−2014/3 ボルネオ編 その12 メララップ温泉からの帰り道、伐採材の集積場立ち寄り −



何と、こちらの源泉の成分調査表を見せていただけました!うーん、単純温泉ですね(笑)。

さてこの日は9時出発という打ち合わせをしておりましたので、7:30に最後の湯浴みへ。で、食事前後にアルフレッドさんが「Takemaさん、昨日見たいと言っていた源泉の分析表はこちらです」と出してきてくださったのが上の画像です。

これについては温泉の大先達であらせられる郡司勇さんに内容確認していただいたのですが、「陽イオンの方しか出ていないんでナニなんですが分類としてはやっぱり単純温泉ですね」とのお答えをいただきました。まぁ、成分的に濃くはないのは想像できていましたが。

それよりもすごいなぁと思ったのは、東マレーシア(サラワク&サバ州)にはこことポーリン温泉くらいしか商業利用されている温泉はないはずなのに(それとは別に未利用源泉がサバ州のとある私有地内にあるようですが)、しっかり源泉サンプルを提出して成分を検査しているというところです。まさかそんな法律がマレーシアに‥あるのか?(未確認)



ちょっと順番が前後しますが朝の湯浴み時画像、何だか奥の噴水の勢いが随分ちぃちゃくなってますね。昨夜は「景気づけにどどーんといっちゃれ!」ということだったのかどうなのかは謎です。朝食ではホクホク系のお芋2種も出されました。うん、こういう素朴系好きなんです(もちろんこれだけというわけではないですよ)。

さて食後はトイレ関係のコトを済まし、荷物をまとめれば出発準備OKというわけであとは車の到着を待つばかり。あ、念のため申し上げればトイレは洋式で紙も流せる方式です(これ結構重要)。さーてアンドリューさんいつ来るいつ来る?


なかなか来ないのでもう一度足湯を楽しんでみたり、おしんこどんは笛を吹いたりして(音は出してません)到着を待ちます。あれー9時回っちゃったんだけれど(笑)。

しかしまぁ、9:08に到着したのでこのくらいは誤差の範囲かな。さてそれでは!と思ったら‥



うーんこの辺の感覚は日本と違いますね(笑)。日本の場合「じゃ、9時ということで」と約束すれば、それは暗黙の了解で「9時出発ね」ということなんですが、確かに約束したのは「9時に来る」ということだけであり、出発時間に関する直接の言及はなかったわけですから。まぁこの日の目的地テノムまでは往路より時間がかからないということだったしまぁいいか。あ、この時間は温泉プールの湯が抜かれてました。やっぱり定期的に清掃&湯の入れ替えがなされているようです。

そんなわけで最後に、お世話になったアルフレッドさんはじめ宿の皆さんと集合写真を撮ることに。



アルフレッドさんが抱いているのはお孫さんだそうで、ゆくゆくはキミがこの宿を仕切る日がやってくるのかな?


そんなわけでいよいよ出発です。昨日の雨の影響で路面がマディになっているのかボンネットの上まで泥だらけでしたが、路面の状況を聞くと「問題ないですよ」というのでまぁそうだと信じましょう(実際のところ、われわれが通った頃には水たまりはほとんどなくなっていました)。そんなわけで結構な坂をぐいぐいと登り始めます!

と、その途中「じゃ、音楽でもかけますか」というわけでアンドリューさんが取り出したCDは懐かしのビージーズ。「わたしが生まれた年のヒットソング集ですよ」と言っていましたが、うーむ確かに自分の記憶としてはもう中学生になったころか?(計算合うし)。いやぁ年を取ったもんだなぁ(遠い目)。

それにしても、同じダートでも昼と夜とでは全然印象が違います。道路だけじゃなくて景色全体を見ながら走るといろいろ面白いのですよ。

さて、この日走り出したあとアンドリューさんに1つお願いをしておきました。


この道路には熱帯雨林の原木を搬出する大型トレーラーが多数行き交っています。そして道路の脇には「とりあえず伐採して道路まで運んできた」原木の集積所がいくつかあることは往路でも確認していました。一時期「熱帯雨林の伐採による自然環境破壊」が日本でも大きな問題となりましたが、「破壊問題」としてとらえるために見学するのではなく、その現場をちょっと見てみたいと思ったわけなのです。伐採現場はもちろん無理でも、集積所なら見せてもらえるかなと思ったので。

それに対するアンドリューさんの返事は至極明確で、


ということでした。しかし、往復40分+見学時間でトータル1時間余計にかかるのか、そういうタイムロスの蓄積で到着時間が遅くなるのも困るしなぁと考えて、「いや、来る途中にあった集積所でいいんですが」とリクエスト。実は明るいうちにテノムに到着してある買い物をしたいと思っていたんです。まぁでも結果的に買うことはできませんでしたけれどね(苦笑)。

話を戻して集積所へ。メインロードからは見えにくい場所に集積ヤードがありまして、いやぁここだって十分に広いです!アンドリューさんが現場の方に話を通してくれて「OK」をいただきました。そしてそこには!






