)が何台も脱出不能になっていたことも。そんな時のTakemaはその危険エリア手前でルート取りを考え「よーしあのわだち経由でリーチ一発平和一通ドラ3で倍万通過」だったんです。だから当時の1977年製マツダ323(ファミリア)1300ccだって何とかなってたわけです(笑)。
しかしこの日はそこまでの悪天じゃありませんでした。というかそもそも今は完全舗装ですし。
テアナウ湖に近いあたりではところどころ青空だって見えてましたし、もちろん道路は快適だし。
この瞬間などはしっかり日射しが出てくれたりしておりました。
しかし、Takemaの経験則はこの日も当たってしまったというか、The Divideのあたり=上記の「最後まで未舗装だったマディエリア」まで来ると、お約束の雨となりました。実は出発時には「久々のキーサミット」も1つの選択肢だったのですが、この時点で即座にパス。まぁ前におしんこどんと一緒に行ってますからね。
そんなわけで「次なる選択ポイント」を目指します。峠を越えた先の分岐で車を止めて‥