ヤードの両サイドには原木(Raw Wood)が数多く並べられていましたが、たぶんその昔はこんな数じゃなかったんだろうなと思われます。また幹の太さももっともっと太かったに違いないはずです。それでも、このあとテノム方面で見かけた同様のトレーラーに積まれた木々に比べればはるかに太かったんですが。

ちなみにその昔に問題となったボルネオ熱帯雨林の伐採についてはいろいろと経済的商業的な側面がついて回っていたのも事実です。「全面伐採した上で跡地をアブラヤシのプランテーションにすれば収入の向上につながる」というのがそれで、そのアブラヤシの実は日本で一時期「環境にやさしい自然由来のせっけん」などという触れ込みでよくコマーシャルされていましたっけ(今でもあるか)。

また、ここのように「全面伐採はせず大木のみ伐採する」という場合も、以前は原木のまま輸出(主に日本向け)されていたのが、「それでは現地に落ちるお金は原木代だけ」というところが問題となり、主に二次加工品の輸出に切り替わったと聞いています。実際アンドリューさんからも「ここが材木の工場です」という案内を往路で聞いていたんだっけ(しかし復路で探していたんですが見つかりませんでした。残念)。

さてそんなわけで、このあたりを少し見学させていただきましょう。


ヤードに積まれた原木は左上画像のように岡本太郎的な広がりを見せています(何のこっちゃ)。で、右上画像は原木の移動に用いられるアーム車ですが、この広げたアームの直径たるやTakemaの背丈をはるかに超してます!つまりかつては「最大でこれだけの口径が必要な木があった」ということなんでしょうね。しかしさすがにそんな木はもう運ばれてこないようですが‥。

と、ここでメイン道路の方から別の同型アーム車がやってきたので急遽動画に切り替えてっと。




われわれがいるのを察知したドライバーさんが走行中にアームを満開にしてくださるなどサービス精神旺盛で嬉しかったな。さて続いてはトレーラーを見てみましょう。


原木の長さは1本1本違うことから後部はご覧のとおり思い切りはみ出してます。またフロントウィンドウ下部からの石の跳ね返り等を防止するため大きな防護ネットが装着されているところに現場の厳しさを感じます。

また、右上画像を見てもらえばわかるのですが積載されている原木は基本的に固定されておらず乗っかっているだけです。ということは、もし走行中に積み荷に異常が起きて動いたり落下したりしたときにはトレーラー自体がバランスを崩すこともあり得るわけです(実際、「なんでここに1本だけ木が置かれているの?」というような光景も目撃しました)。


正面から見てみるとその対策がよくわかります。「もし横転しても運転席部分にダメージが加わらないように」しっかりガードバーが装着されているというわけです。ちなみにライト部分にもしっかり金属製の網が装着されています。

しかしここでちょっと「遊び心」を感じたのが運転席ドアの窓でした。何だか白い文字で何か書かれていますよね。でも読みにくいので左上画像にマウスオンしてみて下さい。



さてそんなわけで集積ヤードをあとにしました。現場の方々がフレンドリーだったこともあり、聞こうと思えばたとえば「20年前と比べてどうなのか」「今後の木材資源の見通しは」とかの質問にも答えて下さったとは思うのですが聞くのはやめておきました。

現在この沿道に住む人たちにとって「林業」は直接間接を問わず生活の根幹を担っているということ、それだけは間違いないところなのです。「  」内をプランテーションの「アブラヤシ」にしてみてもまったく同じことがいえます。そこに一定のバイアスを含んだ批判などが入りこむ隙など一切ないのです。日本における原発事故のように「その根幹が揺らがない限り」においては。

ああまたやっちゃった難しくなっちゃったというか余計なお世話になっちゃったので話を先に進めましょう(汗)。


さて道路はずんずんと先に延びており、ところどころに家があったり集落があったりしています。ただ、この道路の付け方が日本と違うんですね。地形が緩いということもあるのでしょうが「川沿いに道路を付けようとせず、基本的に山(峠)越えルートになっている」わけなんです。


こういう感じです。だから登ったり下ったりのアップダウンが激しいのですが、これはたとえば「雨期の水害時には川沿いの道路など使い物にならなくなる」という経験からなのですかね?

しかしそうなると、例の原木搬出系トレーラーには「苦しい登り坂」と「加速がついたら終わりの下り坂」の連続となるわけです。実際、アンドリューさんも次のようにおっしゃっていました。





もちろん場所によっては追い抜きをかけられない場合もあるわけですが、「そういうときは即座に距離を置き『抜き時』を虎視眈々と待ち、ここだと思ったら即座に抜くようにします。トレーラーのドライバーもそういうことは十分に心得ていますよ」。

そうかぁ、さっきのストックヤードにおられた現場の皆さんも、原木の扱いや搬出に関しては「日々の一瞬が勝負」という中で働いておられるわけですね。そう思うと、空荷だったとはいえわれわれに「アームをフルオープンしながら近づいてきてくれた」作業員のお二人の遊び心にはとてつもなく感謝しなければ!

ところで原木搬出車関係にかかわらず、全ての車は「左側通行の遵守」などは一切考えずに走りやすいルートを走ってきます。そんなとき同じ車線側に対向車が来たときはどうするか?答えは「自分が進行したい側にウィンカーを点灯させて意思表示する」ということなのですが、これとて「どっちも同じ側だったりしたら最後はチキンレースみたいになってしまう」ような気もします(笑)。もっとも、実際はお互いのスピードが大したことない(しょせん低中速で走行中)ので何とかなっちゃうのでしょう。またこれは記憶として全然確証がないのですが「奥に行く車が最後は優先」だったのかも知れません。


さて徐々にゴールが近づいてきました。右上画像の通りこの林道の入口近くには常時閉鎖系のゲートがあり係員氏が常駐しています。ここの通行許可基準が全然わからないと(英語が通じない可能性もありそう)下手すれば難渋するかも知れません。ま、少なくともその辺の事情および現地の道路事情がわからない旅行者はドライバー付きの車をチャーターすべきです。

そんなわけでサラワク州のメイン舗装ロードまでやって来ました。テノムへはここを右折して次の町シピタンから内陸に入るのですが、アンドリューさんに「昼食はどこで?」と聞いてみると考える間もなく「ラワスで!」とのことで左折。まぁこのあたりには大きな町がほとんどありませんから当然でしょう。というわけでこの続きは次ページにて。

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